工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ソファ「悠」の場合

ソファ2
インターバルが空いてしまったが個展出品の家具の紹介。
今回はソファ「悠」2P。
ウォールナットの良材をふんだんに用い、贅を尽くしたソファ。
贅とは、この場合、材質の良さもさることながら、仕事においても高品質なものを目指した。
デザイン、構成はアーツ&クラフツ様式を基にしたものであることは見ての通り。
ただディテールにおいて、かなり工房 悠のエッセンスを盛り込んだつもり。
重厚な木取りの前脚をハの字型にふんばらせ、ここに幕板を貫通クサビ止め(後ろ脚も同様)。
この脚部に接合されるアーム部位はそれぞれに組み手で納まる。
脚部前後を結ぶ幕板は不定型な円弧を描き、傾斜して納まる。
ソファ1デザインの考え方も様々であるが、ボクたち木工家においては、やはり家具という造形物を構造的必然性から要請されるものとしての意匠というものが、まず前提となる。
つまり、それぞれに意味のあるフォルムであり、ディテールとなってくる。
嫌みのない、あるいは外連味のない、納まりの良いデザインである。
技法的には難易度においてさほど見るべきところがあるわけではないが、それぞれ傾斜した脚部への納まりであり、丁寧で高精度な加工も求められる。
そうしたややナーバスな加工も、こうして仕上がって見れば十分すぎるほどに報われるというものだ。
それとやはりソファにおいて肝心なのは張り。
総合的にも木部よりも、むしろ張りにおいて、その座り心地は決定づけられる。
木工家というもの、木部で終わりとは行かず、最後の張り加工まで全面的に介入して、望むべくクッション、座り心地を追求しなければならないね。

風景動画を

今日は週末なのでエンタメを‥‥、
と言っても今回はYouTubeではなく、デジタル一眼レフカメラでインターバル撮影した画像を、動画にしたちょっと美しい日本各地の山岳、湖を !
mockmoonさんのサイトから、
Nature Time Lapse 2
ニコニコ動画では有名な投稿者のようだが、ボクはニコニコ動画にはいかないので、知らなかった。(ニコニコ動画は今もMac非対応?)
デジタル一眼レフカメラ(Nikon D3 Fujifilm S5pro)で撮った静止画をつなぎ合わせ、また一部ズームアップ、ズームダウンなど、編集を加えているようだ。
ピアノもご自身の作曲だというから恐れ入る。
最初見たときは、ちょっと感動しちゃった。
デジタル一眼レフの活用法の1つだし、編集の妙も加わり、なかなか見させてくれる。
できればモニター一杯のフルスクリーンモードで見て欲しい。画像はその分荒れるが迫力で楽しめる。(動画再生コントロール部の最右側のボタンをクリック)
また、この「まとめ動画」ではなく、短編ものだと、自身のサイトから高精細な画像で見ることが出来る。
mockmoonさんに感謝を !

サイエンスもアート(南部陽一郎氏)

ノーベル受賞に湧くメディアも、このところの日本国内の政治、経済、社会、あらゆる領域を覆いつくそうとしている暗雲から一条の光を見るかのような思いでの取材、報道であれば、この喧噪ぶりは無理からぬものがあるだろう。
しかし裏返してみれば、スウェーデン王立科学アカデミーからのお墨付きという“権威”があってはじめて相応に評価するという姿勢にはいささか白けてもくるものがある。
益川教授の「科学的問題などではなく、これは社会現象」という皮肉は、授与に舞い上がるのではなく冷静さを保ち、こうした喧噪ぶりをやんわりと批評する物言いだった。
ただ重要なのは今回のノーベル物理学賞の授与というものが、基礎物理学研究の大切さというものへの社会的関心を喚起し、国家レベルでの基礎研究の環境整備へと手厚い予算措置を取っていく良いきっかけにはなるだろうということだ。
あるいは良く言われる子供達の教育現場における理数離れを少しでもくい止めるきっかけになってくれるとすればそれも今次受賞がもたらす良い副次効果だろう。
以前話題になった「円周率は3で良い」(2002年度実施の小学校学習指導要領の改訂)という改訂には、ただただ呆れてしまったのだったが、この「ゆとり教育」がもたらした数学の基本概念をあらかじめ放棄してしまうが如き算数教育現場の劣化は、その後引っ込められたこととはいえ、やはり日本の理数教育のありようを象徴させるようなものだったように思う。

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日本人3氏、素粒子理論の分野でノーベル物理学賞受賞

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、08年のノーベル物理学賞を、米シカゴ大の南部陽一郎名誉教授(87)=米国籍
▽高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)の小林誠名誉教授(64)
▽京都産業大理学部の益川敏英教授(68)の日本人3人に授与すると発表した。
素粒子の理論で先駆的な役割を果たしたことが評価された。日本人のノーベル賞受賞は、02年の小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(物理学賞)、田中耕一・島津製作所フェロー(化学賞)以来6年ぶりで、3氏を含め受賞者は計15人。物理学賞に限ると小柴氏に続き計7人となった。(毎日jp)

