工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

カキとノロウィルス

カキは好きですか?
ボクにとって冬の味覚の代表格はカキだ。
調理法の筆頭は殻付きのカキを求めて、炭火であぶる。ほどよく焼けた頃を見計らってカキナイフでこじ開けて食する。
ミディアムレアな状態に加熱されたカキからは海の香りとともに、焼かれたことでカキ特有の濃厚な香りが立ち、鼻腔をくすぐる。
口にすれば何も言うこと無し。
ガキの頃、瀬戸内に数年間住んだことがあった。小舟で沖合に漕ぎ出し、大人に上げて貰った牡蠣が沢山へばりついた岩様のもの(何て言うのかな?)をコンコン突きながら食べた幸せな思い出は今も記憶装置の古層に残っている。海の民は何と豊かで幸せなのだろうと思ったはずだ。
ボクはオイスターマウスです(なんちゃって)。
およそ貝というものは加熱すれば口が開く。
しかし牡蠣はちと異なる。めったなことでは口が開かない。
転じて…、口の硬い人のことを「オイスターマウス」と尊称するのだ。
……余談は以上……


昔、新宿高野(フルーツパーラー)にオイスターバーがあった。
殻付きの牡蠣が3つにグラスワインが付いて5〜600円ほどだったかな。
オイスターバーという商いはパリあたりが本場なのだろうが、都内でもいくつかのところでその名称を掲げて商っているはず。
各地で採れた各種の牡蠣が味わえる。
ワインも良いが、辛口の日本酒も合うだろう。
そうそう、能登半島の七尾には牡蠣を美味しく食べさせる専門店がたくさんある。ぜひ未体験の人は行くべし。
テーブルではなく、大きな網と囲炉裏があるだけのシンプルな店内。ここではバケツからバシャッと投げ込まれた牡蠣が焼き上がるのを待つだけ。牡蠣はちょっと小降りだけれど味は濃厚。
他にボクの好きな牡蠣料理と言えば
・鍋、・牡蠣飯、・カキフライ、・オーブン焼き、といったところか(意外とありふれてるな ?)
いずれもポイントは加熱しすぎないこと。加熱しすぎるとゴムマリの如くだからね。
カキフライの揚げ加減も少し難しい。あれは音だ。パチパチ油のはねる音が替わる事があるがそれが揚げ時。
それとちょっと耳打ちしておこうか。
冬場にホームパーティーなどにお呼ばれされた時は殻付きの牡蠣を持っていこう。
無論カキナイフもしのばせてだ。
人数にもよるだろうが、1箱持っていけばド迫力だ。生から始まって、焼き牡蠣、オーブン焼きと責め立てれば、宴会も盛り上がるだろう。
1個、70円として30個ほどでも2,000円ちょっとじゃない。つまらない手土産より余程気が利いている。
2つめの余談だが、中華料理での炒め物のいくつかのポイントの中で重要な点はオイスターソースを使うということだね。味も香りも一気に倍増ってわけだ。
牡蠣はRの付かない月には食べないように、ということが良く言われるが、ボクは食べることがある。北陸、日本海側で採れるイワガキは夏が旬と言っても良いくらい。
食用に適さない、というのは産卵期に入り、精巣、卵巣が肥大化するためのものだが、今大きな問題になっているノロウィルスの主たる原因がカキにあるなどと攻撃されてしまっている。
しかし統計学上、必ずしもカキだけが感染源とは言い切れないようだ。
むしろヒトの吐瀉物、糞便からの2次感染の方が多いと言われている。
カキも加熱しさえすれば問題ないと言われているので、大いに食して欲しい。
残念なことに根拠薄弱な風評にも近いノロウィルス騒ぎでカキ産地では悲鳴を上げているようだ。(北海道新聞
ボクは普段から殻付きを除いては生食用カキを求めることはない。食品スーパーには残念なことにほとんどが生食用だ。そんなものは買わない。加熱調理用のものを求める。
何故か。決して鮮度で分けているのではない。生食用は流通時間を考慮して殺菌消毒を行っているのに対し、そうでない加熱調理用のものは処理されていない、という違いだ。
つまり牡蠣本来の風味を残しているのは加熱調理用の方と言うわけだ。生食しないのであれば絶対加熱調理用のものを食すべきだね。(これってご婦人方、意外としらない人が多い)
ノロウイルスの猛威には注意されねばならないが、牡蠣の食文化への打撃になるような風評だけは止めて貰いたい。
冬の良質な蛋白源、牡蠣を食って寒さを乗り切ろう。

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  • ノロウィルスに気をつけましょう

    今シーズン死者まで出ているノロウィルスに気をつけましょうねぇ

  • ふ〜む
    “生食用”のほうが新鮮だとおもって、調理する時もこちらを買ってました
    なるほど〜

  • kokoniさんもオイスターマウスでしたね。
    “生食用”のほうが実は流通に乗る前に殺菌処理に数日を要するとのことです。加熱調理用の方がむしろ新鮮。その点からも風味、旨さは推して知るべし

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