工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

今日の工房から

嵌め合わせ
昨日から製作開始した【花台】の加工をしてる。
夏の個展での受注品。
■材種:ブラックウォールナット
■寸法:500w 400d 870h
デザインは、発注者が展示会場に展示されていた「フロアスタンド」の脚部を気に入って頂いての注文なので、これをベースに少しアレンジしただけのもの。
写真は加工途上のもの(こんなん、ごく当たり前のありふれた仕口だが、関係者以外から見ればオモシロイかなと思い、撮影)。
【パーツの説明】
3が柱(2本)、2が横の畳摺り、1は2に交差する畳摺り
【仕口の説明】
・1+2+3と、同一個所に3つの部品がそれぞれ重ね合わされるところなので、なかなか要(かなめ)の部分だね。
・まず1と2を「相欠き(あいかき)」と言われる直交するところに用いられるごく一般的な仕口で嵌め合わせる。
・次にこの交差された二つの部品の垂直上から3の柱が嵌め合わさる。
ただこれだけ。おわり。
と説明すれば、身も蓋もないですな。


【加工のポイント】

  1. 1,および2.と3.の嵌め合わせはタイトに加工することが肝要。
  2. 1.と2.の嵌め合わせは、逆にあまりタイトに責めようとすると割裂などのリスクがあるので、手でグリッとやって嵌るぐらい。
  3. そのためにも、それぞれのパーツの相欠き部分の切削量は強度的に最もバランスが取れるように設計することも重要。
  4. なお、接着剤を塗布してからの結合は、端金などでは、なかなかやっかいなので、出来ればプレスのような均等に強い力が掛けられる設備があるといいね。
    今回のように、2本の柱の間に写真でも確認できるように格子が多く入り、これらのほぞを嵌め込みながらの圧締なので、なおのことパワーが必要だ。
  5. 付記すれば、このような部位の格子のほぞはあまり長くすべきではない。
    ほどほどの長さ(通常の半分ぐらい)でOK !
    また胴付きはほんの少し張り気味にするとキレイに納まる(0.3mmほど)

こんなたった1つの部位にでも、様々な要素がからんでくるので、経験、アイディアも要求されるんですよぉ(笑)
さてこの後は畳摺りのテーパー加工、面取り(柱は1分の角面を取ろう。坊主面ではいけませんね。日本人はどうもこんなところにも独特の美意識を見いだそうとするので、やっかい、いや楽しいのですね)
今日で加工を済ませ、明日は仕上げ、塗装です。他の仕事も並行してやりながら所用3日というところ。
発送さて、Webサイトから「フロアスタンド」の受注があり、1個所カスタマイズ加工を施して、10日ほど前に完成。
本日発送だが、送り先は札幌。
遠方なので、しっかり梱包して信頼の置ける運送業者に託す。
Tさん、本日このような荷姿で発送しました。
首を長〜くしてお待ちください。
ボクのWebサイトからの受注は南は九州、北は北海道。沖縄からはまだないけどほぼ列島全域。
できれば近隣の需要だけでやっていきたい気もするけれど、残念ながら非力なので、広域からの受注を受けねばならない。
こうした環境においてはWebサイトの威力は計り知れない。
昨日、近くで工房を構える【家具工房ディスクリートチェア】のTabula Rasaさんと話していたら、同じような話になって、よりWebサイトの強化を確認しあったばかりだ。
ちょっとこのところBlogヘのエントリー、メンテナンスに没頭、傾斜しがちで、本来のwebサイトのメンテナンスが怠りがちになっている。
あるお客様からも指摘されてしまった \(__ ) ハンセイ 。

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