■ スウェーデン王立科学アカデミー Press Release(PDF:372KB
快挙だ。基礎物理学などまったくの門外漢なれど、とても喜ばしく思う。
報道によればそれぞれの研究成果は、30年以上も昔に発表されたもので、素粒子理論の研究に多大な業績を残し、世界的にこの分野の後進に大きな影響を与えているものらしい。
「ウィーク・ボゾンとクォークの弱い相互作用に関するカビボ・小林・益川行列」(??チンプンカンプン)という論文は日本人物理学者のものとしては歴代、最も被引用回数の多い論文だそうだ。
スウェーデン王立科学アカデミーのノーベル賞がどのような基準で選考されるのか詳しく知らないが、30数年も昔の研究を対象としたり、南部陽一郎氏が87歳での受賞というのも、あまりに時期を逸しているのではと思ってしまうが、如何なものなのだろうか。
もっと次なる研究への支援として実効あらしめるようなものとはならないものか。
世界には数10人のノーベル賞候補が栄冠へ向けて列を成していることは理解できないわけではないが‥‥。
ところでメディアの取材への応対がそれぞれ個性的であることを、とても印象深く拝見させてもらった。

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楢チェストの場合

チェスト
今回の個展に出品したいくつかの家具について紹介していきたい。
まず、昨日も紹介した楢のチェスト。
松本で修行したという出自がボクの制作する家具の構成、仕口に反映していることは隠しようがない。
門前の小僧というほどの年齢で門を叩いたワケではないが、やはり諸先輩の仕事を見聞きする中から身体に奥深く染みついているものは多い。
したがってこのようなチェストの場合、帆立(側板)は框で構成することが多い。
しかし今回はそれではなく板差し。
框と板ではどっちが良いんだ?との設問には、きっぱりとどっちが良いと応えられるものではないと思う。
構造的には框の方は無垢板の反張、痩せ、膨張からの影響はより少ない。間違いなく少ない。
一方板の方は環境からの影響を受けやすいものの、接合部位は少なく、シンプルであるために、より堅牢性があるという言い方もできるだろう。
つまりそれぞれ長短を持っているのであって、適宜使い分けるというのが、ボクたちの基準であれば良いだろう。
ただやはり高級感ということからすれば、特に日本国内においては板差しの方に軍配が上がると言えるのかも知れない。
構造的に言えば框の方が、より高度な技法が投下されているとも言えるのだがね。
ことほど左様に、その善し悪しを語るのは難しい。

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個展を終了する

個展は昨日をもって会期を終了。
ギャラリー近郊から常連さん、そして以前からの家具のお客様、DMをご覧になって遠方から来られた方々、そしてこのBlogを見ていらっしゃるお若い方々、様々な方にご高覧いただき、さらにはまたお気に召されてご購入された方々、心から感謝いたします。
あらためて御礼申し上げたいと思います。
家具の展覧会というものは、他の工芸と較べてもなかなか難しいところがある。
その作家のものを気に入って揃えたいと考えても、住宅内では比較的大きな調度品ともなれば、既に所狭しと置かれているであろう日本の住環境を考えてみた場合そうそう沢山置くことができるものでもない。
あるいは既に使っているものを処分してそれに替えるということになると、それもまた昨今の環境保護の志向からすると安易に踏み切れないということもあるだろう。
陶芸であるとか、染織であれば、さほど保存場所に困ることもないだろうし、また既存のものを捨てる必要などなく気分に従って使い分ければよい。
まさに家具を購入するということは、経済原論で言うところの“命がけの飛躍”そのものであるやもしれない。

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個展最終日 > 市議選候補者 > 日本酒談義 >秋の夜長

吟醸酒

今日は個展の最終日、と同時に地元岡崎市議選の投票日。
何故か、立候補者夫妻が会場にお越しになられ、「俎の鯉」のごとくに地元の政談に花が咲く。
来られたのは確かに改装なったお住まいへの家具調度品の見繕いであったはずが、奥様を交え、本来の目的そっちのけで地元政治状況の貧困さ、日本の現状を憂う話題に終始。
一般に市議選などといえば、地元密着型で利益誘導に基盤を持つ旧弊に呪縛された人が多いはず。
しかし候補者K氏はそこを一歩踏み越えたところで勝負しようという熱血漢と感じ入る。
結果は明日早朝。当選することなくしてはその高邁な政治志向も頓挫する。
選挙というのは、あいまいさを排除した勝敗がすべての世界。
会場を閉めて向かったのは前回の個展以来、いくつかの別注をいただいているA氏の居宅。
食事のもてなしを準備しているというので、甘んじ駆けつける。

