工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ワークベンチ木工用バイス

過日、見知らぬ木工愛好家(こんな呼称で良いのかな?)、つまり趣味で木工をされている方からメールでの問い合わせがあった。
ボクがWebサイト〈木工家具の工房 悠/〈木工用作業台〉〉において紹介したワークベンチに使われているハードウェアについての問い合わせ。
どこでどのように入手するのか、ということのようだが、現在では海外からの個人輸入も頻繁に行われているのでそうしたところから輸入するのが最適だろう。
何故ならば日本においてはワークベンチタイプ(いわゆるスカンジナビアンタイプのそれ)のハードウェアは製造されていないし、またこれは詳しく調べたわけではないが、海外のものを日本において販売展開しているようなところも無いのではないだろうか。
ボクがこのワークベンチを制作したのは、工房を立ち上げて最初の仕事であったのではるか20年近くも昔のことになる。当時は残念ながらインターネットなどという世界規模のネットワークもなければ、個人輸入という術もボクは持ち合わせていなかった。
したがってこのスカンジナビアンタイプのワークベンチにフィッティングするようなハードウェアは日本で販売されているバイス用スクリューに一部旋盤加工を施して使用せざるを得なかった。
エンドバイス、テールバイス、1対の求めたものをそれぞれ旋盤加工を施し、ワークベンチにセットしたのだが、これは現在も尚現役で大活躍していることは言うまでもない。
(その後、別のタイプのワークベンチを制作したのだが、この時はハードウェアは米国木工通販サイトから求めた)
この問い合わせてきた人に提供した情報がこの時最初に入手した製造販売会社の情報である。以下に記そう。
【発売元】東京フラッシュ工具センター
【製造元】関東機工製作所
 住所:東京都渋谷区渋谷3-10-10
 Phone:03 3407 7287
扱っている商品は大凡以下のようである。
・フラッシュ・プレス用具
・部分締め具(手動ハタ金類)
・バイス工具類
・木工用シャコマン・クランプ類
・切削工具・雑工具治具
    以上。いずれもこの会社のパンフレット記載の通りを再掲したもの。

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そば処・川根路茶寮〈ひらら〉

李朝棚今日は以前から親しくしてくださっている近郊のそば処へ家具制作の打ち合わせで出掛ける。
川根路といえば静岡県内の人はもちろんのこと、紅葉狩り、花見、温泉などの観光スポットとしてちょっと名の知れた街道だろうからイメージは浮かんでくるかも知れない。
JR、あるいは国道1号線、島田から第一級河川“大井川”沿いの県道を上流へと10数Km奥まったところに位置している。
この店は代々庄屋を勤めた切妻造りの旧家(明治5年に建築)がそのままの姿で趣のある茶寮(そば処)となっている。
ボクはめったに来るところではないが、ここの女将とは以前世話になった陶芸家、ギャラリー関係者の紹介で旧知の関係にあった。
画像はかなり昔に買い上げてくれた李朝棚。
手前の蕎麦は店のメインになるメニュー。
今度の家具の依頼はご自宅用ということで、あらためてこの画像の李朝棚と同様のデザインで別途収納部分を増強したキャビネットの依頼だ。
この李朝棚をこの店に鎮座させていただいて10年ほど経過するものの、機能も含め完全な状態で保存されているのを拝見して、驚くと共に感謝の念が湧いてきたものだった。
材種はマホガニーであるが(いわゆるホンジョラス、真性マホガニー)、かなり大径木から製材されたものであったことも堅牢性に幸いしているのだろう。
またボクが本格的に李朝棚を作り始めた初期のものといいうことで、それだけに力が入ったものであったことが、長年経過してなお偉容を誇っていることに繋がっていたものと考えている。女将への感謝とともにいささかの自負も感じさせていただいた。
この店は旧家という雰囲気を大切にしているので、自然換気がキホン。つまりエアコンはほとんど使わず、冬はストーブ。夏は扇風機(とても雰囲気のある重厚なもの)という条件。つまり決して家具のおかれる環境としては良いものではない。そうした環境であっても完全な状態で保存されてきているということを考えていただければどれだけのものであるかは理解していただけるだろう。
さて自身の宣伝はこれくらいで、お店について少し触れておかねば女将に失礼。
私見を開陳する前にまずはパンフレットから…。

