工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木工屋のBlog運営とは

ところで今このBlogで連載しているサンディングの技法もそうなのだが、こうした木工技法に関わる領域の記述については、自重せねばいけないな、あるいは自省しなければいけないな、と思うことがある。
こんなに書き散らかしているくせに、ですがね。
ボクのBlogなど1,000ページビュー/日〜3,000ページビュー/日、ほどの読者が見に来ているに過ぎないが(この数値が多いのか、少ないのかは全く判然としない)、Blog上での記述は多少の影響力を持ってしまうことは、ネットにおける表現行為の功罪についての様々な議論からも推量できるところだし、自分でも多少の経験はしているので自覚的にやっているつもりだ。
当然にもネット上の木工の技法に関わる情報は様々なところから発信されていて、とても有益であることも多く喜ばしいところではあるのだが、一方で間違った情報、不十分な言及なども少なくなく、読者のリテラシーというものがとても重要であることにあらためて思い知らされることもある。
何もこれはネット上だけの特異な現象というよりも、日本の木工関連雑誌でさえ不適切な表現、間違った解釈に基づいた技法の紹介なども散見されるので、避けがたいものとも考えられるだろう。
でもやはりネットならではの敷居の低さから、いい加減な情報があふれかえってしまうということは指摘されても良いだろう。
刊行される雑誌には、ライターの記述に編集作業というものが介在するだろうし、有料での販売が前提ともなれば、あまり杜撰な記事では読者を獲得できないという自主規制が掛かる。
一方ネットにはそうした編集プロセスは皆無、ほとんど課金されることなく誰でも、どこからでもアクセスできるし発信できる。数年前から一気に普及したBlogというツールは発信者側のハードルをさらに低くしている。したがって何でもアリの世界だ。
そうした功罪半ばするネット上にあふれかえる情報からどのように良質な情報を見出すかは現代社会に生息する我々にとって無視することの出来ない重要な能力となってきている。
ここではそのための方法論を呈示するものではないが、せめて発信者として自身が書き散らしているこのBlogのエントリに関しては、できる限り情報を精査し、自身の経験と知力を動員させ、フィルタリングし、その上で有益なものとして寄与できるようなものを記述していきたいとあらためて思う。
またBlogという日記形式という性格も活かしながら、軽快に、スピ−ディーにエントリしていきたいとも思う。
そうした前提で、読者に願っておきたいことがある。
恐らくは上述したような配慮をもって記述したとしても、間違いも出てくるだろうと思う。
これは知見に問題がある、経験不足、咀嚼する能力に欠ける、洞察力に欠ける、記述の力に欠ける、文章力に欠ける、などと言った要因がそうした誤りをもたらしてしまうのだろうが、極力これらを克服しつつ、信頼に足る情報源でありたいと思う。
できれば誤りがあったり、さらに良い情報があるようであればご指摘いただくことで修正、訂正、補筆などの機会を与えてくれたらありがたい。
Blogにはコメントという有力な機能があるので、ぜひ活かしていただければ幸いだ。
日本人のコミュニケーションとしての特徴として、あまり相手の誤りを指摘しないことを尊ぶ、という土壌がある事は否めないが、ボクも耐性を身につけていかねばと考えたいので忌憚なくボチッしてもらいたい。
さて、ところでこのようなBlogでの情報を読者がどのように受け止めてくれているのかは知りたいところだが、これは決して多くはないものの寄せられる貴重なコメントによってある程度は推し量られる。
しかし恐らくはプロの木工家は斜に構え半眼でせせら笑いながら見てくれているだろうし、技法なども、ヘヘーッととばし読みしているのだろうと推測している。それで構わないだろう。彼らは自身に適切な方法でしっかり技法が備わっているからだ。何も申し上げることはない。
国内でインターネットが普及して10数年ほど経過するが、ボクの世代辺りから上の年齢ではアクセスする人は決して多くは無いのではないだろうか。
やはりインターネットアクセスは10代〜30代が中心になるだろうからね。
職人的練度を要求されるこの世界ではそうした味のある記事を提供してくれる人も少なければ、コメントを寄せてくれる人も多くはないのも無理はない。
問題は若いアマチュアの方々だね。
ぜひ批評的な視点から読んでいただきたい。真に受けるのではなく、気になった記事があったら、近くのプロの職人に尋ねてみる、自身で試してみる、書店で検索する、ネットで検索する、などいくつかの方法で検証すべきだろう。
技能というものは、事の性格上決して1つの手法が最善のものだというものではないだろう。
それを扱う人のレベルによって、あるいは作業環境によって最適な方法というものは多様だ。
やはり一定の時間を費やして、練度を高める中からしかその人にとっての熟練の技というものは生まれ出てこないというのが正しい考え方であろうと思う。
一方そうした本質的な考え方からしても、多様な手法を呈示して選択肢を与えていくというのは決して無為なことではないように思うので、能力を越えて出来るものでは無いが、可能な範囲で記述していこうと考えている。
でもね。
ある先輩がボクのBlog運営に鋭い警鐘を与えてくれたことがある。
くだらない情報が氾濫するネット上のゴミためにキミも参加するの?
そんなヒマがあったら作品造りに精進した方がよほど自分のためだよ、と。
これに対しては様々に反論はできただろうが、ただ受忍しただけだった。
自分もそう思うもの。困ったものだ。
今日は切らしていたお酒を新たに求め、チビチビ飲りながらのエントリ(すんません、週末ですのでお許しを)
過日紹介した「出羽桜」の別バージョン。「吟醸酒」桜花、という奴。美酒です。

