工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ミスと経験の蓄積

前回、ドジな加工ミスについて書いたが、お恥ずかしい話しだった。
いわゆるケアレスミスという領域のものだが、こういうミスは単純に不注意であることに起因する。
誰しもこういうことはある、このように猛暑が続くと集中力を欠くのも仕方がない ‥‥、などと居直るのは良くないだろうな。
こうした思わぬミスを避けるための決定的な考え方などあるとも思えないが、唯一あるとすれば、経験の蓄積だろうか。
職人の力量とは多くの仕事をこなす過程で技法を習得し、あるいはたくさんのミスを犯し、兄弟子にポカンとゲンコツを喰らい、もらったたんこぶの数だけ賢くなっていく。
つまり学習していくことでつまらないミスを避け、贅肉が絞られていくその量だけ熟練した職人として成長していくというわけだ。
“家具作家”などといった活動スタイルがあるとすれば、そうしたこととは無縁かもしれないが、職人という概念で考えれば圧倒的な経験に裏付けされたプロとしての誇り高い人といって良いだろう。

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ドジッた(“かんざし”も様々で)

かんざし1

キャビネット制作依頼に、FAX台をオプションで付加することになり作っていたのだが、額縁の留の接合、かんざしでドジった。
ルーティンワーク的姿勢であったための帰結。オヨヨ
反省、反省 !!

課金しないサービスオプションということもあり、シンプルな額縁に地板を落とし込んだだけの構造。
それだけであればミスとはならなかったが、見込み側を上下に大きく切り面を入れたことで“破調”をもたらしてしまったという次第。

うちではかんざしのための鋸入れは画像のような手法で行っている。
最も簡便、かつ安定的な切削ができる加工法だろうと思う。

  1. 縦挽き鋸をセットし、然るべき高さまで刃を出す。
  2. 必要とされるかんざしの深さに合わせ、前後方向、上下方向で同一寸法になるように曲金をあててストッパーをセット
  3. 被加工材の枠をフェンスに沿わせ、定盤上をストッパーまで運行させる。

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戦後を生きるということ(続)

(承前)
昨日《キャタピラ》を観る。第60回ベルリン国際映画祭で主役の寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞した映画だね。

公開前に若松孝二を迎えてのステージ挨拶の機会もあったのだが、忙しく出掛けられず、全国封切りの翌日となった。

撮影期間わずかに12日間という若松組ならではの早撮りで、その舞台は帰還兵士夫婦の茅葺きの住まい、近隣に広がる田んぼ、そして竹槍訓練の場としての神社のみという実にシンプルな設定だが、描かれる時空の濃密さには圧倒されてしまった。

軍神として帰還した兵士は四肢を失った肉の塊でしかない芋虫状態(タイトル、“キャタピラ”の意)。この異様なプロットがまず衝撃的で、若松ワールドに強引に引きづり込まれる。
これを迎えるのは対比的に美しく貞淑な妻(寺島しのぶ)であるのだが、この二人の日常を通して戦争というものの非人間的な実相、そして国家というものの非情さを描く。

もはやヒトの原型を留めないほどの無残な姿にも人間の欲望(食と性)はあり、無為な日常の中にも食と性だけは過剰なまでに発露されるが、この帰還兵には四肢を奪われた中国戦線の内実が時としてフラッシュバックし、苛ませる。
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戦後を生きるということ

ボクは戦後間もない1948年の生まれ。いわゆる団塊と言われる世代だ。

3人兄弟の真ん中だ。兄や弟は生後間もない頃のスタジオでの記念写真がいくつも残っているのに、ボクのは無い。
何だ、オレはもらわれてきたのか? と、訝しく、あるいは自嘲気味に家族が集まった席で話すこともあったが、親父、おふくろにそっくりの顔だちからすればそれはない。
次男坊への期待の薄さも幾分含まれた処遇であったかもしれないが、むしろオシャレして写真館に出掛ける余裕など無い、とても貧しい時代だったということだろう。

戦後経済社会の荒廃状況下、人々は皆貧しく「貧困平等」のような時代だった。

1945年8月15日、いわゆる15年戦争と言われた日本の戦争は敗北を持って終わりを遂げた。

ボクが生まれた1948年という年は、サンフランシスコ講和条約までにはまだまだ届かないGHQ占領下であり、何もかもがカオスのような混沌とした時代だったと思う。
無論嬰児に記憶など留めようも無いわけで、脳裏に登場する最初の記憶は講和条約が結ばれる頃の断片的なものだ。

父親との二人の旅の途中、連れて行かれてた上野動物園の虎の檻の前で、とうちゃん、でっかい猫だねぇ、と周囲を笑わせたという笑い話は成人してからも嫌になるほどネタとして使われたが、ボクの鮮明な記憶はむしろ上野公園でのある光景の方だった。

白装束に身を包み、肩からアコーディオンをぶら下げ、軍歌を鳴らす数名単位の人たちだったが、彼らは片手が無かったり、粗末な台車に乗った両足が切断された状態だったりと異様な雰囲気で、判断も付かない小さな胸を苦しめるに十分すぎる光景だった。
傷痍軍人という人たちだ。

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Festool Domino、円高差益還元価格販売、だそうです

テクノトゥールズ株式会社はFestool社のドミノ本体を大幅に値引き、特価販売するようです(メルマガ報)。
米国から入手する場合との差をあまり感じさせない価格設定になっていますね。(米国内本体価格:$775.00)
ただ“限定仕様”という表記があり、これが何を指すものなのか、やや不明な要素もあります。
直接ご確認ください。