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仏壇あるいは“けんぽなし”のキャビネット

キャビネットa画像はキャビネットだが、この上部は仏壇としての機能を備えている。
いわゆる家具調仏壇というものになるのだろう。(仏壇にはそのようなカテゴリーがあるらしい)
仏壇とは言っても、決して精緻を尽くし、贅をこらしたものというものではない。実は親戚の一人暮らしの老婦人が養護老人ホーム施設へと転居するにあたり、既に購入設置してある立派な仏壇は施設の部屋には納まりきれずとても持ってはいけないのでシンプルでコンパクトなものを制作してもらえないか、という依頼からのもの。
したがってスモールサイズで、位牌を中央に置き、いくつかの仏具を並べられる、またお花、供物など飾ったりできるようにトレーを付加させるなどの条件を満たしデザインしたもの。
材種は10数年前に競り落としたケンポナシ【玄圃梨】(参照:「木材図鑑」
キャビネット構成は材積の余裕がなかった、あまり幅広の原木ではなかった、という条件下であったので、上部は板差し、下部は框、とややイレギュラーな構成になった。しかしこれはこれで巧く納まったと考えている。
扉部分の間口(幅)は上下とも同一なのだが、下部が框でやや厚めの木取り(35mm)をしたので、総幅において30mmほどの差が出て、視覚的な安定感も出たように思う。
なお扉は見ての通り無垢の板をただハシバミで納めそのまま取り付けたものだ。ただ中央部から左右に10度ほどの傾斜を持たせ中折りにしたことで、ややボリューム感と、柔らかなラインが出たのではと考えている。
(框の扉にしなかったのは、枠を付けずに、板の美しさをそのままシンプルに見せるため)
ハシバミとはいっても1枚板なので板の伸縮を配慮することは重要なことだが、完璧に乾燥した材であること、幅が200mmほどの狭いものであること、などを持ってあえてハシバミ部分にはしっかりと接着している。丁番側には込み栓(ペグ)を打ち込み、例え動いても機能には差し障りのないよう心がけた。
キャビネットbまた日本伝統の仕口からすると、ハシバミ部分でも木口を見せずに納めるという美意識が基本であるが、ここではあえて左右の繋がりを1本の木から取ることでのデザイン的統一性を図った。
J・クレノフなどのキャビネットなどにもこうした考えでの扉のデザインがあったように思う。
ただ残念であったのは材積の余裕がなく、扉の木取りが思うようにはいかなかった、つまりブックマッチのようにデザイン的な配慮が十分にはできなかった、ということでの憾みはある。
もう1つ仕口について明かす。扉の中折れ部分だが、まずハシバミのオス加工をし、この1枚の板を所定寸法で割り(できるだけアサリの薄い鋸で)、この割り割いた矧ぎ口部分に角度を付け、Lamelloの助けを借り傾斜矧ぎしたものだ。
ハシバミ上下端の方は厚めの材から傾斜を付けて所定寸法に木取る。これにハシバミのメス部分をピンルーターで小穴を彫り込む。傾斜が付いた外部をフェンスに沿って移動させることで見事に傾斜角度の小穴が得られる。
なおこのハシバミ部分は裏に0.5mm、表に2mmのチリを設けている。いわゆる面チリという納まりだ。完全に面一(ツライチ)にしようと考えるよりも、あらかじめそのようなデザインとして考えると無理なく、綺麗に納まるだろう。
しっかり矧ぎ部分が乾燥したところでハシバミを付ければOKだ。
予算があまりなく、基本的な条件を満たし納める、というのもプロの技のうちだね。
ただ仏壇という未経験分野での仕事であるため、聖なるものを納めるキャビネットの条件とは、ということで悩まなかったわけでもないが、あまり仏壇、仏壇、と狭量に考えるよりも、シンプルで美しくという思考でやってしまったのは果たしてどうであったかは、この依頼者の第1印象を聞いてみないと分からない。老婦人なのでこの点はいささか心許ないのだが…、

