工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

《NØ NUKES JAZZ ORCHESTRA》を聴く

Jazz Orchestra、とタイトルされたアルバム。
またそのほとんどにボーカルが入る。

昨年10月、〈Takemitsu Songbook・武満 徹のセンチメンタリズム〉という記事を上げたが、実は今回紹介するアルバムもこの《Takemitsu Songbook》を企画演奏した〈 Choro Club〉を中軸として構成されている。

つまりギター、バイオリン、ベースの3名を中心とし、ここにリズム楽器と、管楽器群が加わり、厚いサウンドを生みだしている。
作・編曲を含み、この編成を率いるのは、鬼才コンポーザー、沢田 穣治さん。
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蛇口、いわゆる“馬乗り”専用カッター

蛇口、いわゆる“馬乗り”という仕口は家具にはもちろんのこと、建築の建具には欠かせない必須の仕口の1つ。

いわゆる框組と言われる構造では頻繁に持ちいられる仕口だ。

建具屋さんはもっぱらこれを〈ホゾ取り盤〉という便利な機械で作る。
うちにもこの機械があり、ありがたく使っているわけだが、
ただ設定等に時間が掛かってしまう(寸法合わせなど)ことから、少ない数の場合はもっぱら昇降盤でやってしまうことが多い。

したがって、そのため専用の刃物は2種類用意される。

Topの画像は、丸鋸昇降盤で切削加工しているところ。
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iPhone 5 への更新

鳴り物入りでのApple社 iPhone の更新だったが、市場投入後も何かと喧しい。
IT評論家筋からは絶賛の嵐が寄せられるかと思えば、片や、新たに標準アプリとして搭載されることになった〈Maps〉が使い物にならないという強い批判に晒されもし、ついにはApple inc. CEO、ティム・クック氏の公式謝罪の書簡が発せられるに至っている。

まさに世界最大規模でのコンシューマー機器であればこその反響である。

これほどまでに1つのマシンが全世界の注目の的になるなってことはかつてなかったかもしれない。iPhoneの登場を迎えるまでは。

ボクも今回は14日のオンライン予約開始日にエントリーしておいたこともあり、発売日翌々日の23日に手元に届き、アクチベーション手続きを済ませ、実機となった。

以下、件のMaps問題とともに、使用感をまとめてみよう。
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Small Chest “弧”

小さなチェスト。(380w 280d 240h)
抽斗にA4サイズの書類が対応する程度のもの。

前に、この木取りの経緯について語ったので、それについては繰り返さないが、
駆体はブラックウォールナットで、柾目と板目のタイプ。

それぞれ、左右の帆立(側板)、甲板は連続した木取りとなっている(木目が繋がっている)。

接合は天秤指。見付部分は留めである。
タイトルにあるように、正面、抽斗前板は太鼓に張らせ、円弧状になっている。
1,800Rと、比較的なだらかなものにしたが、もう少しメリハリを付けた方が良かったかな、などとの反省もある。また逆にあまり小さくすると、キレイでなくなる。
この辺りは、全体のボリュームとの関係性もあり、判定は簡単ではない。

まぁ、この程度で良かったのだろうと、腹を括ってみる。
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“マルチヒール”のシューズにみる〈寄せ蟻〉

木工の技法に頻繁に用いられる接合シズテムの〈寄せ蟻〉だが、思わぬところで活用されていた。

ハイヒールのヒール部分を、様々な高さ、デザインに履き替えてしまおう、というもの。

その設計思考は決して斬新なものとも思えないものの、これをスタイリッシュなハイヒールに導入し、市場に投入したところがユニークであり、やはり斬新なものと言えるだろう。

この靴メーカーはカナダのTANYA HEATH という会社。

市場としてパリをターゲットとしてるところからも伺えるが、ファッションブランドでひしめき合う最先端・パリで一気に女性の心を掴もうというものだろう。
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堆積物

今日、曼珠沙華(彼岸花)の開花を確認しました。
秋ですね。
(iPhoneで撮影しましたが、右に貼り付けているTwitterに置いたので、興味があればそちらから。←そんな酔狂な人はいないか)

