工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

実りの季節と若者考

実り
秋も深まり、裏庭の柿も色づいてきている。
昨年は裏年でほとんど収穫できなかったが、今年は鈴なりだ。
一見甘柿のような形状の実だが、実はなりそこないの甘柿、つまり渋が強く残ってしまう品種なので、つるし柿で楽しむことになる。
一方のカラスウリは灌木に寄生するように巻き付いていて、薄い橙色から真紅に近い色まで目を楽しませてくれる。中にはまだ全く色づかないものもあったりで、にぎやかだ。
今朝はある木工専門学校の生徒から電話が入る。たどたどしい話しぶりで工房訪問したいという。
ハイ、良いですよ、とは簡単に返答できない。
いきなりスケジュールして欲しいと云われても困る。
まず訪問の目的、何故に拙房を訪問したいのか、自身の紹介などといった基本的要件を伝えていた頂けなければ応えようがない。
昔であれば手紙の1通も寄こすところだろうが、最近はメール1本、電話1本で依頼が飛び込んでくる時代だ。
形式張ったことは嫌いだが、人との関係を取り結ぶためには、まずはお互いに敬意を示した上での依頼ごとであろう。
中には近くまで来ていて、そこから携帯電話でいきなりこれからお邪魔させていただきます、なんて云うのもあるから困惑するばかりだ。
いずれも何らの紹介も、アポイントも無い人からなのだが。
今という時代、あらゆるものが簡便になり、人と人の関係さえも簡便に、浮薄に、浅く、なりつつあるのだろうか。
しかし残念ながらそうした世相に身を任せるような人には職人などという絶滅危惧種のような職能を身につけることは困難かも知れない。
まぁ、良いんだけどね。今という時代、職人なんてあまり求められてはいないのだろうしね…
木工界は熱意のある、才能豊かな若者をいつも求めている。
もの作りという生業が困難な時代、あえて信念を持って立ち向かい、切り開いていこうとする若者はまばゆいばかりに美しいとさえ思う。
ボクなどは30も半ばからのスタートだったということもあり、若くして挑んでくる人には叶う限り1人前の木工職人への道筋を与えてあげたいと思う。

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  • からすうりが赤くなったところを見たことがありません。なぜなら盛岡では赤くなる前に寒さのせいで茶色になってしまします。羨ましい〜、レースのような花だけで我慢です。

  • >ai さん そうなんですか。
    緑→薄緑→ミカン色→橙色→朱赤→真紅→うす茶色→朽ちる、といった変化を見せますが、寒冷地では途中の華やかさが、中抜きになっちゅうんだ。
    大切に愛でねば罰当たりですね。

  • からすうり 実からとった種から芽が出ますか、植えてみたいですね。芽が出るようでしたら、種ほしいです。
    話し変わりますが、今年漆掻きしています。400cc取れた時もあります。結構興奮します。

  • >Tさん
    カボチャの種を小さくしたようなものが1つの実に20個ほど入ってます。
    しかし種からの栽培はとても困難なようです。
    根塊(雌雄有り)から栽培するのが一般的なようですね。
    純粋無垢の国産漆とバーターでお送りしましょうか(笑)

  • ははは
    株分けですか、わかりました。
    漆の苗木とのバーターでは?(笑)

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