工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

CLARO天板鉋掛けの妙

CLARO鉋掛け
台風通過中ですね。皆さまのところでは被害がありませんように \(__ )
こんな湿潤な環境なのに、天板削ってるんです。
展示会まで時間があまり無い。削っているのは クラロウォールナットという米国材。この樹種はとても安定していて比較的環境から影響を受けにくい。
荒木で幅が1,250mm(この原木はつまりは太さが1.3mを越えるものだったということだよね)、長さ1,500mmのもので厚みは60mm。これをポータブル電動鉋→手鉋で平滑性を出し、仕上げていく。1,250mmという幅であるにもかかわらず、歩留まりは良く50mm以上には仕上がってくれた。
この地域では900mm幅までのものであれば削ってもらえるプレナー屋がある。(バーチカルではなく普通の自動一面鉋盤)
この範囲内であれば、片面の基準面を出し(平滑性を出す)、持ち込めば綺麗に削って貰える。後は手鉋で仕上げればよい。
しかしこれを越えるとなると両面ともえっちらおっちら、定規で平滑性を精査しながらポータブル電動鉋と手鉋で基準面と反対側での厚み決めをするしかない。
でも何故かあまり苦ではない。にやけた顔をしながらパワフルに削り作業に専念する。

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木彫アクセサリー 上條宣子個展

上條さん
             ピーピッピッ  桑
知人の木彫アクセサリー作家、上條宣子さんの個展のご案内です。
このジャンルでは日本を代表する上條さんですが、アイディアとユーモアにあふれた作品には、木への慈しみと、枯渇することのない想像力を強く感じさせ、いつも圧倒されます。
木彫に興味にある人も、そうでないアクセサリー好きなだけの人もみんな虜にしちゃいます。
どうやって造ったのか“不思木”な世界なんだな。
【 木彫アクセサリー 上條宣子個展 】
会期:2006 10,13 FRI ─ 18 WED
会場:銀座 陶悦
    東京都中央区銀座2-6-5 越後屋ビル2階 Tel:03 3561 0790
         *画像 クリックで拡大

らくちん胡桃(クルミ)の板

座繰り
無垢の座を持つ椅子の加工工程で最も疲れるのが座繰りであることは言うまでもないことだが、あらためてこの工程で材種による鉋掛けでの難易度の大きな違いを知らされる。
うちでは様々な材種で木工家具を製作している。
椅子においてもこれは同様だ。硬いものからリストすれば‥‥、
みずめ樺を筆頭に、真樺、みず楢、ブラックウォールナット、たも、胡桃、などと言ったところか。
胡桃は最も鉋掛けが容易な材種。サクサクと削れる。
作業量、疲労度を考えれば、みずめ樺と比較して 1/3 〜 1/4 ほどか。
そんなに ??と思われる向きもあるだろうが、そんなに違うものなのだ。
胡桃を用いたのは椅子という人体を支える家具として要求される堅牢性が、靱性が比較的高いことで条件を満たすという性質からのものであることも1つの要因だが、やはり加工において生産性が高い(加工が容易)ということも重要なファクターであることは言うまでもない。
つまりそれだけより廉価で供給できる。
材木価格も他の堅木と較べても安いし、それ以上に仕上げ切削などでの作業性の高さ(生産性の高さ)が設定価格低減に寄与しているということだね。
ここ2週間ほど何故か右上腕に痛みがきていた(五十肩だって?)。ありがたいことにそのような体調ではあったが今回の材種が胡桃であったのでこの座繰りの工程は無事済ますことができた。
ま、明日は腕が腫れ上がっているだろうとは思うが、構わず仕事をすればそのうち痛みも忘れるだろう。
今日は1日ぐずついた天気であったが、10月を迎え爽やかな大気の中で木工ができるのはありがたいことだ。秋に感謝しよう。
(画像はスローシャッターでの撮影だったが、スロー過ぎて手の中の小鉋[四方反り台鉋]が見えない 苦笑)

