工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

2010、この夏のサブイ風景

今年の夏の暑さは格別。その気温の高さと、これが長期にわたって続くということにおいて、恐らくは記録的であるだろう。

エルニーニョ現象、地球温暖化、とその原因にはいくつもの気象テーマがあげられるものの、どれが正しいというようなものでもなく、かなり複雑な要因が絡んでいるだろうことも明らか。
かつてはこの辺りではめずらしかった南方育ちのはずのクマゼミの発生だが、今では朝7時頃から、鳴き声としては全く風情もなくただうるさいだけのクマゼミ特有の蝉時雨がより暑さを感じさせ、疎ましい。
これも地球温暖化による現象であるのだろうか。

高齢者の所在不明問題

ニュースを視れば、このところ連日報じられている高齢者の所在不明問題には、ここまで日本は来てしまっていたのか、との驚きがある。

真夏の夢であって欲しいとの願いは連日の報道で裏切られていく。
今日もどこかで身元不明の高齢者が人知れず熱中症で最期の時を迎えているかと思うと、寝付きが良くあろうはずもない。

親を敬い、兄弟仲良くといったような日本に根付いていると考えられてきた儒教精神も、今や根幹のところでズタズタにされているのだろうか。

いわゆる「公共空間」という地域コミュニティーも崩壊し、役所のルーティンワークもそうしたほころびを取り繕う機能を放棄してきた結果だろう。
今後ますます劇的に高齢者が増大する社会となる中、いったい日本という国はどうなっていくのだろう。想像するだに空恐ろしさに震えがくるほどだ。
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ナイフ交換と機械整備

プレナー

一仕事を終えれば、間を置くこともなく次の仕事へと進んでいくが、まず行うのが作業場の整理とともに機械の整備ということになる。

ダストを払い、油を差し、グリスアップ、そして必要とあらば調整もする。
同様に切れが甘くなった刃物の交換も重要。

今日は横切り盤の木取り用の60p 355 と、胴付き用100p 355、を更新し、プレナーの刃物も交換した。
ボクは貧乏性であるのか、刃物交換はさほど積極的に行う方ではない。
しかもこのプレナーの場合、超硬刃を使用しているので、かなり長期にわたって使い続けるということになり、機械管理手帳を見なければいつ交換したのか思い出せないほどに忘却の彼方である。

さらには刃こぼれしている部位を避けてまだまだ使い続けられるだろうという小賢しい解釈が優先されるのもしばしば。
しかし今回はそうした往生際の悪さを超えて、いよいよ交換の時期であることを迫っていた。
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Oak Cabinet を

cabinet1

1つ、キャビネットが仕上がった。
以前よりご愛顧いただいている顧客からの受注品。
いくつかの複数のデザインで提案した結果、比較的シンプルなものに落ち着いたというところ。

天秤指しでの板差し構造。正面見付の側板 > 甲板の接合は留。
背板は框組のパネル落とし込み。
内部は棚板3枚、

観音開きの扉は面腰仕口での納まり。
耐震対策を、との要望に応え、扉を閉めると自動ロックされる機構を内蔵。
それを仕込むために上桟、下桟はやや幅広に。しかしこういうのはバランスだから全く違和感はない。

縦框:上桟:下桟 = 3:4:4.6 といったバランス。
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魚の味覚と食卓の豊かさ

津波、相撲、東京、マンガ、‥‥、
過日、あるTV番組でフランスの若者に日本語で知っている言葉をを挙げてもらおうというインタビューがあり、上の4つはそこで出てきた言葉。

「Tsunami」がそのまま使われていることにも驚かされるが、実は最も多く知られた言葉は、やはりと言うべきか「sushi」。

フランスに限らず、欧米各国でこの「sushi」ブームは衰えを知らず、sushiネタの主素材マグロの消費量は増大の一途を辿っている。

ただ多くの人気の魚が早くから養殖技術を確立して、市場の要求に応えている中、マグロだけはまだまだ研究段階の域を超えていない状況でもありその需給は逼迫している。

そんな中、3月のドーハにおけるワシントン条約(CITES)の締約国会議に大西洋・地中海産クロマグロの国際取引禁止案が俎上にされたというニュースには軽い驚きがあった。
クロマグロが急激に個体数を減らしているという認識はあっても、まさかそれがワシントン条約の対象生物になるということへの驚き。

