工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

オジギソウを漢字て書けば・・・ 

オジギソウと言えば、被子植物、マメ科のかわいい花を付ける草花だが、葉に触れると先端から少しづつ閉じ、最後は垂れ下がる。
この時間にすればあっという間の動きが、植物とも思えず驚かされる。
このオジギソウ、漢字では「含羞草」と書くということはどれだけ知られているのだろう。
他にも「お辞儀草」と宛てる場合もあるようなので、必ずしも「含羞草」というのは一般的ではないのかも知れない。
ところが少し調べると、英字でも「a sensitive plant」という表記の仕方もあるようで、東西において共通するものがあり、おもしろく思った。
ボク自身の事を語るのは苦手だし、年齢相応の品格を備えているとは全く思えないのだが、こうした公開されているBlogを運営していれば、当然この「含羞」ということを自覚しなければいけないな、と柄にもなく思ったりすることがある。

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友達甲斐のない我

9 soku
友人との久々の食事処に向かったのは祭りの最終日に当たる雨の午後。
雨の中を法被と兵児帯で決めた若い男女がうつむき加減に歩く傍を走り抜けていく。
車1台がやっと通れるという入り組んだ住宅地の奥まったところにあるようだが、目的地を指し示すカーナビでも迷いに迷って、やっと辿り着いたのだったが、その空間だけは傾斜地を巧みに使った思いの外開放的なエリアだった。
何やら不思議な店構えの「パヤカ」というアジアンレストラン&ショップ。
アジアンテイスト、あるいはバリの風物に彩られた異空間。
既に友人は来ていたが、誘われるままに食事の前に隣接している古道具屋の「9 soku antiques」にお邪魔する。
画像でご覧のように、何か映画のセットのような空間。
白磁、花器、ライト、什器、弦が切れたウッドベース、家具など。
主の趣味なのか、小さな小さな器を中心としたコレクションであったが、その白磁がとても良かった。
オーナーは30代の白い清楚なTシャツの男性。古道具屋の主人と言えば、気難しそうなオヤジという通り相場のイメージとはかけ離れ、「これまけなさいよ‥‥」と言えば「いくらなら良いでしょうかね‥」と気弱に応えそうなやさしく、おっとりしたお兄さん。
福祉の仕事をしながらの2足のわらじという。
こんな判りにくい場所での店舗運営だと経営もさぞ大変だろうと思わされるが、ディスプレー、道具収集にセンスを感じさせる店なので成功するだろう。
店舗の片隅に置かれた小さなデスクにiMacがあったので、しばしMac談義。Webサイト構築、クラウドコンピューティングの現状やら、iTunes管理の裏技 etc.
孫とジジみたいな年の差の客からMac指南をされるのは気分の良いはずもないが、素直に聞き入れてくれる。
Webサイト構築などでは、今や技術的な領域のハードルはめちゃくちゃ低くなっているので、むしろ重要なのはコンテンツとデザイン。
この若者にはあふれんばかりのものがあるだろうからITテクノロジーの差異など問題ではない。
iTunes プレイリストを拝見すれば、Glenn Gould などのピアノ曲を中心としたクラシックがほとんど。
ボクなどより、よほど純粋なんだろう。(かつてはボクにもそのような頃があった、かな)
店内でBGを流すなら、ちょっとくだけて、高橋アキのサティーあたりが似合うようなお店だ。

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手押し鉋盤が美しく

手押し鉋盤
もうずいぶんと時間経過しているが、手押し鉋盤のテーブル(定盤)研磨を済ませ、戻ってきていた。
鉄特有の黒く変色した味わいも捨てがたいが、こうして研磨されたばかりの鉄も美しいと思う。頬ずりしたいほどだ。
聞けばその研磨量は0.5mmにも満たないものであったようだが、対角線上、隅の角に研磨されなかったところがにわずかに残っているところからすれば、この加工屋さんの技量の高さが伺える。
さて、その後刃を取り付けテスト切削をした後に、本稼働していたのだったが、どうも良くないのだ。
手前と、奥とでは削りのフィーリングが明らかに異なる。

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郵便受けから嬉しさを

手紙
心ときめかす手紙が夕刊などとともに玄関の郵便受けに入っていた。
封筒は(イノシシくんなのかな、これって、)イラストが付いたポップで楽しげなもの。
青年期を除けばこういう手紙はあまりいただいたこともないので、それだけで心動かされるものだったが、宛名を見ると未知の人からのもの。
あれま、どこかですれ違って一目惚れされちゃった?
んなワケないか。
手紙は「突然のお便りで失礼します」との挨拶で始まり、およそ以下のように記されていた。
昨年の自宅新築でダイニングテーブルのセットを探し、○▽でテーブルを作ってもらった。
今度はカウンタースツールが欲しくなり、あちこち、ネットも含めて探したが良いのが見つからなかった。
そうした頃、立ち寄った店に置いてあった「暮らしの中の木の椅子展」チラシのスツール(ちょこっとハイスツール)写真ににひとめぼれ。
さっそく「小海町高原美術館」の展覧会会場に出向き、拝見、実際座ってみて更に一層惚れ込んじゃった。 ワォ !

