工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

“プロダクト的思考”と“手作り家具”(その10)

枘の割り付けを合理的に考える(図面からの再論・その3)

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扉、戸の框組

扉および戸の框組に関する枘の割り付けですが、駆体の帆立そのものとさほど変わりませんので、特筆することは無いでしょう。

ただ数点、知っておいていた方が良いだろうと思われることなどにつき、思いつくままに記述していきましょう。

リストすれば以下のような事柄になります。

  • 面腰の枘に関するチップス
  • 蛇口の枘に関するチップス
  • 戸の建て付けに関するチップス
  • 扉、戸のへのガラスなどの納まりについて
  • 扉の召し合わせについて

以下、逐条的に解説を試みたいと思います。

〈面腰の枘に関するチップス〉

面腰:枘と枘穴の関係

面腰:枘と枘穴の関係

面腰は1ヶ所につき胴付きが2個所になりますので、これを正しく結合させるには高精度な加工が求められることはご理解頂けると思います。

つまり、枘本体の真の胴付きの他、留めの接合する部分も胴付きになりますので、この2つを高精度に密着させるため、慎重な加工が必要ということになります。

ここで1点注意しておきたいことがあります。
枘穴と枘の関係ですね。

木口側は、枘と枘穴は正確に加工することはもちろんですが、
内側、つまり留側の枘穴、あるいは枘はやや逃げ気味に関係させることが大切なポイントです。

正確な位置に枘穴を穿った場合、胴付きはとても硬くなり、設計通りに密着させることができないことも生じがちです。

そこで内側(図版、矢印部分)の枘は1mmでも良いので逃げておいた方が胴付きは密着しやすくなります(図示 A)。

つまり経験不足から来る過度に丁寧な加工の結果、肝心な胴付きの密着を阻むことにもなりかねないということになります。

実はこうしたWの胴付きのケースというのは、木工作業においては少なからず出てくるものですが、肝心のところを間違いなく密着させるため、見え掛かりで無い胴付きの方はビミョウに逃げた方が良い結果をもたらすことは良くあります。

〈蛇口の枘に関するチップス〉

蛇口:枘と、その肩

蛇口:枘と、その肩

蛇口の枘ですが、鏡板、ガラスなどが入ってくる側についても、あえて肩を付けず、3方胴付きにしておくのが一般的です(図示 B)。
ただ、枘の厚みと、鏡板、ガラスの厚みの差があまりに少ない場合には、肩を付け、4方胴付きにすべきでしょう。

戸の上下端は外部から見えませんので、小根付きでも差し支えありませんが、扉は見えてしまいますので、小根は設けない方が良いでしょう。
何でもかんでも仕口を外部に見せるというのは、私は好みません。

美しく無いです。(ピート・ロ−ズの記録を追い抜いたイチローが「努力している姿を見せるものじゃないでしょ・・・」と言ったことと同じでしょうか、少し違うかな? 笑)

〈戸の建て付けに関するチップス〉

引き違い戸の敷居、鴨居の溝

引き違い戸の敷居、鴨居の溝

一般的な引き違い戸の場合、敷居、鴨居ともに、2本の溝が切られることになりますが、加えて防虫のためなどで、左右、それぞれ片方に溝を切ることも多いと思います(図示 D、および画像)。

このことで、見付け側から見た場合、この溝を切ったところに隙間が生じることにもなりかねません。
柱側、2mmの深さの溝であれば、溝幅で2mm分、空いてしまいますね。


引き違い戸の敷居部分

引き違い戸の敷居部分

これを避けるため、私の場合、この敷居、鴨居の溝の位置に、棚口、柱接合の2枚枘を合一させることにしています。

これにより、枘の長さ分だけ、いくら溝を切っても、隙は表れません。
(職業的家具屋でも、このあたりはいい加減なところがあり、隙を見掛けることがあります)