日本国内でもメディアが一大キャンペーンを張ったせいかどうかはともかく、結果大差で否決されることになったが、このニュースには胸を撫で下ろした和食グルメの方々も多かったことと思う。

さて、ボクもこのクロマグロ=本マグロは大好き。
とはいっても、めったに口にできるものではないわけだが‥‥。
“時価”を気にしながら寿司屋のカウンターで座ったり、宴会で出される刺身に舌鼓を打ったり、たまにいく生鮮市場のタイムサービスで半値に値引きされたものを購入したり、といった程度の頻度だね。

イワシのタタキ
普段はもっぱら、画像のような食生活。

これはご覧のようにマイワシのタタキ、スルメイカの刺身。
日々の食卓に上がるのはもっぱらこうした大衆魚。
マイワシは房総から、イカは気仙沼から。
本来であればいくつかの漁港に恵まれている土地柄、近海のものを入手すべきところ、週末恒例の買い出しに行ったマーケットにはこれが新鮮だったので求めたまで。

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工場見学の効用

今日は2つの木工家具の工場を見学させていただく。

静岡は全国でも有数の家具産地であるが、うちは関連する組合、団体などには所属しておらず無所属の一匹狼、いや一匹うさぎ (^_^;

そんなわけで業界との付き合いはあまり無い。
ただ全く無いというわけでもなく、先日はある中堅メーカー従業員の飲み会に誘われ、いそいそと出掛けたりもするので、ほどよい距離でのお付き合いというところ。
そんなわけで中小メーカーの工場にお邪魔する機会がさほどあるわけでもないので、工場見学ともなれば興味津々というところ。
1つめは「bases」(バーズ)という中堅の家具メーカー。

bases
社長の平盛氏とは起業の頃から面識はあったものの、お訪ねするのは今回が初めて。

一時期、朝日新聞県内版に連日広告を打つなど、その積極経営は傍目からも感嘆するほどのものだったが、そうしたことも奏功しているのであろう、ショールームを併設した300壺ほどの建屋はまごうことなく家具工場の佇まいで、この不況期にも関わらずとても活気のある職場だった。

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iPhone 4 とApple.incの戦略

iPhone4
iPhone 4 がやってきた。

発売日から数えて2週間後、7月5日に予約手続きしたものだが、潤沢な供給量に達していない状況からすれば3〜4週間の待ちは覚悟していたので、ほぼ想定に近い入荷だった(容量16GBであれば、もう1週間ほどは早かったかも)。

発売日から3日で170万台を売り上げたとの公式アナウンスがあってから、その後の推移は不明なるものの、世界的な需要を満たすだけの供給力は未だ確保されていない模様。

iPhone 4の発売に先立つiPadの状況も同様のようで、他のスマートフォンも採用しつつあるタッチパネル式ディスプレーとセンサーの需要が急増していることの影響、あるいはApple独自のCPUである「A4」チップの供給力不足(韓国、サムスンの製造)もあるのだろう。
あるいはこのiPhone 4で初めて採用された光沢パネル、アルミノケイ酸ガラスの加工もとても難しいようで、メーカーも苦闘しているらしい(ホワイトモデルが発売延期になったのも関係するかな)。

iPhone 4 に関しては既に多くのところでその快適さ、美しさ、スゴさに関してのリポートがあがっているだろうから、ここでボクが的外れな紹介をするまでもないだろう。
件の「Antenna Gate」問題だが、自宅(工房)の環境では、全く影響を感じさせるものではなかった。

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ともかくもボデーを組もう

今日は少し慌てた。
天秤指しのキャビネットを組むべくプレス機に掛けたまでは良かったのだが、downは問題ないものの、upが機能しない、というトラブルに見舞われる。