ところで、このTopにおいた画像、何だと思います?私は地質学者ではありません。バームクーヘン作りをしているわけではありません。家具職人ですよー。

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ベッセイ、オートアジャスト トグルクランプ

とても快適クランプ。

画像は2つのサイズ展開のうち、 STC-HH70 という大きなサイズの方。

この作業は小函、抽斗前板の曲面加工工程。
1,200Rというなだらかな円弧状のものだが、高速面取り盤でやっている。
赤く見えているカッターは100φ × 100mm(スパイラル刃)

高速面取り盤の切削性能は高い。
この場合の切削性能とは、以下のような意味である。

  • 切削幅が広い(うちの在庫の刃物では 0〜100mm)
  • 切削肌が美しい+逆目に強い(刃物が大きく、周速度が高いなどの理由から)
     → 仕上げ鉋が不用なまでの美しさ
  • 複製がいとも簡単

しかし切削性能が大きなだけにまた、被加工物の固定は大変重要な課題となってくる。
こうした高速回転のマシンでの事故の多くは、被加工物が適切に刃物に当たらず、作業者のコントロールを失ってしまうことによるのがほとんど。

BESSEY®の新しいクランプであれば、このような場合においても、安心して挑むことができる。
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「死ぬ前にしたいこと」from TED

死について考えることは 自分の人生をはっきりと見せてくれます

以前、別のBlogで《死ぬまでにしたい10のこと》というスペイン映画について語った事があった。

ペドロ・アルモドバルが総監督を務めたというので注目したのだが、やはりそれ以上にタイトルから伺える切迫性から劇場へと足を運ばせたのではなかったかと記憶している。

人は死という極限的な状況に身を置くことで、むしろ怠惰であったかも知れない日常とは決別し、生きる真の喜びを持って、日々を送ることができる、というパラドキシカルな話しだった。

無論、そうした切迫性ある事態に直面することは、そうあるものではない。

今回のTEDのスピーカーは、母のような存在だった女性の死に衝撃を受け、そこから起ち上がり、新たな生を生きようと、地域の空き家にある仕掛けをする話しだ。

ある一人の女性の行動が地域のコミュニティーを揺り動かし、緩やかで温かな心の繋がりを育んでいき、そして、この女性も近しい人の死の衝撃から立ち直っていく。

恐らくは3.11を機とし、被災地で、あるいはもっと遠くのところでも、同様の試みをしている人たちがいると思う。

震災は人々に悲しみと苦しさを与えたが、それを乗り越え、ともに生きることで、それまでにはなかった新たなコミュニティーの形成、人々の繋がりも生まれてきたと思う。

天秤指し(続) 小函の場合

小函、あるいは旧い呼称であれば〈手許箪笥〉、欧米流に言えば〈Chest of Drawers on Desktop 〉といったようなもの。

サイズはA4書類が収納できる程度のもので、3杯の抽斗が入る。
甲板、帆立は天秤指で構成。

制作意図

まず制作意図から始めようと思う。
かなり以前のことになるが、突板専門の材木屋でまとまった材積を購入した際、ブラックウォールナット7分板の突き尻(ツキジリ→スライサーで突き板を穫った残りの材のこと)をサービスで付けてもらったことがあった。
尺六寸ほどもある幅広のもので長さも2間近いものだ。
残念ながら厚みが無いので、これまでほったらかしにしてあった。

この活用をと考え、筺にした。
材の特性、状況から発想したというわけである。
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天秤指し

呼称について

このBlog、およびボクのWebサイトで一貫して〈天秤指し〉と呼んでいる仕口だが、必ずしも木工界においての一般名称とはなっていないかもしれない。

これは公刊されているテキスト、あるいは関連するメディアの影響が大きいと考えられるが、木工といったある種の伝統的技術体系に依るものであれば、その語彙の背景にある歴史文化的要素、文脈、あるいはこう言っても良ければ連綿と連なる木工職人により培われてきた、符牒も含めた豊穣な用語が意味するところを、まずはまるごと受容し、加工現場の状況と照合させつつ、継承させていきたいと思う。
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