BESSEY 万能ハサミの威力は
BESSEYクランプシリーズにハサミを加えて
Top画像はうちで使っているクランプ類の一部。
ご覧のように解説するまでもなくそれら全てはBESSEYというメーカーのもの。
右から
- ボデークランプ:K型
- F型クランプ:TD-TGK サイズ違いで2種
- レバークランプ:KLI
ときて、左はハサミだが、実はこれもBESSEY。
クランプ類は開業時に大同興業からそろえた20年を超える年期ものだが、ハサミだけは数日前にやってきた。
数年前から買わねば、と思いつつ、またEvernote導入後、いち早くデータを転記していたにも関わらず、結局購入機会が訪れずに放置してきたのが、このハサミ。
数日前、他の買い物をする際、そのショップで見掛けたコイツもポチッすることができた。
購買欲を刺激してくれるものであったのは確かだが、ついでがあれば、といった程度で推移してきたものが、年貢の納め時がやってきたという奴だ(わずかに1300円ほどのものだったのに‥‥ 苦笑)
まだ本格的に使ってみたわけではないが、さすがにBESSEYだけのものがある、という感じかな。
薄い鉄板からティッシュペーパーまで何でもござれの切れ味。
BESSEY社
ところでこのBESSEY社についての個人的思いを少し‥‥。
このBESSEYクランプをそれとして意識させられたのは、訓練校在校時のこと。
クラスメイトと共に日本橋 東光堂(洋書専門店)からの帰路、地下鉄で数駅先の八丁堀にある大工道具屋、「直平」に立ち寄った時のことだった。棚の最上段にはいかにも信頼性があるんだぜ、とばかりに黒光りする顎と、真っ赤なハンドルのTGクランプが目に飛び込んできた。
残念ながらその時は懐不如意で求めること叶わず、結局国産のつまらないもので間に合わせたのだった。
その後、開業時にクランプ類を選択するにあたり、そうしたものは終生使い続けていくものになるだろうからということで、何のためらいもなくこのBESSEYということになった。
決して安いものではないので、現在の保有数は大小合わせて20本ほど。
開業時から増強することもなく推移してきたのだが、5年前にKLIクランプがこれに加わっている。
そのあまりの軽量さと裏腹の高剛性と使い勝手の良さを誇る〈KLI〉は国内販売直後、恐らくネット上ででこのBlogがいち早く詳細に伝えたものとなったようだが(過去記事)、優れた機能性、使い勝手の良い高品質なクランプとして高い評価を与えたいと考えている。
良く知られているように、BESSEYは世界の全てのクラフトマン御用達のお墨付きのもの。
何よりクランプという道具において最も要求される鋼への信頼性が高く、そして使い勝手が優れている。
へたらず、曲がらず、バーに刻まれた溝がしっかりと位置固定をしてくれる。
上述した間に合わせのものは、数年で顎が曲がっていったが、BESSEYはご覧のように木製ハンドル部の劣化はあっても、金属部分はまったく変形がない。(ただこのボデークランプの方は期待するほどのものではなかった。
今では恐らくかなり改善されているものと思われるが、ボデーのアルミダイキャストの剛性が悪い)
こうした高い信頼性はむしろ木工業界より鉄工において広く知れ渡っていると思われるね。
万能はさみ(Aviaton snips D16/D16L/D16S)
さて、こうした優れた道具を世界に供給しているBESSEYだが実はプロ向けの多くのハサミを製造しているということは、この〈D16〉が販売されるまではあまり関心をもなかった。
まず使われている鋼は、クロムモリブデン鋼だが、そのグレードはいわゆるHSS[1] に属するものだ。(画像右:ボデーに〈CrM〉と記されているのが見える)
詳しく知りたいと思い、Webで探すと、国内情報では見あたらず、BESSEY USAでは
High grade steel cutting blades – up to HRC 59
HRC up to 62.5
と2つのデータがある。この解釈はちょっと分からないな。
製造のLotで異なったりするということがあるのか?
しかしいずれにしても、信頼性の高い高硬度の刃物と言って良いようだ。
さらに
Micro-serrations for slip proof cutting
とある。
つまり2枚の刃にはそれぞれとても細かい鋸歯が着いていることで、食い付きを良くしている。(画像下の拡大画像を参照)
なお、このシリーズでは曲面カット様に左右に振れた形状のものもある。
この16Sはいわばコンシューマー向けという感じだ。
価格も1年も経たずに使い物にならなくなってしまうようなホームセンター向け様のものと変わらない安さ。
したがってそのコストパフォーマンスはとても高いものがあると言って良いだろう。
そうそう、Top画像に撮られていないものがあった。
友人のTさんより数個いただいたものだが、〈PR65〉バンドクランプ。(現在はどうも廃番となっているようだ)
ごめんなさいね。
これはコーナー押さえが数種の角度に対応できるものとなっていて、さすがにユーザビリティーの高いBESSEYだなと、感じ入ったものだった。
今週のYouTubeは、したがってドイツに敬意を表し、FIFA日韓大会で耳にしたことのある〈Die Prinzen〉というバンドの「Deutschland」という曲を。
ロック調だがお国を称えるもののようだ。(ホントはドイツ代表のゴールキーパー・オリバー・カーンをモチーフにした曲も歌っているのだが、あまり良い動画が無かった)
http://www.youtube.com/watch?v=uI7ncxV9Q9c
■ BESSEY 総合カタログ(英語版140p PDF:25.3MB) かなり重いデータ量です。
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❖ 脚注
- HSS:高速度工具鋼 high-speed tool steel
いわゆる「ハイス」 [↩]