「ATOK 2006」導入

花Macにおける日本語文字入力システムは「ことえり」というお利口なソフトが担ってくれていて、OS X 環境下ではかなりの進化を遂げているはず。
でもボクのMacにはジャストシステム社の「ATOK」が相性が良いみたい。
実はOSX にシステムを改変した際、この「ATOK」を OSX対応のものにしていたのだったが、その後投資を削りケチりバージョンアップをしてこなかった。
これまで「ATOK 14」環境下でタイプしてきたのだが、やはりその後バージョンアップしていったOSとの不用な干渉を含め様々な不具合を感じていて、ストレスが募っていた。
Apple社のいくつかのアプリケーションにおいて、日本語入力が上手く反映しない、全く入力できない、あるいは印刷ダイアローグにおいて数値が入力できない、などの不具合が起きていた。
最初はそれらが何に起因するものなのか判然としなかったのだが、1度Apple社、およびジャストシステム社のサイトヘルプ、および電話でのサポートの際にこの「ATOK」との相性の悪さの可能性を指摘されて以降、いくつもの不具合がこのATOKに原因を持つことが判明。そうした可能性のある操作の度ごとに「ことえり」に切り替えて乗り切ってきたのだった
そこで久々に新たにバージョンアップした「ATOK 2006」を購入、インストールした。
かつてのような不具合は現在のところ確認でできないので、まずはバージョンアップの効果大と言っておこう。
ところでこうしたコンピューターにおける日本語入力での不具合というものはMacを含めOSの出自が米国、英語圏にあるということからくる宿命的なものであるのかもしれない。
単に1バイトが2バイトになるだけという単純なものではないのだろう。
全く門外漢な世界であるのでこれ以上は止めておこう。
WebブラウザのSafariなどもまだまだ日本語表示の不適正があるが、これはApple開発陣営の日本語対応化作業チームの尽力で改善されねばならないだろう。
このブラウザ表示についてむしろはコンピューター、プラットホームなどの違いによる機種依存文字の非表示の方が大きいのだろうがね。
Windowsユーザー様方の「独善性」を非難しようにも圧倒的劣勢なMacユーザーの声は届かない。(×_×)
ATOK画像topは記事内容とは関係のない「アガパンサス+ひまわり」の生け花(よく利用する図書館玄関ホールにて)ちょっモダンな生け方だったのでコンパクトデジカメでパチリ。
←は「ATOK 2006」のパッケージ。Apple社のその商品はデザイン的に優れたものが多いのが特徴だが、パッケージにもそうしたセンスを感じさせる。
この「ATOK 2006」のパッケージはそうしたApple社のデザインセンスを拝借したものと感じるのはボクだけではないだろう。
あるいはMacのアプリということで、Apple社との協議を踏まえて、このようなApple親和性の強いデザインにしたのだろうか。…ふむ。

米国木工専門誌サイトの進化とSpokeshave

届いた『Fine woodworking』No.185 をめくっていたら、先に記事にした「Spokeshave」が特集されていた。
「TOOL TEST: CHOOSING AND USING SPOKESHAVES」(参照
これは余談ではあるが、最近あまりこの出版社のWebサイトは見ていなかったのだが、記事の多くがPDFとして提供されているようだね。ユーザー登録すれば無料のようだ。ボクは定期購読しているのでその効用はあまりないようにも思えるが、しかし再利用、データ管理として再考すれば印刷物のものよりもはるかに利用価値は大きいのかも知れない。
米国のこうしたサイトの進化はすごいものがある。これらもWeb2.0ということになるの?
日本の出版社もいずれそのようになるのか?、マーケットの大きさが違うからね、難しいと見た方が良いだろう。
さて、〈Spokeshaves〉。
この雑誌の得意分野「Tool Test」での紹介とあって、様々なSpokeshavesが紹介され、比較対照されている。
先のエントリーで解説しきれなかった構造的特徴も断面図入りで解説されているので、詳細の翻訳を待たずしてもほぼ理解できるだろうと思う。
その切削構造がとてもユニーク。
ただ残念ながら[Curved Face]のものがないのだ。??

