工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ベッセイ SELF-ADJUSTING TOGGLE CLAMPS

画像の通り、そのままに解釈いただければ良い。
BESSEY®の新しいトグルクランプである。

公式サイトには、この〈Auto-Adjust Toggle clamp〉という呼称と〈SELF-ADJUSTING TOGGLE CLAMPS〉というのが混在している。
まぁ要するにアジャスト機構がフレシキブルな奴、と考えれば良いかな。

何が新しいかというと、1つの設定で、圧締する被加工物の厚みの差に関わらず、かなりの程度(0〜65mm)に対応してくれるという、これまでには無かった画期的な機構を持つ。(下に分かりやすい動画を貼り付けておこう)

うちでは倣い成形などでのルーター切削作業、面取盤切削作業などに、こうしたトグルクランプは欠かせない重要な道具になっているが、被加工物の厚みへの対応で苦労することがある。
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The New DOMINO XL (DF 700) ・その2

DF700 中国向けWebカタログ

DF700 中国向けWebカタログ


はじめに

New DOMINO XL、関心は高いものがあるようで、コメントを含め、アクセスがめちゃ多くなっている。

昨日のエントリだが、昨夜から今朝にかけ、画像を含め、いくつか追記させていただいている。
特段、新たなことを記述したわけでもなく、理解しやすいように追加修正したに過ぎないので、あらためて読むことも無いです。

さてところで、この〈New DOMINO XL〉のリリースにあたって、マシンそのもの、FESTOOL社の販売戦略、情報提供についてなど感じることをいくつか上げてみよう。

マシン本体

まずマシン本体のことからだが、やはりあらためてすばらしい電動工具であると思った。
〈DF500〉のユーザーであればこそ、理解できるところでもあるのだが、この新しいマシンは、ただ単に大型になった、ということに留まらない、使い勝手の向上、補強などを見ることができる。
外観もメカニカルな美しさを持っていて良いと思う。

素材における金属材質、樹脂材質の選択による高硬度の剛性、とことん作り込まれた機能による使い勝手の良さと高精度の実現。
これらが工業製品としての完成度の高さ、デザイン的なクールさを生み出し、高品質なマシンを作り上げている。

これらは、徹底したユーザーサイドに立った研究開発によるものだ。
背景にはもちろん、ドイツというモノ作りにおける歴史と誇りというものが伺えると言って良いだろう。

DOMINOに機構的に似た電動工具、ビスケットジョインターの場合、ラメロというマシンを嚆矢とするが、その後欧米の各メーカーを含め、国内電動工具メーカーも、ほぼ同様のマシンを製造してきている。
良くは分からないのだが、これは特許権の問題があるのだろうか。
ラメロに遅れること、数年で様々な派生品が出回るという経緯。

このDOMINOもそうした経過を辿るのだろうか。
DF500が出て、5年。追随しようというメーカーはいまだ見えない。

ただこれと同等品を造るには、かなりの勇気と努力が求められるだろうね。
一方その間にもFESTOOL社は一歩も二歩も先を走る。

つまり今後数10年は、現在のような市場は続くということになるのだろう。
(これらの特許に関する情報をお持ちでしたら、ぜひご教示いただきたい)

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The New DOMINO XL (DF 700) 新開発

DOMINO DF700

DOMINOがスケールアップしての再登場。
FESTOOL社サイト をチェックしていたらDOMINOの新機種:「DF700」がリリースされていることに気づいた。
「The New DOMINO XL」と呼称しているようだ。

まだUSAサイトにはアップされておらず、販売開始にはいたっていない模様だが、本国ドイツをはじめ、欧州では数ヶ月前から販売されていたようで(YouTubeには関連する動画がいくつか上がっている)、公式サイトに詳細データがあったので、興味深いところからいくつか紹介してみよう。

一言で言えば、これまでのDF500の切削能力が4、5、6、8、10mm、という錐サイズであったものが、8、10、12,14mmと大きくスケールアップしている。

したがって出力もDF500が420wであるのに対し、このDF700は720wと70%強化されている。

詳細はPDFデータ、あるいは動画をご覧いただくのが良いと思うが(記事の終わりにLink)、基本的な機構等は大きな変更は無いものの、左右のストップピン(位置決めのためのピン)が1つから3つに強化されるなどいくつかの改善が見られる。
ストップピンの複数化は複数の枘穴を高精度のピッチで開けるのにとても都合が良さそう。(下画像参照)



Festool DOMINO XL DF700 Dowel Cutters

New Dowel Cutters

また新たに開発された錐(Dowel Cutters)だが長さにおいても長大化してきた。(画像右)

  1. 8φ 50mm HW
  2. 10φ 70mm HW
  3. 12φ 70mm HW
  4. 14φ 70mm HW(HW:高速度鋼)

