工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

餃子中毒問題という憂鬱

餃子中毒問題はとても悩ましい。
中毒被害の実態は深刻であり、早急な原因究明が求められるが、01/30にアナウンスされて以来被害の方は拡大する一方、原因究明の方はと言えば日を追うごとに難渋を強めているような展開だ。
解明されている事象、専門家の見立てによれば、焦点はどうも事件性になびきつつあるかのようだ。
もちろん、現段階では殺虫剤が混入した原因を想定させるような“証拠”が上がっているわけではないので、安易な決めつけなどできようもなく、食品への毒物混入という緊急事態ではあれ、極力慎重な検証、解明、捜査に注力してもらいたいし、メディアにも節度を守った報道を望みたいと思う。
今日、全国展開しているあるラーメン屋で食事をした。
注文したのは担々麺と餃子。
食べながら思ったね。
このラーメン、餃子に使われている素材にはどれだけ中国からの輸入物が入っているのだろう?と。
現在日本の食料はカロリーベースで60%を輸入に頼っていると言われる。
中国からはその大部を占めているのだろう。
今日のラーメンも麺の原材料の小麦、かん水、ネギなどの野菜、肉エキス、ごま油、ゴマだれ、etc
恐らくはこれらのほとんどが中国由来ではないだろうか。


うちの食卓には、可能な限り地産地消を基本として調理したものを並べたいと考えてはいるが、実態はそうではない。魚類は中東から北欧から、肉もカナダ、オーストラリアからと、地球大的規模に拡散している。
もはや自己防衛にも限界は明らかで、リスクを覚悟で口にすることでしかまともな食生活はできないようだ。
外食ともなれば、全くと言って国産食材に限定するのは不可能。
可能な範囲、例えばコンビニ弁当などは口にしない、むやみに外食に依存しない、スーパーなどでの総菜を買うのは止めて極力自身で調理する。
などと言ったような自覚的な食生活を心掛ける程度に留まらざるを得ないか。
しかしこんな自己防衛など本質的な問題からの逃避でしかないようにも思えてきて、空しくなる。
日本という国は食料生産を他国に“まる投げ”することに転換して既に久しい(学校給食への米国小麦によるコッペパン導入に象徴される戦後米国の占領下以降の戦略)。
中国は改革開放という路線を敷き、共産国家でありながら資本主義への道へとまっしぐら。
こうした21世紀初頭のこの時代を象徴しているのが食材需給の偏在と言っても良いかも知れない。
してみれば今回の問題は誤解を招く物言いかも知れないが、起こるべくして起きた“事件”と言えるかも知れない。
問題の深刻さと、その影響、解明の困難さに横たわるのは、国境をまたいだ問題であるということ‥‥。
このラーメン屋、注文と同時に何故かゆで卵が食べ放題だといっていくつもの数の卵を置いていった。
この食べ放題という食文化はそろそろ止めにしたらどうだ。
このラーメン屋の裏口には、食べ残したゆで卵がどっさりと捨てられているのではないか。
まともな食事など摂れる環境にはないアフリカの子供達などを引き合いに出して較べるなどと言う青臭いことを言うつもりはないが、中国の人々と較べてもなお圧倒的とも言えるこの非対称は、この国の子供達の食に対する捉え方の基本を危めるものでなくて何であるか。
食は人間生活の基本。足を知り、つましく、そして楽しく、美味しく、健康的にいきたい。
ラーメンを食べ終えて、レジで店員に尋ねてみた。
「冷凍餃子、影響出ているの?」
「(小さな声で)はい、少し‥‥、(大きな声で)でもうちは自社工場で作っていますので安心してください !」
自社工場とは言っても、中国の工場であることに代わりはないのだろうがね。
ここの餃子は安価だが、まずまず美味しく食べられるものだった。

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