工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から
私の椅子+α展

昨日29日は横浜「九つ井」の「山の上ギャラリー」での「私の椅子+α展」の展示会場で「お話し会」なるものがあって出品者の一人として前田純一さんとともに参加させていただいた。
ギャラリートークなどという経験はほとんど皆無に近く、困惑するばかりだった。
しかも前日の他の出品者2名による同じ「お話し会」では出席者5名ほどであったのに、昨日は何と30名を越える出席者であったために広い展示場ではあったが、ここをはみ出すほどの人員と熱気でスタッフ共々あわてふためいた。
まぁ、ほとんどが若い頃この近くに在住していた前田さんの知人が主体であったろうと思われる。
話の内容は、8名、40脚ほどの出品作品の解説、木工家が椅子というモノを作るという意味、椅子が今の住環境にとって、人間生活にとって如何に重要な道具なのかといったことなどをお話しさせていただいた。
老若男女、様々な方々が対象であったので、あまり専門的なものにせずに、しかしまた椅子について、あるいはモノ作りについての本質に迫るようなものにしたいという企みはあったのだが、どの程度浸透できたのかははなはだ自信があるわけではない。
大きな破綻も無く参加者に喜んでもらえたようであったことはうれしいことであるが、これも重要なところでしっかりと締めてくれた前田純一さんの力によるものであることは確かなので感謝しなければならない。
椅子制作での在庫管理

展示会などに出品する椅子を制作する時、これがアームレス、アーム付きといったバリエーションがある場合にこのコンビネーションに迷う。
今回の個展の時に出品したある椅子は完売し、かつ追加制作を依頼されたのだが、残余のパーツは数はあるものの、バリエーションに対応していないということが出てくる。
先にも「座布団椅子」のアームレスばかり注文が続くといったこともあったが、かなりのパーツでのストックをしていたものの、バランスが大きく崩れあらためてパーツから追加制作ということになったのだった。
バランス崩れで残ったパーツが使えなくなるというものでもないので、どうということではないが、あまり合理的とは言えない在庫管理だ。
展示会即売方式での販売活動である以上、こうしたリスクは甘受せねばならないところだろう。
台風一過の好天にとんぼが飛来

雲一つ無い真っ青な空に赤とんぼが飛来した。
群舞とまではいかなかったが数羽がうちの車の周りを周回したりホバリングしたり、Blog用にとデジカメを持ち出し構えたが、一向に羽を休めようとしない。逃げるわけでもなければ、停まるでもない。延々10分ほど根比べしたが、それ以上付き合えなかった。
替わりに、1匹だけヤンマも混じっていて、こちらは夏みかんの枝に停まってくれたので、シャッターを押す。
恐らくは南から台風によって運ばれてきた珍客なのだろう。
初秋の頃の台風では良くあることで、以前は数百匹程の群舞を見たこともあった。
ぐんぐんと寒暖計の針は上昇。しかし意外と湿度は低く、50%を切っていた。
窓という窓、扉という扉を開け放し部屋を乾燥だ。
さて、最近スパム トラックバックが入り込むことが多くなってきた(ほとんど全てがアダルトブログから)。見苦しいところをお見せしたかもしれない。
サーバーでも「拒否機能の改善」をやっているので、出来るだけ事前にシャットアウトするように心がけているので、ご理解いただきたいと思う。
台風とリアルタイムレーダー
台風7号が北進している。やや勢力は弱まったものの、依然として大型の雨台風だ。(7/26/pm5:00)
報道などにより、すわっ静岡直撃か ! と構えていたが、今日午前中にかなり強い雨風があったものの、午後遅くにはほぼ雨も止んでいた。
「今夕から夜半に掛けて静岡にも上陸の怖れ…」とのことだったが、さほどの影響もなく通過したようだ。
こうした時の情報収集に活用しているのがこのサイト。
■ 防災情報提供センター の【リアルタイムレーダー】だ。
国土交通省傘下のサイトで、レーダー画像をリアルタイムで提供してくれている。
なかなか優れたサイトである。
10分おきに更新、かなり地域を絞っての詳細な画像も含め、また更新情報が動画としても見ることが出来るので、雨雲の動きが手に取るように解るというものだ。
アクセス、トラフィック接続環境も悪くない。(まだ利用者は多くないのだろうか)
もちろん他にも【リアルタイム雨量】とか様々な防災情報に関わるリンクが充実している。
ほとんどのポータルサイトでも天気予報、台風情報などを提供しているが、やはりこの「防災情報提供センター」は本家本元だけあって、情報内容の充実度、信頼度、速報性においては群を抜く。
ぜひご活用いただきたい。
皆様方の地域も大きな災害がないことを願っている。
クラロウォールナットとの別れ