塩谷哲と音楽仲間たちライブ(NHK BS 予告)

今週土曜日深夜ですが〈夜更かしライブ缶「塩谷哲と音楽仲間たちライブ?ピアノVSボーカル?」〉という番組があるようだ。
塩谷 哲(しおのやとおる)というピアニストは先のNHK BS2『シブヤらいぶ館 – 歌のない音楽会』(07/01/24)で聴いた限りだが、今回もまた小曽根 真さんとの共演もあるようなので、チェックしてみたというところ。
他にも佐藤竹善、矢井田 瞳などとの興味深いセッションもある。
2006年12月23日中野サンプラザで行われたコンサートの様子をそれぞれのアーティストのインタビューなども交えて紹介するもの。
先のNHKライブは小曽根 真とのデュエット(含む 連弾)だったのだけれど、演奏時間の制約の中で盛りだくさんに詰め込みすぎたせいなのか、あまり印象は強いものではなかった。
ワイドショーっぽい放送番組からではなく、やはりCDを聴き込まないとわかんないね。
でも今回はスタジオではなく中野サンプラザでのコンサートだから、期待できるかな。
【放送概要】
番組名  :「塩谷哲と音楽仲間たちライブ〜ピアノvsボーカル〜」
チャンネル:NHK BS2
放送日  :07年 3月10日(土)
放送時間 :午後11:00〜翌日午前0:30(90分)
【出演】
塩谷 哲, 小曽根 真, 佐藤竹善, 手嶌 葵, 矢井田 瞳, 松本康一朗
【演奏 詳細】

  • 「テルーの唄」
    手嶌 葵・塩谷 哲
  • 「Daydream Believer」
    手嶌 葵・塩谷 哲
  • 「The Rose」
    手嶌 葵・塩谷 哲
  • 「You Raise Me Up」
    佐藤竹善・塩谷 哲
  • 「Heart to heart」
    佐藤竹善・塩谷 哲
  • 「I wish」
    佐藤竹善・塩谷 哲・小曽根 真
  • 「Spanish Waltz」
    塩谷 哲・小曽根 真
  • 「MY SWEET DARLIN’」
    矢井田 瞳・佐藤竹善・塩谷 哲
  • 「HOW?」
    矢井田 瞳・塩谷 哲・小曽根 真
  • 「初恋」
    矢井田 瞳・塩谷 哲
  • 「37.0℃」
    矢井田 瞳・塩谷 哲

先の番組の紹介をしていたkokoniさんへTB送ろうか。(とうにご存じですって?)

木工家具制作におけるサンディング (その5)

サンディングバナー
サンディング機械の種類と特性
サンディング作業は現在においては様々な機械によって生産性が高められている。先進的な工場では自動化も進んでいるだろう。
ここでは無垢の材料を対象とした高品質な家具制作のサンディング作業という制約での記述を基本としたい。
本件、サンディングについての記述も実はこの項を主要な関心事として考えているので、少し詳述していきたい。
先に述べてきたところだが、工房スタイルでの家具制作においては機械によるサンディング作業は量産家具のような低品質な家具制作を対象とするものと考えるので、使うべきものではない、というような間違った解釈が流布されているようでもあるので、そうした根拠のない誤解については正さねばならないと考えている。
これはどういう理由からなのだろうか。
機械加工=量産家具において取られているライン加工の悪しきイメージ。
手加工=良質な家具制作においては手作業が全てにおいて高品質なものをもたらす。
こうした根拠薄弱な考えを持つ木工家は決して多くはないと思うが、機械性能の本質を見極めることなく、手作業の「優位性」を頑なに信じ込み、固執している墨守派もいるかもしれない。
しかし多くは機械も導入したいが、さほど導入を決断するほどの評価を与えられない、あるいは他の諸般の事情で導入できない、と言った中間派なのではないだろうか。
なおボクは信州の訓練校で基礎を学び、また信州の木工所で働いた経験があるが、いずれもサンディングの機械はほとんど設備されていなかった。
また、訓練校への就職の募集にあたって、サンディング機械が設備されている工場への先輩諸兄の評価はあまり良いものではなかった、ということも経験している。
そうしたある種の地域的な特異性などに規定された誤った評価が今もなお厳然として残ってることもあると思う。
読者には本稿に出会ったことを契機としてぜひ一度はこのことについて真剣に考えていただけれ幸いだ。
さて、前振りが長くなってしまったが、具体的に記述していこう。
サンディング機械の種類

