工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

キャビネットの扉も佳境に‥‥いやまだまだ

猛暑ではあるけれど、湿度は40〜50%あたりを推移。
身体さえ耐えられれば、木工に支障をきたすほどの過酷さではないので、大汗しながらがんがんと仕事に打ち込む。

いくつかの問題を抱えながらの扉ベニアリング加工だが、プレス作業も終わり、“板”まではできた。
途中、その新たな問題。プレス機のリミッターが不具合を起こし、上下動する定盤が限界を超え駆体上部まで届き、マシン電源部のリレー(過剰電流)が働きやっと止まるという、ちょっとあってはならない怖ろしいトラブル。

ストッパーのマイクロスイッチ、機構部分の機械的損傷によるものだ。
この修復に3時間ほど要した。
仮復旧ではあるが、当面は機能する。
しかし遅くならない内にこのリミッターの交換が必要。
機械屋にアドバイスを受けながら、自作することも考えて見よう、
自力更生こそ、基本姿勢でありたいからね。

CLAROウォールナット、ベニアリング


さて扉だが、この後、敷居、鴨居を加工し、取り付け、さらにはヒンジの加工などいくつもの工程が控えている。
首尾良くいったとしても、その後の仕込みが少しやっかい。

渋さがウリの工房悠にしては派手な赤い丸鋸が目障りだって? 
freud(イタリア、丸鋸ブランド)の丸鋸だ。

これは「Conbination Brade」という種類のもので、50teethという仕様。
要するに縦横兼用というもの。

以下は、あまりに初歩的なテーマで読者には申し訳ないのだが、キャリアの方は読み飛ばしていただこう。

以前も話したことがあったように記憶しているが、訓練校出の未熟な作業者は、刃の数も無自覚に1つの丸鋸で縦挽きしたり、横挽きしたりと、嘆かわしい振る舞い見かけることは一再ならず経験しているが、縦は縦用、横は横用として、木の切断方向に合わせた刃の設計となっているので、間違わないようにしたいもの。

間違った使い方をすれば、もちろん切れ肌も良くなければ、刃にもよくない。

今回は、単板を練ったものであるので、この縦横兼用刃を使った。
つまり繊維方向に平行なところと、直角のところ、混在しているからね。

因みにこの丸鋸には、適合する切削種別につき、とても分かりやすく解説されているので意識的なイレギュラー使用で無い限り、間違うリスクは少ないだろう。
画像、使用による塗面(テフロン加工)剥落で見づらいが、上から以下のような記述(クリック拡大)
・Rip Wood   → Good
・Crosscut Wood → Good
・Chip Boad   → Good
・PlyWood   → Good
・Laminate   → Fair

ところが、これが80teethの横挽き専用の場合だと、Rip Wood → Not Recommended となっており、一方24teethの縦挽きのものは、Crosscut Wood → Fair となっている。
つまり、縦挽きで横にカットするのは、あまりしちゃいけないが、まぁ、許せる範囲ではある(挽き肌はめちゃくちゃだけれどね)
逆に横挽きの刃でリッピングは絶対ダメだよ、という教えだ。

未熟者のとんでもない使用法を避けるためにも、国内メーカーも同様の解説付与を望みたい。
簡単なことなのだけれど、ガラパゴス状態は日本の製造メーカーの平均的な姿か。

同様にfreudのものはアンチキックバックの構造をしているのが見えると思うが、これは決して特殊仕様ではなく、ごく当たり前な平均的な安全対策。
国内製造会社のもので、このようなものは見た例しがない。

hr

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