工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

「出羽桜」と小川幸彦の出会い

出羽桜
日本酒も新酒が出回る時期になってきた。

週末、多くの地方の銘酒を取り扱っている酒店から「出羽桜 純米吟醸 “雄町”」を買い求める。
昨年は同じ酒蔵から〈出羽桜 燦々 誕生記念(本生)純米吟醸〉などを楽しませていただいたが、今年の冬も暫くはここの銘酒と付き合っていこうと考えている。

まったく事前のリサーチをしたわけではなく、たまたま手に入れた酒だったが、その芳醇な香りと濃厚な味には酔いしれてしまった。
日本酒の豊かさを再認識させられるとともに、己の無知を恥じたものだった。

まだまだ日本にはこうした知らなかった銘酒があるということは、これからの人生にも希望がもているということに繋がるものとして感謝を捧げよう。

今回の“雄町”は、昨年入手できずにいた入手困難な“限定版”もので、予約していたものではなかったが、今回願いが届いたのか手に入れることになった。
うれしいね。
この “雄町”という名称は、酒米からという。山田錦もこの酒米の流れだという。

ボクは日本酒は燗を付けずに冷酒で頂くことを旨としている。
燗を付けた方が良いものも多いのだそうだが、呼吸器疾患もあるのでちょっと苦手だ。冷酒で本来の芳醇な香りを楽しみたいからね。
つまみはたいしたものは作らない。いえ作れない。

今日は豚三枚肉を大根とともに味噌煮にしたもの。
昨日、近くの農家に所用で訪ねたところ、帰り際に隣の畑から大きな大根を2本抜いて持たせてくれたものだ。
簡単だよ。

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慈雨よ慈雨 山にふり 麦にふれ  中勘助

冷たい雨でした。
先月11月は例年の1/3ほどの降雨量しかなかった。久々の雨、慈雨だね。
木を相手の仕事もちょいとお休み。
というワケでBeatlesの「Rain」をどうぞ。

少し早いけど、John Lennonでこんなのはどうだろうか。

War is over, if you want it

今夜、技能五輪2007・沼津の関連TV番組

一昨日エントリした「WorldSkills Shizuoka 2007」の4日間の競技のドキュメントを中心として、日本の製造現場における技能者育成の現状を追う番組があります。
NHKサイトでは、「精密機械組立」(具体的にはセイコーエプソン)部門を中心としたドキュメントになっているようですので、木工関連の2つの部門が対象になっている可能性は少ないですが、製造業における近年の技能者育成における困難は各産業共通の悩みであるでしょう。
参考までにご案内します。
■「若き技能エリートたちの戦い 〜巧みを競うオリンピック〜」
 ・07/12/03(本日)22:00〜22:49
 ・NHK総合TV「NHKスペシャル」

木工家具制作におけるサンディング (その9)

サンディングバナー
手作業でのサンディングということについて
これまで木工家具制作におけるサンディングについて、その基本的な考え方からはじまり、具体的手法として機械によるサンディング、電動工具によるサンディングと解説してきたが、最後に手作業でのサンディングについて記述しなければならない。
手作業でのサンディングというものは恐らくは木工家具制作のプロセスでは誰しも経験し、それぞれが編み出した手法、考え方というものがあるだろうし、それらは一様ではないだろうと思う。
したがってここではうちでやっている手作業でのサンディングについてという限定的なものになるかもしれないが、しかしその考え方についての記述はこれまで同様、普遍的で応用の効くものとして記述することを心掛けたい。
【手作業でのサンディングについての考え方について】
これはこれまで8回にわたり記述してきた中で一貫して書いてきたことと大きく変わるものではないので繰り返しになってしまうが、少しインターバルが空いてしまったこともあるのでここであらためて再度確認しておこう。
サンディングという工程は、塗装工程のプレ段階のものとして位置づけられ、一般に素地調整といわれるものであり、その目的は鉋などでの切削工程で出し切れなかった均質な板面を求めるものであったり、あるいは加工工程で凹ませた部位を元に戻す、加工工程で荒れてしまった板面を整える目的であったりする。
この素地調整といわれる工程で求められる品質というものは板面の多様な繊維細胞の配列に引きずられることなく、均質に仕上げることが基本となる。
これによってその後の塗装工程により木質の固有の表情というものを見事に引き出すことに繋がっていく。
これが不十分であると、その木が有する本来の表情は引き出されることなく、沈んでしまったり、ムラになって汚いものになってしまう。
(なお、あらかじめ付しておかねばならないが、こうした考え方の記述は、あくまでも高品質、良質な木工家具の制作というものを前提としたものであり、そうした水準以下のいわば日曜大工的なものを対象とした場合は、あまり参考にはならないことは言うまでもない。
つまり素地調整において板面の均質を求めると言っても、高度な指物工芸において求められる水準と、日曜大工的なものとでは全く次元の異なったものになることを指していることは言うまでもない)

