工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

iPhone、上陸近し?(SoftBank Mobile発表)

ボクのケータイ、現機種は使い始めて早50ヶ月に届こうとする、旧型infobar「杏仁豆腐」、やっと更新できるかも、と期待していた来週初めのApple社WWDC(Worldwide Developer Conference)での iPhoneの国内キャリアとの契約発表への期待だったが、今日のソフトバンクの発表によれば、「‥‥今年中に日本国内において「iPhone」を発売することにつきまして、アップル社と契約を締結した‥‥」とのこと。(AFP BB News
テキストにしてたった2行のプレスリリース
「今年中に‥‥」??、さらに先延ばしされそう?
だが待てよ、今年中とは2008年12月31日までのいずれかの日ということであり、したがって06/09(日本時間では06/10)も今年中の範疇に入るということでは変わるものではないよね。
フム‥‥、
SoftBank Mobileということは想定の範囲だが、ただ判りにくいのはdocomoの広報によれば「弊社も期待していただけに、残念な結果だ。弊社でも導入できるように検討していきたい」というコメントを出しているとのことだが、SoftBank Mobileの独占的な契約ということでもなく、いずれは複数のキャリアに提供される可能性を含む、ということなのかもしれない。
06/09のWWDCでは3G対応のiPhoneが発表されるとの噂がまことしやかに語られているようで、これは日本国内での無線規格に対応してくる事を意味し、残るはApple社の厳しい契約条件をどのキャリアが飲むのか、ということに問題は絞られていた。
まずはSoftBank Mobileに、その未来が託されたということになったわけだが、経済界、IT業界ではこれでSoftBank Mobileはどの程度にシェアを伸ばすか、というのがもっぱらの関心事のようだ。
昨年来、机の上にiPhone貯金箱を置き、せっせと500円玉を入れてきたので、ぎっしりと重くなっている。
ぜひお金が腐る前に、あるいは貯金箱からあふれる前に、いやいや、ボクのinfobar、裏ぶたがはずれかけてきちゃってるし〜。
ジョブズさん、孫さん、お願いしますよ  ≦(._.)≧

ランバーコア、補記

ランバーコア
ランバーコアというものも様々あるようで、昨日取り上げたものは拡大画像のように、芯材に直接単板を接着したものとなっているが、むしろ一般には単板ではなく、薄い普通合板が接着してあったり、あるいはその上から突き板を接着したものが多いようだ。
よく見かけるシナランバーなどはこれ。
昨日触れた、経年変化による凸凹もこのような普通合板が貼ってあれば、その影響も少なくなると言うもの。
しかしやはりより自然木に近いもの、という要望に応えようとすれば、合板を用いない、ダイレクトな単板接着に魅力があると言えるだろう。
そのためには昨日のタイトルのように、より高品質な芯材を探してこなければらない。
ところでこうした木質合板については、我々高品質な木工家具を制作している立場からどのように捉えるかは、木工に対する考え方でかなり位相が異なっているだろうと思う。
ボクは昨日から記述しているように、むしろ積極的に使っていったほうが良いという考えかたに立つ。
これは本格的に木工に取り組むことになって比較的早い段階でドイツの技法書「Der Mobelba/Fritz Spannagelu」に触れたり、あるいはカール・マルムステンのスタイルを卒業生M氏を通して知ることが大きなきっかけだった。
「Der Mobelba/Fritz Spannagelu」で紹介されている制作概念図などはその多くがランバーコアを用いている。
何でもかんでも無垢でありさえすれば良い、高級だ、なんていうドグマ、嘘っぱちから解き放たれて、いかに高品質な木製家具を作るかは、その素材だけではない、デザイン、精緻な造り、オリジナリティーなど、様々な要素がそれぞれ高いレベルでの調和が取れた状態が重要なのだろう。
したがってそれを叶えるためには、時にはランバーコアでしかできない手法を取ることをためらわない、という柔軟な姿勢を取りたいものだ。
さらには木材資源の供給不足という非可逆的な時代状況を考えれば、ボクが用いる銘木の類は、ばんばか伐採して、ふんだんに用い無垢でござい、とばかりにふんぞり返っている時代は過去のものであり、今後も同様に持続できるなどとはゆめゆめ考えない方が良いのかもしれない。
時にはキャビネットなどには積極的にこのランバーコアなども取り込み、より高品質で、美しいもので世に問いたいものだ。

