工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

FIFA 女子ワールドカップ 日本初優勝の背景で(追記あり)

世界を驚かせた日本女子サッカー

FIFA Women’s World Cup 2011 決勝戦、劣勢を跳ね返し、何度も追いつき、ついにPK戦まで持ち込んだ結果、初優勝を飾った日本チーム。本当におめでとう !

今大会、決勝リーグ以降はビデオ録画観戦で楽しませてもらったが、この決勝戦は、後半5時頃からLIVE観戦。ハラハラドキドキの1.5時間。
最後は各選手の笑顔での泣きじゃくりに、こちらももらい泣き。

恐らくはスポーツ専門のオッズ、あるいは巷間でも日本チームがこれほどの戦いぶりを見せてもらえるとは考えていなかったはず。
ボク自身、この女子サッカーには男子サッカーほどの関心も無く、日本代表チームがFIFAランキング4位と言われてもピント来なかったし、男子サッカー、世界戦レベルにおける血湧き肉躍る戦いほどの魅力を感じることも無かろうと考えていた節がある。

しかし決勝リーグで見せられる各国代表チームの技術、あるいはスピード、チームワーク、いずれもとても魅力ある、見るに値するスポーツとして繰り広げられていくのに驚き、目を見張ったものだ。

ブラジル、MARTA選手の個人技、そしてUSA Abby WAMBACH選手の豪快なシュートなどに代表されるパフォーマンスはボクの女子サッカーへの偏見を木っ葉みじんに打ち破る魅惑的なものだった。

もちろん日本チームも下馬評をことごとく覆す活躍ぶりで、勝ち上がるごとにパフォーマンスにも磨きが掛かり、強豪勢を前に一歩も引かず、守りに守り抜き、パスを繋ぎ、チームプレーに徹し、結果、多くは無い好機をみごとに得点へと繋ぐ力量を発揮してくれた。


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キャビネットの扉も佳境に‥‥いやまだまだ

猛暑ではあるけれど、湿度は40〜50%あたりを推移。
身体さえ耐えられれば、木工に支障をきたすほどの過酷さではないので、大汗しながらがんがんと仕事に打ち込む。

いくつかの問題を抱えながらの扉ベニアリング加工だが、プレス作業も終わり、“板”まではできた。
途中、その新たな問題。プレス機のリミッターが不具合を起こし、上下動する定盤が限界を超え駆体上部まで届き、マシン電源部のリレー(過剰電流)が働きやっと止まるという、ちょっとあってはならない怖ろしいトラブル。

ストッパーのマイクロスイッチ、機構部分の機械的損傷によるものだ。
この修復に3時間ほど要した。
仮復旧ではあるが、当面は機能する。
しかし遅くならない内にこのリミッターの交換が必要。
機械屋にアドバイスを受けながら、自作することも考えて見よう、
自力更生こそ、基本姿勢でありたいからね。
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滅入る、この寒さ(稀少材の破断)

もがれるように折損してしまった破断面


連日35℃を超える猛暑のこの時節。

前回のエントリの続きで、ベニアリングのためのCLAROウォールナット単板を作っていた時のこと。
ムラ取りした単板をプレナーに通そうとしたところ、バリバリッ、メシメシッ、と怖ろしい異音が。
プレナーから出てきた単板、先端部分、約40mmほどが消失しているではないか。
それは心臓が凍り付くほどの衝撃。

手持ちの虎の子、CLARO・バール杢単板からギリギリのところで木取りしたもので、ほとんどと言って余裕が無く、この1枚の単板の破損は寒気をもよおすほどの打撃。

うちのプレナーは求め得る国内最高水準のマシンと認識しているので、機械のせいでは無い。
問題はCLAROの木理の方。
CLAROのある特有の個所、例えば根っこに近い部分、あるいは今回のようなバール杢(瘤杢)、この板面に表れるのは、板目、柾目、コブ、時には木口に近いものまでが複雑多様に分布し、このことにより得も言われぬ豊かな表情を醸すわけなのだが、逆に一方、物理的特性としては脆弱な個所を含むことがある。

今回の破損、一部消失というのは、これを原因とする。

ただ、これが一定の厚みがあれば特段問題になることは無いのだが、今回はわずかに1分強の厚みとあれば、この脆弱さがモロに表れてしまったというところ。
また一定の厚みのベニアに練り上げれば、こうした意図せぬプレナーの“暴れ”は回避できる。
要するに今回の失敗はわずかに3mmほどの厚みであることの切削困難と、CLARO複雑木理であることの困難の二つが掛け合わさった結果だ。
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クラロ単板をシコシコと