〈扉、戸のへのガラスなどの納まりについて〉
今回のテーマからは外れますが、扉、戸へのガラスなどの納め方について、少し事例を紹介します。

鏡板のようなものは嵌め殺し(おぉ、怖!)でも構いませんが、ガラスは破損を前提として、取り外し可能な構造にする必要があります。

作業場のウォールキャビネット

作業場のウォールキャビネット

代表的な方式は、以下4つほどか。

  1. 四方、押さえ縁(特段の解説は無用でしょう)
  2. 上下、行ってこい、左右、片側は奥行き×2で欠き取り、1本の押さえ縁(画像左、その下)
  3. 上部の横框を2分させ、ここから落とし込む(過去のBlog記述を参照)
  4. 束がある場合、上は行ってこい、左右は、束を取り外し可能な構造とすれば良い(画像Top、および下、下)。



1本の押縁

1本の押縁

どれを選ぶかはケースバイケース。
構造的堅牢度、見栄えなどから選択すれば良いでしょう


Top画像(カップボード)、裏から束で押縁を

Top画像(カップボード)、裏から束で押縁を

リスト4番目・右画像の解説

  • ① 束:表側はガラスの位置でカットしてしまいます。
    本件の場合、上下全域を1つのパーツとして木取り、面腰、および相欠きの加工を施します。
    裏側は3つに分けて木取ります。それぞれ、幅の両側に押さえ縁様に欠き取ります。
    これらの両端は面腰に合わせ、留めに切り、ピタリと納まるように加工します。
    最後に適宜、木ねじの先穴を開けておきます。
  • ②、③ 貫:貫の上部はガラスの納まり分だけの深さで小穴を穿ちます。
    下部は行ってこいにしますので、×2+αの深さの小穴を穿ちます。

これらを満たせば、裏側の束を外した状態で、左右、上下、計6枚のガラスは行ってこいの要領で嵌めつつ、束の部分から両端の小穴へと嵌めていき、最後に裏の束で固定することができます。

因みに④ですが、これは前回解説した部位になりますが、棚口にせり出させた地板を扉のストッパーにした事例です。

〈扉の召し合わせについて〉

扉・召合わせ

扉・召合わせ

観音開きの扉の場合、左右が合わさる中央部には、一般には召し合わせという、装飾を兼ねた部材を設けます(図示 C2、およびTop画像)。

〈召し合わせ〉とする呼称が一般的だろうと思いますが、私の親方は〈拝み〉と言っていました。なるほど、言い得て妙ではありませんか。

親方から弟子へと伝えられる技法には、常にそれらを伝えるための職人的“符牒”と言うものが付随してきたものと思われます。

そうした技法伝承が失われて久しい現代にあっては、符牒さえもが愛おしく思えてくるものです。

鉋イラスト

少し余談ですが、ある木工所のショールームに飾ってあった漆塗りの豪華なタンスの、観音開きの扉。
合わさる部分の縦框の幅がビミョウに違っていることに気づいたのです。
・・・こうしたところは、直ぐに目に入るものです。

さて、どんな意味があるのかなと一瞬考えさせられたものですが、左右が合わさる部分の背部は相欠きにされているのですが、表側を欠き取る左側の扉の縦框が、欠き取った分だけ幅が狭くなってしまったというわけです(図示 C1)。

まぁ、一般には、欠き取る分はフツーはあらかじめその分幅広く木取るのですがね。
こういうのは「逃げ」とは言わず、やっちゃいけないポカですね。
麗々しく飾っているものに、こうしたことがあることに言葉を失ってしまうのでした。

この召し合わせですが、あえて設けず、上述C1のように、後ろで相欠きにするだけで、隙は見えませんので良いと思いますが、少しドレスアップの意味合いから召し合わせを設けることは良くあります。

このことで、合わせ部分の季節要因、経年変化などからの隙を隠すことができますね。


「枘の割り付けを合理的に考える」は、ここでとりあえず、オワリにさせていただきます。

枘という仕口は、木工という技法の体系にあって大変重要なものです。
構造体の堅牢度、剛性などは、この枘の接合度に大きく左右されます。

したがって、この枘の設計、加工は大変重要な部位になってくるわけですが、それだけにまた、ここをいかにスマートに適切に行うかは、その家具の構造を決定づけるものになると同時に、無理、ムダが入り込むところでもあり、加工時間の過剰さにも繋がる要素であり、よくよく考え、設計し、あるいは設計通りに加工できるように修練していくことが求められます。