ランバーコアは良い品質のものを

ランバーコア1
ランバーコアは木質材として分類すると、JAS規格では〔心材特殊合板〕と称されようなのだが、一般的なイメージにおける合板という概念とは大きくその構造も、品質も異なるように思う。
数cm幅の挽き材を繊維方向に並行に並べ、集成接合させた、いわゆる集成材というものを芯材として、ここに両面から単板を練った(貼った)材料のことをランバーコアという。
以前、まとまった量で突き板を取るために製材されたブラックウォールナットのフリッチ材を入手したことがあった。
この中で良質で、スライサーで突いて柾目として取れるものを全て突き板にした。
近隣に専門業者があったので、ここで最高の厚さを、と依頼したのが0.8mmだった。
希望としては1mmぐらいは欲しいと思ったが、出来ないものは仕方がない。
一般に広葉樹の合板のフェィス(単板)は0.15〜0.2mmほど。
この厚みであれば合板として十分だ。
ただ合板として十分なものとは言っても、しょせん合板。
合板という近代的テクノロジーの良さも、しょせん合板としての嘘っぽさもそのまま兼ね備えている。
だがこれが0.8mmのフェィスを持ったランバーコアだと、表面の質感は無垢のそれとほとんど変わらない。
したがって一般の合板にはとてもオイルフィニッシュなど望むべくもないが、この厚いフェィスであれば十分にオイルフィニッシュの良さを引き出すことができる。
しかも積層合板とは異なり、釘も木ねじも、あるいは枘穴も穿つことが可能。(芯材の品質にも依るだろうがね)

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「スウェーデンで家具職人になる!」ikuruさんの著書

スウェーデンで家具職人になる!カール・マルムステンに留学していたストックホルム在住のIkuruさん(本BlogでもLink)による著書がこの度発刊。
ボクも発売日前にAmazonから発注したものの、他の本と数冊合わせて発注したことからなのか、まだ入荷しない。
したがって読後感とはいかないものの、ちょっと別の理由から、出版に纏わる関連することを記述しておきたい。
まず型どおりに彼のプロフィールから。

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欧州の近代工芸とデザイン ―アール・デコ―(MOMAT)

東京国立近代美術館 工芸館では現在《ヨーロッパの近代工芸とデザイン ―アール・デコを中心に―》という企画展が開催中。
アール・ヌーヴォーが近代デザインの曙(あけぼの)であったとすれば、アール・デコは時代も下り、いわゆる大戦間(1910年代の第1次世界大戦と1930-40年代の第2次世界大戦の間をこのように呼称する)の一時期にフランス・パリを中心に展開したモダンな装飾デザインを総称するものと言って良いのだろうが、ボクが受ける印象ではデザイン史からすればアール・ヌーヴォーほどの位置づけがされていないように思われる。
上京した際に時間があれば「東京都庭園美術館」(旧朝香宮邸:1933年建設)の企画展などに訪れることも多い。
都内では有数のアール・デコ様式の建築、室内装飾が観覧できるところだ。
企画も工藝、ジュエリー、絵画などアール・デコ様式のものはもちろんのこと、アール・ヌーヴォー様式の優れた作品に触れることができたものだ。
ファサードのルネ・ラリックのガラスレリーフはその象徴と言えるだろう。
今回の企画展ではポスターが中心の展開ということだが、「ピエール・シャローの書架机・椅子」や、ガラス、陶器、磁器(富本憲吉によるものなども含む)など収蔵工芸品も多数展示。
ところでこの時代のインテリア・家具デザイナーとしては、建築家のル・コルビュジエ、そして彼の下で才能を開花させた日本とゆかりの深いシャルロット・ペリアンなどは決してアール・デコとは位置づけられないし、また同じくあの鉄を巧みに取り入れたバルセロナチェアで有名なミース・ファン・デア・ローエ、あるいはラミネートの曲面加工のアルヴァー・アールト(フランク・ロイド・ライトも?)も同時代の優れたデザイナーだ。
要するに時代を席巻したデザイン運動というよりも、パリを中心に花開いた装飾工芸デザインという位置づけか。
ところでこの大戦間という時代は、1929年の世界大恐慌に至る短い期間ではあったが、ドイツ・ワイマール共和国に象徴されるように、民主主義の安定化とともに大衆文化が花開く豊かな時代でもあったことにより、デザインもまたこうした大衆文化を促進させるものとしてモダニズムを一層強めることになっていったのだろう。
時代はしかし大恐慌に続くナチス支配によるファシズムの台頭、そして全面的な第2次世界大戦へと突入していく中で、こうしたデザイン運動は崩壊していった。(ナチスによるバウハウスの閉校:1933年)
参照
東京国立近代美術館 工芸館 展覧会情報

