工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

抽斗仕口の彩り

天秤指し

包天秤指・ルーター加工


学習机を制作中。
脚部は思いの他スムースにできあがった。

先に取り掛かったこの机に付属するワゴンが複雑な構造であったため、そのボリュームの割にやや難儀な仕事になったのだったが、それに較べれば机本体はシンプルな構成なので当然でもある。

そうした推移でもあったので1台2杯×2の抽斗を少し手を掛けて制作することに。
側板、向板も前板同様にブラックウォールナットの柾目で木取り、仕口も包みの天秤指しでいくことに。

Top画像は前板への包天秤指(つつみてんびんさし)、メンの切削加工を終えたところ。

実は当初テンプレート(Top画像左)を5.5mmの合板で作成して臨んだのだったが、3ヶ所めで中央部が、破損。
その巾、わずかに4mmとあれば、無理からぬところ。

これは天秤のpin部分を3mmほどにしたかったということと、ルータービットとテンプレートガイド径の差尺の問題でそうならざるを得なかったことによるのだったが‥‥。
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食の彩り・寒い夜はポトフで

ポトフ

三枚肉のポトフ


久々の「耐乏的グルメ生活」エントリ。
寒い日の食卓は鍋もの、おでん、湯豆腐などをふるまい、心身ともに暖まるというのが定番だが、洋風おでんと言えば理解しやすいポトフもこれに加えてみよう。

素材は台所の片隅に転がっている根菜類が基本だが、キャベツなどでも美味しくいただけるね。
肉は鶏でも牛でもソーセージ類でも良いが、今回は豚のバラ肉。
(うちの冷凍庫には豚バラ肉のブロックが欠かすことなく納まっているのでね)
こうした煮物に限らず、中華でも何でも利用価値が高く、また豚を堪能するにはバラ肉という部位がサイコー。

以下、簡単にレシピを。
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ビックな毛引きも時には‥‥

毛引き

毛引き5種


画像はうちの代表的な毛引き、5種。
今日は右端の大きな毛引きも、時には必要ということでご登場願った。

引きだしレール墨付け

引きだしレールの墨付け

300mmを超える深さの抽斗のスライドレールの位置決めの墨付けだ。

直定規にストッパーを付け、これを毛引きとして代用したりもできるだろうが、毛引きの使い勝手には勝てない。
あるいは海外の木工関連ショップを見れば、この毛引きと同じ目的を持つ道具もあるようだが、概して使い勝手が悪い。
いやいや、使い勝手以上に、日本の毛引きが鍛鉄刃物でできていることに対し、彼の国のものは、ありゃ、まともな刃物じゃないのでシャープな筋は引けるわけもない。

他の多くの道具同様に、日本が誇るべき大工道具の1つである。
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春めいて‥‥、

工房裏の藪椿がほころび始めている。
春である。

春への胎動を知らせる節分が引きつれてきたものが〈大相撲・てんやわんやの八百長騒ぎ〉の突風だったわけだが、それもまたすぐれて日本的特異現象なのかも知れない。

日本の“国技”に関わる騒動ゆえの現象ということを言っているのではないよ。
日本社会の在り様の特異性、日本文化の特異性というところから考えて見たい、ということなんだ。

しっかし、ここまで動かすことのできない証拠、ケータイメールLogが露見したからには、相撲協会としても相応の覚悟が求められるだろうね。

TVモニターからは、相撲評論家なる面々のしぶちん顔が並び、「前代未聞」「またしても信じがたい不祥事」なとと、心にも無いようなことをしゃべくっていて、と、顔の後ろではベッとベロを出しているような感じで、ただ虚ろに響くだけ。

あんたたち専門家がこんな実態知らなかったなんて、誰が信じるというの?
ホントに知らないというのでは、知見も、取材力も、洞察力も、評論家としての基本的な資質に欠けることを自ら認めるに等しい。

ボクは悲運な状況の中にあって引退せざるを得なかった朝青龍、そして現役時代には彼と仲の良かったと言う、今もなお現役でふんばっている魁皇のファンだった。
つまり多くの人と共に、等し並に相撲を愛した者の一人。