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展覧会してます

今日から個展会場の地にて2泊ホテルに世話になる。
個展前日に宿泊した同じAホテルだが、この手のビジネスホテルとしてはなかなかにして快適。
今日の部屋には、何と壁掛けの37″デジタルハイビジョンのテレビがついている。
自宅では昔ながらのブラウン管のアナログテレビを見慣れているせいもあるが、あまりの高精細度にびっくり。(欲しがるだろうから妻には見せない方が良いかもしれない)
ベッドの広さも1,400mm。
新しいのでバスルームも含め清潔で美しい。
なお「人工温泉」なる大きな風呂も無料で浸かることができる。
この手のビジネスホテルでホテルマン、ウーマンの資質を問うのはお門違いだろうから控えるが、設備の充実度は満足いくものだ。
さて今日は遠方から来られた客人と岡崎駅前のうなぎ屋で夕食を摂るが、ギャラリーの敷地内においたトラックに着替えなどを置き忘れ、食後、駅まで客を送り届けた後、とりあえずのチェックイン後、再度ギャラリーに戻ることになった。
はて、わずかに3kmほどの距離、バスの便がよいのでそうしようと考えたが、時刻表を見るも、芳しくない。
結局、ホテルで軽装になり、歩くことにした。
日常めったに早足で歩くことなど無いが、これがなかなか快適な運動だった。
いわゆるウォーキングというやつなのだな、とひとりほくそ笑む。
自宅の周囲でも同年代の夫婦が二人連れで仲良くウォーキングする光景を見るのだが、なるほど、歩くだけでも快適なのだな、と感じ入る。

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「かわいそうな ぞう」by CYNDI LAUPER

ブリング・ヤー・トゥー・ザ・ブリンク~究極ガールシンディ・ローパーの日本国内ツアーは終わったのか。
〈CYNDI LAUPER ♥ JAPAN TOUR 2008〉(♥印は、プラットフォーム関係なく表記できるのかな ? )
オジサンも仕事ほっぽらかして公演に行きたかった !
ところでちょっと迂闊だったのだが、
彼女、「かわいそうな ぞう」(原作:土家由岐雄)という秋山ちえ子による朗読でよく知られた“反戦ノンフィクション童話”にいたく感激して、この英語版を朗読、録音したのだという。
ボクはたま〜にTBSラジオの秋山ちえ子の番組を聞くことはあるが、恐らくは8/15に今年もまた、この「かわいそうな ぞう」の朗読があったのだろうし、シンディの朗読についても触れられたはずだが、聞き逃していた。
先ほどNHK BS1「きょうの世界」をMacで流していたら、彼女がゲストで出ているので慌てた。
この「かわいそうな ぞう」が書かれた背景(第二次世界大戦中のこと、東京、上野動物園の像が、空襲で檻が破壊されて街に逃げ出したら大変だということで軍の命令で殺された)の紹介、
秋山ちえ子さんの朗読が今も続けられていること、
シンディはヒロシマの惨劇などを見て反戦の意識を強く持っていたこと、
英訳を読み、ぜひ自分が米国内の子供達に読み聞かせてやりたいと申し出たこと、
印税は上野動物園に全て寄付したこと、
等々、ニュース枠にしては適切な紹介で、さらにまた彼女にその場で朗読を求めたところ、これを快く受け、一部朗読する。
時には涙も流しながら、自分の子に読み聞かせるような調子だった。
(彼女は新しいアルバム「BRING YA TO THE BRINK」でもハデに振る舞うセレブを皮肉った唄もあるが‥‥、セレブも様々ですな。日本のセレブは、どうなん?)
インタビューア(アナウンサー)が現在の米国の状況、大統領選挙について話しを向けると、如何に現在の米国がひどい状況であるのか、ペイリン・アラスカ州知事が女性として共和党副大統領候補になったのは嬉しいが、ただ党の言いなりになっているだけ、と辛辣な批評。
米国のミュージシャン、アーティストの多くが民主党支持者であることはよく知られているところだが、それにしても彼女の反戦、平和を求める意識の高さに改めて感銘を受けてしまった。
番組最後には秋山ちえ子さんとの出会いがセッティングされ、ともに手と手を取り合って「かわいそうな ぞう」を子供達に伝えていくことの大切さを確認し合っていた。
では最後に新しいアルバムに収められた「Set Your Heart」をYouTYubeから

■ 参照:SONYミュージック 「かわいそうな ぞう」
■ CD
かわいそうなぞう
かわいそうなぞう~ 秋山ちえ子 シンディ・ローパー

椅子の研究を

先に県の「工業技術センター」の機械を借りての作業の様子を取り上げたが、今日はこの「工業技術センター」の心臓部とも言うべき、様々な試験をする施設、機械などを間近に見る機会があった。
強度試験。耐久性試験、破壊試験などだね。
他にも30″スタジオモニター、PowerMacが何台も整備されている「デザインセンター」には120cm巾、伸びのプロッターをはじめ、出力センター並、あるいはそれ以上の整備状況で圧倒されてしまった。
あるいは人間工学実験室といった施設もあり、いわゆるユニバーサルデザインを支援する態勢が整えられているようだった。
実はこれは県下、家具デザイナーのキャリアの方々に企画していただいた「椅子研究会」なるもののプレイベントの一環。
今後月一回、企画者の下、10数名の家具制作者が集まり、上述したような強度試験を織り込みながら、椅子のデザインから制作の研究を行っていこうというものであるらしい。
ボクも含め、工房家具制作スタイルにおいては、なかなか強度試験までを必須項目として意識しているところは少ないはず。
デザイナーというプロダクトの意識が強い職能に支援を受けながら、より良い椅子の研究開発を行うこの企画は興味深いものとなりそうだ。