工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

板剥ぎと白髪

板矧ぎ

画像は板矧ぎ、圧締中のもの。
ご覧のように方形の木取りになっているが、円卓の甲板になる。
うちでの板矧ぎの方法は様々。
薄いもので600mm以内であれば普通のハタガネを使うことも多いが、このようなテーブルの甲板であれば、溶接屋に特注した板矧ぎ専用のクランプを用いることが一般的。
以前、横浜のダニエルの工場見学をさせていただいたときにも、同じようなクランプが使われていた。
無垢板の剥ぎには結局こうしたWタイプのクランプが良いようだ
うちのものは信州で一般的に用いられているものを参考に作ったもの。
このクランプの特徴は‥‥、とここまでタイプして思い出した。過去、このBlogで記述していたっけ(こちら
要するに、両方向から力が均等に掛かるので圧締しやすい、使いやすい、しかもTop画像にもあるように、矧ぎ口部分でビミョウに折れ曲がったりしがちなところを、クサビを咬ませることで修正が簡単にできることを特徴とする。
ただスクリューの長さの制約があるので、巾への対応が十分ではない。
ダニエルのものにはバーに10cmほどのピッチで穴が穿たれており作業性が高いようだった。
今回、うちのクランプの最大のサイズ(1.25m)を越えてしまう大きさのものであったので、中央部はポニークランプで対応させた。
円卓であるので、端の部分を欠き取ることで、本来の剥ぎ専用クランプをかろうじて対応させた。
ウォールナット材の甲板、1,300mmの巾を白太部分を入れずに3枚剥ぎという、かなり贅沢な木取り。
剥ぎ終わった後、1人で振り回せるのか知らん。
せっかくだからここで板剥ぎのポイントを。


〈プレナーの巾に納まるサイズ〉

  1. 片面だけ手押し鉋で基準面を取る
     (使われる個所で様々であり、ケースバイケースだが、木表、木裏を交互に並べるというのを基本としている)
  2. 剥ぎ口を手押し鉋で取る(中透きに取るが手押し鉋をそのように再調整するー工場などではそのための専用の手押し鉋を設置することも多い)
    あるいは長台鉋で取る
  3. 接着作業
    (それぞれ、基準面のレベルを合わせ面一とする)
    (ハタガネは表、裏、交互に中央部から外へと締め付けていくー中央部から締めるというのは、面一を確認しながらの作業のため。
    外側から締め付けていくと、面一の微調整ができない)
    接着の際のボンドは多少はみ出ても、プレナーを通すので神経質にならなくて構わない
  4. 乾燥を待って、あらかじめ削っておいた基準面を基準とし、プレナーを通し厚み決め
  5. 仕上げ

〈プレナーの巾を越えるサイズ〉

  1. それぞれプレナーを掛け、厚みを決めておく
  2. あらかじめ鉋掛けして仕上げておくのが良いね
  3. それぞれ既に仕上げてあるので、剥ぎの際に目違いを極力無くすような方法を取る。
    うちでは一般に雇い核(やといさね)を入れる。
    特殊な場合にはLamelloを使うこともある。
    (今回は円卓なので雇い核の小穴範囲が定まりにくく、Lamelloを使う)
  4. 接着作業
    雇い核を入れることで、目違いはほとんど無くなるが、末端(木口)部には個別に目違いを抑えるようなクランピングをするのが望ましい。
    ボンドのはみ出しなどは極力避け丁寧に、滲み出すものなどは良く拭き取っておく。
    (過度に水分を与えるのは芳しくない)
  5. 乾燥を待って、目違いを払いつつ仕上げ鉋を掛る。
    (PIボンドなどは数時間で圧締は十分だが、接着面に供給された水分が完全に乾くまで、鉋掛けなどは避ける。(気象条件にもよるが数日は掛かると見た方がよい)

そうそう、それと接着作業の時は帽子を被ること。
‥‥、これは半分冗談だが、
今日の接着作業を終えて数時間後、頭頂部に違和感を感じた。
髪の毛がごわごわして、地肌までヘン。
ボンドが付いちゃっていた。鏡を見れば、その部分だけ集中的に白髪になっちゃった感じ。
完全にくっついちゃっている。PIボンドだからね。
Lamelloの穿孔個所にしっかりとボンドを入れたことで、平ダボを打ち込むときにピュッとボンドが飛ぶんだね。これが頭頂部をねらった、というワケ。
‥‥、どうしたの職人さん、一気に老け込んじゃった?などと聞かれそう。

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