しかし、過去何度か語ってきたように、この大相撲を日本固有のすばらしいスポーツで、「国技」だからとか、「品格」があるからとか、という理由で好きなわけではない。
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〈 ZDP-189 〉の切り出し

1月は記録的な豪雪、新燃岳噴火・降灰などの自然災害、あるいは鳥インフルエンザの発生などと、2011年も多事多難な船出となっているね。

今日から如月2月。
数日後は節分、そしてその翌日には立春。
この頃になれば、寒さも一段落で、少し気温上昇も期待できるとのこと。
残念ながら冒頭のほとんどの問題は、月をまたぎ持ち越しになっていくのだろうが‥‥。

画像は朝の工房内の光景。
薪ストーブに火が入ると、ブリキのバケツに水を張り、ボンドをジャポンッ。
過度な低温では、全く言うこと利いてくれないからね。

それにしても木工作業において低温はまだしも、すさまじい乾燥が続いているのがはなはだ都合が悪い。
当地域、1月の積算降雨量 ゼロだよ、0.0mm !! 。

サスリで接合したはずのものが数日もするとメチがでてきちゃう。
部材の巾が100mmも超えると、この過剰な乾燥状況では仕方がないか。

抽斗の仕込みも悩ましいね。
あまりタイトに仕込むと、これは間違いなく梅雨時にはウンともスンとも動かなくなるぜ、誓ってもいい(なんか、妙な自信だけれど‥‥)

さて、今日の話題は特殊鋼
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ジュリアン・アサンジと、日本のメディア

WikiLeaks

WikiLeaksサイト


MacモニターではAFCアジアカップ決勝戦、日本 vs オーストラリア戦がキックオフ。
オーストラリアがオセアニアグループからアジアへとグループ替えしたその意図がどうあれ、ぜひともその意図を木っ葉みじんに打ち砕いてもらいたい、とホットな胸を抑えつつ、Blogテキストタイプは冷静にいきたい。

さて今日は先週に引き続いてTEDから1つの講演(ならぬ、インタビュー)をお届けしよう。
読者の中には、既に先週のTEDのビデオから今回貼り付けるコンテンツへとアクセスした方もいらっしゃるかも知れない。
何しろ、今をときめく世界的な“ヒーロー”であるからね。
(なぜだか日本国内のほとんどのメディアは犯罪者扱いなのだけれど‥‥ )

収録日はちょっと旧く昨年の7月であるが、決して古びたコンテンツではない。
さっそくご覧いただこう。
Julian Assange: Why the world needs WikiLeaks(ジュリアン・アサンジ 「なぜ世界にWikiLeaksが必要なのか」) 19:34

先週もご案内したように、動画、枠下の〈View subtitles〉からjapaneseを選択することで邦訳字幕が流れます。


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新規ミニサンダーの快適さ

ミニサンダー

ミニサンダー


ポータブルなサンダーもいろいろと取りそろえているけれど、うちのサンディングスタイルの基本はストロークサンダー(三点ベルトサンダー)なので、ポータブルなタイプのものはあまり登場の機会は多くはない。
ただ組み終えた後の仕上げ・素地調整の工程ではご登場願わなくてはならない。(Blogカテゴリー「木工家具制作でのサンディング」参照)

キャビネット見付側の柱、棚口などのメチ払い後の素地調整であったり、椅子のダボ切り後の調整であったりという具合だ。

そうしたところに、創業時より快適に使ってきたのがリョウビのミニサンダー(画像、中)。
コンパクトで使い回しが良く、それなりにバランスの取れた機種である。

木製品関連の職種でサンダーが最も使われているところは塗装屋だが、家具産地、静岡の塗装屋ではこの機種が最も普及しているとことからも、業界のスタンダードであるとも言えるようだ。

うちの個体は四半世紀使ってきて、これまでトラブルは起きていない。
カーボン交換は一度も行っていないので、使用年数の割には稼働率が低かったことにもよるのだろうけれどね。

さて、そんな低稼働な環境とはいえ、より良い職場環境を整備するためにも、高性能で、静粛性が高く、かつ集塵に優れたサンダーがあれば更新したいと考えていた。

そこへ飛び込んできたのが、画像右のRUPES社のミニオービタルサンダー《LE 21A》である。

昨年末、テクノトゥールズ株式会社からこの機種のセール情報が入り、メーカー名も知らなかったのだが、一通りのリサーチをした後に発注。

期待と、早まったかな、という懸念と、相半ばする心中だったが、手に取り、試用した結果、その懸念はほとんど消えた。
とても良い買い物だった。
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金具、ではない抽手も悪くない?

