工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

手押し鉋盤が美しく

手押し鉋盤
もうずいぶんと時間経過しているが、手押し鉋盤のテーブル(定盤)研磨を済ませ、戻ってきていた。
鉄特有の黒く変色した味わいも捨てがたいが、こうして研磨されたばかりの鉄も美しいと思う。頬ずりしたいほどだ。
聞けばその研磨量は0.5mmにも満たないものであったようだが、対角線上、隅の角に研磨されなかったところがにわずかに残っているところからすれば、この加工屋さんの技量の高さが伺える。
さて、その後刃を取り付けテスト切削をした後に、本稼働していたのだったが、どうも良くないのだ。
手前と、奥とでは削りのフィーリングが明らかに異なる。


ヘンだな〜と思い、ダイヤルゲージを取りだし、定盤と、鉋胴の並行精度を確認。
全く問題ないことが確認できる。
ということは、刃のセッティングがおかしいということになる。
さて、と考え巡らせるが、考えられることはただ1つ。
セッティングゲージの誤差。
すきまゲージを当ててみればはっきりと判る。2個のセッティングゲージは0.1mmほどの差異があるようだった。
この曖昧な表現にはワケがある。
ゲージの先端が刃先に当たってしまうために、平面精度が崩れ明確な基準が出せないのだ。
こんな時はあらためて再研磨するに尽きる。
ゲージ先端は真鍮などが多いだろうから、研磨は容易い。
ただ平滑性が大事なので、ダイヤモンド砥石で、あるいは定盤にサンドペーパーを置いてシャープに研ごう。
再度セッティングゲージで刃のセッティングをし直せば、本来の大洋手押し鉋盤の快適切削が蘇った。
※ 画像、研磨仕立ての定盤がやや黄みがかっているのは、窓の外の新緑が映り込んでいるためである。
何ごとにつけ、この季節は気持ちがよい。
セッティングゲージ

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