工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

Blogエントリのインターバル

昨年末に宣明しちゃったことだが、このBlogエントリのインターバルを緩やかにしていきたいということで、ご覧のように隔日ほどの状態を推移しているが、今後もこのような自堕落エントリでいこうと思っている。
まだ正月明けて間もないということもあるが、この自堕落エントリのおかげで念願の読書に費やす時間の配分もできるようになり、精神的な開放感というようなもので包まれ、とても良い感じだ。
昨年のような日々更新というスタンスは、誰にも強制されているわけでもないのにやや強迫観念のようなもので責め立てられていたというようなこともあったのだろうか。
人生80年として、どれだけの読書ができ、どれだけの知を獲得できるかは、その人の自覚と知覚、あるいはリテラシーに依るところが大きいのだろうが、やはり絶対的な時間的余裕というものがない限り望むべくもない。
ま、しかしこのBlogエントリの新しい更新スタイルはボク自身の才能の制約によるところが大きいのであって、才気あふれる人は業務もバリバリとこなし、有意なBlog運営もバリバリとやりこなすこともさほど困難なことではないだろうから、言ってしまえばこんなことなどは極めて個人的な事情である。

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ガザを想え

大きな地図で見る
パレスチナのガザとはどういうところか。
東地中海に面し、東西10キロ、南北40キロの細長い東京23区の6割くらいの広さの海岸地域だが、ここに140万人ほどのパレスチナ難民が居住する。(Googleローカルの破線の部分)
1948年のシオニズムを背景としたイスラエル建国は第一次中東戦争を引き起こしたが、その後ユダヤ人入植者たちに土地・家屋・財産を没収され、追われたパレスチナ難民によりガザ地域は膨れあがった。
その後の恒常的なイスラエルによる抑圧はガザ地域全域を収容所の如くに封じ込めるものとなっていった。
(詳細はパレスチナ情報センター、資料集へ
英BBCによるガザ地域の解説 )
(同じくAFP BB Newsからの解説図解
この貼り付けたGoogleマップを拡大して行っても残念ながらパレスチナ住民達の暮らしの臭い、生命の息吹が伝わってくるものではないが、想像力を働かせることで、彼らの悲劇的な状況、怒りと苦しみに少しでも接近できればと願う。
しかしどうしてこうも世界とは非対称なものなのだろうか。

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ウェッジウッドの経営破綻に思う

この報道には興味深く受け取った人も少なくないことだろう。
世界的な陶磁器ブランドの名門、ウェッジウッドが経営破綻したとの報道(1月5日)のことだが、奇しくも今年は英国陶工の父といわれる創始者ジョサイア・ウェッジウッド(Josiah Wedgwood)が最初の工場を開設した1759年から数えて250年を迎える年なのだそうだ。
現在はアイルランドの「ウォーターフォード・ウェッジウッド」という親会社の傘下に入っているのだが、5日、この親会社が事実上の経営破綻をしてしまった。
(1986年、ロンドン・インターナショナル・グループによる敵対的買収があり、これに対抗するためにアイルランドのクリスタルガラスメーカーであるウォーターフォード・クリスタル社をホワイトナイトとし選択して合併していた)
世界同時不況による、ある種、象徴的な企業倒産として悲劇的な印象を持つ。
1929年の世界恐慌でも持ちこたえた名門ウェッジウッドでさえも経営破綻するほどに、今次の景気減速はすさまじい荒波だという印象を強くする。

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仕事始めの朝

久々に作業服に着替えて工房に籠もる。
冷え込む夜気で冷たくなった機械定盤に触れるのも何日ぶりのことか。
さっそく昨年来の懸案であったいくつかの家具制作準備に入るが、やはり仕事ができる環境があり、どっぷりと浸かれるということはありがたいことだ。
「もの作り」における充実感というものは、ただそれだけで単純に与えられる所与の自己実現であり、達成感である。
無論この実業に勤しむことができるのは、それを可能にさせる様々な環境があってはじめてなし得ることであるが、時として勘違いをしてそれらの環境の整備を怠ってしまい、その実業の品質を疎かにしてしまうこともあるだろう。
正月休みはこの環境の整備の1つでもある、事務机周りを徹底して整理することに専念した。
恐らくは数年ぶりのこと。
資源回収に回すもの、焼却処分するもの、それら廃棄処分する文書、資料などは山のようにつみ上げられた。
整理とは廃棄、というのはやはり原則であるようだ。

