工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

小型インパクトドライバー・BOSCH vs マキタ

小型インパクトドライバー、BOSCH vs マキタ
一昨日ホームセンターに所用で出掛けた折り、新しい電動工具が目にとまったのだが、これにはちょっとびっくりさせられた。
それは昨年春頃に発売されている別のメーカーによるものと瓜二つのデザイン、スペックだったからだ。購入意欲もあるので、少しここで紹介しておこうと思う。
その似ているというのは、以前このBlogでも取り上げたことのある、BOSCHの小型インパクトドライバーである。(「小型インパクトドライバーはまだ続く」
まずはじめに、何故この小型のものに関心が向くかと言えば、主要には家具の扉の吊り込みにこれがとても有効であるためだ。
#1の木ねじの頭を舐めないためにはインパクト機構は必須だからね。
昨年6-7月頃に新発売されたBOSCHの「GDR 10.8V-LI 」というピストル型の小型インパクトドライバーについて、簡単に仕様から再確認しておこう。


・定格電圧:DC10.8V(1.3Ah リチームイオン)
・回転数 :0-1,800min-1(回転/分)
・打撃数 :0-3,000min-1(回/分)
・最大締め付けトルク:100N・m
・質 量 :1.0kg(バッテリー含む)
・充電時間:約15分(空→70%ターボ充電) 約30分(空→フル充電)
・価格  :32,500円(バッテリー2個、キャリングバック、充電器付)
一方、昨日店頭で見たのはマキタの「TD090D」という機種だが、画像のように駆体サイズ、デザインがほとんど一緒。
駆体だけではない、スペックもほぼ同様。
サイトで確認すれば、この機種発売のプレスリリース日付は2月25日になっている。(のんびり屋のボクと違い、早くもゲットした人も多いだろう)
仕様は以下の通り。
・定格電圧:DC10.8V(1.3Ah リチームイオン)
・回転数 :0-2,400min-1(回転/分)
・打撃数 :0-3,000min-1(回/分)
・最大締め付けトルク:90N・m
・質 量 :0.92kg(バッテリー含む)
・充電時間:約50分
・価格  :27,000円(バッテリー2個、プラスチックケース、充電器付)
デザイン、パワー、サイズ、価格、いずれも似たようなものだが、細かなことを言えば、LEDライトがいずれも付いているが、マキタが他機種同様1灯であるのに対し、BOSCHはリング状に3灯式となっている。
トルクはBOSCHが10%高い、質量はマキタが8%軽い、といったところか。
大きな差異は無いと見て良いのかな。
もとより充電式のこうしたインパクトドライバ、ドリルドライバー市場などは成熟しきっていると考えても良いだろうから、差異は細部に認められるぐらい。
しかしこの小型のピストル型というカテゴリーで見回すと、まだまだ実用性に耐えるものは多くない。
ボクはこれまではパナソニックの小型のものを長く使ってきたが、この故障をきっかけに先の記事を上げた直後にリチームイオンで対応してきたことに触発され、マキタの旧ペン型を購入し使っている。
しかし悔しいがとても使い勝手が悪い(パワー不足、ボデーが長すぎ、トリガー機構が良くない、など)。
そこでいずれはBOSCHのこのウルトラコンパクトボディのものを購入したいと考えていた矢先のことだった。
実勢価格もネットチェックではおそらくはほとんど差異はなく、どちらを選ぶかは試用してみてから決めたいと思う。
ポイントはパワーの差、使い勝手、使い心地、だね。
しかし、この瓜二つというのはどうなのだろう。上述したように、標準サイズのものでは各メーカー、各機種、似たようなものが氾濫しているのでどうということはないが、まだ出始めて間もないカテゴリーのこの2機種、当然後追いしたマキタはBOSCHをかなり強く意識したに相違ない。
マーケティングからして開発すべきと言う戦略を立てたのだろう。
いざ作るとすれば、BOSCHを上回るものを開発しなければマキタの名が廃る。
しかし、作ってみれば結局うり二つのものになってしまった、と言うこと?
これにはユーザー側からすれば大きく2つの見方があるだろうね。
まずは競合他社が現れたことで競争原理が働き、コスト的にも今後のバージョンアップにも期待ができると歓迎する向き。
恐らくは国内の販売網ではマキタが圧倒しているだろうから、こちらが市場での勝利者になる可能性大。
もうひとつの見方としては、あまりに似た形状、スペックにはいささか大人げない企業姿勢ではないかとの疑念を持たれることだ。
これを意識する側からはどちらにオリジナリティーがあるか、というところでの選択になるだろうね
企業理念と、その機種の開発に掛ける意志と独自の哲学なども考慮に入れたいという立場もあるのだから。
2週間ほど前だったかな、高齢者向けのケータイ機種でDoCoMoが先行し、後発のSoftbankの方のデザインが瓜二つだとして告訴されたというニュースがあった。
果たして電動工具の世界にこの話題を対照させるのは、少し無理があるかも知れないけれども‥‥。
別の視点から言えば、マキタは世界的な電動工具メーカーだが、果たしてドイツ本国、あるいは米国などでこの機種を販売しているのだろうか、それだけの気概があればウリフタツなどといった雑音は消えるだろう。
*画像はBOSCH、マキタ それぞれのWeb上カタログから頂きました。感謝 !
BOSCH GDR 10.8V-Li
マキタ TD090D

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • ここまでそっくり(ひょっとしてOEM品だったりして)だと、普段どちらのメーカーの物を使っているかで判断することにもなりそうですね。
    スウェーデンではマキタも見かけます(当該商品は確認していませんが)が、ボッシュの方が扱いは大きいです。

  • Ikuruさん、マキタの世界戦略は詳しくは分かりませんが、意欲的に進出しているのは間違いないですね。
    サイトでも信じられないくらいの数で海外拠点がリストされています。
    製品のラインナップにはこの機種はまだありません。

  • 私が所持しているBOSCH GDR 10.8V-Liは気温が低いと(5°以下)動作しません。メーカーに問い合わせたところ、ポケットなどでバッテリーを暖めてから使用してくれと言われました。

  • beetさん、私もこの「GDR 10.8V-LI」愛用者の一人です。
    リチウムイオン電池の放電特性ですが、低温になるとリチウムイオンの移動が困難になることで、セルの内部抵抗が上昇します。
    このため、電圧が低下し、駆動を停止させてしまいます(通常Liの単位セル電圧は3.6vですが3.0vほどへの低減で0vと判断され遮断されるようです)。
    使用メーカーもそうした詳細なデータが公表されることはあまりないようですね。
    したがってメーカーサポートのように環境温度が低いときには暖めて使うというのがカスタマー側での対策となるのでしょう。
    リチウムイオン電池の特性として受け入れるしかないでしょうね。
    (リチウムイオン電池は当面するこれからのエネルギー源として技術改良が著しく、こうした問題も克服されるかもしれません)
    詳細は「ペイサン」というサイトが詳しく解説していますのでご参照ください。
    http://www.baysun.net/lithium/lithium10.html

  • artisanさん、丁寧な解説ありがとうございます。
    私はGDR 14.4V-Li(差し込みタイプのバッテリー)とマキタの14.4Liも使用していますが、0°以下でも問題なく使用できます。
    ほとんどの充電工具をBOSCHで統一し、性能的にも満足していただけにGDR 10.8V-LIは残念でなりません。
    ただの愚痴ですので聞き流して下さい。

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