工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

五月

“五月晴れ”、とは本来は梅雨の合間の晴れ間を指すとのことだそうだが、皐月を迎えた今日はとても良いお天気だった。
この時季、以前は新宿伊勢丹本店で「モダンクラフト展」という工芸品の展示会があり、企画者から声を掛けられて毎年いそいそとトラック満載で出かけたものだったが、家具に併せ会場のディスプレー用に使ったのが花菖蒲だった。
一度だけ壁に大きな房をぶらさげた藤の枝を掛けたことがあったが、やはりボクはこの花菖蒲が好きで、伊勢丹別館1階にある花屋で求め、まだ蕾の状態の花菖蒲を生けたものだった。
スックとした姿形で、凛と咲くこの花は、その高貴な色とともに華やかに演出してくれる花だった。
数日後には大きな花びらを広げ、そして会期最後の頃には、それもしぼむと同時に2番手の蕾が膨らんでくるのだった。
花菖蒲の写真でも貼り付けたいところだが、残念ながらそうした暇もなく、せっせと出品作にワックスを施し、金具を取り付け、梱包作業に精を出す。
朝晩は冷え込むものの日中は20度近くにもなり、やがて作業着は邪魔となり一枚一枚と矧がしていくほど。
風も強めであったため、塗装も効率よく乾き、そして全てが順調。
5月と聴けば回想させるのがパリ・カルチェラタンからはじまった一千万人の学生、労働者ゼネスト。
自由と平等と自治を掲げた、パリの最も美しい5月の空の下での異議申し立てのゼネストはシャルル・ド・ゴール大統領の肝を冷やし、やがてその志とパッションは全世界へと拡がっていった。1968年のこと
無論この時期、日本でも戦後最も熱い政治の季節が燃えさかっていったのは知っての通り。
閑話休題。
いずれ時間が取れればしっかりとした記事を上げねばと考えているが、
2010 FIFA World Cup South Africaがもうすぐそこに。(日本代表
しっかし日本でのこの盛り上がりの低さはどうしたことだろう?
もう週末が6回やってくれば南アフリカから全世界へと歓声が届けられるんだぜ。
熱しやすく冷めやすい、昨今の日本社会の普通の在り様と見れば、そんなものかと納得するしかないのか。
ま、頭を冷やして、今日のところは1968年、美しいパリの5月に敬意を表して
ジョルジュ・ムスタキ(Georges Moustaki)の『Le Temps De Vivre』
ムスタキ、デビュー翌年に放った5月のパリを題材とした楽曲。

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