工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

決して明けない夜はない、ことを信じたい

晦日の今日、業務は昨日の大掃除らしきものをもって終え(木工屋の大掃除については、“完遂”という概念などあり得るはずがないので“らしきもの”的妥協 笑)、今朝から全く手が着いていなかった賀状の作成。
家具の撮影画像を中心に、言祝ぐデザインに少し苦闘。
夕刻には宛名面を印刷し終え、何とか郵便局本局のシャッターが閉まる前に投函(19時頃)。
新年3日ぐらいには届くか知らん?
それより何より気がかりなのがパレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の空爆による400名近い犠牲者の報道(空爆下ガザ地区の人々の怒り[画像豊富]-AFP BB News)と、これに続く地上侵攻の懸念。
それらの犠牲者のほとんどは民間人という発表もなされてる。
今夕、都内で、世界のあちこちでガザ空爆による流血の惨事への抗議行動が行われている(下記参照)。
イスラエルによるガザ封鎖はパレスチナの人々の生存を許さない程までに追い込むものであったようだが、今回の空爆はその喫水線をついに突破し、戦争状態に入ったことを意味しているのだろう。
ローマ法王ベネディクト16世は25日未明のバチカンでの恒例の深夜クリスマスミサで「ベツレヘムでの憎悪と暴力が終わるように」と祈りを捧げたばかりだったが、この願いも空しく最悪の状況へと事態は転げ落ちつつあるかのよう。
この空爆は1967年の第三次中東戦争以来の空前の規模。
とても短期で終えるとも思えない異常な事態。
来月下旬に迫った米国の政権移譲の空隙をねらったとしか思えないもので、オバマ新政権の中東戦略を大きく揺さぶるものでもあるだろうし、ある種ブッシュ-オルメルトの謀略的ニュアンスを含むオバマへの置き土産なのかもしれない。
EU、国連などによる国際社会による紛争停止の動きも、鈍いながらも始まりつつあるのがわずかの救いだが、進展によっては長期化し中東大戦争へと拡大する懸念がある。
世界はリーマン・ブラザーズの破綻に発する金融収縮の未曾有の経済的危機から、政治社会的混乱へと質的転換を見せているという1つの表象なのかも知れない。
先のインド・ルンバイでのテロリズムも印パ間のきな臭い紛争へと進む兆候もあり、この度のパレスチナをめぐる新たな事態も合わせ考えれば、世界のパラダイム転換へのぎりぎりとした抗争のうちに08年から09年への扉が開かれようとしているようだ。
*参照
■ 世界各地で抗議広がる(AFP BB News)
イスラエル大使館前で抗議集会 東京
イスラエルのガザ空爆、世界各地で抗議広がる
「P- navi info」に現地の詳細な情報

ロッキングチェアの似合う空間

ロッキングチェア
軸組工法、無垢の国産材で内外装が施され、ここに薪ストーブが鎮座すれば、もう待ってましたとばかりにお買い上げ頂いたのが、このロッキングチェア。
制作後、約2年経過したもので拭漆もやや透けてきているが、これもむしろミズナラの木理をより引き立ててくれるということでは決して評価を下げるものではない。
このA邸では、ソファ、およびセンターテーブル、さらにはテーブルセット、等々、リビング、ダイニングにおける調度品の主要な部分を様々に制作させていただいた。
納品を終え、挨拶を済ませ帰ろうとすると、いつも自家製の野菜やら、フランスワインなどを持たせてくれる、とても心優しく気さくなお人柄のご夫人。
帰宅が遅くなりなかなかお会いできないご主人も、納品の翌日には気に入ったとの暖かいお電話をくださる人だ。
2008年をこうした深い理解者、顧客に助けられて無事に終えることができることに感謝するとともに、今後の精進もまた強く求められるということに自覚的でありたいと思う。

本年最後の納品は

座卓
昨日は本年最後の納品を無事終えることができた。
この“無事”というのは誇張でも何でもなくまさに実感だ、
納品した家具はロッキングチェア、座卓などだが、この座卓がちょっと特殊なものだった。
甲板のボリュームだけで優に100Kgを越えるほどのもの。
材種はクラロウォールナット。甲板サイズは2,000w 1,000d 75t(1枚板)
甲板だけでも2人でふらふらしながらやっと持ち堪える、という風。
脚部を送り寄せ蟻で接合すれば、150Kgほどか。
こんな仕事良くやったよね。我ながら感心するぜ。
このクラロウォールナットは原木丸太の中でも最も幅も広く、状態も良く、したがって厚めに製材し大事にお守りしてきたもの。
依頼主(寺院住職)にも満足いただき、2008年を締め括るにふさわしい仕事だった。
*参考記事
外作業は楽しからずや(鉋は使っていますか?)
銑は使っていますか
木取りと勝手の迷い

