激烈瞬発力 × 精度 = Worldサッカー
今日19日、南ア、ダーバン競技場での W杯日本対オランダ、楽しめただろうか。
良く守り、何度もチャンスをもぎとり、‥‥ そして最小得点差ながらも敗北。
サッカーというスポーツの快楽と、そしてそれ以上の恐怖というものをあらためて教えられた感じだ。
明日の朝刊でどのような戦評が並ぶか興味が残る。
FIFAランキング4位のオランダ相手に良く闘った、という記事が少なくないかも知れない。
シュート数では勝っていた、良くあそこまで凌いだ、などと。
しかしチャンスの数、シュートの数と、勝敗は直接の関係にない、というのが得点を競うスポーツというものの単純なルール。
結局は流れの中から何度かチャンスを作り、シュートまで持ち込んだものの、1度足りともゴールネットを揺らすことはなかった。
一方、完全に押さえ込まれていたかのように見られた司令塔スナイデルに、こぼれ球から一瞬の隙を突いた美しいミドルシュートを入れられてしまった。
日本チームも得点を入れられる前まではボール支配率はかなり低かったもののしっかり守ることができ、得点チャンスも再々作ることができた。
しかし後半8分のオランダゴール以降は次々と交代選手を投入し攻撃陣を強化したものの、不発で良い戦いができなかった。
相手チームに先制点を取られてからの戦い方にこそ日本チームの実力というものが試されると思われたが、残念な内容だった。
やはり得点シーンへと繋がる攻撃内容とは、今のモダンサッカーの時代にあっては相手の虚を突くような創造的なパス、あるいはエキセントリックなシュートシーン、それらにおける球筋を高精度に制御できなければ最後の得点へとは結びつかないというのが絶対的とも言える条件だろう。
それらが、果たしてこの試合で見いだすことができたのかどうか。
そもそも岡田監督がW杯直前に選択した布陣は極めて守備的なものだ。
本来MFである本田圭佑が1トップ、という異様な布陣にその守りの姿勢が透けて見える。
言うまでもなくW杯本番前のテストマッチが4連敗という散々な内容から修正して臨むための選択だったのだろうが。
そしてW杯本番、初戦の対カメルーン戦では相手チームの日本を舐めきった戦い方にも助けられ、この布陣が奏功したかのようだ。
しかし所詮、本来のモダンサッカーのスタイルとはほど遠い。
そして今日、サッカーというものの1つの本質を見せつけられたような試合内容に終わった。
予選リーグ、残る1つの戦いをどのように展開させるのか、決勝トーナメントに勝ち進むには何としても勝ち点3を獲得しなければならないが、その手腕が岡田監督に問われることになる。
無論個人的にも、決勝トーナメントでの雄姿を見たいと思うが、それ以上に問われねばならないことがある。
4年前、独W杯の惨敗、あるいは8年前の日韓W杯、決勝トーナメントに進めながらもホームでの戦いに敗れた悔しさを濯ぐだけの進化があったのか、もっと直裁に言えば、オシム監督が定着させようとしたモダンサッカーは果たしてこの日本代表チームに定着しつつあるのか、と。
しかし今大会、番狂わせが多く、また見所がたくさんあり、大いに楽しんでいる。
優勝候補のイングランドが勝てない。ドイツがあろうことか、予選リーグ不敗の歴史を塗り替え敗北。北朝鮮の善戦。アメリカの善戦。
ぜひ日本チームも歴史に残るような印象的な内容で、対デンマーク戦を戦い抜いて欲しいものだ。
求められるのは攻撃のスタイルでのアーティスティックな輝きだろう。それこそがサッカーというスポーツがみせてくれる魅力であり、また並み居る強豪チームと肩を並べるための欠かせない要素だ。
本田圭佑はこの試合を「楽しめなかった」と振り返ったということだが、この悔しさを濯ぎ「楽しめた」と振り返ることのできるサッカーができれば、日本チームも進化したという総括で次へと飛翔していくことができるだろう。
YouTube、今日は3つめのFIFA W杯 公式ソング「MISIA」の「MAWARE MAWARE」(『Listen Up! The Official 2010 FIFA World Cup Album』MISIA featuring M2J + Francis Jocky より)