  1. ベルトサンダー
    (a)2点式、3点式ベルトサンダー
    (b)ユニバーサルサンダー
  2. ワイドベルトサンダー
  3. (a)スピンドルサンダー
    (b)スポンジサンダー
    (c)エアースピンドルサンダー
    (d)オシレーティングスピンドルサンダー
  4. プロフィールサンダー

おおよそ以上のようなラインナップになろうか。
1(a) 2点、あるいは3点ベルトサンダー
〈機構〉
動力機からベルトにより伝導され主軸の大型のプーリーと、空転するプーリー間に装填された10cm幅のベルト状のサンディングペーパー。(その長さ4.3〜5m)
このベルトにテンションを与えるためのレバーと分銅が付いた小さなプーリー。
その間を作業者の任意の操作で前後させられるように左右2条のレール上でスライドするテーブル、とで構成されている。
回転数は900〜1,200rpm
〈操作方法〉
任意の番手のサンディングペーパーを装填し、被研削材をテーブル上に置く。
サンディングペーパーと被研削材は適度な距離を保ち、高さ調整する。
ベルトを動力回転させ、この回転するベルトの真上から手に持ったパッドを被研削材に密着させながら左右に(ベルト回転方向)、あるいはテーブルを前後に(ベルト回転とは直交する方向)動かしながら被研削材、板面の全域にわたりペーパーの接触位置を替えながら研削する。
パッドはアーム状にあらかじめ機械にセットされたものもある。
〈特徴〉

  • 被研削材の大きさの制約は、長さは左右のプーリーの幅(=テーブルの長さ)に規定されるが一般に1,800mm〜2,400mmというところか。
    幅の制約は機械設置環境によるだろう。前後に空間のある限り制約は無いと言うことも出来るが、被研削材を移動させず固定された状態であれば900mmほど。
    つまり比較的大きなテーブルの板ぐらいまでは研削できるということになる。
  • かなりの高速での運動になるので、研削力は高い。
  • 回転方向が一定の、一般には繊維方向のみでの直線運動での研削になるので、いわゆるサンドペーパーの“脚”と言われる研削痕が残りにくい。(オービタルサンダーのような回転運動を基本とする電動工具との大きな違いがある)
    なお框組みの接合部分のように繊維が直交するようなところはどうするかと言えば‥‥、
    これは框組への鉋掛け(メチ払い)におけると同様に、まずは繊維をまたぐ方向から研削し、その後90度移動させ、繊維方向のみをサンディングすることで最上の仕上げを獲得できる。(留め部分も同様に、パッドの角度操作で問題なく可能となる)
  • 設置に要する面積は、(被研削材の最大長さ+1m)× (1m)といったところか。
    ただ作業内容が仕上げに関わる領域であるために、窓際などの明るいところにすべきだろう。
    なお強力な研削力を有し、そのためかなりの研磨粉が発生するので、強制排気、集塵の機構が必要だろう。
  • 簡単な機構の機械なので操作が簡便、当然比較的安価である。メンテナンスもレール摺動に気をつけるぐらいでイージーなものだ。

〈注意点〉
研削力が大きい、ということは、生産力が大きいということと同時に、研削のコントロールは作業者の任意な手さばきに依るため、平滑な研削が阻害されることがある。
そのために一定の技能が求められる。(たいしたものじゃないが)
少し具体的に記述してみよう。

