BESSEY〈Auto-Adjust Toggle clamp〉
BESSEY®の新しいトグルクランプについては昨年11月の名古屋国際機械展で現物を確認し、ぜひ導入したいと考えていた。
それらの仕様については、この前回の紹介記事(こちら)に譲るが、現場で使ってみての感想を記しておこう。
一言で言えば、機構的にとても良く考えられ、またクランプにおいてはTopメーカーだけのことはあり、信頼性の高いものと見た。
先に紹介した通り、これまでは咥える被加工物の高さへの対応は、トグルヘッド部分の高さをいちいち適切な位置に調整しなくてはならなかったわけだが、これがかなりの範囲において調整不用となっている。
これが最大のウリであり、事実、その利便性はとても高いものがある。
今回は3次元の曲面成型のための倣い切削で使ってみた。
3次元の被加工物は、同一物であってもその加工プロセスにおいて、高さが変わってしまう。
上述のように、これまではヘッド部分の高さ調整が求められるものだったが、このトグルクランプでは、そうした調整は不用であり、大いに助けられた。
この加工は、例えばピンルーターであったり、あるいは高速面取盤といったような、切削力がとても高く、高速回転の機械でのものとなるので、固定は大変重要な課題となってくる。
そうした要請に対し、極めてフレシキビリティーに富み、信頼性の高いツールとしての登場であると言って良いだろう。
昨年の市場投入からかなり経過するものの、今もって、公式サイトでも盛んににアピールしているが、世界的にヒットしているのではないかと思われる。
http://www.bessey.de/en/index.php
BESSEYの製品群の主たる対象産業は恐らくは鉄工だろうし、木工においてなどは、ほんの一部の数寄者しか使っていないかも知れない(もしかしたら、本業よりもアマチュアの人たちの方が多いのでは?)。
しかしぜひ、ルーター、高速面取盤などを使うところでは試用してみる価値はあるだろう。
前回の紹介記事と重なってしまうだろうが、簡単にその特徴をリストしておこう。
- 全体的に:高い剛性
- 被加工物の高さへの広い対応力
- 締め付け力の調整可能(矢印②)
- ヘッド、押さえ部分はユニバーサルな機構(角度が自在に変化対応)(矢印①)
- クランピング作業が堅牢(しっかりと締め付けられ、安心感が高い)
- デザイン(トグルクランプとしての構造力学、および作業者の使い勝手としての)の秀逸さ
画像下はうちで使っているトグルクランプの代表例
- Auto-Adjust:STC-HH70
- Auto-Adjust:STC-HH50
- これまでメインで使ってきた米国製
- カクタクランプ
- 庄田ルータークランプ
- Auto-Adjust:STC-HH70
今後うちで使われていくものは、このAuto-Adjustを除けば、〈庄田ルータークランプ〉ぐらいか。
なぜ、この〈庄田ルータークランプ〉が残るかと言えば、ご覧のようにヘッドが薄い鉄板であるためだ。
つまりピンルーターの場合、ルーターの主軸にこのトグルクランプのヘッドが近接するため、スクリュー軸が当たってしまうリスクが常にあるのだが、この〈庄田ルータークランプ〉ではこうしたリスクからフリーであるということによる。
motoraji
2012-8-1(水) 23:28
以前から気になっていましたが、よくあるアイデア先行の「便利グッズ」的にも見えたので、値段相応の価値があるのか判断しかねていました。レビューを読むとその心配は無さそうですね。
例のように材料のサイズがその時々で変わる場合や、1つのクランプを様々な型に使い回す場合など、使い所によってかなり有用性がありそうです。
artisan
2012-8-2(木) 07:49
motorajiさん、仰るように価値のある“画期的”なツールです。
高さ対応力、というのは、複数の高さの被加工材への対応ということはもちろん、
微妙な差異(誤差)にも適切な圧締力を発揮する、ということでもあるので、
全般的に信頼性が高くなる、ということでもありますね。
優れた木工家は優れたツールに取り囲まれ、快適に、クールにいきたいものです。
国内の「カクタ」開発部門もがんばってほしいのですがね。