抽手つくり

抽手つくり


ちょっと慌てた。
いま数種の箱物を制作しているが、これに使うハンドル型の抽手の在庫が不足していることに気づき、増産することになった。

既に半加工した在庫が少し残っていたので、とりあえずその分を完成させることに。
約30本分。

残りの半加工分とは言っても、その工程数は少なくない。
小割 → 枘付け → 角面取り(Top画像) → 坊主面取り → 仕上げ鉋 → サンディング、と。

項目を挙げればたったそれだけだが、それぞれの工程にも相応の作業量があるので、半日ほど費やしたが時間切れ。

挙げ句の果て、ルーターマシンでの面取り加工時、圧締のためのミニクランプの先端を破損させてしまうというオチがついた。(画像下)

切削量とセンターピンの相互関係から迫り出し量を決めるのだが、想定が甘かった。
破損とは言っても決定的なものではなく、ルーターマシンのチャック部分が上下の座金に接触して火花が散り、傷がついた程度で済んだ。
こうした圧締方法につきもののトラブルとはいえ、少し注意が足りなかった。
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「美の進化論的起源」:Denis Dutton > TEDより

久々にTEDからの紹介

デニス・ダットン(Denis Dutton)の講演:「美の進化論的起源」

「美」という概念は、人類にとって文化的な概念であると信じて疑わなかったが、
実は必ずしもそういうものではなく、ホモ・サピエンス、ヒトがこの地球上に誕生する以前の、言語さえない進化段階に既に萌芽的に認められる。

ダーウィンの進化論によっても「美の起源」を説き起こすことができるという、知的、哲学的アプローチで持論を展開する刺激的な講演となっている。

アンドリュー・パーク(Andrew Park)によるアニメがとても巧緻で分かりやすく、このデニス・ダットン[1] の挑発的な「美の進化論的起源」論に説得性を与えている。

美は単に「見る人の目の中にある」のではなく、進化に深い起源を持つ人間本性の一部であるとする。

beauty that art, music and other beautiful things, far from being simply “in the eye of the beholder,” are a core part of human nature with deep evolutionary origins.

flash映像、下段の〈View subtitles〉からjapaneseを選択することで字幕が流れます


❖ 脚注
  1. 《Arts & Letters Daily》の編集者(1944-2010) []

気の毒な、いまどきの訓練生

蛇口

キャビネット仕口:蛇口



二十四節気・「大寒」そのままに大層冷え込む1日だった。

職業訓練校(「技術専門校」等、名称は様々)の生徒も就活に奔走しているようで、募集しているわけでもないうちなどにも問い合わせが相次ぐ。

過日、採用の意向は無いというところを押し、見学だけでも良いのでと、遠方より来訪された訓練校在籍の若き家具職人志願者との対話は、若い年齢層の考え方を知る上でも、カリキュラムの組み立てなどを知るにも、時間を潰すだけの意味もあると思った。

実は、このBlogを設置して間もない頃、この訓練校に関わる情報を整理して提供したことがあった。
このページは今もなお少なくないアクセスを数えている。

データの多くは更新されておらず、その中のいくつかは閉鎖されてしまっているところもあるようだ。
訓練生には迷惑をお掛けしている。申し訳なく思う。

さて、Top画像は現在制作している小さなキャビネット(部分)。
帆立部分、框組みの構成であることが分かる。
右の広い板は羽目板(鏡板)。束をはさんで左に小さな扉が仮留めしてある。

ありふれたシンプルな構成である。
この駆体、および扉の仕口は、いずれも蛇口(馬乗り)で納めている。

この至極ありふれた仕口だが、訪ね来た訓練生は理解していないようだった。
1月も下旬という時期ともなれば、多くの訓練校では基礎的な技能のカリキュラムは修了している頃のはず。
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