「アフリカの造形」芹沢美術館企画(ご案内)

serizawa芹沢美術館から企画展の案内が届いています。
年明け4日から5月中旬までの期間ですが、
「躍動するかたち アフリカの造形」とタイトルされた芹沢銈介氏のコレクションによるものです。


躍動するかたち アフリカの造形
■ 2009年1月4日(日)〜5月17日(日)
■ 休館日 毎週月曜日(1/12、5/4を除く)、1/13、2/12、4/30、5/7
*参照
芹沢美術館公式サイト(こちら

2008年はどのように記憶されるか

2008年
冷え込みが一段と強くなってきた。
予報に反し夕刻前に少しだけミゾレ交じりかと思うほどの冷たい雨が降っていた。
寒波到来という感じで北陸、東北地域の一部では吹雪いてもいるようだ。
ここから望む富士の山の積雪量も例年になく多いようだ。
画像は制作した家具に記す年号だが、この2008を使えるのも今日を含めてもわずか7日となってしまった。
9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻に発する金融破綻と世界同時不況の嵐は当初の想定をはるかに超えて国内製造業のドラスティックな縮小傾向を見せてきている。
小泉-竹中路線の下でのカイカクという名の規制緩和がもたらした、非正規雇用、派遣社員といった雇用関係の変容は、今その本質が露わになってきている。
いわゆる派遣切り、内定取り消しという労働者の切り捨てが当たり前のようにまかり通っている異様な光景は、カイカク路線を邁進してきた1つの帰結だ。
無論尋常ではない国際経済の冷え込み、超円高は輸出産業の衰退を招くことは必然的かも知れない。
しかしだからといって産業を支えてきた労働者を紙くずのように切って捨て、路上にほっぽり出すというのは果たしてGDP2位の国がやる作法として本当にふさわしいものなのだろうか。

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仕事はまだまだ続く(納品行)

Starbackscoffee
既に時刻は夜の10時を越え、あと1時間ほど走らないと我が家にはたどり着かない。
納品行で西に走り、その帰路途上なるも、このところ連日のハードな仕事でややバテ気味なせいかハンドル操作にも不安が‥‥。
途上、浜名湖サービスエリアに立ち寄り小休止。
スターバックスコーヒーでエスプレッソ・ドピオを煎れてもらい、眠気を覚ます。
何やら店舗周囲が夜半とも思えぬ華やかな雰囲気だ、と外をみれば青白いLEDのイルミネーションに飾り立てられた偽木に囲まれている。
店員に「イルミネーション綺麗だね‥‥」などと言葉を掛けると、明るい笑顔で先ほどTVのニュースでこの光景が映ったんですよ、とのこと。
こんな他愛ないひと言を交わすだけでも疲れた身体には良い効果がある。
無論、営業上の笑顔であることを知っていてもだが。
向こうにしても、時給数100円の薄給に甘んじながらのサービス業の従事も、来客とのつまらないひと言でも少し気分を好転させるきっかけになるかもしれないだろう。
Macを起動してこのBlog記事を打つ。すると何とWi-Fiがフリーで取得される。
店員に聞くも、うちの店内では流していないとのこと。どこの親機の電波を拾っているのか。
店員もMac、iPhone G3のWi-Fi認証を覗き見て不思議がる。
ところで今日の納品での唯一の失敗は撮影ができなかったこと。
EOS Kissが全く使えなかった。
「Error 99」だ。
2,400 × 1,000mmというビックなもので、しかも新築の豪邸に置かれたものなので、撮影チャンスを失ったのは如何にも惜しい。
どんなモードでもダメだった
このところ不調が続いていたものの、モードを切り替えると、適正にシャッターが切れたのだったが・・・。
いよいよあかんか。
派遣切りの先頭を切った御手洗会長への恨みを募らせても詮無いことであるが、
いよいよEOS 50Dへの更新を考えねばならないということ(そういう話しではないか。nikon、あるいはSonyへの転換?)。
まだまだ数日のインターバルを於いて、年内の大きな納品が続く。
納品時の撮影は、しばらくはEOS Kissはあきらめて、コンパクトデジカメでの撮影に甘んじると言うこと?