工房の週末

ウォールナットテーブル
あわただしい週末だった。
昨日は愛知県下の顧客2軒へ足を運び、納品とテーブルトップのメンテナンス、そして秋の展示会の打ち合わせでギャラリーへ。
オイル仕上げでのテーブルトップはなかなかやっかいではあるね。
一定の耐水性、耐熱性はあるものの、一般に広く使われているウレタン仕上げのものに比較すると、その劣化の進行は否めない。
これもユーザー側の理解にもとづいた日頃のメンテナンスにより、その経年変化も様々だろう。
うちでも一般にテーブルトップについてのみ、ただの植物性オイルではなくウレタン結合のものを使ったり、下地処理にウレタンシーリングしたりと様々に試行錯誤してきているのだが、オイルフィニッシュの良さを確保しながら、なおかつメンテナンスフリーを確保できるようなものを追求しているが、未だに完璧と言えるものに到達していないというのが現状だ。
さて、今回もランダムオービタルサンダーにて下地を研磨し、その後にウレタンミックスのオイルを拭き込む作業をインターバル3時間を置き2度行った。
幸いにして天気も回復し、乾燥も進んだので2度目の拭き込みも完璧に終了した。
顧客は新たなテーブルトップのRenewalに感嘆の声で迎えてくれたものだ。
ついでに椅子の方も座面を中心に改めてオイルフィニッシュでの再生を行った。(こちらの方は普通の純植物性オイル)
実は完璧とは言っても高温であったため、最初は乾燥が進みすぎややムラになってしまったのだったが、すぐさまシンナー分を増量したミックスオイルで追いかけで拭き込むことで、このムラは解消させることができた。
顧客宅での作業は、所定の内容で全てスムースにいくなら問題はないが、時として思わぬ事態が発生することもあり、これをフォローする態勢を確保するのはなかなか困難なことだ。
これらをどこまで想定しつつ準備できるかがポイントであるが、これらも経験の蓄積、応用力での対応が必要になってくるということになる。
昨夜はこうして夜も更けての帰宅。今日はまた地元自治会の役員としての公務に奔走。
明日未明のFIFAW杯決勝戦も起きてTV観戦しなければならないと言うので、本来の週末としての機能が果たせないまま床に就くことになってしまいそう。
でもしかし週明けからの工房での仕事に入ればまたあらたな淡々とした制作活動に入ることが出来るので充実した時間を過ごすことも出来るだろう。
まだまだ湿潤な環境での仕事を強いられるが、皆さんも腐らずじっくりといきましょう。