プレス機で組む場合、概ね矩(カネ)を考慮して仮組するが、シンプルな構造の場合、矩を確保したままで組むのは難しい。
したがって矩を見ながら、時には修正しながら少しづつ圧締していくのだが、その場合upができないのは具合が悪い。
ま、ハンドル手回しでもできないことは無いので、苦労しながらもバシッといってもらった。

天秤指し1

電気回路(配電盤のリレーあたり)の不具合だろうが、明日にでも修理しておかねば。
手回しとは言っても、重い大きなハンドルを操作しなければならず、1回転で移動する距離は1/4mmほどか?、5cm上げるだけでも気が遠くなるほどの回転数

画像はプレス機から外し、見付け側の留めと背部をクランピングしているところ。
天秤指しは比較的タイトな嵌め合わせにしている。
したがって中央部は1度プレスしておけば接合に問題ないが、末端は開いているのでボンドが乾くまでは圧締が必要。
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ピンルーター、その汎用性

ルーター1

前回に引き続き、キャビネットの機械加工の一部をご開陳。

今回はピンルーター(ルーターマシーン)の活用。
かつても何度か触れてきた繰り返しになってしまうかもしれない(ネタ切れか?)。

【天秤指しの胴付き部分のカット】
まずは天秤指しの胴付き部分のカット。
切削肌、切削力は大きな刃物ほど良いが、ピンの胴付き部分のカットには当然にも細いビットでないとダメ。今回は6mmのストレート刃を装填。

オスメスとも、裏、表、両方向から2度に分けて切断(ルーター切削ではバリの悪影響は少ないため、片側から1発で裁ち落とすことも可能だが、細いビットでもあり負荷を考慮したもの)。

〈ルーターマシン選択について〉
・こうした作業は丸鋸傾斜盤では全くできない相談。
・手ノミでの切削は、精度が出しにくい。生産性が低い。
・ハンドルーターでも同様の切削が可能。しかしピンルーターとの比では生産性に劣る
  ピンルーターは切削ポイントの視認性が優れている。
   (ハンドルーターは外装が邪魔して回転軸周囲の視認性が悪い)
  ピンルーターは寸法設定が簡便
・他の機械の応用はどうだろう?
 帯ノコ、糸鋸、あたりの活用も考えられなくはないが、
 胴付き切削において精度比較の対象にはならない
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天秤指し

天秤指し1

湿潤な大気から、乾燥した大気に代わる、というのが梅雨明け後の気象でもある。
もちろん日本のそれは、不快指数で言い表されるように、蒸し暑いと言うのも一方の事実ではあるものの、湿度40%前後の湿度で安定してくれるのであれば、キャビネット制作には許容できる範囲。

さっそく板指しのキャビネットの木取りから天秤指加工まで一気に進める。 

雨期の前にあらかじめ木取りし、矧ぎあわせ、毛布で簀巻きにしてあったものだが、やはり反張は避けられなかった。

昨日1日、乾いた大気に陰干しして表面の湿気を抜く。
その後、丁寧に手鉋で基準面を削りだし、プレナーで厚み決め。
所定のサイズに切断し、まずは天秤指し加工へと進める。

画像の甲板用の板面にはいくつかの定規がある。左から‥‥

[天秤指しの墨付けのテンプレート]、
[15cm直定規]、
[30cm直定規]]、
[自由がね小]、
[自由がね大]、
[スコヤ小]、
[自由がね大]、

天秤指しの墨付けのテンプレートは米国からのもので、以前より数種用意してあったものの、うちではさほど活用されていない。
天秤指しのピンの細い方は、わずかに2mmというのがうちの基準だが、これを可能な範囲で機械加工で攻める。

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梅雨明けの夕べ

梅雨が明けた。九州北部から関東甲信まで一気だったね。
高く澄み渡った空に入道雲、という真夏の天空ではなかったものの、とても暑い !

クリアな大気の上に刷毛で引いたような雲が流れ、夕刻には久々に西の空が染まった。

梅雨明けの空

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