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技能五輪から教えられたFESTO(Festool)社の企業理念

Festoolイメージ
旧聞に属する話しになって恐縮しちゃうのだが、先月沼津で「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」(「WorldSkills Shizuoka 2007」)というものが開かれた。
実はこれに先立つ2月ほど前に松本技術専門校の在校時に世話になった現上松技専校長のAさんから、ある木工機械を貸してくれないかという電話が入ったのだったが、この技能五輪で使わせてもらいたいという依頼だった。
残念ながらボクのところからは出せないので、然るべく地元の機械屋から斡旋してもらうように話しを繋いだのだった。
そんなこともあり、県内での開催ということで訪ねてみたいという希望があったもののこの技能五輪の開催時にはいろいろと所用も重なり、出掛けることもできずにいた。
そうしたところ、Webサイトで相互Linkしている宮本さんのサイトでこの技能五輪の会場の紹介と報告が上がり、興味深く拝見させていただいた。
そこで触れられていたFesto社の製品に関わり、先のストックホルムのIkuruさんのBlogで語られていた職人試験合格者へのFestool社からの奨学金支給という記事を思いだし、あらためてこの技能五輪の公式サイトを訪ねてみることにした。

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ルーター整備は続く

先のルーターマシーンのダンピング用ワイヤーの取り替え作業も終わりその後快調に使用していたのだったが、少し調子を崩した。
ゼロアジャストがどうも不安定。
ルーターマシーンの機種の中で最も普及しているテーブル昇降の機構を持つタイプは、テーブルを設定値の最上部まで上げ、テーブル昇降操作のペダルを固定位置にすると同時にほんのわずかではあるが(0.5mmほど?)下がってしまう。
これは例えばお盆のような底をさらうような加工の場合、回転刃を降ろした箇所(テーブルを上げて刃が当たった箇所)にその刃径のマークが残ってしまうということになる。
しかし、主軸を最底部まで降ろしたとき、戻ることなくそのままの位置を確保してくれ、刃のマークなど残らないというのがこのヘッド昇降タイプの優れた機構だ。
このヘッド昇降機構、木工機械の教科書などによればテーブル昇降機構のマークが残ってしまう問題を改善させるために開発されたとあるが、その真偽のほどは不明。
ルーター修理1この優れた機構がどうも不正常、ビミョウに主軸が戻ってしまう。。
いろいろとワイヤー長さの調整を軸に試みるも芳しくない。
結局ダンピングワイヤー操作のフットペダル機構にちょっとした細工を施すことで解決を試みた。
踏みしめたところにストッパーを付けることにした。
踏み代が、規定のワイヤー伸縮範囲にそぐわないのだろう。
具体的にはペダルのベース部分にWナットで8mmのボルトを植え込む。
ベースの然るべき箇所にタップを切り、8mmボルトを切り、植え込む。
ベースはタップを切り、ボルトを植え込むにはやや薄い鋳鉄だったが、何とかWナットのボルトを支えるだけの強度はあるようで安心した。