雑誌掲載と広告

今日、雑誌社から電話が入る。
「『○○グラフ』という全国誌の△□です。静岡、島田の企業の方々からご紹介受けたのですが、取材させていただき紙面を作りたいと思うのですがどうでしょうか?」と関西なまりの営業マン的アプローチだ。
「有名な俳優の■■さんと同行し、その方のインタビューを受ける、という内容になります」と続いた。
うちには決して多いと言うほどでもないが、メディアからのこうした依頼が飛び込むことがある。
多くの場合、断ることになる。
これは掲載とは言っても取材される側が掲載費用を支払って紙面構成するというものだからだ。
つまりこうした電話アプローチのメディアはいわゆるジャーナリズムなどではなく、出版業務をしているとはいうものの広告業というわけだね。
雑誌掲載に応じるということは、一般に取材費用は取材される側が頂戴する、ということなのでは?(これまでの経験では決して多額ではないけれどいくばくかの謝礼をいただいている)
今回は電話の応対をしながらMacを起動させ、ブラウジングし対象サイトをググって、このメディアのサイトを探しその実態を調べることも出来たので、速攻で断ることになった。
広告業なのではないかと問いただせば、「取材費用は頂きます‥‥」と、潔く明かしてくれた。

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秋の個展のお知らせです。

下記要項にて個展を開きます。
お近くの方、ご興味のある方、来訪をお待ちします。
【杉山裕次郎 木工家具展】
会 場:ギャラリー 一会
    Phone:0564-51-3193
    愛知県岡崎市向山町1- 9  

会 期:10月22日(日)〜10月29日(日)
    11am〜6pm
在廊日:22日、28日、29日、
同ギャラリーでの一昨年以来2度目の開催です。
ギャラリー オーナー小野さんは地元企業に勤務しながら様々な骨董、浮世絵などのコレクションを通してアートに関わり、ついには在来工法にこだわる棟梁との出会いから、自宅、ギャラリーを建造し、こつこつ吟味収集された建材で数寄屋の本格的茶室まで造り上げています。
またこれらを基盤として欧米人との旺盛な交流や文化事業に邁進するなど八面六臂の活躍をされてきたとても魅力的な人です。
現在は企業を退職され、夫人と共にギャラリー運営を核として、旅、アート企画、講演にと忙しくされているようです。
最近では著書『自遊をもとめて』まで著されています。
なお、DMおよび個展への私からのメッセージをA4 1枚にまとめたものを作成しPDFで置きましたのでご覧ください。
(高精度画像で出力させるためやや重いファイルになりましたが、ダウンロード、プリントアウトしてご活用いただければ幸いです)
■ DM [610ex.dm.pdf](1.0MB)
■ 個展へのメッセージ [610exhibition.pdf] (2.9MB)
〈余談〉
PDF文書を作成するのは今回が初めてですが、電子文書のスタンダードだけあってMac OSとのシームレスな環境にも助けられWeb上で公開、提供するには格好なファイル様式だと再認識させられました。
ただ残念ながら日本語フォントの一部には対応していないということもありますので、要注意ですね。
しかしどのようにデジタル環境が進歩しましても、結局こうした文書作成では制作者のデザイン力、コンテンツの豊富さに規定されることには変わりはありませんので、稚拙なものからの脱皮は容易ではありません。努力します(苦笑)
下画像はPDF作成イメージです。
個展パンフ