朝日新聞社の「暮らしの中の木の椅子展」であるとか、伝統工芸展でも、巡回中に破損してしまったという話しも漏れ伝わってくることからも、かなりの力作においても、枘の安易な設計、加工が問題になることさえあり、ましてや普段の仕事においては、手抜きへの誘惑も無いとは言えず、注意せねばいけないところです。

DOMINO、Lamelloなどの場合

ドイツFestool社がDOMINOを開発リリースし、世界を驚かせたのは、今から10年ほど前でした(こちら

いわゆる枘に変わる、電動工具による枘穴+平ダボの加工という画期的なものでした。
またLamelloでもビスケットの構造を進化させ、枘として機能させるようなものを数種出してきています。

これらの新奇性のある電動工具による枘加工をどう評価するかですが、これらのマシンは、通常のスタイルでの加工が困難な個所に補助的に使う、あるいは仮組、あるいは現場作業での枘加工などにおいて活躍してもらう、ということで考えていきたいものです。

これらのマシンならではの得意な分野もあり、適正に評価するとともに、普通一般のところにおいては昇降盤と角ノミでの枘加工が、精度的にも、接合強度的にも、加工速度からも、容易さからも、やはり優位であることに違いは無いのですから。

hr

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 扉の納まりで面付けにしないほうが
    湿度・埃、人の呼吸や動作でうつる油気など、
    扉と構造棚口・地板・支輪下の
    納まり欠き込みがキャビネット類の保存性能に
    反映します。実は室内ガスが滞留するスペースでし。

    丁寧な面じりやしゃくりが品位を上げますね。
    スライドヒンジは工業製品向き後付けでっすから
    ソリッド家具には向きません。¥
    軸吊り、平蝶番が好ましく、アングル・クランクヒンジは
    最近制作されていないようです。
    Krenov親方は、一生使うナイフ型ヒンジMade in Swedenを買い置きストックしていました。後進は真似できないわけです。
    扉との納まりはハードウエアー次第ですから,作品のデザインイメージを支配する重要な要素ですね。
    ところで
    確か先日の買い占めは何枚?

    キコキル キキリーズ

    扉開閉機構の設計資料をg参考に。

    • ABEさん、丁寧な解説、痛み入りまする。

      ご指摘のように、キャビネットの目的(どこにおき、何を保管するのか)で、扉の構成、意匠も決定づけられるということですね。
      またそれに合わせた、高品質なヒンジを使えと。

      私の場合、軸吊りヒンジ(ナイフヒンジ)を含め、平丁番はT.T.S(綱島製作所)オンリーですが、果たしていつまで製作を続けてくれるか心許ないものもあります(ナイフヒンジの一部など、廃番になっています)。

      「買い占め」ですが、100枚ほどです(7〜8年ほど前、中国要因でカネ片の素材が高騰し、なかなか大量には買えません)
      この際、販売店(金具製作も請け負う会社)で、ヘアライン、塗装の加工も施しておきました(真鍮特有の酸化防止と傷防止がねらい)

      過日のABEさんのBlogにおいて、扉周りのハードウェアを解説した資料の公開、PDF提供という英断(暴挙?)に小躍りしたものですが、
      失礼ながら、ここでLinkさせていただきましょう。

      Furniture Hardwares and Fittings 開閉機構、ヒンジ・ステー・キャッチ金具 設計技術資料 1981AQ

  • 昔から
    若い衆は怖い存在であり
    老人はヨレメロの面倒な
    はずが
    歴史の常識は崩れ返りて
    痴的・豪腕危ない老人は
    おつむも暴走し始めるや

    援助・養護・介護・保護
    ヤングを優先優待いたし
    補助菌・交付菌どっさり
    駿河の國はカツヲ桜エビ

    こちとらもまねしょっと
    キコリーズ

    • 昨年秋、高齢で老化著しい、要介護4クラスの母親には施設(介護サービス付高齢者住宅)に入居してもらいました。
      かなりの高額負担を覚悟してのものでしたが、年金給付、介護保険などの支援で、貯蓄切り崩しもさほどでない状況。
      年寄り天国ですよ、日本は。

