工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

名栗(ナグリ)を君は知っているか。

ナグリ2
今日も展示会場に近隣で木工関連の業務をしてる方々にお越し頂いた。制約のある会員対象とする展示会であったので、ほとんど知人にも広報していなかったけれど、陣中見舞いに来ていただける。ありがたい話だ。
その一人、以前もこのブログで紹介させていただいた芦屋のギャラリー「J・クオリア」のオーナーがWeb世界では著名なKAKUさんなどと連れ添い来ていただき、大阪市内のとある木の仕事のところへと誘って頂いた。
Top写真はそのひとこま。
ご存じのようにこの材は栗にナグリ(名栗)加工をしたもので、ちょっと見かけないノミ状のものがあるが、これがナグリ加工を施すための道具だ。
「ナグリ」についてはいきなりア・プリオリに紹介するのは問題があるが、簡単に言えば、日本建築様式での化粧部位、床柱、濡れ縁などに不定型な削り痕を残し、独特のリズムを持ったテクスチャーを日本独特の美意識で尊ぶもののことを指す。
現在ではお茶室の床柱、濡れ縁、風雅な床の間、あるいはユニークな材料使いを好む店舗内装など、に用いられる。


恥ずかしながら、このような手法でナグリをされるということは知らなかった。
もっぱら釿(ちょうな)というはつりの道具でナグリをするものと考えていたので(それ自身は誤った理解ではない)、このような「突きノミ」の変形で加工していることはショッキングな事実であった。
少しは木工のことを知悉しているものと自負していただけに衝撃的な事実だった。
この木工所は大阪立売堀の橘 商店という。現在は4代目が後を継いで21世紀に伝承しようとしている。
今日は衝撃のナグリ体験としてしか紹介できないが、少し検証したいと考えているので、いずれ又、詳細情報を提供できると考えている。
写真下はKAKUさんがあらぬ方向からなぐり突きノミを当てているところ。「それはちゃうよ。こっちからやるんよ・・・」と解説されているところ。
ナグリ1

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  • 昨日は、展示会でお疲れのところ皆で無理矢理お連れだしてしまい申し訳ございませんでした。
    久しぶりに、お目にかかり、またお食事の席ではいろいろなお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
    多枝にわたる造詣の深さは、自称ヤ○ザたる経験からのものなのか、流石と唸らさせられるものがあります。
    それにしてもナグリとそのノミには衝撃の出会いでした。
    このような写真に納まってしまうだけのことはあるというものです。(恥&汗…)

  • KAKUさん さっそくのコメント恐れ入ります。
    自身の名誉回復?のためにも然るべくコメントしてください。
    実は昼食にお客様と共に上の階の「御蔵」という京料理のお店に行きましたが、2尺角を越える太さの柱の全て、縁側の多くになぐり加工が施されていました。橘さんがやったものなのいかも。今度聞いてみましょう。
    このように多いに需要があるように感じました。
    家具が売れなくなったら弟子入りしようかな。(そんな甘いものじゃないか)

  • 外遊(って、遊んできたのか!?)

    梅田にある阪急百貨店で、オークビレッジ30周年記念展示会が開催されていて、今日はイベントで稲本正氏のミニ講演会があったので、お仕事中の柿花さんを連れ出し、出かける。 クルマで出かけたので、大都会で小回りがきかず、講演会は少ししか聞くことができなかった

  • KAKUさんTB感謝です。貴ブログへはアクセス困難なようなのでこちらへ。
     楽しい一時を感謝ですね。
    どういう成り行きか、今という時代の空気感にはあまりふさわしいとは思えないことも話題になりましたが、そうしたことなども含めわいわいやるのも免疫を付けておくということでは無意味ではないかも知れません。
    「なぐり」手法については木工関係者に尋ねたりもしましたが、まだ検証できません。
    次は親しい棟梁にでも聞いてみたいと考えています。

  • 先日はご来店頂き、有難うございました。
    また、皆様方の木に対する変貴重なお話を聞くことが出来て凄く勉強になりました。
    家業を継いでまだ三年余り。皆様のご質問に対する返答にも不十分な点があったとは思いますが、これから精進して、栗材・名栗のスペシャリストを目指したいと思います。
    御蔵のナグリは当社が請け負ったものです。

  • 橘さん、コメント感謝です。
    いえいえ、こちらこそ突然お尋ねしまして申し訳なかったです。
    ぜひこの伝統技法を絶やすことなく、大いにご活躍ください。
    数百年にもわたる、日本建築意匠の不可欠な要素ですので、決して名栗への評価、および需要が低下するものではないと信じています。
    「御蔵」のお仕事拝見できたことも幸いでした。これまで2度食事をしていますが、次の機会にもしっかりと検証させていただきます。

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