地酒『磯自慢』を求めて右往左往

磯自慢
年の瀬もいよいよ旬日に満たない日を残すのみとなってしまった。
まだまだ年内数カ所の大きな受注家具の納品を控えているというのに、今日は地酒を求めて右往左往してしまった。
今や幻の銘酒となりつつある焼津市の酒造所の「磯自慢」を求めねばならず、仕事を中断して隣の焼津市の蔵元まで走らせる。
その途上何度かこの「磯自慢」を購入したことのある酒屋に立ち寄るも、在庫が無い。
あまり期待もしていなかったのでそのまま蔵元へと走らせる。
駿河湾を望む焼津港にほど近いところにその蔵元はある。
果たして‥‥、杉玉とともに墨痕鮮やかな大きな看板が掲げられた天保元年創業の蔵元の板戸は固く閉ざされていた。
曰く「全て売り尽くして在庫はありません。‥‥」とのつれない張り紙。

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電動工具における集塵システム(Festoolルーターの場合)

OF1400a
木工機械のそのほとんどは集塵できるようにしているものの、電動工具においてはそれまであまり関心を持ってこなかったが、Festool社のDomino、あるいはハンドルーター「OF 1400」を導入してからというもの、その快適さには少なからぬ恩恵を被っている。
ボクは呼吸器疾患を持っているので、よりシビヤに感じてしまうこともあるが、おが屑が環境に排出されないというのは様々な利点がある。
ダストの人体への侵入を阻むということはもちろんだが、工場の汚れも押さえられる。
それとその電動工具の作業性そのものにも良い効果がある。
電動工具の機種によって様々だが、切削などにおいてダストが障害になることもあるだろうし、ハンドルーターなどでは切削の状況の視認が大いに改善される。
Dominoでは集塵されないとその切削能力は明らかにダストに阻害され、本来の能力が発揮できないことはその切削機構から明らかだ。
それまで関心を持たなかったことで導入へのインセンティヴを持ち得なかったうちが電動工具用の集塵機を購入したのは、このDomino導入がきっかけだった。
あるいはハンドルーターでアリ溝を掘る作業のような場合、集塵されていないとダストに覆われた状態では端末位置のスミが見えないだろう。
恐らくはこれ以外にも様々な場面で集塵システムがもたらす効用が認められるのではないだろうか。
さて画像は2,400mmの甲板の木口をカットしているところ。
通常であれば横切り盤で行うところだが、あまりに大きすぎて大変。
そこでハンドルーターにストレート刃を付けて切削しているの図である。
OF1400bここは機械場ではないのであまり汚したくはない。
そこで集塵するのだが、アリ溝などと異なり、オープンな木口への切削であるため集塵は困難と考えられるかも知れないが、これが何とほぼ9割ほどの効率で集塵ができる。
これは標準のアタッチメントである「Chip Catcher」の成せる技である。
最初見たときはこんなものどの程度効果があるのか?と疑問であったが、予想に反し大いに効果が認められた。
なおこの「Chip Catcher」、およびホースアダプターいずれも工具不要のワンタッチでの装填が可能。
以前 OF 1400 についての解説でも詳しく触れてきたところだが、Festool社の電動工具に共通に見られるこのようなツールレスでのアタッチメント装填、解放の自由さというものは大いに評価されて良いだろう。
このあたりのシステムについてはメーカーの米国サイトをご覧いただいた方が判りやすいかもしれない(こちら)。
こうした使用方法を考えれば、このメーカーの得意とするところのガイドレールシステムも導入すべきかも知れないな。

Slava ・Ave Maria

ave mariaクリスマス ウィークだね。
これを祝う日本人のどれほどがキリスト教の洗礼を受けているのかは知らないが、宗教世界にしばし耽溺するのは決して悪いことではない(通俗的、あるいは消費社会のイベントに堕したものでしかないという側面も大きいのはその通りだとしても‥)。
今日はスラヴァでカッチーニのアベ マリアをと、YouTubeで探したら、ボクが持っているグノー、シューベルトのものなどAve Mariaばかり12曲が収められたあの著名なCDバージョンとは異なるものがあった。
シンセによる荘厳な教会音楽という構成ではなく、これはギター1本だけの伴走で奏でられるもので、ちょっと驚いた。
ギターもとても良い。
途中でフェイドアウトしてしまうのが残念。
Slava / Ave Maria

大きなテーブルの場合

クルミ大きなテーブルの制作はいくつもの困難が伴う。
材料の手当からはじまって、納品搬入までのあらゆる工程において通常の作業工程とは異なる難しさがある。
いわば量から質への転換というものに近いものがある。
下衆の話しで言えば、等比級数で制作費用を弾き出せばとんでもないことになる。
そのいくつもの困難な工程の中で最も難しいものはやはりムラ取り、平面出しであろうか。また同じように矧ぎ口の加工であろう。
無論これらは手押し鉋盤での作業となるが、一般的な手押し鉋盤では長尺ものを目的とする切削面を得るのはかなり困難な作業となる。
手押し鉋盤の適正な調整の下でも難しい。
これは被加工物が手押し鉋盤の定盤(テーブル)の長さを大きく超えることで、本来の正しい姿勢で切削することが困難ということの他、当然にも被加工物がかなりの重量になることで、テーブルを越えたところから垂れてしまい、適切な切削ができなくなるという問題がある。

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