      なお、次の選挙から選挙権が20から18になるそうですが、精神科医の斎藤環氏にいわせれば、18なんてトンデモ無い、日本社会の現状を考えれば25くらいがちょうど良い、との社会の流れに異議申し立ての論陣を張っています。

      つまり、日本が少子高齢化への不可逆的な道を歩む中、子供たちはいよいよ幼児退行化し、自立できずにパラサイト化している現状を憂うものですが、日本、本当にヤバイよとの思いは強まる一方です。

      あっ、私のことでしたか。苦笑
      高齢者は暴走する程度がほどよいのでは・・・

      職場から追い出された団塊の世代としては、
      年金給付を抱え込だけじゃなく、アクティヴに社会に根を下ろし、若者自立へ向け生きていくノウハウを惜しみなく提供し、支援していくのがこの世代の日本社会への落とし前の取り方、というものでは。

      そうした社会への還元がイヤだと抜かす老人、あるいは有為な活動が無理になった暁には、社会や、周囲に迷惑掛けること無く、さっさとこの世にオサラバすれば良いのです。

      蓄財に励むなんてトンデモ無い勘違いでしょう。

      卑近な事例ですが、父親はゼネコンを退職した翌年に亡くなり、兄も電力会社を退職後2年後に亡くなっています。
      私は既に彼らの年齢を超え、老醜を晒しているというわけですが、
      アクティブに社会と繋がっていくのが、せめてもの生かせてもらってる者の務めということです。

      ABEさんがこうしてお元気にご活躍されている前に、私が先に死ぬわけにもいきませんし・・・
      末期に死に水を取るのは私の方、ということでご安心ください。(^^)

  • ところで・・・
    10回にわたり、続けてきた“プロダクト的思考”と“手作り家具”ですが、
    コメントを見ても、反響がまったく悪いですね。

    無論これは、私の記述内容への冷徹なる評価として受け止めたいと思います。
    それが受け取る側の、全ての基本でしょうね。

    ただ、Logをみれば、少なく無い数の人が見に来ているわけで、
    関心がないわけじゃ無さそう。

    俺はもっと良い加工法、仕口の考え方をしてるぜ、
    あの部分は悪文のためか、良く分からん、
    もっと、分かるように書いてくれ!

    といった感想、意見もお持ちのはず。
    文は人なり、と言いますが、私は本Blogのトーンよりは柔軟で、寛容性も持ち合わせているつもり。

    中には、Blogへのコメントを避け、メールで尋ねてくる人も少なくありません。
    たぶん、それらの人には、異なる印象を与えてるかもしれません。

    この木工家具の世界の片隅で、非力を顧みずに記述を続けている一人の阿呆をガツンと言わせるようなものでも歓迎ですので、遠慮なく投稿をと、願っておきましょう。

    ところで、ABEさんのエキセントリックなコメント記述に違和感を持たれる方もおられるかもしれません。
    しかし、噛んで含めば、含意も豊富ですし、関連する知の体系においては追随を許さぬほどの知見を持ち、世界的なネットワークを培ってきている特異な人でもあり、また、会えば惚れ込んでしまうキャラをお持ちです。
    怖がること無く(笑)、ABEさんへの疑問、ご意見でも良いので、ご投稿ください。

    さて、次は、何を書こうかな。
    いくつかプランはあるものの、まったく下準備もできていない。
    まぁ、ボチボチいきますので、今後もご愛顧の程、願っておきます。

