工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

寒中見舞い

椿寒いですね。
いえそんなことはないはず。例年だとインフルエンザが蔓延し学級閉鎖が相次ぐ季節のはずなのにそんな話はどこからも聞こえてこない。聞こえてくるのは西から鳥インフルエンザの話ばかり。
やはり暖かい冬なのだね。暖冬で困るのはスキー場だけではないだろう。農業への影響を初め、様々な第1次産品への影響は少なくないと思う。
ブッシュさんさえ23日に出した予算教書にも地球温暖化の影響に触れざるを得ない状況を呈している。これを受けてダボス会議でもこのテーマの論議が熱を帯びているとのこと。
ま、この暖かさが直接的に地球温暖化に影響を受けていることによるものなのかどうかは次元の異なる話ではあるだろうが……。
暑さにも寒さにも弱いartisan。コンクリートの床の機械場では凍えている。
でも思い出すのは真冬の信州の工場では機械の定盤が冷え付いていて手で触れるとくっついてしまうことさえあったことだ。
板は板で、重ねて一晩放置しておくと下手すりゃそれらが凍り付いてくっついてしまうこともあったね。
こんな時季に鉋の刃の裏出しなどしようものなら割れてしまうのがオチ。(あの頃はただ未熟なせいでやっちまっただけかな?)
日本で1番暖かいと思われる静岡の地ではヒトは駄目になります。
やはり季節にはメリハリがなきゃいけません。
ボクの顔がおもしろみのない平板なのも、作風が凡庸なのも、してみれば静岡という風土にその責を負わせることが出来るかも知れない(というのはウソ)。
画像は工場裏の大きな椿の樹から手折って来た寒椿(藪椿)

落ざまに 水こぼしけり 花椿    松尾芭蕉

椿を活けるのはラクじゃない。葉と花の向きがばらんばらん。自然界にはめずらしく統制が取れていない、というのは少し言い過ぎか。
花は朽ちる前にボトリと音を立てて落下する。上の句もそんな歌だ。
でも好きな花だね。
・花器:ハービー・ヤング(木工家デニス・ヤングさんの兄上で益子の陶芸家)
・敷物:「テキスタイル真木」さんのタッサーシルク

TV番組、ちょっとおかしくない?

納豆関連エントリーはもうしない積もりだった。
捏造がバレる前のものではあったが、先の記事で基本的問題については言い尽くされていると考えるからだ。
ただ別件のTVメディアをめぐる新たな問題が惹起しているので、もう1度だけ簡単に触れておきたい。
先週末、いつものように買い出しに出た中堅のスーパーの棚には2週続きで納豆は空っぽ。
帰宅してネットからの情報で捏造を知った。
納豆ダイエットを信じて買いに走った人たち、増産に追われたメーカーの人たち、そしてボクのように長年納豆を食べ続け、この騒動でその食習慣を破られてしまった愛好家、などの人たちには気の毒だったが、ボクはさほど驚きはしなかった。
確かに全国の納豆コーナーが空っぽ、というのは異様な光景だが、TV局の番組など、所詮その程度の信頼性しか無いと普段から考えていたからね。
昨夜の「あるある大事典」放送では番組そのものは休止され、謝罪の挨拶があったのだが、前日土曜日の捏造発覚を機に、販売店からメーカーへキャンセルが相次ぎ、これらのメーカーは不二家のように賞味期限を偽るわけにもいかず、売れる当てもない在庫を抱えて怒っているとのことだ。
二重にも三重にもTV局の責任は重大だ。
ボクは驚きはしなかった、と言ったが、あまり正しい表現では無く半分だけの事実。
どういう事かと言えば、TV局の捏造には驚きはしなかった(驚かない自身については、確かにそれ自体問題だという自覚はあるし、麻痺しちゃってると思う)のだが、一方視聴者がこれほどまでにスーパーに押しかけて納豆を買い漁るというこ事態はちょっと想定外なことだった。
確かにこれには驚ろかされたね。
恐らく事前に情報を得て増産体制を敷いていたメーカーも、これほどまでにヒートアップするとは考えなかったのではないのだろうか。
しかしこれほどまでに多くの人々がTV局の番組へ信頼を託していたんだね。
これは冗談抜きに、ちょっと怖い話だ。

More »

ルーシー・リー展 ─ 器に見るモダニズム ─ (観覧記)

