師走の工房
今年も残すところ2週間と押し迫ってきたね。
うちも年内納品の品々を抱え、大童。
このところお天気が優れないのでやや制作の障害にもなってきたが、昨日から少し回復。
地域の年末行事に動員させられた後は工場に籠もり仕事に精励。
何とか週末に納品できるところまで追い込んだ。
このところ個人の新たなお客の訪問も相次ぎ、見積もり設計のデスクワークでも忙しくしているので休まるときがない。
この新たな家具設計においてトップライト設置の必要性に迫られ、LEDで対応したいと考えたが、通常家具照明で対応してくれているメーカーにはこのLEDのものは無いに等しい。
Webサイトから検索するも、なかなか適切な物が見あたらず、知人の木工家T氏に尋ねると、さっそくネット上の有益情報を提供してくれた。
いずれメーカーショールームなどで光源などを確認してから発注しよう。
鬼の霍乱とか言う奴で一時風邪気味だったのだが、完全に回復して快調に飛ばしている。少し時間的余裕も無いと木工業務の高度化もはかれないが、あまりヒマでもかえって体調が悪化するようだ。ほどほどの忙しさで淡々と精励できるのが良いのだろうね。
画像は週末に納品予定の家具。完成したらあらためて撮影したいがその時間的余裕があるかどうか。
acanthogobius
2006-12-21(木) 11:12
年末の忙しいところすみません。
箱物の構造にすごく興味があります。
上に写っているのは仏壇でしょうか?仏壇下部の抽斗の帆立
の下に底板の木目と直交する形で桟のような物が見えるのですがこれは抽斗用のスベリ桟でしょうか?
底板を彫って埋め込んであるように見えるのですがこれは
よく用いられる技法ですか?
違っていたらごめんなさい。
artisan
2006-12-21(木) 22:28
ずいぶんと視認できそうにもない細部に目を付けられてしまいましたね。
最下部の引きだしのところは、側板(帆立)の内部にいわゆる「造り帆立」に近いものを設けています。今回の場合は框組の束のようなもので構成しています。したがって煽り止め、およびご指摘のスリ桟(4t〜5t)も地板の繊維方向とは直交するように取り付けらます。
側板(=方立て、あるいは帆立)、地板は無垢板ですのでこれらの部材の取り付けには伸縮への配慮が必要となりますね。前部1/3を接着剤+木ねじ止め、後ろは伸縮を逃すため2段掘りするなどして木ねじ止め、です。
こんなやっかいなことをする理由は、抽斗の出し入れに扉との干渉がないようにする必要性。抽斗の動きのスムースさを確保するためのスリ桟方式、ということになります。(実は量産の家具、仏壇ではこうしたスリ桟を樹脂でできた既製品を使うことがもっぱらです)
なお些末な事ながら、抽斗前板の幅はスリ桟を隠すように地板近くまで伸びています。
本来板差しのものですので、内部も同じようにすべきところですが、どうもボクは框ものも含め、それぞれのメリット、デメリットを考慮して良いとこ取り、をしているのかな?
因みにその上には引き出し様のお盆が入りますので、無垢板の暴れを嫌い、厚突きを練ったランバーコアの板を使っています。
以前、ローズウッドのキャビネットを記事にしましたが、これをご覧になった方から「同じようなデザインで仏壇を !」ということで制作しているものです。
後日またupできればと考えています。
acanthogobius
2006-12-22(金) 12:53
うーん!匠の一端を見る思いですね。
写真からは見えませんが側板にも同じように煽り止めが付いているということですね。
「抽斗前板の幅はスリ桟を隠すように地板近くまで伸びて」
ということはスリ桟は地板よりいくらか高くなっていて
抽斗のストッパーも兼ねているということでしょうか。
お店でも展示会場でもなかなか抽斗を引き抜いてまで構造を
確認することができないし、また書籍などでもこういった
所まで記載されているものはないので興味津々です。
ありがとうございます。
artisan
2006-12-22(金) 21:33
こうした仕口は必ずしも定型的なものではなく、いくつかの手法のなかでその目的とするデザイン、機能を満たすために適切なものを選択する、というのが実態ですね。いくつもの仕口を修得し、これらを自家薬籠中のものにしながら使いこなす、ということでしょうか。
いずれにしても間口の広い木工ですが、まずは箱物制作のスキルを修得することが重要ですね。
豊富な仕口を確保することでデザインの拡がりも出てきます。
確かに入手可能な関連書籍には良い情報は少ないようですが、戦後から1970年代頃までは「工作社」発行のものを初めとして高精細な図面を有した書籍、雑誌もあったのですがね。国立国会図書館などで検索しますといろいろ有益なものがでてきます。