  • 全てはパッドの当て方という一点に多少の技能が必要とされる。
    水平に、一定の加圧力で、ということに尽きる。
    最初のうちは意外とこれが難しい。
    特に被研削材の端っこ、エッジ部分がだれやすい。
    パッドに一定の加圧がされているために端にくると、加圧力のコントロールが難しくなってしまうことによるものだ。
    被研削材にはほぞ穴があったり、小穴があったりと、平板な板であることの方が少ない。そうした様々な状況があれども常に一定の平滑さを維持しながら加圧していくという、少しばかりの技能が求められる。
  • この技能を助ける方法として、被研削材のテーブルへの置き方、テンションの掛け方、ペーパーと被研削材のスペースの取り方、などいくつかのコツもあるだろう。
  • サンディングペーパーの番手の選定
    これは被研削材の材種にもよりけりだ。
    針葉樹のように比較的柔らかい材種には粗い番手を、唐木のような硬い材種には細かい番手を、というのが基本だが、一般に楢、樺のような材種では、鉋掛けされた後の素地調整を目的とするサンディングであれば、#240あたりから始まり、#320、#400と追っていけばよいだろう。
    木目が複雑で #240では逆目が取れない、ということであれば #180ぐらいから始めれば十分だ。
    それでもダメというのであれば、それは素地調整の問題ではなく。前の段階の鉋掛けの問題ということになろう。
  • なおこれはサンディング全般において共通することであるが、ある番手で目的とする素地を得られないようであれば、むやみに同じ番手で加圧力を高めて研削する、などということはやるべきではない。
    そのままむやみに続けることでは一見シャープな肌になっているように見えても、その実本質的な意味での適切な素地にはなっていないということになる。
    あるいはそうした方法では多くの場合平滑性が損なわれ、凸凹なものになってしまう。
    必ず1つ手前の番手に戻し、あらためて平滑にサンディングすべきだろう。
  • 加圧力
    上述したように不均等な加圧は1番良くない。常に一定の加圧力で、軽快にパッドを動かすことが肝要。
  • テンションの掛け方
    ただ平滑に一定の面積のものを掛けるのであれば、テンションはある程度高くして、サンディングペーパーの回転を安定させた方が良いだろうし、被研削材に、角度があったり、凸凹があるような場合にはテンションを緩めることで、あるいはまた、それに合わせたパッドを用いることで目的とする研削を可能とするだろう。

〈補足〉
さて、この項の最後にクイズだ。
この機械も含めて、一般にサンダー全般に共通することでもあるが、
サンディングペーパーの回転方向に順目を合わせるべきか、逆目を合わせるべきか ? 。という問いを出して見たいのだが。さて‥‥。
多くの人は当然にも順目、と回答してくれるだろうと思う。
これは正解。でも半分だけ。
どうしてかって。
複雑な木目を適切にサンディングするのは意外と難しいものだ、ということは分かりやすい話であるが、実は中杢のような素直な木目であっても、きちんとサンディングするのは難しい。
未熟者がサンディングし終えたと考えているものも、十分な研削肌をもたらしていないことは多い。
実はまず、逆目方向からサンディングするというのが効果的な方法なのだ。(おいおい、本当かよ ?)
これはサンディングという研磨・研削方法というものは鉋などの切削道具と異なり、刃物で一定方向にカットしていくものではなく、逆目によって刃物が過剰に食い込んでしまうということが無い、という特性を活かすことで生産性の高いサンディングを可能とする。
どういうことかと言えば、順目研削では繊維を寝かせる方向での研削になるが、逆に繊維を断ち切ってしまう方向(逆目)にサンドペーパーを運動させることで研削性が高く、また品質の高い研削肌が獲得できるということになる。
その後に順目方向に置き直すことでさらに良い肌をもたらすことができるだろう。
お判りいただけだろうか。
不審に思ったら、さっそく明日にでも試していただければたちどころにギモンは氷解するだろう。
(別の事例で考えてみよう。超仕上げ鉋盤で削るとき、やや削りが止まって食いつきが悪くなったときなど、順目で掛けてもすべってしまうだけで良い鉋屑が出ないことがある。そうした時、逆目に掛けることで食いつきも良くなり一鉋の鉋屑を出してくれることがあることを経験している人は多いと思う。この場合、当然にも逆目切削なので良い肌は得られないが、その後に順目で掛け直すことで適切な切削肌を得ることが出来る)
次回はスピンドルサンダーへと記述を進めていこう。

画像は3点ベルトサンダーの図

サンディング(ベルト)

ZDP-189 切り出しでローズウッドを削る

切り出し

キャビネットの引き手は駆体に合わせ様々なデザインで、様々な素材で作るが、今回はローズウッドを用いたハンドメイドのもの。
左右1対で5Pairほど作ってみた。

こうしたハンドメイドのものも、扉に埋め込むためのほぞ加工などが伴うので、当然にも機械加工部分も多い。
機械加工が5割ほど。残りは手加工だ。
ローズウッドは比重が0.85〜と重厚なので、これを削るには一般の炭素工具鋼で作られている切り出し小刀では芳しくない。すぐに切れが止まってしまう。