エントランス

ルーシー1陶芸の1つの極北にあるのではと強く魅入られてしまっている器群に再会することができた。

ウィーンで生まれ、ナチスに追われ36歳の時にイギリスへと渡り、80歳代まで生涯陶芸の道で生を燃焼し尽くしたルーシー・リー(LUCIE RIE)の作品群。

2003年、ニューオータニ美術館で開催された「ルーシー・リー展  ─ 静寂の美へ ─」で感銘を受けて以来4年ぶりの再会。

タイトルこそ「ルーシー・リー展 ─ 器に見るモダニズム ─」と変わっており、またややボリュームにおいて縮小されているものの、展示作品はボクにとっては初見のものを含め展開され、また同じくドイツからの亡命者であり、アシスタントとして陶芸活動を供にしたハンス・コパーの作品も数点展示され、あらためてその多様な作風の陶器を身近に触れることが出来たのは幸せであった。

陶芸については全く門外漢の素人なので適切な批評などできようも無いわけだが、日本人のボクが強く惹かれるのにはいくつかの理由があり、それを辿ればこのエントリーも少しは客観性を帯びるかも知れない。

More »

早春の香しさ vs 明日は大寒、そしてold Mac

水仙工房脇の庭にふと目をやると水仙が開花している。まだ花盛りとまでは行かないが、この時季の花はありがたくさっそく玄関先の花器に生ける。
わずか数本の茎を手折っただけなのだけれど、その早春の芳香は部屋中に拡がり鼻腔をくすぐる。
明日は大寒で最も寒い時季だが、春の兆しを探しながら今暫く耐えていこう。
昨夕はJRの駅にして6つほど先で工房を構える独立前に世話になった親方のところにMacのサポートに出掛けた。
ボクとは一回りも年上の70過ぎの現役職人だが、5年ほど前からのMacユーザー。
ボクが導入に関わった訳ではない。彼の顧客であった大学講師のお古のiMacを譲り受けたものを使っていた。
これがほとほと具合が悪くなったので「どうすれば良いかねぇ〜」と話を向けられていた。
初期のiMacでMac OSXを動作させ、ゲーム、グラフィック、3D CADなどを楽しんでいたらしい。
水仙2ただしかしMacの基本的操作などほとんど無視しての無手勝流なので、屡々フリーズ、ダウンを繰り返していたとのこと。
メモリー増強、周辺機器の増設など、かなり資金投下していたようだが、初期のiMacで OSX を搭載し、しかもかなり重いソフトを動作させようというのがそもそも無理がある。
これ以上に金を掛けるならまず本体の更新を考えた方が〜、と水を向けて、手頃なものをネットで探し出してやった。

More »

納豆流通の異変

拙宅では週末にほぼ1週間分の食料品を買い求めるのが日課。
野菜、果物、魚、肉、乾物、そしてもちろん欠かさないのは豆腐と納豆。(^^)
それが先週末に異変 !
行き付けのスーパーの納豆コーナーが空っぽ ??
悪い冗談だろ。
不二家のお菓子コーナーが空なのは判るとしても納豆がどうして ??
メーカー関係なく売り切れ、いや入荷無し、なんだって。
なんじゃい、こりゃ。
家人は即座に答えてくれた。TV番組の影響なのだとか。
「あるある大事典」とかいう番組で「ダイエット効果あり」という企画で納豆が取り上げられたのだそうだ。
それがこの結果。
20年ほど前からボクは植物蛋白を主体に栄養摂取するように心掛けている。
とりわけ、豆類は好物。良質なタンパク質だね。五目豆などは得意な調理(あんなもの、技など不要か 汗)。時には鶏の手羽先などを混ぜ入れて変化を出す。(八角があればなお良いね、何?そんな話はどうでも良い)
さて問題の納豆。発酵食品でもある納豆は毎昼食の食卓に上がる食品として欠かせないものだった。あまりにもありふれた食品で食膳から無くなるなどと言うことは想定外なことだょ。ありえな〜い。シンジラレナ〜イ。
TVはほとんど観ないので、どのような番組かは知らないし、納豆がどのような取り上げ方をされたのかも知らない。
結果、納豆の消費が伸びて、納豆業界が潤うのも悪くはないだろうし、肉食主体になってきている日本の食卓も本来の日本人の体質にあった食へと少し揺り戻しが来るのも良いことだろう。
喜ばしいことだ。
毎日のように食しているボクらの下へ届けられないという流通の在り方にはいささか不満が募るが、どうせ一過性のものだからさして怒りがあるわけではない。
しかし一方、今回のようにTV報道に右往左往させられる消費者の思考スタイルには大いなる疑念を呈じて差しあげねばなるまい。

