工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

皆既日食 – 宇宙開発 – Moon in Google Earth

皆既日食ショーを堪能された方も多かっただろう。
ボクはTVニュースで観ただけだったが、皆既になった瞬間のコロナ、前後数秒間観察できたダイアモンドリングなど、すばらしい映像で楽しむことができた。(NHKの関連ニュース画像はいくつもYuhTubeに納められている)
ボクがリアルに日食を観察したのは、あれは確か10歳の頃、小学校の校庭に出てセルロイド(旧いね〜)の下敷き越しに観たのが最初で最後だった。80%ほども欠けたのだったろうか。
半世紀も昔のことなので、ディテールは忘却の彼方でしかないのだが、日々新たなことで忙しかった少年には、若田光一さんのような宇宙開発に関わろうなどという夢を抱くということなどは無かったことは確かだ。
今回の皆既日食はは6分39秒という長さにおいて、今世紀最大のものだというし、様々な撮影機材、中継シズテムで送られてくる映像の世界大的な配信は、多くの人々へと届けられた模様で、まさに情報化社会の恩恵だったということだね。
一方4ヶ月にもならんとする宇宙滞在が続いた国際宇宙ステーション(ISS)の若田光一さんを迎えるエンデバーも何度もの打ち上げ延期を越えて、15日無事に打ち上げられたね。
31日には帰還の予定だそうだ。
ところで今日は宇宙開発に関連する2つのことについて考えてみたい。
最初は「Google Earth」によって、月探査ができるようになったことについて。


もう既に多くの人が試されたものと思う。
21日リリースされたばかりのもので、ボク自身まだ十分に堪能してのものではなく、ほんのとば口で楽しんだだけなのだが、これはしかしすごい情報分析力と、使い勝手のすばらしさだといたく感心してしまった。

「かぐや」のデータをMoon in Google Earthへ提供
Google社とJAXAのコラボレーションにより、「かぐや」のレーザ高度計(LALT)や地形カメラ(TC)の観測データなどを使用し、Moon in Google Earth (月面モード)で月面が3次元で閲覧できるようになりました。
さらに、月面上の各地点から「かぐや」のハイビジョンカメラが撮影した映像も見ることができるようになっています。

09/07/22 JAXA

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)がGoogleとのコラボレーションによる月探査「かぐや」のデータ共有が「Google Earth」を活用しての無料での情報提供に繋がるというのは、閉ざされた学術分野だけに情報を止めることなく、広く一般に公開し、また活用する機会が提供されるということは画期的なことではあるのだろうという気はする。
またその手法が「Google Earth」という地球規模での衛星画像、3D処理技術などの優れたアルゴリズムにより、より視覚的にかつ多角的に閲覧、活用できるという技術というものはまさしくIT情報化社会の1つの典型と言えるのかもしれない。
言うまでもなく、このコラボにより提供される「Google Earth」はいずれの側も単独では決して為しえないものであり、まさに両者がハネムーンの状況下にあることを示すものだろう。
独立行政法人という冠が被さるとはいえ、総務省・文科省の直下で管理運営される機関であるJAXAが一民間企業、しかもまた米国に本社を置く企業とのコラボレーションということについては、あまり報道ネタにはなっていない(ボクが知らないだけ?)ようだが、国家予算で運営され獲得した貴重な宇宙科学データが、このようにGoogleという企業に提供される、ということについては我々納税者としての立場から考えた時、全く問題なしとスルーして良いものとも思えないがいかがだろうか。
確かに「Google Earth」というアプリは無料で提供されており、それ自体が開発制作企業であるGoogle社に利潤をもたらすものではないのだが、それを越えたところでの1企業への囲い込み、Googleのビジネスモデルへの傾斜はやはり関心外に置くわけにはいかないのかもしれないね。
恐らくはこの「Moon in Google Earth」をご覧いただければ、その情報処理の“すごさ”に驚かれることと思うが、その驚きと同等程度に、このコラボの背景にあるかもしれない「怖さ」にも目を向ける必要があるのかもしれない。
もしBlog読者でこの辺りの詳しい情報について持っていらっしゃればこっそりと教えていただきたい。
JAXA プロジェクトトピックス
「かぐや」のデータをMoon in Google Earthへ提供

次に、NASA米国航空宇宙局の今後について。
既に多くのところで語られていることだが、若田光一さんが滞在している国際宇宙ステーション(ISS)計画に暗雲が漂い始めているという話しだ。(09/05/08、asahi.com
オバマ民主党政権への移行により、それまでの様々な施策にメスが入れられているのだが、宇宙開発も例外ではないということだ。
■ 「NASAの次世代宇宙船開発に黄信号、米大統領が見直し指示」(AFP
■ オバマ大統領、NASAのコンステレーション計画再検討を指示(technobahn japan
これは政権が代わったということも影響しているだろうが、何よりも現下の経済状況を考えれば巨大な金喰い虫の宇宙開発に、これまで通りにジャブジャブとカネをつぎ込むわけにはいかないということだろう。
オバマ政権の予算措置優先順位の見直しに、宇宙開発がターゲットにされというのは至極当然な話ではあるのだろう。
日本としては勇躍「きぼう」設営に大きな期待を掛けてきたところに、ハシゴを外されかねない危機的状況に晒されているということなのかもしれない。
* Google Earth の Moon の紹介はこちら

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