皆、どうしているのだろうか。ハイスの刃などに切り出し型の刃付けをするという人もいるかも知れない。
しかしボクにはスペシャルな切り出しがある。
《ZDP-189》という鋼材名を持つ最も新しい合金からカスタムメイドされた切り出しだ。
刃物鋼材ではTop企業の日立金属株式会社が開発したステンレス系刃物用鋼材。
高硬度、高耐摩耗性が得られ、耐食性も良好のため、切れ味が良く、刃持ちも良い、という優れものだ。
硬度が66〜68HRCというからめちゃくちゃ硬い。(銀紙1号で59〜61、ハイスで61〜63)

ZDP189

需要のほとんどはカスタムナイフなどであるために需要も限られとても高価な刃物素材だが、趣味の世界とはいえ、日々刃付けに勤しんでいる人たちもいる。(最近ではプロの板前さんが包丁を作らせたりもしているようで、マグロを断ち切るにはもってこいという話もあるようだ)
実はこの刃物も、そうした人による製作になるもの。

Sさんという趣味で木工をされている人だが、もっぱら今は刃物造りに専念している。これも好意で頂いちゃったお宝だ。

とても長切れするのでこれまで研いでいなかったが、いよいよ研ぎがねばならないと思うのだが果たして上手く研げるだろうか。
もちろんダイヤモンドの砥石でないと刃は付かない。

■ 参照:カスタムナイフ用粉末刃物鋼 ZDP189について

強烈な作家志向を見る(小島伸吾さんの講演)

今日は家具作家・小島伸吾さんの講演が静岡市内で開催され、参加させていただいた。
ボクがこの仕事を始める以前から既に著名な家具作家として知られていた人だが、直にお話しを聞くのは初めてだ。
強い家具作家志向を見せ、強烈な印象を与えてくれる講演だったように思う。
これはボクにとっては決して想定外なものではなく、そうした意味では作品と作家が見事に一致した類い希な人物と言うことが言えるのかも知れない。
講演内容は、むしろあまりにも素っ裸に自己を晒し、小島伸吾という創作の源がいずこに存在するのかをあからさまに表白してくれたものだった。
自信にあふれ、周りが何と言おうと我が道を行く。事実、現代の木工家具界において常に先端に位置してきた人物である。
誰一人として歩んでいない道を切り拓き、頂点へ、頂点へと自らを押し上げていく姿は独壇場。
端々にこうしたところに記述するのを憚るような言葉を放ち、来場者を煙に巻くのだが、決して受けねらいで言っているのではなく、自身が普段考え、使っている言葉がそのまま、包み隠さず放たれてしまう。
そうした危ういものをも抱えた人物ならではの独特の魅力が、また彼が造る家具へと見事に投影されているのだろう。
様々な工芸美術品に魅入られ、クルマに魅入られ、女に魅入られ、美酒・美食を追い求め、それらを獲得するためにも、強烈な作家意識を堅持し、作品を生み出す。
会場は若い人も多かったが、彼の毒気に晒され、どのような感想を抱いたのであろう。彼ら自身がおかれている家具制作の現場での葛藤、若さ故の過剰な自信、そしてそれとは裏腹な不安。こうした様々なことを抱えた人への強烈な作家思考のシャワーはどのように作用したのかは知りたいものだ。
ボクが知っているプロの家具職人で彼の造形をマネる人は2ケタにもわたるだろう。弟子と言われる人は勿論、多くの影響を受けた人々は彼が造り上げてきた造形を追いかける。
しかし本人が語っていたように、誰一人として彼を乗り越えられる人はいない。それには彼自身不満でもあるだろうし、あるいはまた楽しんでいるのかも知れない。
(この講演会の主催者が用意したレジュメに記されたプロフィールが小島さんのものではなく、何を取り違えたのか、弟子のひとりのプロフィールが間違って印刷されていたことにも、作風の似ぐあいというものが推し量れる、ご愛敬ではあった)
ちょっと印象めいたことばかり記述してしまったが、造形の独自性、家具作家としての生き方など教えられ、あらためて小島伸吾という人物の作家性というものを目近に確認できたことは感謝したいと思う。
還暦を迎えたという小島さんだが、まだまだ活きの良い家具作家と見させていただいた。
今後どのような活躍をされるかは後塵を拝する我々にとっても1つの指標になるものであれば、ぜひ大きな夢を見せて貰いたい。
画像は会場内に持ち込まれた完成したばかりの漆卓を前に解説する小島さん。
小島伸吾氏

