家具金物、供給源の先細り
キャビネットのデザインにおいて、最後に悩むのが引き手などの金具。
うちでも木製で自作して用いることも少なくないが、やはり本来のハードウェアでいきたい。
しかし現実には、アーツ&クラフツ、かつモダンティストと言った、少しわがままなデザインに合うものを探すのは至難。
国内で探そうとしても、あまりピッタリとくるものが無いというのが実状。
そうした状況下、救いになってきたのが「HÄFELE社」の金具群だった。
この“だった”というのは語尾の間違いではなく、明らかに過去形としてのものだから。
「HÄFELE」という会社の製品は自社制作のものも多いだろうが、その膨大な商品群の多くは他の零細製造会社のものなのだろう。
その中にはとても良いデザインでかつ良く作り込まれた引き手が多かった。
長く家具の世界で生きてきた人の多くは既にボクの言わんとするところは分かってくれているだろうと思う。
クラシカルなデザインをソースに、これをモダンなデザインに昇華させたようなものがいくつものシリーズでカタログに納められていた。
そのいくつかについてこれまで使用してきたが、いつの頃からか、そうした商品群はカタログから削除され、廃番となり、それに替わりミニマルデザインというのか、あまり使いたいとも思われないようなものばかりがカタログを占拠している。
暫くは余分に買い込んでいたものが在庫されているので対応できるが、大事に使っていかなければならないとともに、新たな供給源を探さねばならない。
あるいは金型はあるのだろうから、ユーザー側の大量の注文であれば再制作してくれるかも知れず、状況によってはそれも射程に入れるべきか。
ここ静岡は家具金具制作メーカーも多く、シンプルなものでまとまった数であれば制作してもらえ、以前も天板などを駆体に止めるためのクランク型のコマ金具を作成したことがあった。
ただこのところの家具産業の衰退という状況下、こうした周辺産業の事業撤退も相次ぎ、これまでのようにはいかなくなってくるだろう。
過日、依頼された古材の箪笥に用いる引き手のプレゼンテーションをしたのが画像上。下はカタログ(部分)
*参照
■HÄFELE
acanthogobius
2007-12-18(火) 12:53
HAFELEもそういう状況ですか。
マンションの建具用の金物などの方が大量にさばけて
効率的なのでしょうね。効率優先ということでしょうか。
赤坂の和風金物の店に以前伺った時は店の主人がそろそろ
店を閉めて博物館に寄贈しようかと思ってる、なんて
おっしゃてました。博物館行きでは困るんですけどね。
HAFELEのカタログなつかしいです。
毎週のように航空便で送られてくるHAFELEの商品を
輸入通関するために良くカタログをコピーしたものです。
私が輸入通関した金物をartisanさんに買っていただいた
ことになります。
artisan
2007-12-18(火) 13:11
acanthogobiusさん、コメント感謝します。
>赤坂の和風金物の店‥‥店を閉めて博物館に寄贈しようかと思ってる
S商店ですね。以前も使う予定のないものまで、かなり余分に買い取ったこともありますが、いよいよですか。
HAFELE(記事中、スペルが間違ってましたね)の金具ではお世話になっていたようで、あらためて御礼を <(_ _)>
うちの金具使用の半分ほどがHAFELEでしたので、廃番が増えていくのは辛いですね。
acanthogobius
2007-12-18(火) 16:50
昔の同僚に在庫がどこかに残っていないか
聞いているところです。
何か情報がありましたらお知らせいたします。
スペルの間違いには気が付きませんでしたが
ドイツの会社ですのでHAFELEのAの上にはチョンチョン
(ウムラウト)が付きます。
日本人には難しい発音になってしまいます。
英語ではHAEFELEと表記したりしていました。
artisan
2007-12-18(火) 22:13
acanthogobiusさん、金具手配へのご配慮、恐れ入ります。
記事中で取り上げた金具のほとんどは、発注の度にドイツ本国からの取り寄せでしたので、あまり期待はできませんが、意外なところに残っている可能性もあるかな
ウムラウト、HTMLで表記できないかと今調べたら、できますね。 ↑
今後はきちんと正しく表記するよう心掛けます。