メタルから光へ切り替えたいが…。

キャビネット
この地域、今年の梅雨は渇水も心配したくなるほどの空梅雨気味だったが、ここへきて断続的に強い雨が…。
画像はウォールナットと天然檜(柾目)のキャビネット(artisan 作)。
エントリー記事内容とは全く無関係(苦笑)
近くの道路新設工事に伴う電話線張り替え工事が一昨日から2日にわたって行われた。中継局からの亘長はさして替わるものではないようなのでブロードバンドの環境、品質もさほど影響ないと思われた。
しかしライン切り替え前後の接続速度の計測値が大きく変化してしまっていた。3割ほどスピードが落ちている。
亘長は約2.6Kmであるため、元々あまり速度は出てはいなかったところへ、さらにこれが減ずるとなると、心中おだやかではない。
工事業者にクレームを付けても仕方ないので、設計管理の責任部署、担当へと電話をし改善を求めた。するとただちに現場工事業者へと連絡が入ったようで、あわてながら外線のいくつかの端子函(電柱にぶらさがっている黒く細長い奴)を確認に走る。暫くして 「どうでしょうか」というので、あらためて確認すれば、この3割減がほぼ改善され、幾分以前よりは良質になっているようだった。
どうも対象回線に不要な負荷が掛かっていたようで、これらを切り離すことで改善されたということのようだ。
しかしボクはいくらかはこうした系統を理解できるからクレームも付けられるが一般には業者任せであろうから、なかなか本来取得できるはずの品質を逃していると云うことも多いのではと思わせるような経緯でもあったので、こうして記事にしてみた。
当地域、残念ながら田舎なので光ファイバーケーブルは来ていない。NTT西日本に問い合わせしてみても、現在はその予定にも無いという。
その後現場にも足を運んでくれた件の責任部署担当にこのことを尋ねてみると、NTTへの依頼も重要だが、行政を動かすのが有効だとか。
つまりその地域での光を希望するユーザーがどの位いるのか、あるいは今後の契約見込み、など一定の見通しを持って行政窓口(市町村)に申し出るというのが有効と云うことなのであろう。
現在、この光ファイバーケーブル敷設に関しては、ある種の国家的事業でもあり、その施策によって敷設計画があるようなのだが、ソフトバンクの孫正義CEOなどは民間主導で全国くまなく6.000万回線を光ファイバに切り替えるべき」と提言している(参照

鉋 vs スクレーパー(その4)

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道具の選択というものはその職人(木工家と別称しても良いが)の志向する木工芸の内容を、あるいは時にはその本質の一端をも規定づけるものではないだろうか。
1つの作品の完成へと向かう道筋もその職人によって実に多様なプロセスを辿るということはめずらしいことではない。
その職人が準備し、使うことのできる機械、道具によって、あるいはまたその職人が到達している技能によって、その選択の基準も異なってくる。
これは完成した作品が持つ品質、作品が放つ品格というものにも微妙に反映するということも経験的に知るところだ。
現代の木工を取り巻く道具、機械の環境、あるいは選択可能な技法は多様であり、これをどのような基準で選択するかということもその職人がめざす木工というものの到達点から演繹させて考えればよいのだろうと思う。それについては他人が介入すべきものではない。
必要とあらば自身の木工を深く掘り下げるものとしてこれを批評的視点から対象化させることで十分なのだろうと思う。
木工の名品を観賞する機会を得た時などに覚える感動はその作品が持つ品格、あるいは訴えかける力というものを感じるところから発するものだと思うが、ここに内在するものとしてその作品に用いられている技法であったり、使われた道具というテクニカル的な要素が反映していることをボクたちプロは見抜くことができるものだ。
一方ふりかえってみて自身を含む現代の木工の内実というものが機械、道具の飛躍的発展の影で歴史に逆行するかのように疲弊していることを知らされてしまうことも少なくない。(×_×;)
さらにまた本考察で少し触れたことだが木工道具などの市場展開も残念ながら家具産業の量産化、あるいは生産拠点の国外への移転などの余波を受けて年々縮小傾向を辿っていることもあり、機械、道具の取捨選択はいよいよ自覚的でなければならなくなってきている。
少し予断が過ぎたかもしれないが、機械、道具の使い方、選択の仕方というものはあらかじめあまねく与えられているというものではなく、自身が目的とする木工の姿を投影したとき、何が必要でどれを捨てるのか、という意識的、自覚的働きかけに応じて選択すべきものであろう。
スクレーパー、台鉋の選択もしたがって自身が制作しようとする木工品の内実に従うままに使えば良い。

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鉋 vs スクレーパー(その3)