「第79回アカデミー賞」とiPhone

ロスでは「第79回アカデミー賞」授賞式がありましたね。
日本関連では作品賞にノミネートされた「硫黄島からの手紙」、助演女優賞にノミネートされた菊地凛子 (「 バベル」)さんでしたが、残念ですがいずれも逃しちゃった。
ところでAppleねた。
「第79回アカデミー賞」のABCからの生中継にApple社「iPhone」のTV CMが流れたようです。
アカデミー賞に合わせたバージョンですね。
過去の様々な受賞作品から、電話を受けた時の「Hello」部分のカットを集めた30秒CM。
最後の数秒間で「iPhone」が現れ、Hello… Coming in Juneとエンドクレジットされている。
ここに使われたカットがどの映画の1シーンなのか、半分以上記憶にある人はかなりのハリウッド通だろうね。
ボクに分かるのは……、1/3ぐらいかな。
それぞれのシーンで使われている電話機に見覚えのある人は、電話機 通、いや熟年さんですね。電話機の歴史を垣間見る感じだ。
当然CMのねらいとしては、電話機の歴史的発展のたどり着く先が「iPhone」ということなのだろうね。フム。
ところでこうした著作権に関わることをApple社が可能としたのは、iTS(iTunes Store)において映像制作各社との映像配信契約が成ったからに他ならないが、こうしたCMはApple社の支配力というものを鮮明に見せつけられる感じだね。
なおMacが登場したのは1984年ですが、起動すると最初に現れたのが「hello」の文字と「Hello I am Macintosh」という声でした。
MacフリークにはこのCMもまたたまらない魅力なのでしょうね。
ではどうぞお楽しみください。 Apple 社 〈iPhone〉
Apple社、米国サイトではTopページにこのTV CMが流れている。
*参照頁
iPhoneという衝撃

ハンドベルから届けられた週末の豊かな時間

ハンドベル
隣町の藤枝市内でイングリッシュハンドベルのコンサートがあり、これには知人(顧客)が深く関わっていることもあり楽しませていただいた。
TVからの映像では見知っていたものの、ボクはハンドベルの生演奏ははじめて。
演奏者は大野由貴子さん率いる“華音”のメンバー

“華音”:富士市本妙寺柏酒住職によるハンドベルグループ

音色は金属楽器からのものとは思えぬとても柔らかなもので、濁りのないクリアなサウンドという印象だった。
恐らくは周波数特性を取れば、倍音などの混ざらない、きれいなカーブが描かれるのではないだろうか。
プログラムは賛美歌もあったが、比較的なじみ深いものが多く、未体験の聴衆を考えてのもののように感じた。
想像できるかと思うが、ベル1つに音階は1つしか与えられないので、音域の数だけベルの数が必要となる。
メンバーの数にもよるが、持てるベルの数は限られ(一般には両手で2本。ベテランとなると3本、4本と持つようだが)、ある幅の音階を1人が担い、メロディーに合わせ、持ち替えて鳴らしていく。
これがなかなか大変だ。
プログラムの中に、指導者の女性が1人で演奏する曲があったが、そのベル捌きは見事なものだった。
しかしやはり全員揃ってのアンサンブルは呼吸を合わせての演奏が必須であるので、そのコンビネーションを見るだけでも、見応えがあった。
画像はいつもバッグに偲ばせてあるコンパクトデジカメのもので、こうした会場では当然にもストロボなどガイドナンバーが小さすぎ使い物にならないので、フラッシュ無し、三脚無し、手持ち撮影という離れ業であったが、ISO感度1,600で何とか無理に撮影されたものだ。ノイズの中にかろうじて浮かび上がる感じだね …>_<… ○▽さん、許してくださいね。 同会場での次回のプログラムは2月後、アルパと二胡の演奏があるというので時間があれば参加させていただこうと思う。(アルパの音色は好きですので) 「華音」の皆さん、ありがとうございました。 画像右から2人目がリーダーの大野由貴子さん。隣が本妙寺住職柏酒孝鏡さん。 ■ 次回予定  4/28(土)二胡・アルパ・エレクトーン共演 ■ 『天使のハーモニー イングリッシュハンドベルの魅力』

木工家具制作におけるサンディング (その4)