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北欧家具の魅力とは(Danish Interiors)

denissyuinnteriasu
北欧家具の魅力を的確に表現するには、さて、どのような言葉を宛てたら良いのか。
書店のインテリアコーナーにはあふれんばかりの北欧のインテリア、生活スタイル関連本があり、人気であるに違いないのであるが‥‥。
そんな曖昧さへの答えを見つけるには、どっぷりとそれらの家具空間に身を沈めるのが良い、というわけで今日は浜松にある北欧家具専門店〈デニッシュインテリアス〉に表敬訪問。
ちょっとした事情でこのショップの運営者とは既知の仲だったが、お訪ねするのは初めてのこと。
少し緊張もしたが、大きな開放的な空間に所狭しとセンス良く並べられた様々なテイストの家具たちに囲まれ、心地よい時間を過ごさせていただいた。

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NHKもなかなかやるじゃない・「プロジェクトJAPAN」

大型連休ド真ん中の今日5月3日、昨夜から続く高速道各地域では予測を超える渋滞が発生とのこと。当県と隣の愛知県境の宇利トンネルでは50数Kmの渋滞とのこと。
いやいやご苦労様ではあるね。事故の無いように願いたい。
祝休日の高速道1,000円走り放題の効果ということになるのだろうが、渋滞によるCO2増加、石油燃料の過度な消費、等々、現下の世界的規模での石油消費削減、環境保護への取り組みとどういう相関関係があるのか、などと言う話しはせっかくの5月の爽やかさとは対極なものになるものであれば、興ざめなので止めよう。
先ほどラジオのニュースでこうした行楽客へのインタビューがあった。
Q:今日5月3日は何の日かご存じですか?
A:え〜っ、何だったかな、5日は子どもの日でしょ。3日は〜と、‥‥‥ゴメンナサイ、判りませ〜ん
なるほど、これも平和な日本の光景と見なせば良いのかな。
でもボクは、ここに“ふぬけた”という形容詞を献じて差し上げよう。
憲法記念日ということも忘れて行楽に出掛けるのも、確かに平和な社会の一断面であるだろう。
でもしかし、こうした平和の一断面というものを謳歌できるのも、この憲法という基本法があるからという言い方もできるかもね。
もう少し深く立ち入れば、第二次世界大戦、20年にわたる対中戦争という凄惨な戦争体験、塗炭の苦しみを経て勝ちとった平和憲法であることに思い至れば、あらためてその意味というものを考えてみることも必要となるかも知れない。

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「政治家を演じる」(平田オリザ)を読んで

平田オリザ
数日前の早朝、新聞紙面ににやつきながら何度かポンッと膝を打ちたくなるような段落が現れ、朝の気分を良くしてくれる記事が来ていた。
劇作家・演出家、平田オリザさんの寄稿「政治家を演じる」である。(朝日新聞09/04/29、オピニオン欄)
次のようにサブタイトルされている。
〈試される「演技力」議員の仮面つけ 役割楽しめばいい〉
〈地方のボス追放 生活者の輪番で ましな民主主義を〉
(このサブタイトルは寄稿者本人によるものか、編集者によるものかは不明)
かつて木鐸などと言われた信頼性において墜ちたメディアとはいえ、恐らくはまだまだ大きな影響力を有する朝日のオピニオン欄での人気の演劇人の寄稿ともなれば、既にBlogなどネット上でも様々に取り上げらているものと思われるので、ここでは極私的な感想めいたものを少し残しておきたいと思う。
なぜボクが彼の論考に刮目させられたかとひと言で言うならば、世上、共有概念(既成概念)として定着しているかのような事柄の多くが実は事の本質を捉えていない。
何となく‥‥(どこかの首相が良く用いる冠詞のようでいやだな)曖昧なままにイメージとして定着しちゃっているために、隘路から抜け出せず、問題解決へと踏み出せないことが多いのではないか。
彼の論考にはその辺りを突き破って晴れやかな5月の空のようにすっきりと見せてくれる語り口の鮮やかさ、論理性と、確かな視座、そして何よりも演劇人としての歴史観、洞察力を見ることができる。
彼が冒頭で取り上げるのが「劇場型政治」、例の「小泉劇場」とか良く使われる言葉に対してのものだが、
〈‥ 劇場は、人生をふり返り、世界に思いをはせる場所だ。思考停止の阿呆を増産する機関ではない。〉いきなりの平手打ち、という感じで爽快。