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【スクレーパー】
さて主題のスクレーパーである。
木工加工工程においてこのスクレーパーという工具はどのような位置づけにあるのだろうか。
これまで述べてきた仕上げ工程における切削、あるいは研削に用いられる道具の中にあってその特徴と使い方というものを比較対照させることで明らかにしていきたい。
本稿、冒頭で書いたように実はスクレーパーという道具は木工加工という領域に留まらず広く一般に用いられている(むしろ木工で使われるケースの方が少ない)。
無論その目的も、対象も異なるので刃の仕立て方も、使用方法も異なるのは云うまでもないことだが、しかしその切削、研削の基本的な考え方において異なるものではないと言っても間違いではないだろう。
つまり簡単に云えば、こそぎとる、ということだ。
この表現は台鉋、あるいはサンディングペーパーにおける切削、研削の手法との差異を対象化して表記すれば…、ということを付記すればより理解していただけるだろう。
さてそれでは具体的にこのスクレーパーという道具について見てみよう。
その刃物として特徴は殊更述べる必要もないほどシンプルなものだ。
厚み1mmほどの焼きの入った鋼板があればよい。
その形状は長方形、外丸、内丸、雲形、など数種類のものが既製品として入手できるはずだ。
一般にはご存じと思うが鋼の世界的なTopメーカーであるスウェーデンの「SANDVIK社」のものが信頼性が高いようだ。
しかし先にも記したように鋼でありさえすれば何でも良いだろう。ボクはこのSANDVIK社のものの他に、研磨で世話になっている帯ノコ屋さんで製材用の帯ノコのお釈迦になったものをカットしてもらって作っている。この地域は多くの木工家がいるので、この帯ノコ屋も周知のこととして気安く、作ってくれる。
ネットなどで確認すれば手鋸の折れたものなどから製作している人も多いようだが、厚みからすれば、やはり製材用の帯ノコが良いのではないか。
またボクの親方に当たる横浜で洋家具を製作していた職人は、鉄ノコをカットして作っていた。(後述)
まぁ、このように鋼の板でありさえすれば良いのだが、これは見事な道具に化ける。
台鉋同様、ここではその仕立て方を解説するものではない。
既にネット世界の先輩が詳述されているので、それを参考にされたい。
(宮本家具工房の「木工講座」、家具制作鯛工房の「家具制作資料室」など)

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鉋 vs スクレーパー(その2)

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【日本の台鉋の特徴】
純度の高い炭素鋼を用い、適切な鍛造工程を踏んだ刃物を打ち鍛え、これを熟練した木工職人の手で研ぎ上げ、そして適切に下端調整された鉋台にすげれば、もう誰が引いてもすばらしい鉋屑を出すことが出来る。
台鉋の特徴とは打ち鍛えた炭素工具鋼の刃物と、被切削材を平滑に削り上げるための定規でもある台とのコンビネーションにあると言えるだろうが、恐らくは木工道具において最も進化し完成されつくしたものと云って良いだろうと思う。
日本の台鉋には切削の用途に応じ様々なものが開発されてきたのは云うまでもないが、現在では電動工具の飛躍的な発展の影でむしろ疲弊しつつあるというのが現状だろう。
しかしまだまだ必要とされる特殊な目的の鉋も十分に入手できると思うので市場から忘れ去られる前に入手しておくことをお奨めしたい。
平鉋、長台鉋、際鉋、反り台鉋、四方反り台鉋、外丸鉋、内丸鉋、作里鉋、比布倉鉋、南京鉋、立鉋、角面鉋、坊主面鉋他、面取り鉋多種、etc。
これほどまでにバリエーション豊かな台鉋の世界というものは日本をおいて他では見られないものとなっている。
さて一方、この台鉋以外の切削道具について今回の比較対照であるスクレーパーを除き簡単に見ておきたい。
【サンダー】
サンダーというものにも様々な道具があるようだ。
日本語では〈砂紙〉と呼称されるように、ベースの紙、あるいは布に様々な鉱物が塗着されていて、これをヤスリのような機能で被切削材を削り落とすというものだ。砂にはガーネット、石英粉末、溶融アルミナ、など様々なものが用途に応じ用いられ、また粒度も#80 〜 #1,500 などと様々。
うちでは#180〜#1,000 を用意しているがこれは素地調整としては一般的なものだろうと思う。工程、あるいは被研削材により粒度を変える。

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