サンディングバナー
様々なサンディング工程
今回で本件4回目のエントリになるのだが、都合2回ばかり隘路に入ってしまった感がある。本筋に戻さねばいけないのだが…。
しかしもう少しだけ脇道を進んでいくことをおゆるしいただきたい。
サンディング工程を家具制作工程のどの段階に入れるべきかという話をしてみたい。
言うまでもなく、部品の加工工程が終わり、組み上げる手前の段階でサンディングするというのが一般的な考え方だろう。
当然そのようにすべきだろうと思う。
実はこの当たり前の考え方が必ずしも守れない、という事情もあると思われるので少しばかり記述させていただきたい。
ではまずサンディング工程というものを前後の工程から整序してみる。
(ここではあくまでも素地調整としてのそれを指す)

  1. 部品の機械加工
  2. 部品の手加工
  3. 部品の仕上げ削り(超仕上鉋盤 → 手鉋仕上げ、など)
  4. 機械サンダーでは掛けることの出来ない部位の手作業(およびポータブルサンダー)によるサンディング
  5. 機械サンダー(3点ベルトサンダーなど)
  6. 組み上げ
  7. 補助的サンディング工程
  8. 塗装

ということになるだろう。
これは当然だが、サンディングを素地調整としてのものと限定したプロセスの一例である。
つまりこれはあくまでも原則的なプロセスだが、原則は原則として堅持すべきだろう。しかし時としてこれに準じることのできないこともあり得る。
どういうことかと言えば、よく考えられることとして組み上がったものをあらためてサンディングしなければならない状況に迫られる、ということが往々にしてあるのだ。
例えば設計通りに組み上がらずに、手直しが必要になってしまう。
これは当然組み立てを中断して修正をしなければならないから例外と言えるだろう。
普段に良くあるケースとして、ほぞなどに施したボンドが組み上げる過程で外にはみ出してしまう、ということがある。
また同じボンドの処理の問題として、組み上げ過程で、ボンドを拭き取るための洗浄処置での水洗いによりサンディングした範囲の素地が荒れてしまう、と言ったことも同様に起きうる事例だろう。
当然、これらを放置したままでは、塗装へと進めるわけにはいかない。無理にやれば塗料は適切に付着せずに正常な部位とは異なりムラになって表れる。
これを修正するための局所的なサンディングは当然手作業になるだろうが、これは機械でのサンディングとは違い、かなりテクスチャーの異なるものとならざるを得ず、正しい素地調整では無くなってしまうリスクは高いものだ。
したがってあくまでも組み上げ前のサンディングを最後に、その後は一切サンディングなど必要のない工程を踏むべき、という考え方は理解していただけるだろう。
いじくればいじくるだけ、せっかくの素地調整の品質は侵されおかしくなってしまうものだ。
高精度の機械サンディングの後は一切触らない、というのが正しく、美しい手法と考えるべきだろう。
関連して、こうしたプロセスを正しく進めるためのいくつかのポイントを上げてみよう。かなり細かな話になって恐縮だが、プロの職人としての考え方に触れるのも悪くはないだろう。

  • ほぞ穴へのボンドの塗布は必要にして十分な量を適切に施すこと。
    未熟な職人は意外にこの段階で不適切な塗布をすることが多いものだ。
    (ホゾ穴へのボンド塗布が不十分で局所的なもので諒とされてしまう)
  • 一方、ほぞのオスの方だが、こちらへは決して余分な量のボンドは塗布すべきではない。それらのほとんどは接合部からはみ出してしまうだけだ。(→ 水洗い → 再サンディングが必要となる)
    例えば胴付き部分にボンドを塗布するのはその面積にもよるが、ほぞを打ち込んでボンドがはみ出るような過剰な塗布量は避けるべきだろう。
    胴付き部分への塗布は最低限に止め、ほぞ部分に塗布したボンドがほぞを打ち込む過程で胴付き部分にも廻っていくことで十分だろう。
    これは一般に竹ヘラで行うことが多いと思うが、先端の細い腰のある筆などを併用することで簡単に対応できるだろう。
    うちではほぞのほとんどは四方胴付きを基本としているが、これはもちろん剛性を考えてのことだし、また仕上げ削りでほぞの寸法に影響を与えない、と言った大きな効用を考えてのことであるが、このボンドの塗布でのはみ出しを避けるという意味からもその効用は大きなものがある。
  • しかしまた組み上げの工程でボンドがはみ出してしまう、ということは避けられないことだ。
    そこで水洗いであるが、できるだけ熱めの温水を用意し、はみ出した部分のみを局所的に拭き上げることが肝要だろう。余分なところへは決して水分を与えてはならない。
    そのためには塗装用などで市販されているステンレスのヘラなどの先端をさらに細く加工し、これを用いウエスを巻き付けてできるだけ局所へとアプローチできるようにしよう。
  • なおサンドペーパーの番手に関してだが、機械のサンダーでの番手と、手作業のサンディングでの番手は同じに仕上がるとは考えるべきではないだろう。
    手作業の方は1段階番手を上げねば同様の仕上げにはならない。
    例えば機械でのサンディングが#240を用いたとすれば、その後の修正の手作業のサンディングは#320を用いる、と言ったように。