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快適皐月を快楽ソファで

ソファ1
皐月5月、この数日初夏のような陽気が続き、頬を撫でる薫風が心地よい。
井上陽水に「5月の別れ」という唄がある。
まぁ、例によってシュールな内容なので歌詞には深く立ち入らないくらいがよいが、今日はそんな唄やら、Glenn Gouldのバッハを工場と事務室で終日鳴らしながら良い気分で過ごした。
良く問いに出される「離れ小島に1つだけ持っていくCDは何ですか?」と、あらためて自分に問えば、やはりGlenn Gouldのバッハなのだろうかと思う。
あえて1枚といえば最後のゴルドベルグも良いが、「平均律クラヴィーア」プレリュードとフーガも良い。
ノンレガート奏法が気にならないとは言わないが、1音1音が揺らぐことのないリズムで刻まれ、際立ち、構築的なバッハ音楽の世界に耽溺させてくれるのがむしろ嬉しい。
さて今日は昨日の納品後の工場整理と、事務処理に追われた。
序でに納品の際の撮影データを整理したので、いくつかここで紹介しておこう。
今回はソファと小椅子の納品。
顧客は隣県の市街地で事業を営むオーナーの邸宅。
1、2階を事業部門、3、4階を住まいとされていらっしゃる。
以前1度このBlogでも触れたことがあったと記憶しているが、このオーナーは木工をされる方。
本業を精力的に展開しながらも、この世界で最も伝統と権威がある公募展にも入選するほどの凄腕の木工家というわけである。
日中は事業に専念し、もっぱら夜間に工房に籠もり作品制作に没頭する。
まさにアマチュアとしてのスタンスならではのこだわりを活かし、凡百の職業木工家を凌ぐ作品品質を自らに課すツワモノだ。
そんな顧客からの制作依頼ということで、当然にもプレッシャーが掛かろうというものだが、ま、しかし変な力みなど無く、顧客も当方の力量を知った上での発注であろうから、淡々と、しかし誠意を込めての仕事をさせていただいた。

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栃拭漆座卓

栃拭漆座卓a
栃の座卓。
当初の構想では“きはだ”という材種で制作する積もりだった。
10数年前に製材したもので、素性の良いものを在庫していたからだ。
しかしいざ木取り段階で確認すると、きはだでは脚部に必要とされる厚い板、3寸板を製材していなかったことが分かり、栃に切り替えたという経緯だった。
結果、栃に漆という手法は和家具としてスタンダードな取り合わせだし、なかなか良い風合いに仕上がった。
この栃はさらに旧く、20年近く前に材木市で競り落とし、製材在庫してきたもの。
画像は若いファミリーが住まう住宅の内部に1室設けられた炉が切られた和室、つまり茶室に納品された座卓である。
この納品設置にあたり、主人はわざわざ茶花(石楠花)を添え、そしてお軸を改められた。
お茶会に臨む亭主のもてなしがここにはある。
この茶室はここの若いご亭主が設計し、床板から床框までご自身で探してこられ、また施行にも納得のいくまでやり直しをさせるなどの懲りようだったそうだ。
考えても見ればお茶室に限らず、住まいというものはそうありたいもの。
そして過分にもはるか遠方の職人に家具制作を依頼してくれた。
やはり雑然とした生活臭のある部屋ではなく、こうした非日常の空間に置かれることで、この卓も一段と見栄えがしてくるから不思議なものだ。
墨痕淋漓とした書と、果たして釣り合った品格を備えているかは、ご亭主の見立て次第であろうが、作者の手前ということもあってのこと、大いに気に入ってくれた。

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豚インフルエンザ・パンデミックの怖れとは

WHO(世界保健機関)は昨27日、緊急委員会を前倒し開き、パンデミック・アラートをそれまでのフェーズ3からフェーズ4に引き上げた。
このフェーズ4という警告は何よりもメキシコで高い死亡率を示していること、さらにはメキシコから拡大を防ぐ手だては既に遅きに失し、世界大的な拡がりを見せつつあるということでの懸念からのものという。

「大流行」前提に対策を/スペイン風邪発生時に酷似
押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「感染の拡大状況だけを見れば、(最高の警戒レベルで新型インフルエンザが一般社会に急速に拡大する)フェーズ6のパンデミック(世界的大流行)になっている」と感染拡大のスピードに注目。「日本にもウイルスが入ってきているかもしれない。確認されるまでは冷静に行動しなければならないが、パンデミックになることを前提に対策をとることが必要だ」と指摘。また、米国が非常事態宣言に踏み切った点を評価し「日本政府が(フェーズを引き上げる)WHOの宣言を待っているとすれば逆に間違いだ」と迅速な対応を促した。(毎日.jp

まさに「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(REUTERS
ボクがこの「パンデミック」という言葉に最初に接したのは作家・辺見庸氏が「しのびよる破局」(NHK ETV特集 09/02/01)という番組の中で象徴的に用いた時のこと。

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