かつを節生産地、焼津での鉋掛け

海
昨日2年前に納品した書棚の抽斗がキツくなったので見てもらいたいという電話が入り、今朝1番で隣接した焼津市の海辺に近いカットサロンに出向き補修作業をしてきた。
ブラックウォールナットのオープン棚に2杯の抽斗が付いたもの。
客の待合いコーナーに置いたものであったが、確かに1杯は固く、片側は引きだすことが困難なほどのキツさだった。
2台の鉋で15分ほどで直したが、もうこうしたことは起きないだろうと思う。
若い女性オーナーが物珍しげに作業を見ていて言った一言。
「かつを節みたいだね !…、」ハハハ全くその通り。ボクが子供の頃はね、この鉋と同じものを箱の上に置いて、一生懸命削ったものです。削り立てを食するなんて、贅沢だったんだよね…、とボク。
無垢の抽斗というものは納めてから季節を1巡しなければその置かれた環境に合わせることは難しい。
今回は2年経過していたので、ほぼ膨らむだけ膨らんでいたと考えられる。この時点でしっかり補修しておけばまず問題ないだろう。
木は時間経過とともに置かれた環境にもよりその推移は様々であろうが、安定期に入った後、徐々に徐々に痩せていく。
今回はその安定期に入ったと見て良いだろう。
余談だが我々家具工房から家具を買い求めるという選択が賢明だということの1つに、やはり補修は制作者が手がけるということが挙げられるだろう。
一般の家具屋であれば通常は店舗の従業員が行う。
大抵は満足に切れもしない鉋で無理やり直してしまうことが多いだろうと思う。
制作者自らが手がければ納品時と同等の水準で整備されるのでカスタマーサービスとしては最高度のものであろうと思う。
さてしかし海辺という環境はやはり湿潤な風が入り込み、かなり特異な環境であるのかもしれない。
この書棚の床に近い部分はかなりカビも付着していたが、これも湿潤なことを示しているのか(あるいは床の水を使った清掃の影響もあるのかもしれない)。
別途店舗で使うこぶりのキュリオケースの製作も頼まれたので、この納品の際に書棚の方も塗装しなおしてやることにしようと思う。
一汗かいて、挨拶を済ませ、近くの海岸に出れば幸いなことに秋空の下駿河湾をはさみ伊豆半島まで望むことができ、しばし海を眺めていた。いつのまにか爽やかな海風に汗も吹き飛んでいた。
比較的海から近いところに居住しているとはいえ、ぼんやり海を眺めるなどと言う風流なたしなみは無い。
しかしあらためてそうした時間の贅沢さというものを感じた。
画像は左から、駿河湾をはさんで大崩海岸、静岡市、右端に日本平。富士は眺望できたが、この小さなサイズの画像ではそれとやっと確認できる程でしかないね。

ボブ ディラン〈MODERN TIMES〉とApple社の攻勢

Bob dyranボブ・ディランの復活は米国で大きな話題となっている。
2001年の『Love And Theft』以来5年ぶり、通算44作目になる新譜『 MODERN TIMES』が30年ぶりにアルバム・チャート第1位に輝いた。
[The Times they Are A-Changin’] [LikeaRolling Stone] [Knockin’ On Heaven’s Door] らの名曲あたりしか親しんでいないが、アルバム・チャート第1位を獲得するほどの、まさに現役世代の活躍はボクらのおやじ世代としては嬉しいというのが正直な感想。
実は昨日この記事をアップする予定だったが、iTMSが大きなバージョンアップがあるために閉鎖されていたことで中断しちゃった。
このバージョンアップが表明された「Apple Special Event」(ビデオ)では冒頭Apple社の〈BOB DYLAN MODERN TIMES〉のCMが流されていた。
このボブ・ディランの人気復活は現地ではApple社の iTMS(音楽配信サービス)のCMに採用されたことに依るところもあるとのことですね。
iTunes Music Store(iTMS)で予約発売(米国サイトのみ)された 「Modern Times」 には、オーディオトラック以外に5本のビデオを収録している。
■ Apple社サイト iPod + iTunesのCM映像
■ Google Videoでは特設サイトも作られているじゃない。
■ SONY BMG music video(クリックすれば連続してBob Dylanの、ミュージックビデオが楽しめる)
さて一方「Apple Special Event」ステージではでは毎回最後にミュージシャンが登場して華やかな演奏を行う慣わしで、今回はBOB DYLANがステージに !? と期待したのだが、違った(苦笑)。

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Apple 何かが変わる気配

iTunes Videos
現在Appleに関連していくつかの異変が起きている。
〈その1〉、訳あって数日前 iPod nanoを近くのパソコンショップで購入しようと出向いたが、在庫はホワイト1個のみ。ブラックを発注してもらうことにした。
先ほど出先から帰宅すると留守電が数件。
その1つがこの発注に関わる店舗からの情報。「Apple社からはいつ入荷するか不明との回答」とのこと。 ??
供給は安定しているはずなのに。
〈その2〉、iTMSが閉鎖している。
実はBlogに「BOB DYLAN MODERN TIMES」についてエントリーしようとiTMSにアクセスしたのだが……、
真っ黒い背景に「It’s Showtime The iTunes Store is being updated.」のメッセージがあるだけでアクセス不能状態。
ヨーロッパのいくつものApple社のQuickTimesサイトに「iTunes Videos」の項目が出現している。(画像最下部 項目をクリックしても残念ながら今のところエラーの表示。フライング?)
一方、米国時間12日、Apple Computerはサンフランシスコで「Special Event」があるとのインフォメーションが出ていた。つまり現地時間、この深夜にあるイベントだ。(ボクのところには招待状はこなかったが…)。
上記2件の異変と、この「Special Event」は間違いなく関連する事象だろうね。