また組み立てる過程で玄翁での打ち込みにより傷が付く、あるいは端金などの圧締による凹み痕が残ってしまう、ということもしばしば起きる。
これらは濡れたウエスをあてがいながら熱したアイロンで戻す、ということで対処するが、この時にも湿潤な蒸気でサンディングが戻ってしまうということになり修正が必要となる。
この際にも濡れたウエスは極力対象箇所に必要量のみを当てるという注意も必要になってくるだろう。
濡れたウエスをぶらぶらさせながらそこらじゅうを濡らしてしまうということも、経験が浅い職人の緊張した組み上げ過程では注意散漫になり起きうるものではないだろうか。
今回はサンディング作業に関わる周囲の事柄についての記述に終止してしまったし、しかも重箱の隅を突く感があるね。
こんな記述内容では読者も引いてしまうだろうね。
しかしこうしたことも実はプロとしての自覚的作業においては求められる多くのことの中での1つなのだ。
また、なかなか本論が進まないという状況ではあるが、端(はな)から体系的な記述などできまいと考えているのでご容赦を。
Blog記述の“勢い”ということで……。
今日も終業のベルが鳴っているのでここで終わりにする。

What’s DOMINO ? (FESTOOLから新機種リリース)

DOMINO

FESTOOLのルーターについては先に紹介した通りで快適に使っているが、今日関連パーツを調べるために米国公式サイトに行ったら、何かすごい新製品を見ちゃった。
* DF500Q DOMINO JOINTER

数日前(07/02/19)発表されたNewsなので、国内ではまだ知られていないかも。(Googleすると海外のサイトではたくさんヒットするも、国内では皆無。日本の代理店でも音無)

ボクはこうした海外の電動工具には詳しくはないのだが、恐らくは業界初の機種なのではと思うよ。

ボクが稚拙な解説をくどくどするより百聞は一見にしかずということで、まずは動作の様子のビデオを見ていただこう。
WMP
Quick Time

欧州のサイトにはアニメでの紹介もあったよ。
上から2番目

他にもフラッシュ、pdf、動画などでの詳細な取説、仕様書もあるね
ま、要するにほぞ穴を穿つための電動工具だ。

既にビスケットジョイナーという機種は古くからあるし、多くの方が使っていると思われるから、ほぼそのシステムはよく知られたところだと思う。

しかしこのDOMINOという機種は、カッターを水平方向に前後させて、円弧状に穿つ、というものではなく、ある任意の幅と深さまで水平に穿っていくという、ちょっと驚きの機構を有する道具というところに新しさがあると言える。

ご存じの方もいらっしゃると思うが、欧米の木工機械にはホリゾンタルボーリングマシーンというものがあり、ミルの刃を付けて、両端が半円状(ミルの回転刃による)で一定の幅のホゾ穴を穿つものがあるが、目的とするところは似ているかな。

ただユニークなのは、回転刃の刃先が左右に首を振りながら掘っていくという斬新な機構を開発し、これをコンパクトな工具として設計、製造させたところは見事と言って良いだろう。

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天使のハーモニー イングリッシュハンドベルの魅力(お知らせ)

突然ですが、明24日、静岡県藤枝市のヤギモク「住工房」というところで、知人の本妙寺住職・柏酒孝鏡さんが率いるハンドベル演奏者らのコンサートが開かれます。
こぞって参加ください。
この本妙寺は富士市の名刹ですが、ここの庫裡にはボクが手掛けたいくつかの家具が納めてあり、昨年刊行された雑誌『週末工房 Vol.5』の取材で協力いただいたところです。
普段からお寺を会場にハンドベルの演奏の練習と、コンサート活動を精力的に行っています。
なお、今回は新たに工房 悠制作による「ミュージックスタンド」(譜面台)を使っていただくことにもなりましたので、この方面でのご興味のある方もぜひご覧になってください。
■ 『天使のハーモニー イングリッシュハンドベルの魅力』
■ 場所:ヤギモク「住工房」
  静岡県藤枝市小石川町4-2-1
■ 2月24日(土)19:00?
■ 出演: 大野由貴子with華音(かのん)
■ 曲目: もろびとこぞりて、アメージンググレイス、虹の彼方に、他
■ 問合せ:0120-982-401 住工房
住工房Webサイト