中野和馬・回顧展(その2)、追悼コンサート
ありがたき哉、故郷は ‥‥、といった暖かな雰囲気に包まれた中野和馬展だった。
会場は島田市博物館、分館。古民家の佇まいを持つ空間、そしてその中庭一帯。
作品は年代ごとに展示されていたが、それぞれの時代に纏わる近景、したがって例えばコペンハーゲンでの仲間たちとの交流などの写真も、生きた証しのように掲示されている。
昨日、Blogに上げた器は2000年代に黒田陶苑で行われた個展で発表され、人気を博したシリーズの1つであったことも知った。
静岡市内の小さなギャラリーで開かれた個展会場で、好みの造形と釉薬のおもしろさで買い求めたものだったが、手持ちのものとわずかに異なる展示品の絵付けを見較べてしまっているのだった。
広い中庭には大きな壺を中心に様々な形の器が置かれていたが、良い試みだ。
竹橋の国立近代美術館や、都立現代美術館でも同様の中庭での展示方法を観ることがある。
中庭画像の大きな樹は「槙の木」。これも堂々たる造形美だ。
追悼ギャラリーコンサート、イエンス B-ラスムッセンさんのギターはとても良かった。
スペインものを中心に、ラテン系の作曲家のもの(Tarrega、Granadosなど)が選曲されていたが、良く知られたものもあり、打ち解けた雰囲気のコンサートだった。
ガット弦の音色はとても柔らかで、マズルカ、ワルツなどの舞踊音楽が多かったせいもあるが、静かな中にもリズミカルに弾んでいた。
デンマーク語でも話せれば、お国の民謡でもリクエストしたかったが、叶わなかった。
このギタリスト、和馬くんとはコペンハーゲンで深く交流し、来日時にも何かと世話を焼いたりという関係だったようで、鬼籍に入った今も、自分の心の中に、そして器の中に生きていると語っていた。
礼儀正しい青年だった。
年齢は和馬くんと同じで、明日が誕生日とのことで、演目が終わり、数曲のアンコールの後、気を利かした参加者からの♪Happy Birthday to youの歌は参加者全員の唱和となって、いよいよ恐縮するのだった。
画像、曼珠沙華は会場近くの掘り割りでのショット。
今が盛りだろうか。
まるで中野和馬の人生のようで、華やかに咲ききり、見事にさっさと散っていってしまう‥‥。
中野和馬 回顧展は10月16日までの会期。