工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ベッセイ SELF-ADJUSTING TOGGLE CLAMPS

画像の通り、そのままに解釈いただければ良い。
BESSEY®の新しいトグルクランプである。

公式サイトには、この〈Auto-Adjust Toggle clamp〉という呼称と〈SELF-ADJUSTING TOGGLE CLAMPS〉というのが混在している。
まぁ要するにアジャスト機構がフレシキブルな奴、と考えれば良いかな。

何が新しいかというと、1つの設定で、圧締する被加工物の厚みの差に関わらず、かなりの程度(0〜65mm)に対応してくれるという、これまでには無かった画期的な機構を持つ。(下に分かりやすい動画を貼り付けておこう)

うちでは倣い成形などでのルーター切削作業、面取盤切削作業などに、こうしたトグルクランプは欠かせない重要な道具になっているが、被加工物の厚みへの対応で苦労することがある。

ところで、うちではこうした作業での、このようなトグルクランプの動員は3割ほど。
残りは前後2ヶ所に被加工物を置くために、自作したクランプが3割(過去記事から
残り3割が、いわゆるルータークランプという特殊なトグルクランプを用いている(過去記事から

一般的なトグルクランプの動員が少ないのは、成形加工で用いる機械の切削刃に近い位置に、このクランプのヘッドが位置するため、機械の回転部に接触するリスクが高く、他の方法を取らねばならない、という問題が1つ。

それとともに、被加工物の厚みへの対応が狭い、という問題がある。
ご覧のように、圧締高さの設定は、ヘッドのスクリュー長さに規定されるので、したがってこれ以上の対応には、クランプのベース位置を嵩上げしてやるしか無いわけだ。

またスクリューをもっと長く取れば解決する問題だろうと思うかも知れないが、しかし過度に長いと、今度もまたヘッドが回転部に当たってしまうことになり、無闇に長くはできない。

こうしたトグルクランプ固有の困難を解決してくれるのが、この新しいクランプというわけである。

この自動調整機構の詳細は少し複雑なもので説明しがたいのだが、強力なスプリングが内蔵され、いくつかのカムを介し、0〜65mmまで、どの位置にあっても常に適切な圧締力を与えることができる。
この締め付け機構内部には小さな調整ボルトがあり、これを操作することで任意の圧締力を与えることが可能となっている。2,500 N (550 lbs) まで出せるとする。

また、このアジャスト機構に伴い、圧締部ヘッドが被加工物に対して傾斜角を持ってしまうという問題が生ずるが、これはヘッドがユニバーサルな動きができる機構となっているので心配には及ばない。

またベース部の固定のための穴パターンは複数設けられていて、とても使い勝手がよさそう。
一見小さなことのようでいて、作業者にとっては、とてもありがたい設計だ。
ハンドルもベッセイらしさというのか、手当たりが良さそうだ。

このクランプの信頼性、耐久性については、世界に誇るクランプメーカーの雄、BESSEY®であれば、疑うことも無いだろう。
世界の数多くのユーザーからその信頼性についてはお墨付き。

実際、試して見たところ、とても良くできたクランプだなと、感心しきりだった。
前回のFestool社の製品の開発理念と相通ずるところがあると思わされるが、いずれもドイツのメーカーというところでの通底する企業理念とも言えるのかな。

2種のサイズがあり、大きな方は0〜65mm、小さな方は0〜45mmの開口となる。
ただ別の資料では、2 3/4インチと2インチと微妙に異なっているのだが‥‥(まだ手元に無いので未確認)。
下のデータはBESSEY公式サイトの表記。


ピンルーターやら、面取り盤を使わない方々にはさほどの関心は無い小道具かも知れないが、うちにとっては朗報だ。

国内では未発売。販売されるかどうかも不明であるとか。
先の名古屋市内での国際木工機械展の会場で展示されていたものだが、国内ではどれだけの要望があるのか不明ということで、リサーチしているのだとか。
四の五の言わずに、取り扱いを始めなさい ! 。
うちで必要なのは、大小それぞれ1Pairだけなんだがね。

なお、気になる価格だが、米国のとある通販会社でのWeb価格を見ると、$19.99 とのこと。
ちょっと高めに設定されているのかな。

販売へのご要望は、BESSEY®日本総代理店の大同興業へ !!

*参照
adobe readerアイコン〈Auto-Adjust Toggle clamp〉
BESSEY®

YouTUbe〈Auto-Adjust Toggle clamp〉
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=ZmaS2rRDd48[/youtube]

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  • ああ、これも欲しい・・・

    • Ikuruさんとこの作業スタイルでも、これは欠かせないツールになるでしょうね。
      DOMINO XL とは違い、お小遣いほどの出費で入手できますし、

      続いて、次のエントリでも、舌なめずりしそうなマシンを紹介する予定ですのでご期待を !
      (旧聞で、もう所有しているかもしれませんが)

  • えー、今度は何が出てくるのでしょうか!?

    自動家具製造マシーン?
    あったらいいなあ(笑)。

  • これはすごーく良いですね。

    • ユマニテさんとこの加工工程では、度々使うと思われる、トグルクランプ。
      必須のツールですね。

      大同興業の営業マンを焚きつけてやってください。

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