台風接近 ! ここ静岡でも朝から不安定なお天気。
この後台風通過まで数日影響を受けると思われるので、晴れ間を見て倉庫での在庫確認をしちゃわねば、と出掛ける。
先週、阪急梅田に出品したクラロウォールナットのテーブルが売り上げられたのだが、数十分後に別のお客がどうしても同じものが欲しいという。
この原木からはすばらしい木味の板が何枚も採れた。これをここ10年ほど大切に使ってきたが、テーブル天板に使えるようなものはとうとうこれが最後。
「阪急 展示会」を終えて

阪急梅田 (美術部) 「クリスタルサロン」での個展も昨日で終了。
成果はまずまず、といったところで終えることができた。
終了後の撤収態勢では、在阪の木工家3人が申し出てくれお手伝いいただけたのには、大変ありがたかった。百貨店のスタッフも大勢手伝っていただいたが、家具の梱包などは不慣れなので、こうした職業木工家のお手伝いは実に有益でありがたい。
皆さ〜ん、感謝していま〜す。
ところで、制作展示する木工家具も、購買意欲を持つ客層との出会いがなければ使ってもらうことができない。
今回の展示スペースは百貨店のVIP顧客を対象としたものだったということもあり、じっくり見てもらえることができたし、そうした客層にアピールするクォリティーのものを揃えたので奏功したと思える。
ただ必ずしも準備も十分ではなく、展示企画の構想の半分ほどしか制作できなかったということなどを考え合わせると、こうした大切なチャンスをしっかりと活用し営業に繋げるという力量がまだまだ不足しているということが大いなる反省点だ。
また会期5日間というのはいかにも短すぎる。
家具という調度品の購入には、住宅へのフィッティング、家族への同意取り付けといった一定の検討期間を要するものなので、最低でも7日間、出来るならば2Weekほど欲しいものだ(個人のギャラリーならともかくも、百貨店の企画では望むべくもないか)。
先ほども会場から連絡があり、購入意欲を掻き立てられたものの、あらためて家族を連れ出し現品を前に同意を迫りたいという客が来場したので、資料を送るようにということだった。
さて、この後追加受注したものの制作、別注いただいた家具の設計、製作に取りかからねばならないし、一方で現在出品展示中の横浜「九つ井」への対応、そして来月下旬の新宿伊勢丹「モダンクラフト展」への準備、と過酷なスケジュールを控えて「遊びをせんとや生まれけむ」であるべき夏のバケーションはお預けだ。
なお会期中、1つ上の階ではオークビレッジの創立30周年記念イベントがあった(6Fには常設展示場があり、関西における販売拠点でもある)。
大規模な展示スペースを使い家具販売とともに様々な企画をしているようだった。初日お邪魔すると主宰者稲本さんもおられ、接客中のところ引き留めお話しさせて頂いたが、トヨタ資本と提携しての白川郷での研修施設の運営等事業が拡張し、なかなかそれらの管理も大変なようだった。
昨年のボクの梅田阪急 美術画廊での個展の時にも立ち寄られ見て頂いたが、作風も異なるせいかこれらへの評価はなく世間話に終始したのは残念ではあった。
鰻はお好きですか(うなぎの「石橋」)
この時季、梅雨明け10日、どこも猛暑だろうけれど、大阪もメチャ暑。
そこで暑気払いは鰻の蒲焼きだ。
普段の外食で鰻などは、なかなかボクの不如意な懐では口に入らない。
しかし食べるからには美味いところでいきたいもの。
静岡市内には「うなぎ 石橋」という店がある。
昔から外食での鰻の蒲焼きはここでだけ。
浜松、吉田と養殖業は全国的にも知られた地域なので、良い鰻屋がたくさんあってもおかしくはないのだが、残念ながら意外とそうでもないのだ。
さて「石橋」の鰻。
初めてここの暖簾をくぐると、皆さん驚かれると思う。
まず焼き方であるが、白焼き、蒸す、などという工程はなし。その場でさばき、いきなり本焼きだ。
カウンター越しにその一部始終が覗き見られるのでウソではない。大きなたらいからつまみ出した鰻を専用の釘で頭を打ち付け、見事な包丁さばきで見る見る開かれる。
その後は串に刺し、隣の赤々と燃えたぎった備長炭のコンロの上でで何度も何度もひっくりかえされ、途中からは秘伝のたれに漬け込まれ焼き上げる。
そのためなのか表面はしっかりと香ばしく焼かれ、中はふくよかにほどよく柔らかく熱が通っている。やや甘めなのかなと思われるたれも鰻本来の味を損なうことなくバランスが取れている。
さらにここではお頭付きの1本焼きだ。織部のお皿から明らかにはみだしてしまうので、尾っぽの方は折り畳まれてしまっている。
さらに特徴的なのは、松本民芸のテーブル、椅子に腰掛ければ、黙っていてもしばらくすると曲げわっぱごはんと肝吸い椀、お香が運ばれてきて、数分後にははみ出し鰻が運ばれてくる。
そうなのだ、メニューは単品、この1本焼きしか無い。他にはアルコール、骨の唐揚げがある程度。潔いじゃないの。あれこれ言うな、黙って待ってろ、ってなもんだ。
ぜひ静岡に立ち寄る機会があったらティスティングしてもらいたい。
名栗(ナグリ)を君は知っているか。