これに伴い、これまではDOMINOダボ長さは50mmまでであったのが、それぞれ80、100、140mmととても長いダボが用意されている。

(画像下はDOMINOの新しいラインナップ)

New DOMINO ラインナップ

New DOMINO ラインナップ


なお、カットされていない長いままのDOMINOダボも新たに用意されたようだ。(4種:8.10.12.14mm ×750mm)

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ネット接続ダウンがもたらす心身の不調

うちのネット接続環境は、それまではADSLだったのを、昨年の秋、この地域にもやっと光通信が敷設されたのを機に光ファイバーでの接続環境となり、これまでストレスフリーで快適に使ってきた。

昨日、納品業務から戻り、さっそくMacを起動させるも、ネットに入って行かない。
NTTからレンタルしている光通信モデムのランプ表示は異常を示すものは無く、PPPランプを含み、然るべく緑のランプが点いている。

他の2台のMacで試みると、1台のMacはやはりダメで、何ともう1台は繋がっていた。
一方、このモデムにぶら下がっている無線LAN親機からのWi-Fi環境を受けているMacBook AirもiPhoneもダメ。

かろうじて繋がっている1台のMacのLANポートに他のMacを切り替え接続しても、ダメな奴はダメ。
これはつまりネットワークの確立において、モデムと端末間で正しくIPアドレスが振り分けられていないのではなかろうか、ということは理解できた。

モデム、およびMacの電源ON・OFF、ネットワーク構築の削除と再設定、等々いろいろと試みるも、良いときもあるのだが、この状態からMacを再起動掛けると、もうダメ。

まぁ、そんなこんなで昨夜はネット接続ままならず、頭を抱え、胃を痛くし、やけ酒でも悪酔いし、ふて寝し、今朝になり、NTTにレスキュー。

さほどのやりとりがあったわけでもないが、結局、修理担当がやってきて、モデムを交換し、一件落着 !
‥‥‥ のはずだったが、この修理担当くんが戻っていった後、Macを再起動すると、またもや元の木阿弥。(×_×)

さて、どしたかって?
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WordPress・Site Statsから励まされる

昨日、コメント承認についての記事をあげるにあたって、このBlog、WordPressのダッシュボードという、いわゆる管理者ページを確認していたのだが、ついでに久々に「Site Stats」をチェックしてみた。
いわゆるBlogのアクセス解析にあたるところ。

さほど高機能な解析とも思えないが、日/週/月のアクセスグラフ、個別記事アクセス数、検索エンジンのキーワードなどが表示される。

ここで、このBlogへのLinkをしてくれているサイトなども分かるようになっているのだが、意外なところで、意外な人たちがこのBlogをLinkしてくれていることに驚いた。

もちろん、このBlogは生業としている木工家具制作に関わる日々のログを中心とするものであれば、同様に関連サイトからのLinkが主体になるのは当然としても、全く縁の無さそうなBlogからLinkされているのは、やはり驚き、そして当然にも頬が緩む。

日々のBlog記述は6年半もやっていればほとんど日課となっているとはいえ、やはり孤独な営みという想念から抜け出ることは難しい。

アクセスログを見返せば、2,000〜4,000 PV/日 ほどのカウントが確認できるので、多くの方々に読んでいただいているらしきことは分かるものの、顔が見えず、手触り感が無いというのか、仮想空間特有の覚束なさに支配されている感じだ。

そんな中、インターネット回線で繋がっているはるか遠くの方が、人知れずLinkし、読者になっていることを知ることで、Blog記述の孤独な作業も、その報いを得て、確かさとともに同時に責任の重さを感じ取る。
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コメント・承認遅れについて(お詫び)

今朝、Blogの管理ページで未承認のコメントが数件あることに気づいた。
そのいくつかは、いわゆるスパムのコメントであるので放置して構わないのだが、そうではないものが2つあり、慌てた。

このBlogのコメントポリシーは、スパムで無いかぎり表示させていただくことにしているが、初の投稿者に限り、管理者の承認手続きを介させていただくようにしている(1度承認手続きを経れば、その後は管理者の手続きを介さず、投稿・即表示がなされる)。

初のコメントの場合、管理者の登録したメールへと届くようになっているのだが、メール管理でのミスのために承認手続きすべきところをスルーしてしまったようだ(メールトレーには数100件/1日 のスパムが入るという事情もある)。