CLARO単板つくり


梅雨明けの猛暑の中、クラロウォールナットの厚板(plankだね 苦笑)を抱えて、知人の木工房へ出向く。

うちの機械設備では手に余る400巾の単板を作るためである。
バンドソーでの挽き割り作業なのだが、うちのはわずかに305mmが限界というヘタレなもので、これを超える幅割きをしなければならない時、ハンパな機械を導入してしまったことを毎度悔いる。

片やこちらのものは比較的最近導入したというバンドソーなのだそうだが、鉄車で製材専門という感じの頑固な機械で400mmまで挽ける。
導入後の使用頻度は低く、刃も研磨されていないというので少し心配させたが、まずまず所期の目的は達したというところ。

先取りを手伝いながら心配そうに見ていた工房主も安心したようで、ヨカッタヨカッタ。

1分(≒ 3mm)に仕上げるものなのだが、1.7分(≒ 5.2mm)ほどの厚みに挽く。
帰宅後詳しくチェックすると、やはり少し鋸が踊っていたようで、いったん全て片面のムラを取ることにした(手鉋シコシコの画像がその作業)。

切れが芳しく無かったこともあるのだろうが、やはり一般のバンドソーではこの程度の精度が限界か。
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フリッチ、語彙としての誤りについて(お詫びと訂正)

前々回のエントリ「フリッチからはじめよ」について、このタイトルの「フリッチ」(Flitch)ですが、語彙として誤りです。
本来はコメントを寄せていただいたたいすけさんが用いた「plank」(厚板)、あるいは「塊」が適切な語彙であり、用法です。
ここで間違いについてお詫びをし、訂正させていただきます。

誤りを指摘していただいたのは、何かと教えを頂戴しているデザイナーのAさんですが、以下に指摘していただいたところを一部引用させていただきます。

Flitch: 平角材 - – – ピン角・なで角でSliced 単板・Sawed Veneer を挽く木取り材
化粧材・役もの(杢板)がとれる上等なGood quality Material ,年輪幅で製材するものでたんなる「塊」Block ではない。

実は私もたいすけさんからのコメントの「plank」にビビッときて、あちゃ、間違いだったかと思いつつ、しかし決定的な誤りとの認識に及ばず放置。

分かりやすい事例を挙げますと‥‥、例えば(これも間違いだと指摘されてしまうかもしれませんが)、
「ピーラー」と呼称される米松がありますが、あのような目の詰んだ、柾目が通ったものなどを「Flitch」と呼ぶ。ということで良いと思います。

指摘していただいた師匠からは、他にも関連する興味深い話しもありましたが、いずれあらためて別項設けて記事にしましょう。

語彙について、ややアバウト(というより誤り)なところがあり、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。以後、注意したいと思います。

梅雨明けですよ



昨日までの湿潤な大気、いきなりの梅雨明け宣言だったが、そうはいってもなかなか乾燥した大気に切り替わってはくれない。

午後、湿度が50%を切ったのを確認し、いくつかの組み立てに突入。
布団にくるんであった部材を環境に晒し、なじませ、恐る恐る組み立てへと移行。

Top画像は昨日の製材の記事にあった背板の框組。
下はキャビネットの一部。

いつもであれば本体を組み上げてから精密に採寸し、背板の加工に入るが、気象状態が不安定であれば逆順になることも仕方ない。

この画像、外が白トビしちゃっている。
カメラ、撮影技術のお粗末さもあるが、ピーカンの光線であれば無理もない。

さぁ、夏の暑さを友とし、がんばっていこう。

hr

フリッチ厚板(plank)からはじめよ

ブラックウォールナット、フリッチ材の再製材

フリッチplank、つまり塊(かたまり)からはじめよ、とはJ・クレノフの遺した大切な考え方の1つだと考えているが、今日の話はそこまでの深遠にはほど遠いものの、木取りするときの大切なポイントであることに違いはない。

今、あるキャビネットの背板を加工しつつあるところ。
うちでは、この背板部分、様々な手法で納めているが、今回のものは框で組んでキャビネット背側に落とし込むという構成。

この框の羽目板、つまり鏡板の木取りについてである。
框の厚さは4分(12mm)、したがって羽目板は10〜11mmほどのもの。

こうした木取りの場合、例えば15mm厚の荒木から獲る、というのが一般的であるかも知れないが、そうはせずに、めちゃ厚い板、つまりフリッチ厚板のものから獲るのが良いという話しだ。
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狭い手押鉋盤の憂鬱

