工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

セミの脱皮と環境変化

セミの抜け殻
厚い雲が天空を覆い、ここ数日晴れ間が見えない。
先の大型台風の通過後も台風一過とはいかず何ともメリハリの悪い陽気ではある。
業務もしたがって湿潤な大気から大きな影響を受けにくい椅子の制作に専念するなどで凌いでいる状態だ。
そろそろ梅雨末期の時季でもあるので、今しばらくの辛抱だろうか。
今日の仕事は少し早めに終え、まだ明るさが残る庭に出て、植え込みの方に目を懲らすと茎をいっぱいに伸ばし、今にも咲きそろいそうな百合に黒いものが張り付いているのが目に入った。
蝉だ。しかもクマゼミ。視線を右に移すと、このクマゼミのものかは不明ながらも、抜け殻が1つ別の百合の茎に張り付いている。
そうか、蝉の季節だね。餓鬼の頃は夏休みの絵日記のために朝早く起こしてもらい、近くの里山に出掛け蝉の脱皮を観察したものだ。
そしてそれから半世紀を超えて、また絵日記ならぬ写真Blogに記録するという変わらぬ夏を迎えている老いさらばえる餓鬼という訳だ。
カメラを持ち出し撮影を試みていたら、近くの同世代の夫婦がウォーキングで通過する。「何撮ってるの?」「見て、見て !」と指さす。
婦人が顔をほころばし興味深く見入る。
「でもおかしいわね。この抜け殻はアブラゼミのじゃないかしら?」と婦人。
「○○さん、あなた良く知っているね。まるで研究者みたいじゃない」
夫の方は良く分からないという風。「▼▼さん、子供の頃脱皮を観察したでしょ、えっ、したこと無いの? あんたまるでシティーボーイかい」(根っからの地元田舎育ちなのに)
と両者の異なる反応を茶化す。


抜け殻が果たしてどの種類のものなのかは、研究者ならぬ、へたれブロガーという身なれば追求の意欲があるわけではない。
ところが地元紙の今日の夕刊に「セミの抜け殻送って」という記事がきていた。
セミの抜け殻を探して全国的な環境の変化を調べてみようという、日本自然保護協会などによる「自然しらべ2007」への協力依頼の内容だ。
半世紀後の餓鬼が送るのはかわいらしくも何とも無いので、明日近くの小学生の男の子に来てもらって、これを採取してもらうことにしようと思う。
さてしかし、件の抜け殻だが、この「セミの抜け殻送って」サイトから提供されている「セミのぬけがらのしらべかた」というイラストで検証すると、やはりクマゼミのようであった。
クマゼミ撮影後この百合に停まっていたクマゼミに近づくも、全く挙動を示さない?
活きているの?、と親指と人差し指で胴体を掴むと、難なく捕まえることができた。ジーッ、ジーッと騒ぎだし羽をばたつかせる。あわてて空高く放つ。
しかし落下しちゃう。地上でばたばたさせながらもがくが、しばらくしてやっと飛び立っていく、そして頼りなげながらも大空へと舞い上がってくれた。
拍手 !!
わずか7日間の地上での生命と言われるセミ。梅雨空でかわいそうだが、少し時季を間違えたのは君のせいではなく、地球環境の悪化の兆しなのかもしれないからね。
その黒光りするダンディーな容姿でぜひカップルを見つけて元気なDNAを伝えてやって欲しい。
子供さんが近くにいらっしゃる方はぜひこのサイトURLを伝えてやって欲しいですね。
日本自然保護協会
夏休み セミのぬけがらをさがせ
セミのぬけがらのしらべかた pdf

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