鉋掛けという工程について(その2)
切削工程の合理的な思考として手鉋を考える
家具制作工程において、手鉋を掛けて仕上げると言うことを、何かストイックなニュアンスで考え勝ちになるのは、現代社会における産業技術水準からすれば、あまりにも感性的なアプローチに過ぎるのではと思われるかも知れませんが、その謂は半分正しく、残り半分は間違ってるとまで言わずとも、ぜひ思いを理解してもらいたいものです。
けだし、この感性的なアプローチというのは、現代社会において、木工などと言う酔狂な仕事にうつつを抜かしている私たちに取り、欠かせぬ思考スタイルであるのも確かなのですから・・・。
しかし、木工職人のストイックな精神に支えられた鉋掛け工程という考え方は、前回の記述で述べてきたように、事柄の半分を言い当てているに過ぎません。
木材加工工程における鉋掛けというのは、もっと本質的な意味を持ちます。
あくまでも私見ですが、機械万能の時代にあり、手鉋による仕上げ加工の手法の特徴を、仮に以下のように定義づけてみたいと思います。
- 切削工程における有能な道具としての評価
- 被加工物としての木材(有機素材ならではの物理的、美的な素材)を活かす切削の道具
- 木材加工における精度のファジーさ(有機素材ならではの特徴)に機敏に対応する切削の道具
以下、少し詳しく解説を試みます(数回にわたるかもしれません)。
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