工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ワークベンチ木工用バイス

過日、見知らぬ木工愛好家(こんな呼称で良いのかな?)、つまり趣味で木工をされている方からメールでの問い合わせがあった。
ボクがWebサイト〈木工家具の工房 悠/〈木工用作業台〉〉において紹介したワークベンチに使われているハードウェアについての問い合わせ。
どこでどのように入手するのか、ということのようだが、現在では海外からの個人輸入も頻繁に行われているのでそうしたところから輸入するのが最適だろう。
何故ならば日本においてはワークベンチタイプ(いわゆるスカンジナビアンタイプのそれ)のハードウェアは製造されていないし、またこれは詳しく調べたわけではないが、海外のものを日本において販売展開しているようなところも無いのではないだろうか。
ボクがこのワークベンチを制作したのは、工房を立ち上げて最初の仕事であったのではるか20年近くも昔のことになる。当時は残念ながらインターネットなどという世界規模のネットワークもなければ、個人輸入という術もボクは持ち合わせていなかった。
したがってこのスカンジナビアンタイプのワークベンチにフィッティングするようなハードウェアは日本で販売されているバイス用スクリューに一部旋盤加工を施して使用せざるを得なかった。
エンドバイス、テールバイス、1対の求めたものをそれぞれ旋盤加工を施し、ワークベンチにセットしたのだが、これは現在も尚現役で大活躍していることは言うまでもない。
(その後、別のタイプのワークベンチを制作したのだが、この時はハードウェアは米国木工通販サイトから求めた)
この問い合わせてきた人に提供した情報がこの時最初に入手した製造販売会社の情報である。以下に記そう。
【発売元】東京フラッシュ工具センター
【製造元】関東機工製作所
 住所:東京都渋谷区渋谷3-10-10
 Phone:03 3407 7287
扱っている商品は大凡以下のようである。
・フラッシュ・プレス用具
・部分締め具(手動ハタ金類)
・バイス工具類
・木工用シャコマン・クランプ類
・切削工具・雑工具治具
    以上。いずれもこの会社のパンフレット記載の通りを再掲したもの。


バイスまぁ、要するに圧締工具全般を扱う製造販売会社ということになろう。
なお、このように詳細を記さねばならないのは、対象Webサイトが無いからである。ボクのこの旧いデータで検索しても全く出てこない。廃業したのかと思われたが、Yahoo電話帳で調べると、まだ会社はあるようだ。
日曜日でもあったが電話してみると経営者の一員と思われる女性が電話口に出てくれた。
確認できたことは、現在もなお営業しているとのこと。但し在庫のないものもあるので、あらかじめ電話などで確認して欲しいととのことだ。
これは推測であるが、ググってみても全くと言ってこの会社の情報が無いと言うことは在庫を限りに営業している可能性を示唆しているかも(これには傍証もあるのだが、確証的なものではないのでここでは触れない)。
どなたか詳細情報をお持ちであればお助けください。
バイス・スクリューなど、実にシンプルなものであるので、製造における難易度などさしてあるとも思えないが、このような会社のものしか日本製では入手できないということが示しているのは、如何に需要が少ないかということだろう。
若い木工家などは日本国内で探そうなどとは考えずにいきなり米国サイトなどへプチッしちゃうのだろうな。
これでは細々と継続経営してきたメーカーもいよいよひとたまりもなく廃業へとシフトせざるを得なくなる。
心ある若い木工家の方々はぜひアプローチしてみては如何だろうか。
確か渋谷駅から歩ける距離だったと思う。重い2本のバイスをぶら下げて渋谷警察近くを歩いた記憶が蘇る。
あの頃は若く、自身の才能への懐疑など思い至ることもなく木工への情熱ばかりは負けなかったなぁ。(笑)…暫し思いにふける…(=_=)
突然訪ねるということではなくとも興味のある方はカタログ取り寄せなど、アプローチするのも良いだろう。
さて、Webサイト対象ページでも触れていることだが、いわゆる“木工バイス”ということであれば日本にも誇れるメーカー品があることは意外と知られていないかも知れない。
〈ナベヤ〉という万力のTopメーカーのラインナップにちゃ〜んとある。(参照
いくつかのタイプがあるので選択肢も広い。
最後に海外の個人輸入のサイトからいくつかピックアップしようか、と考えたが、上述の記述と齟齬をきたすから止めておこう。
ただ制作するに当たっての詳細な解説本は次がベスト。
◆『The Workbench Book』(by Scott Landis)
  amazonでも入手できるだろう。
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