工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

今日の工房から

テーブル部品
時にはお仕事の様子も取り上げねばまずい。(_ _ )/
写真は「ネストテーブル」の天板を除く全パーツ。
1Set、3台。これが5Set分。
加工が終了し、仕上げにかけられる前のスナップ。
手前から…、天板吸い付き桟、脚(柱)、畳摺り、貫。
それぞれサイズが3種。
まずこれらを仕上げ、サンディングした後、天板の仕上げと進んで、組み立て、というステップなので、もうしばらくかかるかな。
ボクの仕事は木工職人としても早い方と自負している。
プロ意識を持った職人として鍛錬してきたつもり。


仕事の早さを確保するにはいくつかの要素があるが、
デザイン設計プランの過程で、十分な機能を満たし、また美しく見せながらも、無駄なデザインをしない、工程数を無駄に増やさないことを配慮した設計。
できるだけ加工工程の標準化を追求し、合目的的に設計する。
機械加工工程での合理的な加工(機械選択、刃物選択、機械加工の熟練、工程のプロセスを精査して無駄を省く)を心掛ける。
仕上げ工程での鉋掛けなどに習熟する。
etc、etc。
こうしたある程度のまとまった数をこなすには全ての工程に於いて、精緻な仕事を追求しつつも、決して非合理的なことはしないように考え抜かれたプロセスを心掛けねばいけない。
手作り家具などといって機械加工の精度と生産性の追求におろそかで、無駄なコストを投下するほど今の日本の市場は甘くない。
徹底したデザインの研究と加工精度の追求、加工工程の合目的化。これらは考えてみればプロダクトとしての必須要件であるわけだが、工房家具といわれる私たちの家具製作においても何ら変わるものではないだろう。
家具製作という工芸の分野の一つの特徴として、精緻な技法の積み重ねというものが基礎にあるということがあるかもしれない。残念ながらこれなくしては美しくバランスが取れた機能豊かな家具は生み出し得ないだろう。

とかくひとり親方のところだと井の中の蛙で、自分の家具製作を対象化することが困難であるかもしれない。
できるだけ多くの同業者とも交流を図り、自分の環境が許せる限り、現代に於いての最高レベルの製作スタイルを取り込みたいと思う。
木工なんてとてもローテクなものだが、ローテクな中にも実は優れた技法が集積されていることを忘れてはならない。殊に日本に於いては優れた伝統的技法が伝わっていてこれを踏襲することの出来る条件下にある私たちはそれだけ製作環境において自由だということだろう。
    写真下は「ネストテーブル」完成品(ただし本クルミ材)、クリックして拡大

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