  • 時代を震撼させる才能は
    いまどの当たりにいるや
    独り二人はころがり板ス
    物まね家族を養い能わず

    スキルは実際の仕事現場
    実力経験をのネット囲み
    検索でわかるわけがない

    優れた先達に師事すれば
    技量上がり美稚は開ける
    音楽家Gをみよちゃんと

    案山振るカルテット良し
    先達の出来映が不味いか
    うすら情報では役立たず
    一生の生業は短命危うい

    途中下車離脱すると地獄
    いきなりエベレスト登攀
    遭難して帰らずさんこつ
    急ぐべし里都のとまりや

    縄文木工さえ枘ハイテク
    切り貼りデザインで稼ぐ
    低能文化に溺れむながる
    疑悶無し糸おかしだべし

    聞く耳も美心眼話力なし
    手仕事は画像で覚えると
    電気とまればおしまいに
    いとあっぱり廃業成田山。

    梅雨は木工人を黴だらけ

    キコレーズ クラウドン

  • こんにちは。

    全10回読ませていただいております。
    それの他もしっかりと。
    インターネット頼りの独学の趣味でやっている者には中々難しい内容で、用語を調べることから始めないと理解が進まない内容になってくると、丁寧に図面を載せていただいていても「う~ん」となる事も多く。

    現状、素人DIY木工では枘も強度を求める時に使用するだけで
    それも意匠を求められるような時こそ避けてしまう始末。
    面取りへの意識も希薄で完成してから「あ!」となる事ばかりです。

    これが人を魅せる家具作りにあって 基礎としての考え、仕事なんだな と羨望と尊敬を交えて読ませていただきました。

    • ゆうせーさん、
      解説における質(説得性を持つ内容であるかどうか、記述の文体が適切であるか など)の問題もあると思いますが、読者を家具職人、職業木工家を対象とし、かなり専門領域の事柄に関わる問題を書き連ねていますので、一部にやや難解なところもあったかもしれませんね。

      つまり、家具職人、職業木工家として木工に携わっていても、それらの技法は必ずしも標準化されたものなどではなく、多様です。
      それは、木工そのものの範疇の広さ、地域性、伝承のされ方の差異などに加え、その地域、その業界に伝承されてきたものも、社会環境、産業構造の急速な変化を背景とし、失われつつあるという現実があります。

      さらには、こうした社会環境の変化を背景として、木工を学び、体験する場というものが、伝えられてきている「正調」なものとはかけ離れた、成熟してきてるはずの木工技法の現場からはかけ離れた、DIY的な文献からの知見、あるいはインターネット情報などからの「独学」的な解釈によるものも多いという実態があると思います。

      技能の伝承というものは、たぶん、そうしたものだけでは修得しきれない領域が多いわけです。
      あるいは間違った情報に踊らされるということも免れません。

      このBlogも多分にその弊害にまみれたものに過ぎないと言う自覚はあります。

      ただ、技能の伝承というものが、社会環境の変化の中で困難になってきている状況の中で、これに抗い、多少でも補うことも可能では無いかとの思いから、非力を顧みずに書き連ねているというわけです。

      読者からすれば、肝心のところが分からない、隔靴掻痒的なところも多いと思います。
      それは私の記述の問題もあるとは思いますが、技能の真髄を伝えるのは、やはり現場で、手元を視てもらわないと無理だというところも厳然としてあるということです。

      不明なところへの質問をいただければ、責任を持って回答しますので、そのようになさってください。

      なお面取りですが、面は意匠において、かなり重要なエレメントになります。
      また、単純にルータービットで定型的な面取りをするのではなく、手鉋などでご自身が思いのままに成型することで、表情の変化への気付きであったり、全体のフォルムへの影響を感じ取ることができるものです。

      がんばってください。
      一定の水準にまで到達することで、意外と開眼することができるものです。
      自己を偽らず、信じて向き合えば、モノづくりの世界は決してあなたを裏切りません。

