工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

《NØ NUKES JAZZ ORCHESTRA》を聴く

Jazz Orchestra、とタイトルされたアルバム。
またそのほとんどにボーカルが入る。

昨年10月、〈Takemitsu Songbook・武満 徹のセンチメンタリズム〉という記事を上げたが、実は今回紹介するアルバムもこの《Takemitsu Songbook》を企画演奏した〈 Choro Club〉を中軸として構成されている。

つまりギター、バイオリン、ベースの3名を中心とし、ここにリズム楽器と、管楽器群が加わり、厚いサウンドを生みだしている。
作・編曲を含み、この編成を率いるのは、鬼才コンポーザー、沢田 穣治さん。

こうした頼もしいバンドをしたがい、アン・サリー、おおたか靜流のボーカルが絡んでいくのも《Takemitsu Songbook》と同様だ。

そして何よりも《NØ NUKES・・・》とされている通り、福島第一原子力発電所、過酷事故への音楽家としての対峙から作り出されたアルバムであると言うところに、大きな特徴がある。

フクシマに対峙するという、今を生きる日本の表現者として欠かせぬ立場に立とうとする人は決して多くは無いようだ。

著名なところでは大友良英さん、あるいは坂本龍一氏などに留まる。
所属する音楽事務所の意向などもあるだろうから、蛮勇を振り絞って、などと言うつもりも無いし、他の表現世界でも同じようなモノだ。

フクシマに題材を取り『希望の国』を制作した園 子温監督は言う。

多くの記者が「いまなぜ福島の映画を撮るんだ」という質問が来るんです。
逆に僕は『なぜ、みんなそれをしないのか?』と聞きたい。
あんなに大きなことが起きても、それを映画の題材にしない日本の映画界はすごくおかしいと思う

日本という国のおかしさを嗤え。

そして、下に貼り付けたYouTubeの《満月の夜》(歌:アン・サリー、メイキングビデオ風)だが、ご存じの方もいると思うが、これは阪神淡路大震災の現場から中川敬さんが生みだした曲だ。

こうして、3.11を巡っては、決して多くは無いものの、気鋭のミュージシャンたちも「絶望と、希望」の狭間から起ち上がる人々に寄り添い、共に歩もうと表現していることに、ささやかながらも一条の光を見出すことができ、嬉しくなる。

NØ NUKES JAZZ ORCHESTRA

  1. アズーロ (プロローグ):Azzurro-prologue(作・編曲 : 沢田穣治)
  2. N>N>J>Oのテーマ:Theme of N>N>J>O(作・編曲 : 沢田穣治)
  3. チェンジアブル・ウェザー:Changeable Weather(作・編曲 : 沢田穣治)
  4. 奇妙なおもちゃ:StrangeToy(作・編曲 : 沢田穣治)
  5. 三月のうた:(作詞 : 谷川俊太郎, 作曲 : 武満徹, 編曲 : 沢田穣治)
  6. 突然のメッセージ:New Song Of March(作・編曲 : 沢田穣治)
  7. Azzurro – re-birth(命の源泉):(作・編曲 : 沢田穣治)
  8. 夜のラッシュ・アワー:Night Rush Hour(作・編曲 : 沢田穣治)
  9. 満月の夕:(作詞・曲 : 中川敬・山口洋 編曲 : 沢田穣治 )
  10. グレイゾーン:Gray-zone(編曲 : Gray-zone)
  11. 宛名のない未来への手紙:Blue March(作・編曲 : 沢田穣治)
  12. サークル・ライン:Circle Line(作・編曲 : 沢田穣治)
  13. Smile:(作詞 : J.Turner,G.Parsons / 作曲 : C.Chaplin / 編曲 : 秋岡欧)
  14. promise:(作曲:沢田穣治/編曲 : ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート)
  15. アズーロ(エピローグ):Azzurro – epilogue(作・編曲 : 沢田穣治)

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満月の夕 by NØ NUKES JAZZ ORCHESTRA ( Vo.アン・サリー )
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=QadGdXwz0Mw&feature=player_embedded[/youtube]

このアルバムを紹介してくれたKさんに感謝します !

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