工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

機械、電動工具をその性能、品質から考える(海外メーカーとの比較において)【その2】

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FESTOOL社との出逢い

この私のハンドルーター環境を大きく塗り替えたのがFESTOOL社でした。

FESTOOL社の電動工具ですが、恐らくは、いくつかを除けば、その性能と品質は多くの機種において、国際的な業界の雄として評価されるものであろうと考えています。

近年、米国の木工通販会社の大手、Woodcrafts社、および他の通販会社のラインナップを見ても、Festool社のものが席巻していることからも、その人気度が推し量れるでしょう。

ハンドルーター OF1400

OF1400

OF1400

この評価を確かなものにしたのは、私の場合、ハンドルーターのOF1400でした。(このBlogから)

これは驚くべき進化を遂げたマシンで、虜になってしまったと言っても過言では無いほどです。

詳細は、この機種のレビューを上げたページを参照頂ければ幸いですが、様々な新奇性に富む機構を搭載し、ユーザビリティ、品質の高さ、そしてそこから窺える企業理念の高貴さには、ただ頭を垂れるしかないほどのものです。


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  1. 駆動力の確かさ
  2. 回転安定度(電動機、および周辺機構部の精度の高さ)
  3. プランジのゼロアジャスト機構の確かさ+ 0.1mm単位での深さ微調整ダイヤル ⑤
  4. スピンドルの締め付け、解放はシーソーロックと1本のスパナ + ラチェット機構搭載 ④
  5. テンプレートガイドのツールフリーでの脱着機構(スプリング内蔵の2つの爪)⑥
  6. 集塵アダプタもツールフリー(レバーの操作 、ワンタッチでの脱着)ⓕ
  7. プランジ機構の2本のバーはオフセットに配され、アプローチが広い、
  8. 電源コードは手元でのワンタッチ脱着機構(いちいちプラグの抜き差しは不要)ⓐ
  9. ユニバーサル テンプレートガイド対応(専用ガイドの他に)Ⓒ
  10. 集塵アタッチメントの豊富さ、その集塵能力の高さ(99%の集塵効率)ⓔ
  11. フェンスアタッチメントの2本のロッド固定は1つのノブスクリュー ⑦
  12. クールなデザイン(シンプルなマシンとしての美しさ、黒のボデー色に、鮮やかな緑のアクセントカラー)

etc.

ざっと上げるだけでも、これだけ記さねばなりません。

商品評価の要素として欠くことのできない価格ですが、ご存じの通り、決して安価な部類ではなく、ハイエンドクラスといっても良いでしょう。
品質の差異+世界的なブランド力からくる、価格設定です。

資金力が潤沢であるはずもない私も、その導入を阻むものになりそうな最大の問題が、この価格であったことは告白せねばなりません。

しかし、その要素だけで導入を避けるという考えは、あまりに惜しいと思いましたし、それだけの理由でFestool/OF1400の魅力に打ち勝つことはできなかったというのが正直なところでした。


さて、こうした比較が果たして適切であるかの議論もあるでしょうが・・・、
例えて言えば、国内の日立工機、マキタ、リョウビが、日産、トヨタ、ホンダ、だであるとすれば、Festool社はダイムラー、あるいはBMWといったイメージ(国内工具メーカーの検証などは次々回ほどに詳述予定です)。

つまり、国内自動車メーカーは、性能的にも、燃費も優れ、このところデザインも洗練されてきている。
世界に誇るべき品質を持ち、販売台数も常に世界のtop争いをするほどに評価が高い。

しかし、ドイツ高級車と較べた場合、何かが違う。
いわゆるブランドイメージを越え、車としての本質的な資質を有し、車ならではの愉楽をオーナーに与えてくれる、何物か、と言ったような、いわば仕様書に示された様々な数値には表れない、メタレヴェルの差異とでも言い換えれば良いかも知れません(後ほど、詳しく検証していきます)。