  • 作品を観ても
    現場の仕事を
    みていないと
    頭で考えても
    珍分ぱんぷん
    現世の奈良井
    切貼り木工業

    画像ではなお
    イメージ不能
    材料の素材感
    加工刻みの音
    機械刃物の動
    手元体躯の勢

    工房の雰囲気
    主のおっちょ
    埃ゴミかぶり
    間合い納まり
    スローワーク
    触れて味わう
    駿河のきんめ

    頼まれずとも
    呼ばれなくも
    お邪魔虫親道
    ロートル元気
    お茶呼ばれ鯛

    キコフリーズ

    • 技能の伝承をお粗末な図版とテキストで試みるという
      「暴挙」は良くても単細胞のお人好し、概して大きな勘違いでしかない、でしょうね。

      それよか、求めるのであれば、直に押しかけ、教えを請うに勝るものは無いです。

      そうした世の習いをブチ壊しているのが、IT社会の弊害かもしれません。
      モニターから知見を取得する方法であれば、カウチポテトでもビール片手でもOK.
      先輩の研ぎ澄まされた眼から、自身の技能水準を見抜かれる怖れも無いでしょう。

      でも、技能の真髄は、自分を晒し、その足らざるところを指摘され、
      見抜かれることから気付き、キャッチアップできるものであるわけです。

      ネット取得より100倍も高効率。
      加え、技能者人脈に連なり、その後のフォローへと繋がる契機にさえなっていきます。

      熟年世代の技能者が知らぬ事へは恥じ入るべきで、たぶん、あまり修正は効かないでしょうが、未熟な若者にとってみれば、知らぬ事など全く恥では無く、貪欲に聴き歩き、恥をさらし、自身の技能の更新に活用すれば良いのです。

      ーーーーーーーーーーーーーーー
      私はいわばピエロ的な役回りを演じているという自覚があります。
      同世代の多くの職人、木工家は概してインターネットで発信していないと思います。

      世代的にITへのアクティブなアクセスが不得手ということもありますが、
      そんなものくだらない、技能を身につけたいのであれば、一升瓶片手に訪ねて来い、
      という考えが一般的でしょう。

      私の場合、ネットアクセスし、ある事に気づくところから、発信への使命感に近いものを感じてしまったのがドツボに塡まるきっかけであったように思います。

      ある事というのは、ネット情報というのは、実に有益で学ぶべきページも多いものの、
      他方、あまりにも間違った手法、非合理的で、意味のない手法、
      親方から伝承されていないがためのものと思われる、稚拙でお粗末な手法が満載であったことへの嫌悪感です。

      これらが当たり前のようにネットネイティヴ世代の未熟な若者へと伝播することへの危機意識です。

      たぶん、多くの人はこうしたことに気付き、リテラシーを獲得しつつ、アクセスしているものと信じていますが、可能な限りに、間違いを排し、少しでも有益な情報をと、
      ピエロを演ずることは厭わずに続けていきたいと考えています。

  • 召し合わせ、建築のドアの場合、裏からも見られることになるので、C1のような納まりの場合、見付けが合わず悩ましいんですよね。。。C2の部材を半月板と呼ぶのですが(家具でもそう呼ぶのでしょうか?)、ドアにこれを付けると、少々野暮ったくなる。。。いつも悩んでます。

    • marronさん、初めてのコメント、ありがたく・・・
      建築、建具方面の読者の方のようですね。

      確かに建築の建具の場合、家具とは違い、双方向からのアプローチになりますので、いい加減にはできませんね。

      「召し合わせ」も、いわば「逃げ」としての効能がありますが、建具ではそうもいかないということになります。

      さりとて、見栄え良くタイトにしますと開閉に支障がでます。
      結局、機能を満たす範囲でラフに仕立てるしかないですからね。
      端正な作りを性分とする職人には、なかなか悩ましい問題であるでしょう。

      私も若い頃は吊り込むだけがやっとでしたが、キャリアを積むことで、加工精度も高くなり、タイトに仕込むことの重要性を相当意識して取り組むようになってきました。

      木製ですので季節変動、経年変化もあり、どこまでタイトに仕込むかは美意識と経験に拠りますが、
      建具を端正に仕込むのは大変重要なところですので、気をつかいます。

      marronさんの悩みも、そうした意識の表れなのだろうと思います。

      ・・・「半月板」という呼称は初めて知りました。
      確かに、膝の上下を挟む位置に来る平たい組織ですからね。言い得て妙です。

      また、機会がありましたら、marronさんのお仕事で用いられる用語、符牒など教えてください。

      ありがとうございました。

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