豪雨、一転 夕焼け

夕焼け

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太平洋南岸に居座った前線は当地にも強い雨風をもたらしたが、予報より早く午後早い時間帯で雨も止み、夕刻には雲も消え、西の空は夕焼けで染まった。
(画像は工房脇から西を望む)
田植えが終わって1週間ほどだが、この地域は一級河川、大井川に500mほどのところ。
恐らくは大昔は河川敷だったところだろうと考えられ、稲作に供される用水の水質も良く、毎年秋にはとても良い米が収穫できる。
とはいうものの、休耕田も目立つというのは他の地域と変わりがない。
穀物高騰の国際市況を考えれば、今一度稲作の奨励をすべき時かも知れない。
森と水の日本列島、古来より米を主食としてきた民族として米食を見直すべき時かも知れない。

梅雨入り間近

モンシロチョウ
九州南部、四国地方から梅雨入りの報。
当地の平均的な梅雨入りは6月8〜10日頃。
あと2週間ほどだ。
画像は梅雨入り前に栄養補給をと、庭の花々の周りを飛翔するモンシロチョウ。
花はラベンダー
梅雨入り前に何とかいくつかの制作の見通しをと、スケジュールしたものも滞ることもなく予定通りに進捗している。
梅雨は極東に広く見られる気象現象。
地球各地に見られる雨季とは異なり、しとしと、じめじめとした大気と細い雨脚が特徴だが、これも日本の風土、ひいては日本人のエトスへのなにがしかの影響を与えていると言って間違いないだろう。
梅雨のない北海道の人々の気質は、やはり少し本州以南の人々とは違って見えるのはボクだけだろうか。
心臓の芯まで、あるいは脳髄までもがカビで侵されそうなこの季節。
北海道に移住する勇気もないボクにとっては受難の季節である。
今週初めのNHK「クローズアップ現代」は「シリーズ“水危機”」として、バングラデシュでの地球温暖化による海面上昇が井戸水を侵し、アメリカ南部、オーストラリアの干ばつは水の奪い合いへと発展している現状などが報告されていた。
森と水の島、日本列島の豊かさをあらためて考えれば梅雨の禍々しさを呪うのは、やはりとんでもない悪態でしかないということだ。

椅子の構造のキモは後ろ脚の接合強度

週末のエントリに続き、座布団椅子の制作に関わるお話し。
画像は妻手枠(=台輪?)と後ろ脚、および前脚の接合部分。
この部位は座った人の体重のかなりの部分を支える大事なところ。
仕口は何と呼称すべきか、詳らかにしないのだが、鳥海義之助氏の「木工の継ぎ手と仕口」もよれば〈抱かせ欠き内枘接ぎ〉、とか〈被せ内枘接ぎ〉、などと表記されているようだ。
でもここは職人なら“鬢太”(ビンタ)を使い〈内枘鬢太延ばし〉って言うのがクール? 
仕口の特徴としては、鬢太を延ばすことで接合強度も高く、納まりも綺麗に決まる、というところかな。
枘は50mm以上伸びているので、強度は確かなものがある。
びんたこういう鬢太のようなところは面チリで納めることによって、綺麗にかつ手離れが良くなると言う技で、ボクは比較的多用する。
サスリ(=面一:ツライチ)で平滑にするという手もなくはないが、繊維を直交させる接合面でもあり、例え制作時に綺麗に納めても、いずれメチが出てくるもの。
木工ではこのように“納まり”ということについてはよく考えたいもの。
美質を備えながら、仕口加工における合理性追求の課題というものは、同時に叶えることができるという代表的な事例ではないか。
なお前脚は枠の上部まで貫通させているが、後ろ脚は途中で止めてある。
こちらの底部角のRは被せ部分のルーター切削の際にビットのRがそのまま残ったものであるが、鬢太の角をこのRに合わせ切削することでピタリと納まる。

*    *     *

クラシックファン、ピアノ好きな方に !
本日22:25より「グレン・グールド」最終回 (NHK教育)お見逃し無く !