品質+世界的ブランド力という評価から設定される価格帯も、たぶん決して不当なものでは無いはずです。(無論、ユーザーとしてはより安価な設定を望みたいものですが。加えて、日本国内での販売価格の異様とも思える内外価格差には呆れるばかりですが・・・これは本稿での検証領域を超えるもので記述の対象とはしませんが)

加え、優れた電動工具を使う快適さ、作業性の高さ、安心感、それらを満たす満足感というものは、価格の高さを抑えてもなお、優位性を持つものであると言うべきかも知れません。

私はダイムラー、BMWのオーナーになれるほどの所得も資産も無いので分かりませんが、恐らくは他車と較べた優位性に納得してのハンドリングだろうと思います。

木工での電動工具など、ただのツールの1つでしか無いワケですが、日々、困難な制作活動に向かう環境にあって、より優れた機械を使うのは、密かな喜びとしてあるというのは決して罪なものでは無いでしょう。

少し脱線気味で申し訳ありません。


さて、このFestool社のハンドルーター導入後はOF1400が最優先されて使われることになっていきました。
初期の導入の際には添付されていなかった数種のテンプレートガイド、ベアリング付きのアタッチメントなども充実させていくことになります。

ハンドルーターにおいて、倣い成形などにはテンプレートガイドの豊富な展開が望まれるわけですが、Festoolにはオリジナルないくつものサイズ展開(Festool アタッチメント)があるほか、いわゆるユニバーサル テンプレートガイドのためのアダプターが付属しており、既に所有していたものを使い回すことができたことも、評価における優位点であったことも付け加えておきましょう。

その後導入したDewaltのコンパクトルーター、DWP611(6/8mm)でも、このユニバーサル テンプレートガイドが使えるということもあり、これも購入への1つの動機付けになったという経緯があったのでしたが、このようにユーザー側とすれば、メーカーの垣根を越えたアタッチメント等の共有化は大いに推奨しておきたいところです。

国内メーカーにおいては、こうしたアタッチメント等の仕様の共有化の意志がなさそうに思わされるのは困ったものです。

ユーザーが同一ジャンルの工具においても、複数のメーカーのものを並行的に使うということは決してめずらしいことではないわけです。

これが低次元の「自社囲い込み戦略」だとすれば、少し勘違いなさっているのではと思わざるを得ないですね(その結果、そのメーカーのものは選択肢から外されてしまうという結果がもたらされるというわけです)

私なりに解釈すれば、電動工具としての高性能化は進んでいるものの、真の意味での「成熟化」はまだ遠いといったところでしょうか。


【参考資料】 

〈OF1400 Basic Setup/by Festool USA〉
[youtube]http://youtu.be/CMY1Bk3-V_g[/youtube]

〈Festool社イメージビデオ/ by Festool DE〉
[youtube]http://youtu.be/9WhiTvCFlFM[/youtube]

本稿 続く

hr

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 最近は個人輸入から遠ざかっておりますが
    Festoolの個人輸入事情はどうなっているのでしょう?
    Woodcraftは相変わらず「US以外には送らないよ」みたいな文言が
    見られますが、最近はAmazonが海外にも電動工具を送るようになっているようで、Amazonの仕入方法から推測すると、あまりメーカーからの締め付けを受けずに売れるのではないかと思ったりもします。

    • Festool社製品の国内流通ですが、ご存じの通りHÄFELE Japanが正規代理店になっています。(それまでは別の輸入商社が細々と商っていた)
      このHÄFELE Japanとの契約あたりから個人輸入への規制が始まったようです(2008年頃)

      amazon USAですが、私もFestool社の数種のアタッチメントをこのamazon USAから問題無く購入することができましたが、その当時、マシン本体はダメであったように記憶します。

      現在の状況は不明ですが、acanthogobiusさんの想定通りであればありがたいのですが。

      でも、別途料金が加算されますが、輸入代行業者を使えば入手は全く問題ありませんね。

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