工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

とるにたりない、ハンドルーターの活用法、その1

ハンドルーターによる 木端中心部への孔開け

ハンドルーターによる 板面の定位置への孔開け

木端の中心部へのハンドルーターによる孔開け、あるいは穴開けの位置決めについてのお話を。

超重量級のテーブル制作途上、
3×6(尺)サイズの天板で、厚みも50mmを越えると、比重1.0 とした場合、天板だけで90Kgほどにもなります。
こんな重量級の天板など、運送業者は顰めっ面して睨み付けるは必然で、制作者の私だっていやです。

なので、天板は2分割し、設置場所への搬入後、結合させることに。
そうしたケースに適合させる専用金具も市場から調達できます。
画像右がその〈天板連結金具


仕様としては、連結される板の木端側の位置にに36φほどの円形の孔を開け、
この金具のスクリューを落とし込む溝を切っておき、ここに金具を落とし込み、ナットで緊結するというもの。

ただ私としては、スクリューを落とし込む溝ではなく、これを隠すため、2枚の天板の木端間を貫通させるための穴を開け、ここに両切りのスクリューを通す方式にしています。

この金具を挿入させるための孔です。M6+αの孔を40mmほどの深さで開孔させねばなりません。
このような場合、高精度に開けるには、ハンドルーターが最良の工具です。
真芯に、高精度な径で、美しく開孔。
もちろん、ハンドドリルでの開孔が簡便ではあるのでしょうが、その特性からして、真芯に垂直に綺麗な切削肌で開けるには難があり、やはり木端面にベースを安定的に固定させられるハンドルーターの側に軍配が上がります。


さて、木端の中央への開孔はどのように。

昔はハンドルーターのベースにスピンドルを中心点として、材料の厚みに合わせ、挟み込むジグを作ったりしていましたが、そんな面倒くさいことは無用で、
FESTOOLのルーターの場合、スピンドルを中心に、左右2ヶ所にM6のネジが切られた孔があります。

ここにM6のボルトを建て、これで加工材の板面にこの左右2本のボルトが触れる位置までハンドルーター本体を捻れば、自ずから木端の中心部にルーターのスピンドルが位置させることができるというわけです。

うちには大小2機のFESTOOLのハンドルーターがありますが、いずれのベースにもこうした開孔があります。
たぶん、取説にも書かれていない程度のありふれた標準的な仕様の1つですが、使用者にとっては、大事な事柄の1つです。

なお、こうした木端面へのハンドルーターでのアプローチですが、やはり安定的な稼働のためには、軽快な機種が望ましいところで、8mmコレットのOF1010はその点でも最適なマシーンです。

Festool OF1010 Base
Festool OF1400 Base

他メーカーのハンドルーターは未確認(因みに日立工機の M12にはありません)ですが、皆さんが使っているハンドルーターではいかがでしょうか。
確認が取れましたら、またコメント欄などで教えてください。

鉋イラスト

次ぎに、Top画像の下は、同じく天板結合専用金具のための、板面への孔開けの様子。
天板連結金具の形状に合わせ、36Φのホールを作ります。

この孔開けも、位置決めは大切ですが、FESTOOLルーターの場合、ベース中心部の両側にセンターを指し示す欠き取りがあります。
ここに孔のセンターの墨に合わせれば良いだけです。

Festool OF 1400ベース、センター マーキング
Festool OF 1010ベース、センター マーキング

ところが、前述同様、日立工機の M12にはこうしたセンターを示すものはありません。
こいつはメチャクチャ旧い機種ですが、最新式のものを画像で見た限り、未だに付いていないようです。

他方、マキタの現行機種には、センターを示す欠き取りがあるようです(画像からの推認)。

こうしたところにも、電動工具メーカーにおけるユーザビリティの理念を推し量ることができそうです。
これは特段の技術的課題を要求されるものではなく、ただ、金型製造時にマーキング部位を付ければ良いだけの話し。

たぶん、その機種が木工現場でどのように活用され、どのような拡張性が考えられるのか、そうした視点の有無の問題なのでしょう。

ガンダムのような眼を引くデザインを重視するユーザーも中にはおられるのかも知れませんが、電動工具に求められるのは、その時代に産業機械分野で獲得されている高度な性能と、現場で求められている機能性です。
オーバースペックなものや外連なデザインを望む前に、木工現場の技術者を訪ね歩き、その機種がどのように使われ、そこで何が課題となっていて、さらには新たな拡張性を共に考える、そうしたユーザビリティの高いものをこそ開発していただきたいものです。

hr

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