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ちょっとステキな花屋さん

花屋「BELL FLOWER」
地元の花屋さんをちょっと紹介。
昨日病気見舞いに持って行く花をアレンジしてくれた花屋さん。
「BELL FLOWER」という。
実は別の園芸店で、近くに生花店は無いかと尋ね、教えていただいたはじめての花屋だった。
島田市役所の近くの広い道路沿いにあるものの、ちょっと遠慮気味に構えた佇まい。
「花」と一文字の墨痕ののれんがセンスの良さを感じさせる。間口一間半ほどのこぢんまりしたお店。
ボクはこのような控えめの店構えの方が、好み。
店構えの仰々しさに圧倒されるよりも、実質的で高品質なものを提供してくれる職人肌の店主の方に足は向く。
この「BELL FLOWER」、花言葉では《感謝・誠実》と検索されるが、店主がどれだけ店名に思い入れを込めたかは知らねども、まさにそのような印象を与えてくれたものだった。
ご夫婦と思しき2人の店主。
ちょっと格好良い中年男性と、しっかりものの奥さまという感じ。
今回はオンシジウムをメインに、病室を明るくしてくれるようなアレンジで設えてくれた。
整えてくれているところで店構えのことなどを話しかけたら、こちらを建築関係の人かと問われるので、素性を明らかにしたら途端に話しが弾んだ。
そこで車に戻りカメラを取りい出し、許諾を得てスナップ撮影。
アレンジのデザインセンスも水準以上だろうし、花言葉のように誠実そのものの店主だった。
お近くの方であればどうぞ訪ねてみて欲しい。
店主と生花アレンジ(クリック拡大)
■ BELL FLOWER (ベル フラワー)
 島田市大津通り8593-9
 TEL/FAX:0547-36-5981
 Mail:bell-87@ck.tnc.ne.jp

職人の不在と業界の低迷と‥

擬宝珠
少し早めに昼食を済ませ、途中、生花を買い求め、病院へと。
時折雨がぱらつく生憎の天気。天気のせいでもあるまいが、病気見舞いはやはり気が重い。患者の苦しみに寄り添うわけだから当然なのだが‥‥。
地域の総合病院ということで多くの患者、家族が詰めかける中を、病室へ。
面会時間を案内する表示には午後2時からとなっているのを無視してエレベーターを上がる。
昨夜教えていただいた部屋番号には確かにSさんの名札が掛かる。
まだ安静でなければならないために個室だ。
設置してあるボトルから消毒液を手にとり消毒し、マスクを装着、入室。
本人、意外と血色も良く、照れ笑いで迎えてくれる。
いつものように話が弾む。声の力はやや弱いものの、倒れて搬送されたとは思えぬような顔つき。
しかし身体にはチューブが1本繋がっている。いかに急性期を悪化させることなく安定期へと移行しつつあるとはいえ、予後の治療は大切。
寒冷期に入ってきていることもあり、風邪など合併症には要注意だ。
暫くして奥さまもやってきて、仕事の話しになる。
遣り掛けの仕事の采配。そしてそれら発注元への代替業者の紹介など、可能な範囲でやらせていただくことを快諾。
長居は良くないと判断し、仕事のことはあまり考えず、困った業者に付き合う必要もなく治療に専念することなどをやや強く奥さまに伝え1時間ほどで辞去する。
外は雨。敷地内に植え込まれた今を盛りに燃え上がるような紅葉も、雨に打たれて沈んでいる。(画像下)画像いずれもクリック拡大