いずれにしろ、管理者の私の失態であり、お詫び申し上げねばならない。

投稿者にはお気を悪くされたものと思いますが、どうぞお許しください。

今回、以下のように承認手続きさせていただいたので、今後は投稿、即表示されますので、どしどし投稿いただければと思います。

承認手続きミスのコメント リスト

〈 蔵の中の椅子展2011“形のやくわり” 〉 展、ギャラリートーク


〈 蔵の中の椅子展2011“形のやくわり” 〉展、関連企画の1つの「ギャラリートーク」は「ギャラリーはしまや」に併設されたカフェで行われた。

講師は木工、家具などの著書で知られる西川栄明氏。
会場スペースにちょうど良いほどの参加者を得て進められた。

椅子のデザイン、造形というものを、歴史を遡り、有史よりはるか昔から人類の歴史とともに椅子という用途をもった道具が使われており、あるいは権威の象徴としての古代エジプトに見られる王の椅子をルーツとし、様々に展開され、現代の家具調度品として作られていったとする。

現代においても、実は多くの名作椅子のデザイン、造形というものが、そうした古代の椅子に原型を持つものを見ることができるということを、いくつもの事例を参照しつつ解説を加えていく。

これらは、西川栄明氏の近著『名作椅子の由来図典』(誠文堂新社)に詳細に語られているところだが、「ギャラリートーク」では、この主要部分をスライドを交え、楽しく語ってくれるというもの。
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蔵の街 点景

倉敷川

倉敷川

IVY学館内 IVY学館内・メタセコイヤ
IVY学館内・メタセコイヤ IVY学館内
倉敷IVYスクェア IVY学館内 
IVY学館内 美観地区
大原美術館 大原美術館
大原美術館 大原美術館
大原美術館 倉敷民芸館
ジャズ喫茶 ギャラリー はしまや
ギャラリー はしまや ギャラリートーク

撮影機材:OLYMPUS XZ-1

蔵の中の椅子展2011展、訪問

ギャラリー はしまや、正面より

ギャラリー はしまや、正面より


11月4日(昨日だね)、〈蔵の中の椅子展2011“形のやくわり”〉に表敬訪問させていただいた。

倉敷は美観地区の東に立地し、なかなか趣のあるスペースだった。
そも、とてもクールな公式Webサイトでもこうしたイメージを彷彿とさせるものとなっているので、立地環境を想像することもできないわけではないが、
自分の足で白壁と焼き杉の板塀という独特のモノクロ美で構成される町並みの狭い路地をくぐり抜けていけば、いつのまにか100数十年前の時代へとタイムスリップし、徐々に心と体も馴染んでいき、倉敷を自分のものとして感じ取ることができていく。

かつて数年間居住した松本市内の一角にもこうした地区があったが、その規模と、保存の徹底ぶりにおいて次元を異にするように伺えた。

そして、観光客らの喧噪が途絶えるあたり、店舗の並びに替わり、端正でありながらもどことなく古色蒼然とした普通の民家が立ち並ぶ一角に、このギャラリーがあった。
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フクシマ・内と外との非対称(その2)

〈承前〉
11月2日、福島第一原発2号機において、核分裂反応を起こす際に放出される“放射性キセノン”が検出されたことで、核分裂が連続する「臨界」が局所的に起きた可能性があるとする発表が行われていたものの、今日3日になって東電は「原子炉の燃料に由来する放射性物質キュリウムなどが自然に核分裂を起こす“自発核分裂”で発生したものであり、“臨海”ではなかったと修正する、というドタバタ劇が演じられていた。

狼少年のような混乱を見せている東電だが、すわ「臨界」か、と騒がれた2号機はともかくも1、3号機格納容器などは、とても作業員が近づけるような状況下にないために、これらを判断するための計測器の取り付けなどは行われておらず、炉がどのような状態なのかは皆目分からないという。

これでも年内の冷温停止状態達成の目標も問題なく達成できる、と強弁しているのだが、この不思議なロジックを信じる人があるというのならばぜひお目に掛かりたいものだ。

さて、前回は〈放射能除染・回復プロジェクト〉への参加をめぐる意識の在り様について独白してきたが、今日はこの“躊躇”について、つまり「除染はナンセンス」という言説が大きく阻害していることに関して、少し考えていく。

震災直後、海外からは多くの支援と共に、この過酷な震災にも関わらず、日本人の秩序だった行動、思いやりの精神、責任感の強さに驚くという論評に話題が集まったことは記憶に新しい。
「白熱教室」のマイケル・サンデル教授も次のように称賛した。

「あれだけの震災に遭いながらパニックも起こさず、(2005年に米国南部を襲った)ハリケーン・カトリーナの時に見られた強盗も便乗値上げもなかったことは驚きだった」と繰り返した。
また「(原発問題では命懸けで取り組むという)信じられない自己犠牲もあった。この際立った公共性、秩序、そして冷静さ。略奪や便乗値上げなど考えもしないコミュニティーへの連帯意識があった」
  →日経ビジネス

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