工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

桟積みに関する覚え書き

桟積み一昨日に続き、2度目の「木口割れ止め」塗り作業を兼ねた、土場の整備、ま、草刈りですね。
木口割れ止め剤はできれば2度塗りしたいもの。1度でも良いけれど、2度塗ることで吸い込みの激しい木口もしっかりと皮膜ができる。
画像のように、雨が当たりそうな板面にも塗っておくことが必要だね。(やや青みがかった色調のところ)
来週火曜日頃には梅雨入りしそうな気圧配置なので、今日の処置がぎりぎりのところでOK !。塗ってすぐに雨に降られたのでは効果半減。
一応、ここで桟積みの基本について概説。
《基礎が肝心》
・コンクリートなどで覆われ水平が確保されたベタ基礎で無い場合(ほとんどがいわゆる土場と云われる自然な地形だろう)、ブロックなどで地上高より一定の高さを確保しつつ繊維方向に交叉する側(桟と並行)に水平に出す。
・不当沈下しないように基礎を固める
・その地域の風向きを考慮し、影響を受けやすい木口側と直行する木端側に風が当たる方向に向ける(桟は風向きと並行)
・繊維方向に傾斜を設けることで屋根の排水を容易にする
 
《桟が肝心》 
・桟木の厚みは板厚により決める
・桟木の間隔は板厚が薄ければ多く、厚ければ少なくても良い
・桟木の位置は垂直に
・桟木の1番外側はできるだけ木口に近い位置に
  これは桟木のところまでは割れが入るものと考えて置いた方がよいということから
《木口割れ止め、が肝心》
・乾燥後の歩留まりは木口割れからくる欠損が大きいので、これを防ぐ処置が重要
・木工ボンド(酢酸エマルジョン系)、あるいは専用の樹脂などを塗る
・木口のみならず、板面でも割れが広がりそうな箇所、
・雨、あるいは直射日光があたるような箇所などにも塗る 
最後になってしまったが、桟積みする前に、材木に付いている皮はあらかじめ剥いておくことも重要なこと。
これは虫害を防ぐためだが、なかなか大変な作業であるけれど、皮を残したものは必ずや虫害を受けると覚悟しておいた方がよいだろう。 
おおよそこのようなことを留意すれば良い乾燥環境が確保され、良い材木が獲れるだろう。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 名古屋での椅子展で櫻井銘木店のご主人にお会いしたところ、このBlogもチェックしてくれているというお話しであり、「木口割れ止め」についてもお話しいただいた。
    櫻井さんの仰るにはボクが推奨する「ランバ−メイト」も良いが「パラフィン」も効果が高いということだった。(安価なのも嬉しい)
    確かに道材などにはこのパラフィンが多く使われていますね。

  • 数年前櫻井銘木店を訪ねたことがあります。
    何も分からない素人ではありましたが遠く千葉県から来た客ということで暖かく親切に応対していただきました。
    銘木店というと敷居が高い印象がありましたが店中を歩き回って希望の材をさがしていただいて、ありがたかった印象が
    あります。

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