今日も展示会場に近隣で木工関連の業務をしてる方々にお越し頂いた。制約のある会員対象とする展示会であったので、ほとんど知人にも広報していなかったけれど、陣中見舞いに来ていただける。ありがたい話だ。
その一人、以前もこのブログで紹介させていただいた芦屋のギャラリー「J・クオリア」のオーナーがWeb世界では著名なKAKUさんなどと連れ添い来ていただき、大阪市内のとある木の仕事のところへと誘って頂いた。
Top写真はそのひとこま。
ご存じのようにこの材は栗にナグリ(名栗)加工をしたもので、ちょっと見かけないノミ状のものがあるが、これがナグリ加工を施すための道具だ。
「ナグリ」についてはいきなりア・プリオリに紹介するのは問題があるが、簡単に言えば、日本建築様式での化粧部位、床柱、濡れ縁などに不定型な削り痕を残し、独特のリズムを持ったテクスチャーを日本独特の美意識で尊ぶもののことを指す。
現在ではお茶室の床柱、濡れ縁、風雅な床の間、あるいはユニークな材料使いを好む店舗内装など、に用いられる。
生きにくい時代の木工家という生業
木工家具の展示会での即売では、家具というものが持つ特有の属性(調度品、日本の貧困な住宅事情から置きたくとも置けない事情といったことなどの)に制約され、求める人との新たな「出会い」というものが重要な要素になる。
世には木工コレクターという人たちも希少ながら居る。
以前名古屋での展示会場でボクの作品を見初めてくれた初老の男性がいた。曰く、著名な木工家の名前を挙げながら「君のこの家具は私がコレクションしているものと較べ値段も桁が一つ少ないようなものだが、ちょっとおもしろいから買っといてやるわ・・・」などと。
詳しくお話しさせてもらうと、木工のコレクションのために大きな蔵のような建物があるとのこと。
他にも、とある古刹の住職の庫裡に案内され木工、陶器などのコレクションに驚かされたこともあった。
このようなありがたい客層があることも一方の真実だが、しかし一般には、調度品として事足りていれば例え気に入ったものがあったとしても購買衝動は抑えられてしまう。
そのためには、常に新たな顧客との出会いというものが求められるという宿命にあるのが木工家だ。
展示会の実施、それへ向けた広報、購買意欲を持った客層の綿密な管理と情報提供。
この時代、そうした様々な販売戦略も作家自身が積極的にやらなければならないというめんどうな時代のようだ。作家も制作だけやっていれば良いものではなく、まさに総合力が問われるという恐ろしい時代に生きているようなのだ。
ご覧のようにWebサイトの管理運営、Blogの管理運営もままならぬボクなどにはその荷は大変重たく、足取りもフットワーク軽く、とはいかないのが実態。
今日もまた大阪在住の木工家とその生き方の困難性を分かち合い、明日への希望を見いだそうと意見交換したのだった。


木工家具のデザイナー & 職人のartisanです。
