工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

夏は外での作業もいいかも

今朝は幾分凌ぎやすい曇天で始まったので助かった。
土場で桟積みをバラしての材料出しの作業だからね。
倉庫に収めたものでは飽きたらず、3年前に桟積みしたブラックウォールナットを引きずり出す。
含水率計を当てると、まずまずの数値を示してくれる。
候補の1.3、1.5、1.8分をそれぞれ数枚づつ。
60cm、3mを越える大きな原木からのもの。
2枚剥ぎで3尺〜幅の甲板が取れる勘定だ。
過去様々な材種の原木を製材し、天然乾燥させて使ってきたが、ウォールナットほどお守りの楽な材種はない。
暴れず、反らず、静かに第2の人生(家具材として使われる)へのスタートを準備してくれている。
もちろん若い小径木であれば、ウォールナットとは言え暴れもするだろうが、老齢で枯れた木味のものは落ち着いている。


材木工房へと搬送し、屋外でざっと白墨で仮の墨付けをし、撮影する。
曇天だったため、撮影にも、作業にも屋外での作業の方が具合が好い。
画像レタッチなどで完成イメージを出し、注文主へとメール添付。
ほどなく了承の返事があり、甲板の選木は決まった。
脚部は3.5寸に製材した板から取るが、これは5年以上寝かしたものを既に用意している。
以前OZONEに出展していたころの話し。この厚みの脚部で制作したテーブルを出していたのだが、隣のブースの工房主曰く、こんなウォールナットの厚板、どうやって手に入るの?
見れば薄い板を数枚矧いで角材としてテーブルを設えていた。
自身で原木を求めれば、いくらでも好きなように製材できる。
ボクらの工房家具とは、現代社会の制作環境の中で、可能な限りに良質な仕様で制作するというのが基本と考えるが、これは古来より当たり前にやられてきた基本的な家具屋の姿勢だろう。
コスト追求の考えから、既存の流通市場から材木を求めることで、厚板を入手することが困難となるというのは、一般の家具工場などに見られる方法。
しかし通常のサイズのテーブルの脚を矧いで構成するという一般工場のような手法はボクには馴染まない。
言うまでもなく、美しくない、矧ぎはいずれ切れるというリスクがある、制作者の努力、誠意の有無、などからである。
本来の家具つくりでは顧客の要望の度に材木屋に聞いて回るのではなく、数年後を想定しての用材の準備を怠らず、自身の制作環境の中で完結するような態勢でありたいと思う。
何事も安易に臨むことでは良い結果を獲得することはできない。
少々のリスクを抱え、資金投資し、材木管理し、暑い最中でも桟積みを厭わないだけの“意志の力”を持つことはさほど困難なものではないのだから。
この仕事の最中、週末には納品を控えている3人掛けのソファの張りが仕上がってきた。
張り屋さんと今年初のスイカをかぶりついた後、このソファの最後の仕上げ塗装に入る。これも曇天で、あまり風もないので良い環境で塗り上げることができた。
(曇天とはいえ、自然光であるため影が出来にくく、塗装のような仕事は向いている)
なるほど‥‥、屋外での作業もなかなか悪くないな、

《関連すると思われる記事》

                   
    

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.