想定できることとしては
1. iTMSはMusic、あるいはミュージックビデオだけではなく長編映画も含めタウンロードサービスが始まる可能性が現実化か。(QuickTimesサイトの「iTunes Videos」の項目には明らかに映画タイトルが)
iTMSトップページメッセージの(The iTunes Store is being updated.)にmusicの文字が消えていることがそれを示していると見た。
2. iPod nanoはメジャーな更新がされる。
 噂として有力なのはワイヤレス機能搭載などの強化が図られるかも。
Apple Computer
Apple QuickTime

ローズキャビネット on Base

rosecabinet on base
ローズウッドという樹種名の語源がどこにあるかは寡聞にして不明なるも、木工職人であれば体感的に知ることが可能だ。
その名称が“薔薇”から来ていることは明らかだが、ローズウッドが固有に持つどの要素が薔薇であるのか?
確かに花の女王、薔薇と同様に樹種では銘木中の銘木。その誇り高いところを評価してのものなのか?
いえ確かにそうした尊称としての解釈は理由のあることだが、やはり体感から受けるイメージが“薔薇”としか表現のしようがないというところから来ているものと考えたい。これは誤解であろうか。
切ったり削ったりすることで、その木材固有の香りというものが立ってくる。
概して日本の木材は良い香りのものが多い。その代表格は欅ということで否定する人はいないだろう。楢はやや芳香というにはほど遠く臭い。
このように樹種は様々で固有の香りを持つ。
対して、南洋材の多くは刺激臭のものが多い。マスクをしなければくしゃみが止まらなくなるだろう。
さてローズウッドはどうだろう。
そうなのだ、薔薇のあの特有の甘い香りに似た香りが立つ。残念ながら材木そのものに鼻を近づけても、その香りを感じることは難しい。やはり切って、削って、という生業に従事する職人ならではの特権だ。
余談が過ぎたが、少し工場を片付けて先にエントリーしていたローズキャビネットをベースに載せて作業台の上で撮影してみた。
うむ…、この左の空いたスペースに北欧の広口の硝子の花器に生けた花を置いたりすればベストだね。(○○さん、貸してください)
しかし撮影は難しい。最大の問題はライティング。それにもちろん撮影スペース。うちは工房が手狭でそのようなスペースを確保することは困難。
照明設備も無い。デジタル一眼に外部ストロボがあるだけ。
rosecabinet det

ローズ・キャビネット BURL

rosecabinet1ローズのキャビネットが仕上がってはいたのだが。撮影はやっと今日になってスタジオならぬセルフ撮影で仮に済ませた。
過日このベースの方を撮影エントリーしたが、これに知人からキャビネットはどうなってるのよ、とのメールを頂戴していたので、セッティングでの撮影はいずれ果たすとして、まずはキャビネットのみをつたない撮影でお茶を濁す。

板4枚をぐるりと回し、上下の接合部分を天秤差しにてまとめただけの駆体に、これまた2枚の板をそれぞれハシバミでまとめたシンプルなものだ。
ただ天板正面の一部にナチュラルエッジ(皮付き)が残った。
あえてポイントを挙げれば、ローズウッドという銘木の魅力を精緻な仕事でシンプルに見せた、というところかな。
それだけの説明ではあまりに“シンプル”過ぎるので、少し詳説しよう。

【扉抽手】
正面の抽手はクラロウォールナットのバール(瘤)部分を用いたもの。扉に貫ほぞで取り付けてある。(タイトルのBURLはここから取ったもの)
【内部構成】
抽斗2杯に棚板2枚
抽斗も天秤差しにて構成。側板にはみずめ樺の柾目を用いる
rosecabinet3【扉納め】
・金具はHAFELEのヒンジ。
・扉のキャッチは玉キャッチ状のものを埋め込んだ(楕円画像)

こういう端正なキャビネットをまとめあげるのに重要なところは、やはり扉などの吊り込みなどはタイトにするというのが1つのポイント。
また先の記事での繰り返しになるが、このキャビネットはローズの魅力を引きだしたいのであるが、そのためには仕上げ精度の精緻さが他の材種の数倍要求される、あるいは同時にまた加工そのものの難易度の高さという困難さをあらためて思い知らされた。(切削の困難さ、堅さに比し靱性が低く、欠けやすい、などの)
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