8月16日から3カ月間、フェスツール社のドミノ本体(ほぞ組み加工機)を円高差益還元価格にて販売します。
定価190,000円(税込)を99,750円(限定仕様、税込)にて。
その他の付属品類はお問い合わせください。
お引き渡しは9月に入ってからとなります。
今回は円高差益以上の特価となっています。


テクノトゥールズ株式会社
〒208-0035
東京都武蔵村山市中原1-30-10
tel. 042-569-1502
fax. 042-569-1572
e-mail: shioi@techno-tools.co.jp
Skype:techno-tools
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円環状の桟積み

桐下駄1


これ、何だか分かります?
今日はお盆ということで、父、兄らが眠る墓前と、仏壇があるる実家へと出向いた。
時折台風の余波を受けた横殴りの強い雨が降る中を車で走らせたが、実家近くの市道沿いのこの光景に目が留まり、慌てて車を停めiPhone4でパチリ。

ボクより上の世代なら見慣れた光景かもしれない。
下駄にする桐材を乾燥させているところだね。
井桁に組む、という言葉があるが、これは輪積みと言う。
荒木取りした桐材1枚1枚を井桁に組み円環状に積み上げていく。
梅雨時を含め、十分に雨風に当ててアクを抜きながら乾燥させていく。
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ミズメを想え ─「COP10」を控えて

ミズメ1

画像はミズメを鉋仕上げしているところだが、無垢板を加工素材とする木工所でもこうした光景は急速に消えつつあるようだ。

ボクがこの世界に没入する四半世紀前、すでに兄弟子からそうした懸念が漏らされていたが、今では市場に流通しているものはごくごく稀なものとなっているようだ。
兄弟子とは松本民芸家具傘下の木工所でのことで、この家具会社が用いる主たる材種がこのミズメだった。

ここではミズメは高く評価され、これを素材とすることの優位性と自覚をカタログなどで誇らしく語っていたものだ。
しかし既にその頃でも潤沢な供給量があるというわけでもなく、製作の全てをこのミズメで賄うことは叶わず、ウダイ樺(いわゆる“真樺”=マカバ)を併用することで凌いでいた。
ミズメという材種は分類としてはカバノキ科に属するが、カバノキ科の他の樹種のほとんどが○▽カンバと称するのに対しこのミズメという単独の呼称はめずらしい。(ミズメザクラという呼称も市場では一般的ながら、“桜”とは異なる分類であるので区別すべきだろう)

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2010、この夏のサブイ風景

今年の夏の暑さは格別。その気温の高さと、これが長期にわたって続くということにおいて、恐らくは記録的であるだろう。

エルニーニョ現象、地球温暖化、とその原因にはいくつもの気象テーマがあげられるものの、どれが正しいというようなものでもなく、かなり複雑な要因が絡んでいるだろうことも明らか。
かつてはこの辺りではめずらしかった南方育ちのはずのクマゼミの発生だが、今では朝7時頃から、鳴き声としては全く風情もなくただうるさいだけのクマゼミ特有の蝉時雨がより暑さを感じさせ、疎ましい。
これも地球温暖化による現象であるのだろうか。

高齢者の所在不明問題

ニュースを視れば、このところ連日報じられている高齢者の所在不明問題には、ここまで日本は来てしまっていたのか、との驚きがある。

真夏の夢であって欲しいとの願いは連日の報道で裏切られていく。
今日もどこかで身元不明の高齢者が人知れず熱中症で最期の時を迎えているかと思うと、寝付きが良くあろうはずもない。

親を敬い、兄弟仲良くといったような日本に根付いていると考えられてきた儒教精神も、今や根幹のところでズタズタにされているのだろうか。

いわゆる「公共空間」という地域コミュニティーも崩壊し、役所のルーティンワークもそうしたほころびを取り繕う機能を放棄してきた結果だろう。
今後ますます劇的に高齢者が増大する社会となる中、いったい日本という国はどうなっていくのだろう。想像するだに空恐ろしさに震えがくるほどだ。
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ナイフ交換と機械整備

プレナー

一仕事を終えれば、間を置くこともなく次の仕事へと進んでいくが、まず行うのが作業場の整理とともに機械の整備ということになる。

ダストを払い、油を差し、グリスアップ、そして必要とあらば調整もする。
同様に切れが甘くなった刃物の交換も重要。

今日は横切り盤の木取り用の60p 355 と、胴付き用100p 355、を更新し、プレナーの刃物も交換した。
ボクは貧乏性であるのか、刃物交換はさほど積極的に行う方ではない。
しかもこのプレナーの場合、超硬刃を使用しているので、かなり長期にわたって使い続けるということになり、機械管理手帳を見なければいつ交換したのか思い出せないほどに忘却の彼方である。

さらには刃こぼれしている部位を避けてまだまだ使い続けられるだろうという小賢しい解釈が優先されるのもしばしば。
しかし今回はそうした往生際の悪さを超えて、いよいよ交換の時期であることを迫っていた。
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Oak Cabinet を

cabinet1

1つ、キャビネットが仕上がった。
以前よりご愛顧いただいている顧客からの受注品。
いくつかの複数のデザインで提案した結果、比較的シンプルなものに落ち着いたというところ。

天秤指しでの板差し構造。正面見付の側板 > 甲板の接合は留。
背板は框組のパネル落とし込み。
内部は棚板3枚、

観音開きの扉は面腰仕口での納まり。
耐震対策を、との要望に応え、扉を閉めると自動ロックされる機構を内蔵。
それを仕込むために上桟、下桟はやや幅広に。しかしこういうのはバランスだから全く違和感はない。

縦框:上桟:下桟 = 3:4:4.6 といったバランス。
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