工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ジュリアン・アサンジと、日本のメディア

WikiLeaks

WikiLeaksサイト


MacモニターではAFCアジアカップ決勝戦、日本 vs オーストラリア戦がキックオフ。
オーストラリアがオセアニアグループからアジアへとグループ替えしたその意図がどうあれ、ぜひともその意図を木っ葉みじんに打ち砕いてもらいたい、とホットな胸を抑えつつ、Blogテキストタイプは冷静にいきたい。

さて今日は先週に引き続いてTEDから1つの講演(ならぬ、インタビュー)をお届けしよう。
読者の中には、既に先週のTEDのビデオから今回貼り付けるコンテンツへとアクセスした方もいらっしゃるかも知れない。
何しろ、今をときめく世界的な“ヒーロー”であるからね。
(なぜだか日本国内のほとんどのメディアは犯罪者扱いなのだけれど‥‥ )

収録日はちょっと旧く昨年の7月であるが、決して古びたコンテンツではない。
さっそくご覧いただこう。
Julian Assange: Why the world needs WikiLeaks(ジュリアン・アサンジ 「なぜ世界にWikiLeaksが必要なのか」) 19:34

先週もご案内したように、動画、枠下の〈View subtitles〉からjapaneseを選択することで邦訳字幕が流れます。


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新規ミニサンダーの快適さ

ミニサンダー

ミニサンダー


ポータブルなサンダーもいろいろと取りそろえているけれど、うちのサンディングスタイルの基本はストロークサンダー(三点ベルトサンダー)なので、ポータブルなタイプのものはあまり登場の機会は多くはない。
ただ組み終えた後の仕上げ・素地調整の工程ではご登場願わなくてはならない。(Blogカテゴリー「木工家具制作でのサンディング」参照)

キャビネット見付側の柱、棚口などのメチ払い後の素地調整であったり、椅子のダボ切り後の調整であったりという具合だ。

そうしたところに、創業時より快適に使ってきたのがリョウビのミニサンダー(画像、中)。
コンパクトで使い回しが良く、それなりにバランスの取れた機種である。

木製品関連の職種でサンダーが最も使われているところは塗装屋だが、家具産地、静岡の塗装屋ではこの機種が最も普及しているとことからも、業界のスタンダードであるとも言えるようだ。

うちの個体は四半世紀使ってきて、これまでトラブルは起きていない。
カーボン交換は一度も行っていないので、使用年数の割には稼働率が低かったことにもよるのだろうけれどね。

さて、そんな低稼働な環境とはいえ、より良い職場環境を整備するためにも、高性能で、静粛性が高く、かつ集塵に優れたサンダーがあれば更新したいと考えていた。

そこへ飛び込んできたのが、画像右のRUPES社のミニオービタルサンダー《LE 21A》である。

昨年末、テクノトゥールズ株式会社からこの機種のセール情報が入り、メーカー名も知らなかったのだが、一通りのリサーチをした後に発注。

期待と、早まったかな、という懸念と、相半ばする心中だったが、手に取り、試用した結果、その懸念はほとんど消えた。
とても良い買い物だった。
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金具、ではない抽手も悪くない?

抽手つくり

抽手つくり


ちょっと慌てた。
いま数種の箱物を制作しているが、これに使うハンドル型の抽手の在庫が不足していることに気づき、増産することになった。

既に半加工した在庫が少し残っていたので、とりあえずその分を完成させることに。
約30本分。

残りの半加工分とは言っても、その工程数は少なくない。
小割 → 枘付け → 角面取り(Top画像) → 坊主面取り → 仕上げ鉋 → サンディング、と。

項目を挙げればたったそれだけだが、それぞれの工程にも相応の作業量があるので、半日ほど費やしたが時間切れ。

挙げ句の果て、ルーターマシンでの面取り加工時、圧締のためのミニクランプの先端を破損させてしまうというオチがついた。(画像下)

切削量とセンターピンの相互関係から迫り出し量を決めるのだが、想定が甘かった。
破損とは言っても決定的なものではなく、ルーターマシンのチャック部分が上下の座金に接触して火花が散り、傷がついた程度で済んだ。
こうした圧締方法につきもののトラブルとはいえ、少し注意が足りなかった。
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「美の進化論的起源」:Denis Dutton > TEDより

