工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

らくちん胡桃(クルミ)の板

座繰り
無垢の座を持つ椅子の加工工程で最も疲れるのが座繰りであることは言うまでもないことだが、あらためてこの工程で材種による鉋掛けでの難易度の大きな違いを知らされる。
うちでは様々な材種で木工家具を製作している。
椅子においてもこれは同様だ。硬いものからリストすれば‥‥、
みずめ樺を筆頭に、真樺、みず楢、ブラックウォールナット、たも、胡桃、などと言ったところか。
胡桃は最も鉋掛けが容易な材種。サクサクと削れる。
作業量、疲労度を考えれば、みずめ樺と比較して 1/3 〜 1/4 ほどか。
そんなに ??と思われる向きもあるだろうが、そんなに違うものなのだ。
胡桃を用いたのは椅子という人体を支える家具として要求される堅牢性が、靱性が比較的高いことで条件を満たすという性質からのものであることも1つの要因だが、やはり加工において生産性が高い(加工が容易)ということも重要なファクターであることは言うまでもない。
つまりそれだけより廉価で供給できる。
材木価格も他の堅木と較べても安いし、それ以上に仕上げ切削などでの作業性の高さ(生産性の高さ)が設定価格低減に寄与しているということだね。
ここ2週間ほど何故か右上腕に痛みがきていた(五十肩だって?)。ありがたいことにそのような体調ではあったが今回の材種が胡桃であったのでこの座繰りの工程は無事済ますことができた。
ま、明日は腕が腫れ上がっているだろうとは思うが、構わず仕事をすればそのうち痛みも忘れるだろう。
今日は1日ぐずついた天気であったが、10月を迎え爽やかな大気の中で木工ができるのはありがたいことだ。秋に感謝しよう。
(画像はスローシャッターでの撮影だったが、スロー過ぎて手の中の小鉋[四方反り台鉋]が見えない 苦笑)

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