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Sさん、無理せず慎重にいこう。

ロクロ成型加工で世話になっているSさんが倒れたというので、今日は早めに仕事を終え見舞いに出掛ける。
住まいでは高齢の御母堂一人が留守番で、少し話しを聞く。奥さまがそのうち帰って来るというので暫く待たせてもらい、帰宅後詳しく症状を伺う。
倒れたのは1週間ほど前のご自宅。倒れたときは相当のショックだったようだが、緊急の治療が奏功し、急速に回復しつつあるとのこと。
急性心筋梗塞との所見。
まずは急性期を無事に脱することが出来、安定期に入りつつあるようなので、少し安堵する。
暫くは入院加療が必要だろうが、合併症などを併発しなければ退院、リハビリ、回復へと移行してくれるものと考えたい。
このSさん、付き合いはうちの起業後、間もなくのこと。
ロクロ成型の業界は静岡市ではちょっとした産地形成していて決して困ることは無いのだが、できれば近隣でやってくれる職人さんがいてくれるのが望ましい。
まずは職業別電話帳で探したところ市内に1軒だけリストされていた。
さっそく電話して訪ねたのがSさんとの出会い。

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ルーターのトラブルと自力更生

またルーターマシーンのヘッドダンピング用のワイヤーが破断してしまった。
週末、土曜日のこと。
前回は記事にも上げたことだが、外したり取り付けたりの作業は自力で行ったものの、新たなワイヤーの製作は機械屋に託したのだった。
今回は自力で近くの業者を探し出し依頼することとした。
工房の周囲には鉄鋼関連やら、自動車整備工場などもあるので業者の手掛かりが掴めるものと数軒訪ね歩くも、どこへ持ち込めば製作してくれるのかの確たる情報を得ることは出来なかった。
機械屋では少し遠くの取引業者に依託しているようなので、できれば今後のこともあるので近くの方が望ましい。
結局既知のロープ屋さんに聞いてみることに。
Yahooサイトから電話帳検索し、尋ねてみると「実際のものを見てみないと分からないが、できるようでしたらやらせてもらいます」との返答。
ルーターが使えないのは致命的。さっそく通勤渋滞が納まる頃合いを見計り出掛ける。隣の藤枝市の東部地域にある「梅島商店」さんへ。
ワイヤーかしめ4人ほどのスタッフが週明けの忙しさで立ち働いていた。
挨拶もそこそこ、さっそく切れてしまったワイヤーを見てもらうと、20代の髪を短く刈り上げた元気な若者が「ちょっと待てる?」「15分ほどでやっちゃうから」
とのありがたいお言葉。
せいいっぱいの笑顔で「お願いします !! 」
きっかし15分ほどで作業は完了 。
さっそく帰宅後、取り付け作業に取りかかる。
少し長さ調整などでの煩雑な作業を伴うが、無事に装着作業を終える。
その際、摺動部分にはグリスアップ、オイラーでの給油。
フットペタルを踏み込めばスムースに主軸が昇降してくれる。
途中で中断を余儀なくされた作業はキャビネットのハンドルの手掛け部分、20w × 80L ほどのスリットを開口させるもの。
教訓その1:可能な限り機械屋に依存することなく、自力更生で問題解決にあたること
ボクは機械のメンテナンスなどの作業は決して嫌いではないのでこのような物言いになるのだが、木工屋とは言ってもこうした領域は苦手な人もいるかもしれない。
確かに機械屋に任せれば楽だろうね。しかし木工加工に必須の機械作業においてはその機械の性能、特徴などを把握すると言うことも良い加工をするためには必要なことだね。
そのためには機械と仲良くなるのが近道。
食わず嫌いではなく、基本的な機械作業の工具などを整備し、それまでブラックボックスだった内部へとアクセスしてみよう !
なお木工機械屋とは言っても、結局は機械屋であり、木工に関する実務的なことを詳しく知っているわけではないのが実態。
より良い機械整備の環境は木工屋自身の手から始めよう。
*画像は「梅島商店」の工房に設置されたワイヤーかしめ用のプレス機。数10tもの圧力が産み出される。