久々にTEDからの紹介

デニス・ダットン(Denis Dutton)の講演:「美の進化論的起源」

「美」という概念は、人類にとって文化的な概念であると信じて疑わなかったが、
実は必ずしもそういうものではなく、ホモ・サピエンス、ヒトがこの地球上に誕生する以前の、言語さえない進化段階に既に萌芽的に認められる。

ダーウィンの進化論によっても「美の起源」を説き起こすことができるという、知的、哲学的アプローチで持論を展開する刺激的な講演となっている。

アンドリュー・パーク(Andrew Park)によるアニメがとても巧緻で分かりやすく、このデニス・ダットン[1] の挑発的な「美の進化論的起源」論に説得性を与えている。

美は単に「見る人の目の中にある」のではなく、進化に深い起源を持つ人間本性の一部であるとする。

beauty that art, music and other beautiful things, far from being simply “in the eye of the beholder,” are a core part of human nature with deep evolutionary origins.

flash映像、下段の〈View subtitles〉からjapaneseを選択することで字幕が流れます


❖ 脚注
  1. 《Arts & Letters Daily》の編集者(1944-2010) []

気の毒な、いまどきの訓練生

蛇口

キャビネット仕口:蛇口



二十四節気・「大寒」そのままに大層冷え込む1日だった。

職業訓練校(「技術専門校」等、名称は様々)の生徒も就活に奔走しているようで、募集しているわけでもないうちなどにも問い合わせが相次ぐ。

過日、採用の意向は無いというところを押し、見学だけでも良いのでと、遠方より来訪された訓練校在籍の若き家具職人志願者との対話は、若い年齢層の考え方を知る上でも、カリキュラムの組み立てなどを知るにも、時間を潰すだけの意味もあると思った。

実は、このBlogを設置して間もない頃、この訓練校に関わる情報を整理して提供したことがあった。
このページは今もなお少なくないアクセスを数えている。

データの多くは更新されておらず、その中のいくつかは閉鎖されてしまっているところもあるようだ。
訓練生には迷惑をお掛けしている。申し訳なく思う。

さて、Top画像は現在制作している小さなキャビネット(部分)。
帆立部分、框組みの構成であることが分かる。
右の広い板は羽目板(鏡板)。束をはさんで左に小さな扉が仮留めしてある。

ありふれたシンプルな構成である。
この駆体、および扉の仕口は、いずれも蛇口(馬乗り)で納めている。

この至極ありふれた仕口だが、訪ね来た訓練生は理解していないようだった。
1月も下旬という時期ともなれば、多くの訓練校では基礎的な技能のカリキュラムは修了している頃のはず。
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建築家 白井晟一 [精神と空間]を観る

企画・パンフレット(クリック拡大)

2011年、年初の美術鑑賞は建築から。
《建築家 白井晟一 精神と空間》と題された白井晟一氏の回顧展。
会場は「パナソニック電工 汐留ミュージアム」

会場に展示された手描きの設計図面は、とても緊張に満ち、グラデーションの表現までが細〜い鉛筆のラインで描画され、美しいものだった。
見慣れたCADから吐き出されたものとは次元の異なる、設計者の鋭い眼差しと、研ぎ澄まされた思考の量感までが描写されているようで感銘を受けた。

ところで、住まいの近くに「静岡市立芹沢銈介美術館」があり、展示企画替えごとに足繁く、とまではいかないが、関心領域の企画の時には出向くことがある。

もちろん鑑賞対象は企画展示品にあるわけだが、多くの美術館がそうであるように、その美術館の佇まい、あるいは内部空間、しつらいなど、建築空間に身を置くことは付随した目的、という以上のものがある。

建築家・白井晟一をそれとして意識させられのも、彼の代表作の1つとなった、この芹沢銈介美術館(石水館)を最初に訪れた時以来のこと。

‥‥ いや、そうではなかった。
今では記憶さえあやふやになっているが、家具制作などに全く関心のない1980年代初頭の頃だったか、大江健三郎、磯崎新などを編集同人として岩波が編集発行している季刊雑誌の中で、磯崎氏の論考にこの白井が登場していたような記憶がある。

