工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

遅咲きデビューの親方(TV出演)

日曜日の朝、Macの増強に奮闘しているところにどうしても邪魔したい、とやってきたのはボクの元親方、Fさん。
この取込み中にどうしたのよ、と半分正気で眉をひそめ対応したのだったが、要件は材料を回してくれ、とのこと。
地元のTV局、SBSの番組に取り上げられることになって、そのための新作に使うものだという。
既に数日前からカメラクルーを伴って工房に何度も訪れているらしい。
制作するのはビックサイズのロールトップ、ライテングビューローだという。
しかもロールには地元清水の三保の松原(羽衣伝説のあれだ)から眺める富士を象嵌で描くのだという。
どうも一世一代の仕事に取りかかる決意であるらしい。
しかし必ずしも無謀なことをやろうというのではないことは弟子のボクが保証しよう。
何となれば、ボクが世話になる数年前に、象嵌こそ施さなかったものの同様の
ビューローを見事に制作していたのだった。
しかし話しがどうもちぐはぐ。


地元TV局というのはSBS・静岡放送。しかしキー局はテレビ朝日なのだという。
そりゃおかしい。SBSはTBS系列だからね。
静岡のテレビ朝日系列は、れっきとして静岡あさひテレビという局がある。
それが実はおかしいと判断したボクの方が間違っていた。
親方の理解は間違っていなかったのだ。
番組名は「発見・人間力」というものだが、サイトでその後確認すれば、「財団法人 民間放送教育協会」というところが企画するものだと判明した。
つまり文科省からの協力を得て、「財団法人 民間放送教育協会」が企画し、これに加盟する放送局が制作に当たる。ということのようだ。
今回の親方の番組はテレビ朝日がキー局として音頭を取るが、取材、編集は地元のSBSが担う、という構成なのであろう。なるほどね、そうした番組編成もあるのか。
この番組のコンセプトをサイトから借りれば

魅力ある人の人生は、ドラマチック! 挫折を乗り越え、目標に向かって走る姿には、 素晴らしい「人間力」が宿っています。 人生の達人から学ぶことは多いはず。 きっとあなたの傍にもいる、 素敵な人間力溢れる人を追うドキュメンタリーです。

まさにF親方にぴったし。
ボクより一回り上の年齢ながら、いまだ現役バリバリ。仕事の質もスピードも落ちてはいないとは、彼の仕事をよく知る問屋の話しだ。
ボクにとっては訓練校を出たとはいえ、右も左も分からない小僧をまともに育成してくれた恩人であり、今もって師匠でもある。
ボクが自身の仕事を恥じないものとして取り組むことができるのも、親方に恥を掻かせないための矜持というものがあるからなのかもしれない。
またいずれ、大変な仕事なのでお呼びも掛かるだろうから、その際にTVクルーに番組のことなどを詳しく聞いておこう。
放送日などは未定。

《関連すると思われる記事》

                   
    

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.