ワーロン、あなたも‥‥

金属も、木材も、何もかも高騰の折、ワーロン紙も例に漏れず上がっている。
元々はガラス・鏡屋だった会社だが、今や自動車の高機能ミラーの製造を主事業として展開しているのが「村上開明堂」。
ワーロン紙の地域の代理店になっている。
今日は入荷したと言うので引き取りに訪れたが、こうした化成製品は、このところ年に3・4回の価格改定があるのだという。
今年も3月に値上がったばかりという。
原油価格が $135/バレル、ではね。
100ドルを超すかどうか、などと首を傾げていたのがまるで昔話のような響きに聞こえるが、たった半年前のことだぜ。
投機筋もいい加減にしろ、と叫びたくもなってくる。
週末に訪れたガソリンスタンドのおやじも、月末にはまた入れといた方がいいぜ、だって。
験直しに、帰路魚屋に立ち寄った(?)。

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座枠を加工する

座布団椅子
「座布団椅子」に関わる加工を淡々と進めているのだが、今日は座板の部分。
シナの木の格子状の枠組み。
座布団が乗っかる部分だが、座に一般に良く用いられる合板で構成するのではなく、通気性を良くしつつ、かつ美しく組み上げるとなると、こうした格子状の座は最良の方法の1つだと思う。
しかし、たかが隠れてしまう座の部分であるのにも関わらず、加工はやっかいで手間がかかる。
・1つの枠に20のホゾ穴を開け、
・格子の桟を木取り、
・ホゾを付け、
・相欠きに加工し、
・面取りをし、
・組み上げ、
・メチ払いをして、
・サンディング
・やっと塗装
座膨大な作業ではある。
使われる材料も格子状とは言え、1枚の板より低減されるということもない(相欠きにおけるロス)。
実は一時期、これを取りやめ、枠の内部を1枚の鏡板で構成したことがあったが顧客から不評を買ってしまい、元に戻し今日に至っている。
でもうちはホゾ取り盤もあるし、職人としての手の早さは熟練工としてのそれで、かなりの作業効率で進めている積もりだ。
手早く、かつ合理的に制作するにはいくつものポイントがある。
座の部品まず設計における合理性の追求。
・この枠は縦と横の長さが異なる。でも格子そのものは同一。枠のサイズを替えることで対応させる。
・面処理は外枠を除いて、全て面チリ。
(これはメチ払いを不要とさせ、かつ面処理が簡便で、また美しく納まる)
次に加工のキモだが

  • ホゾ穴は全て芯/芯でいく。面チリで、かつ相欠きでいくためにはホゾ位置をオフセットにしなければならないが、これは穴の方ではなく、ホゾを散らすことで対応させる(ホゾ取り盤のハンドル操作)
  • ホゾ穴は外枠部分はタイトに、格子部分はやや逃げ気味に開ける
    (何でもかんでも、きつくやれば良いものではない。そうした追求は本来接合されるべきところが全体のタイトさのために接合不良となりがちで良くない)
    格子部分をやや逃げ気味にすることでスムースにかつしっかりと組むことができる。(ただ厚み方向は弛めないこと)
    何事もメリハリ。
  • 相欠きは緩からず、きつからず。
    要するに、この座の場合は40mm幅だが、カッターの幅を40mmとし、格子幅はジャスト40mmとする、と言ったように(こうしたプロダクトとしての思考は大切。いちいち現物合わせなどしていると、ろくなことはない)
    これにより、ボンドを塗布し、ショックレスハンマーなどでビシッと決めれば、バシッと決まるもの。圧締などしなくても抜けても来ない。
  • 40mmのカッターもプロであれば当然のことだが、アジャストカッター、21~41mmのものを使い、間座(スペーサー)に19mmを挟めばジャスト40mm。(画像)
    この際の昇降盤の切削作業も、40mm,4本まとめて行うなどの合理性を追求すること。

カッター

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外は雨が強くなってきている。
この週末、信州松本では「松本クラフトフェア」が開催されているはずだが、彼の地でも雨に見舞われているのだろうか。
屋外での展示活動なので、大層お困りのことだろう。せめて明日は早めに上がってもらうことを願っておこう。