いや、違ったか。これから木工をスタートしようと密かに思い定めていた頃、数人の木工家に押しかけ、話しをうかがうということがあったが、その一人である今は亡き早川謙之輔氏の付知の工房を訪ね、そこで詳しく聞いたのが最初だったかもしれない。(こちらは明確に覚えているので間違いでは無い)

ともかく、白井晟一を意識させられたのは、そんな風な曖昧なものでしかなかったことだけは確か。
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木工職人にとっての冬の寒さとは

日本列島、北から南まで凍り付いているね。
当地でも一時はミゾレのようなものが落ちてくる寒い1日だった。
見上げれば空一面雪雲に覆われ、雪国のような張りつめた空気が支配していた。

静岡という風土は良く知られているように黒潮の影響で本州の中では最も温暖な土地だ。
一年で一番冷え込むこの時期でも氷点下まで気温が下がる朝はめずらしいほど。
陽が射す日中ともなれば10度ほどには上昇する。

そんな環境であるので工場では機械室、作業室それぞれ1台の薪ストーブが置いてあるだけ。
ただ屋根まで6mほどあったり、隙間だらけの囲いということもあり、部屋全体を暖めるということにはならない。
しかしながら薪ストーブが稼働するのも、朝晩のそれぞれ3時間づつほどだ。

ちょっと脇道に逸れるけれど、この薪ストーブの薪だが、言うまでもなく家具制作で出てくる切り落とし、廃材(時には失敗した部品など/苦笑)など。
これが巧い具合に、一冬ちょうど需給バランスが取れるんだね。

時には足りなくなって慌てることもあるが、それは前年、まじめに仕事をしなかったことの証左として受け入れるしか無い。その結果、寒さを堪え忍ぶのは自らに下す制裁というわけだね。
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木工職人が抱えるいくつものcomplex

紅梅

紅梅

はじめに

木工というモノ作りを生業とし、はや四半世紀にもなろうとしている。
一般的には、こうしてひとつのことに少なからぬ月日を積み上げてくればキャリアとして見なされるもの。
もちろん、そうした期待を含む客観的評価にふさわしい仕事内容で応えているつもりではある。

以前、あるキャリアの木工家に伴われた数人での会食の場でのこと。
この木工家が「俺はクレノフを超えたな‥‥」とつぶやいた。
彼は確かに長いキャリアを積み、一部では高い評価を獲得している家具職人だった。

一瞬、座は静まり、間もなく少し不自然なニュアンスを含む笑顔とともに歓談を交え食事は続いたのだったが、その意味するところがいかなるものであったとしても、ボクはそうした達観にたどり着くということがあるものなのか、といささか信じがたい思いを静かに胸に納めたものだった。
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フェザーボード(続々)

フェザーボードの事例

フェザーボードの事例


今日はどうしたことか“1”並びだね(’11.1.11)。みんな、何か良いことあった?
ボクは‥‥、特になかったな。
じゃんけんとか、クジとか、全く弱い。信心が足りないからなのかねぇ‥‥。

さて、気を取り直して、今日はフェザーボード第3弾として、熱心な読者:Hさん(指物的アプローチをされる木工家)からいただいたフェザーボードの活用法をご紹介する。
(Hさん、いつもありがとうございます)
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フェザーボード(続)

featherboard

featherboard

誤った使われ方は何故?

一昨日上げた記事「フェザーボードの働き」では追記を余儀なくされるという失態を演じてしまったが、少し補足的に記述した方が良いと思った。

昨日、産地でもある静岡市の著名な伝統的木工職人の下で修行している人が所用で訪ねてきた際、このフェザーボードが話題となったのだが、意外にも彼の親方はそうした治具の存在を知らないのだと言われる。

なるほど。確かに以前一時世話になった木工所にはそうしたものは無く、この親方からもめずらしそうに見られたことを思いだした。

一昨日は「こんなありふれた治具」という枕詞で始めたのだったが、どうもそうではないらしいということが徐々に分かってきたのだが、ぜひ知見のない方にはこれを機会に関心を持っていただきたいと思う。
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