More »

イタリア・チェコッティ社

チェコッティ社イタリアのチェコッティ社の上質な家具はご存じの方も多いはず。
ボクが10数年前に東京青山のショールームで見掛けた時は軽い衝撃を受けたものだ。
最もよく知られた「テドス・テニードス」という2人掛けチェアだった。
それからというものは頭の片隅に残ってはいたのだろう、時折インテリア雑誌に取り上げられているのを眺めるぐらいで、その後の展開に注目するまでには至らなかった。
この度上京した折に偶然ではあったが銀座和光のショールームで再会した。
かつての頭の片隅にあったものとはそのフォルムは変わらないものの、材種、仕上げに新たなイメージを醸し、より洗練されてボクの前に再登場した。
それらはイタリアの、あるいはガウディーを彷彿とさせるカタロニア文化の復古調的な様式に踏まえながらも、新しい造形フォルムに磨きがかけられ、より魅惑的なものを感じさせてくれたのだが、その中にちょっとユニークなものを発見。
「Timeless Credenza」と名付けられたいわゆるサイドボードだ。
サイトではこれ、およびこれ
実際見た感じではサイト画像の女性の後ろにあるボードの色調が現物にかなり近いと思われるのだが、イタリアンウォールナットを用いているとはいうものの、かなり色調が明るい。女性店員に説明を請うまではその材種を計りかねたものだ。
ご存じのようにアメリカンウォールナットとは異なりヨーロッパのウォールナットは概して色調は明るいことはボクも知っていた。しかしこのサイドボードの色調はそうしたものとは明らかに異質。
さらに店員に尋ねるとやはりブリーチングしてあるのだという。
ウォールナットの元々備わっている魅惑的な色調をあえてブリーチングすることで、カジュアルで軽快なものに化け、パステル調の色調はこれはこれでなかなか気品のあるものではあった。
ブリーチングという塗装プロセスは一般に複数の材を使うことでの色調のバラツキを調整するものであるが、これはあえて元の色調からカジュアルな色調に化けさせる操作であり、おもしろい試みだと思われる。
同様に色調をコントロールさせる手法として、アンモニアでいぶすという手法などもあるが、いわば薬品着色とも異なる、このブリーチングという手法もなかなか多様でおもしろい。
なおceccotti社のショールームは目黒にあるというのでいずれ訪ねてみたいと思う。(詳細はサイトからどうぞ)
いただいた案内によれば「ご予約により案内いたしております…」という但し書きがあるので、少し敷居が高いかも(慣れないネクタイを締めて、靴を良く磨いて…? 苦笑)。
* ceccotti社 Webサイト
Top画像は頂いたカードからのもの

iPhoneという衝撃

iPhone現行機種と較べとても見劣りのするボクの携帯電話はあと1年なんとか持たせよう……。
噂は本当だった。いや、Apple関連のアナリスト、ウォッチャーなどの期待、想定を越えた実に革新的なデバイスが発表された。
Macworld San Francisco 2007 において「iPhone」が発表されたのだ。
国内の一般のニュースでも、本日夕刊各紙でもかなり大きな扱いで取り上げているので既に多くの人が眼にしているはずだ。
何が革新的かって?全てにおいて、と言っては言い過ぎだろうか。いやそんなことはない。既成の概念を取り払った、全く新しいデジタルデバイスとして登場したんだもの。
写真、あるいは動画でご覧になった人も多いと思うが、この iPhone、電話機なのにボタンがったた1つしかない ??。
この小さなスマートフォンに搭載されるのは、電話機能、iPod(音楽、ビデオ)、Webブラウズ・Safari、デスクトップパソコン並のEメール、検索可能+そのまま電話機能・Google地図、2メガピクセルのカメラ、そしていくつかのミニ・アプリケーションの「Widgets」等々。
これらが 3.5インチ ワイドスクリーンディスプレイ上をタッチコントロールで楽しむことができるというもの(「指を使ってマウス以来最も革命的なユーザインターフェイスを実現します」Apple、CEO スティーブ・ジョブズ)。
また全てのデータはPC、Macと自動的に同期可能。
これらを司るのは Mac OS X 。
大きさ、重さは現行の iPodとほぼ同じ。
モバイルにおいて求められる全ての機能がコンパクトに、洗練されて、指1本で快適に操作できる携帯電話。
そして何よりもデザインがすばらしい。これがAppleなのだよ、という見本のようなもの。