手押鉋盤の能力を超えて

うちの手押鉋盤は305mmの幅しかない。
片や自動一面鉋盤(プレナー)の方は620mm。
つまり基準面さえ出ていれば600mmの幅まで機械切削が可能。

しかしこの300mm〜600mmの間が疎ましい。
300mmまでであれば1発で基準面が出せるが、それを超えると機械での切削はできない相談である。

以前とても忙しく、こうした部材を含むある家具の製作を知人の工房に依頼したことがあり、結果、たいへん困ったことになったことがある。
依頼先工房の手押しも300mmの性能なのだが、400mmを超える板の削りは手押鉋盤に余るものだから、基準面を取らずに荒木の状態でそのままプレナーに突っ込み、削り上げていたことが分かり、驚いた。

ボクは何に付け、合理的な思考を旨とするが、さすがにこうしたことはとてもできない。
当然ながら、400mm幅の板はプロペラのように捻れた状態で削られ、組み上げられていた。
こういう信じがたい実態があるのも事実。(フラッシュの現場では、そのようなこともままあるようなのだが)

さて、こうしたことは論外としても、手押鉋盤の能力を超える板の削り(平面だし)は確かに簡単な作業ではない。
しかし、500mmほどの手押鉋盤が導入できないのであれば、機械切削に余るところはシコシコと手で削るしかない。
どうするかと言えば、とりあえず300mmだけ手押鉋盤で削り、後はポータブルの電動鉋、さらには手鉋を駆使してやることになる。
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村上富朗さん、どうぞ安らかに

日本を代表するウィンザーチェアメーカー、村上富朗さんの訃報です。
享年62歳。生き急いだ人生でした。

私はあまりに遅れてきた青年でしたが、木工を志した頃、彼は既に著名なチェアーメーカーでした。
新宿小田急ハルクにおいて、他の数名の木工家のものとともに常設されていたウィンザーは異彩を放っていましたし、日本においてそうしたモノ作りの生き方があることを示唆してくれた先輩の一人でした。

その後、OZONE、九つ井などの展示会でご一緒したり、名古屋丸善・椅子展に押しかけた夜の酒席を楽しいものにしてくれたのも村上さんでした。

若き頃のフィ ラデルフィアでのウィンザーとの出合いから、その後オリジナルデザインを含め100脚の椅子を作るという宣言など、自身に課した大きな課題の困難を、いかにも楽しげに語るという風のキャラクターも、やはり彼の椅子の大らかさと繋がるものであったのかも知れません。

先の東御市文化会館での「一日だけの村上富朗木の椅子100脚展」にも小海町の会場から抜け出して観覧させていただきましたが、多くの友人、顧客らに囲まれ、余命わずかと告げられていたとも思えぬ靜かでおだやかな笑顔もまた村上さんらしく素敵なものでした。

天国に召された今、自身の揺り椅子に揺られながら、にこやかにバーボンを傾けている姿が自然と浮かんでくるのも、やはり彼ならではのものなのでしょう。

どうぞ安らかに。

Wood Worker Murakami

日曜日

睡蓮



日曜の朝はゆっくりと起き、午前中は近くの園芸店でプランターの苗を買い求める。
画像は園芸店で見付けた小さな睡蓮(少しレタッチ)

午後は図書館で涼しく読書三昧のはずが、農を営む友人が午後早くにもぎたてトウモロコシをぶらさげてやってきた。
病を抱えた身での田植えは大変だったようだが、収穫の喜びへ向け力を振り絞ってやりきったようで、安堵感に包まれた良い笑顔だった。

浜岡原発から20km圏内で暮らす農家であれば、話題は自ずと原発問題に収斂してしまうのは自然なところ。

浜岡再稼働の困難は必然としても、フクシマ帰因による放射線汚染も無視できないようで、行政による検査態勢のお粗末さ、情報公開への不信をつのらせていた。

さらには玄海原発の安全宣言が科学的根拠とはおよそ無関係な政治的な判断でしかないこと、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の発表‥‥「6歳から16歳の子供たち10人の尿検査をした結果全員から微量の放射性物質を検出、内部被曝が疑われる」の衝撃 ──
3月12日の水素爆発直後、あるいはその後のベントの直後に検査していれば、今回検出されなかったヨウ素を含め、かなりの数値が出た可能性が高いはず、等々(河北新報

既に機は逸したとはいえ‥‥、福島県下のこどもたちを対象とする集団疎開を強力に推し進める方途は無いものか、その全国的な支援態勢の可能性は?

楽しかろうはずの友との会話も、3.11以後、大きく揺さぶられている。

下は友からのトウモロコシ。1粒1粒が宝石のように美しい。
半分だけ茹で、残りは隣家にお裾分け。
茹でたてをガプリッ。自然な香りと甘さが“口福”をもたらす。
食べ残しは冷凍。解凍後は軽く醤油を塗りながら焼けば、なお旨いだろう。

初夏の味覚