工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

本は書店から

オンラインショッピングがごく一般の買い物スタイルになってきているとはいえ、このところ本については極力書店で求めるようにしている。
amazonでも、他のショッピングサイトでも「あなたのお望みの新刊がありますよ」とメール案内してくれるのはありがたいと思う反面、余計なお世話(フン)と感じるだけではなく、それを越えてちょっと怖ろしくさえある。
なかなかリアルな書店では置ききれないレアな本、弱小出版社によるものなどについては仕方なく複数のネット書店で求めるが、一般の書物は地元の書店で買うようにしている。
年々経営困難になっているであろう地域の書店を少しでも継続経営できるように応援したいからね。(そんな些少の購入金額でどれだけ影響力行使できるの?という冷めた見方をする方には理解できないことだろうけど)


今日は過日言及した「ギフトの洗剤」を送り元のデパートに引き取ってもらいに出掛けた序でに地域では2番目の大きな書店になる「丸善書店」に立ち寄り、幾冊かの本を探し、求める。
美術書、建築書、人文書、コンピューター書、雑誌コーナーと、立ち読みを続け、新刊を中心に4冊ほど良い本が見つかった。
こうした大型書店は、ジャンル別の整理が行き届いているので、比較的探しやすく、ねらいの本は大抵見つかるものだ。
最近では店内に検索が容易にできる端末があるしね。
まだボクがこの端末操作に不慣れな時、後ろにいた2人連れの高校生と思しき女性たちが丁寧に教えてくれたものだ。
今日は探していた1冊が、端末では確かに入荷しているはずなのに見つからず、店員に探してもらうもなかなからちが明かなかった。
結局出てきたのは20分ほど経過してジャンルの異なる棚からだった。
以前、東京の書店グランデという神田神保町にある大型書店でのこと、各階がジャンルごとに仕切られているとはいうものの、ベテラン店員のひとりが、客の求めに応じてずばりその在りかを当てるということで驚いたことがあったが、そのプロ意識には脱帽するしかないと思ったものだ。
しかしどんな仕事においてもそうだろうが、その仕事に真摯に取り組み、プロ意識に徹するならばそうした“芸当”も驚くに値しないことか。
やはり棚に並んだ様々な装丁を楽しみながら、気になる本をパラパラと拾い読みしたり、目的の本を探し当て、小脇に抱えレジに並ぶのは、少しばかり知の欲求と消費の楽しみとしてささやかな快楽ではある。
ところで今日のニュースは少し気になることを報じていた。
大学生へのアンケート調査によると、読書というものをほとんどしない学生が増大しているのだという。
学生の本分は勉学と研究のはず。読書はその基本だと思うのだが、読書の習慣がない学生など大学にいくだけの理由などないはず。
無為徒食、親のすねをかじりながら4年間遊んで暮らすというわけだ。
アジアでのインド、中国、台湾、韓国の経済的台頭の影で、日本のこのお気楽学生が跋扈しているうちに、徐々にこの国は地盤沈下して劣等国の烙印を押される日も近いというわけだね。
帰路、JRの車内は若者たちに席を占められていたが、彼らにはひとりとして書物を手にする者はなく、ケータイ、ゲーム機の操作で忙しいようだった。

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  • 書店が本当になくなってしまいました。
    私は本を読まない部類に入るかもしれませんが
    書店で良い本が見つかった時の喜びはネットでは
    味わえないものです。
    以前勤めていた六本木で、交差点の角にあった書店が
    つぶれたのは高校生の万引きが原因だ、なんて聞いたことが
    あります。
    今勤めている所は本当に書店がありません。
    この辺の住民は本を読まないのかと思うぐらいです。
    商店街の中にも小さな書店ひとつありません。
    交通費をかけて書店に行く現状では、どうしてもネットで、
    ということになってしまいます。

  • 本を読まない私が言うのもなんですが、
    私がまだ 本屋さんには本のプロがいるんだと信じていた頃
    日本人なら誰でも知っていると思っていた本を
    「そんなタイトル、聞いたことないですねー」と言われて
    ずいぶん憤慨しながら家路についたのを思い出しました。
    たまに手に入れたい本など見つけ注文しようものなら
    「一ヶ月くらいかかりますけど?」。
    ….やはりネットはラクチンです。

  • acanthogobiusさん、
    その六本木の書店って、アマンドの向かいにあった誠志堂さんでしょうか。
    地域の書店は小さな文化スポット。子供達にとっては貴重な知への窓口。
    またボクたちにとっても、例えば日本橋の東光堂が廃業に追い込まれてしまったことは大きな打撃でしたが、これらはネット社会がもたらした弊害の1つですね。
    サワノさんのようにネット依存への評価も良く理解できるところですし、それが当たり前の社会になってきていますが、そうした至便性の裏には、実は失われていくものがあることも見ておきたいものです。
    書店というのは一覧性に優れ、書店員とのコミュニケーションから探し出せる本があるといったことから、立ち読みができる、リアルな感触(装丁)への評価ができると言ったことなどからも無くなっては困る業態です。
    サワノさん、怪我で仕事休んでいるのでしたら、読書できる良い機会ですね。

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