More »

カール・マルムステン校からの春風

PAUS
須藤生さんの個展がOZONEにて開催中。
ネット上という制約下ではあったが以前より知己の若き木工家具を学ぶ学徒の国内でのメジャーデビューとあり、表敬訪問に上京。
口開けは4日であり、この日はレセプションパーティーもあったようなのだが、納品のスケジュール調整が付かず、数日遅れの訪問となった。
C/Mの学徒としての習作、卒業制作などをスウェーデンより運び込んで日本での初お披露目という展示会であったが、力作揃いであるのはもちろん、やはり何よりもC/Mの洗練された精緻で高品質な木工家具ワールドを表現してくれていて、とても好感が持て、こちらもつい頬が緩んでしまうほどのものであった。
都心のこのビルの外は異常な気象状態で大荒れの天候であったが、会場にはストックホルムからの一陣の春風が吹いているような暖かな雰囲気でくるまれていた。

More »

銘酒との出会い(出羽桜)

酒
冬はやはり日本酒。在住の静岡という地域には美酒を造る多くの蔵元があり、普段は地元の酒を楽しむことが多い。いわゆる地酒という奴だね。
酒は米、酵母、水、杜氏の4つで決まると考えて良いだろうが、地元のいくつかの銘柄はこれらの条件を満たして余りある美酒を醸す。
近年、品評会でも上位入賞を果たしていることはつとに知られていること。
しかしたまには浮気もする。今回求めたのは【出羽桜】という蔵元の〈純米吟醸酒「出羽燦々誕生祈念」無濾過生原酒〉という銘のもの。いきつけの酒屋でたまたま見掛けたものだ。
純米吟醸で、かつ〈無濾過生原酒〉ということなので、お正月用にと期待を持って買い求めたわけだが、しかしこれほどまでに芳醇で繊細な味わいを与えてくれるものとは思わなかった。ちょっと衝撃的な出会いだった。
最近古酒というワインの貯蔵法を真似た日本酒が話題に上がることが多いが、やはり搾りたて新酒ならではの香り豊かで華やかな味わいだ。
酒屋で見掛けたら、ぜひ試飲させてもらおう。(この無濾過生原酒は時季限定だろうけれど…)
ネットで検索すれば取り寄せも可能だろう。
「生酒ですので、お早めにお召し上がりください。」
とあるので、一気にいってしまいたいところだが、貧乏性のボクは冷蔵保存しながらちびちびいくことになるだろう。

出羽桜〈純米吟醸酒「出羽燦々誕生祈念」無濾過生原酒〉
        全て山形オリジナルづくし
【使用米】出羽燦々100%、精米歩合50%
【こうじ菌】オリーゼ山形
【酵母】山形酵母
【アルコール分】17度以上18度未満
【原材料名】米・米こうじ

とっくりとお猪口は滋賀の立石善規さんのもの。(元気にしているかな?)
小皿は小川幸彦作。
出羽桜酒造株式会社
屠蘇気分のエントリーばかりだが、実はうちは3日から始動してるんですよ。普段は松が明けるまでうとうとしてるんですが、今年は年末に在庫品の大物の買い上げがあり、4日に納品という職人の正月とも思えない慌ただしい日を送っているのですがね。
次は真っ当に仕事の話でもせねば…。
明日は小寒。鍋に日本酒で暖まろう

新年のMacねた

今日は少し屠蘇気分でMacねたを。
MacはOS 9.▽▽の頃までは、1月1日の日は起動は密かな楽しみがあった。「A Happy New Year ! 」というメッセージがHappy Macのアイコンと共に出て、いつになく華やいだ気分になれたものだったが、OS X になってからというもの、そうした楽しみは無くなってしまっていた。
Winのようにあまりビジネスライクにはなって貰いたくないですな。
さてApple社は例年1月に「Macworld Conference & Expo/San Francisco」という年間でも最大のイベントが開催され、そこでハード、ソフトのの新機種、更新の発表がされる。今年は9日からだ。
関連のサイトでは様々な噂が飛び交っているようだが、大いに期待できるのではないかと思う。
Appleサイト
その根拠は米国Apple ComputerのWebsiteのトップページに「The first 30 years were just the beginning. Welcome to 2007.」(最初の30年は始まりに過ぎない。2007年にようこそ。)というメッセージが掲載されていることからだ。
何かが新たに始まる気配がするよね。

More »