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年越し展示会「大門 嚴 展」

北の丸
お正月三が日、飲んだくれのオヤジが一方にいれば、年越しで遠方からの仕事・展覧会をしている人がいた。
旭川の木工家、大門 嚴さん。
恒例となっているヤマハリゾートホテル・葛城北の丸での 《北国生まれの木の家具達「大門 嚴 展」》
昨1月2日に友人などと伴って表敬訪問。
今回も近作中心に「大門 嚴 World」を十分堪能させていただく内容とボリュームの展覧会だった。
広々としたホテルファサードから正面をめざすと、いち早くホテルマンらに迎えられる。
豪壮な構えの正面入り口を通り、フロントへと上がれば、華やかな着物姿の演者による箏の演奏が繰りひろげられている。
新春の調べなどTV画像からのものでしかなかった者からすれば、別世界のような空間。
客室に向かう廊下に出ると、タイトルが大書された大きな木の看板が迎えてくれる。
そのまま2階に上がればそこが展示会場。
今回は「国際家具デザインコンペティション旭川2008」の入選作が手前右側にまずドンと鎮座していた。「Kerf Bend Chair」
「国際家具デザインコンペティション旭川2008」の入賞入選作は首都圏数カ所で巡回したので既にご覧になった方も多いことと思われるが、ボクは忙しくて上京できずにいて、Webサイトでのチェックしかできていなかったので初見だ。

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ほろ酔い気分で‥‥

富士

新年 明けましておめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願いします。
2009年の元旦、皆さまも身を清め、心に期するところを秘め迎えたことでしょう。
今朝は2009年の社会経済を占うにふさわしいものと願いたくなるような雲一つなく晴れ渡る好天だった。
お屠蘇を頂き、おせち料理に箸を付けた後、このお天気に誘われるままに家の近くの大井川沿いの土手に立ち、寒さに凍えながら東にカメラを向けた。(大井川を挟んで望む富士 09年元旦 08:00)
同時に霊峰富士に向かい、今年1年、元気にいきましょう、と柄にもなくつぶやく。
撮影後コンビニに立ち寄り買い求めた四大紙新年号をざっと概観。
毎年元旦恒例の個人的イベントとしているものだが、新年号ほど各紙の編集指針が表れるものは無い。
視座はそれぞれ大きく異なるものの、共通して基調にあるのは2009年は動乱と変化の年となるだろうと言うこと。
経済界優良企業による広告の出稿も興味があり見比べる。
世界規模での経済不況の大波をまともに受けているところであるわけだが、それを感じさせない脳天気なものもあったりするが、多くは環境対応に積極的に挑むというものが基調になっているのは当然か。
ハイブリッドカーを安く作れ。
と、スヌーピーをあしらい、緑色で最大のフォントサイズを使った1面広告を出してきたのがホンダ自動車。
シンプルで強いコピーが、黒と緑の2色(企業ロゴは赤)を使ったインパクトのあるデザインと共に目を引いた。
次いでは、CANONの
「ありがとう」とミツバチは言った。
 「こちらこそ」と花も言った。

というコピーだが、環境対応と成長戦略は同居できるとの祈るような願いが込めらた内容となっている。
トヨタは
走り出せば
その先にきっと
うれしい未来がある。
HYBRID SYNERGY DRIVE

プリウスの新型車を投入するようだね。他社に較べやや余裕のあるコピーだが、いずれの企業も一方で派遣切りの先頭を切っている企業らであり、大企業というものの社会的責任というものについてどう考えているのかは、これらからは読み取れない。
インテリア、家具関連企業の出稿はあまり目にとまらなかったな。当たり前か。
住宅産業からのものはあったけどね。
なお各紙が主催する芸術関連の企画についてもそれぞれチェックし、カレンダー(iCal)に書き込む。
まだ出揃ってはいないが、興味があるのは
・1月24日〜の「Arts&Clafts ウィリアム・モリスから民芸まで」
・「ウィーン世紀末展」(9/12〜)
・「オルセー美術館展・パリのアール・ヌーヴォー」(9/12〜)
などか。
今年も良い美術、工藝に触れ、良い音楽に浸り、良い映画に耽溺できればサイコーなのだがね。
また良いものに触れることができれば、記事にもしてきたいと思う。
視点としては、良い芸術文化には、それを産み出す歴史的、社会的背景、あるいは作者の世界観というものが必ずあり、これを丸ごと触れたい、感染したいという思いが大切。
したがってボクは評論家のような冷静で客観的な分析などできないよね。
あくまでもそれを丸ごと獲得したいとの欲望の方が強いからね。
昨深夜からほとんどほろ酔い気分でこれまで過ごしてきて、この下書も MacからTV、NHK教育の「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート2009」を楽しみながらのタイプで読者には迷惑な文体と内容であったかも知れない。
春は曙、ほろ酔い気分が丁度よろしいようで‥‥。

夜は更けて(2008年を終えるにあたり)

はじめに
年越しを迎えようという日であるにもかかわらず、何やら朝から慌ただしく時間を費やしてしまったが、せめてもと思い、夕食後はデスクに向かいこのBlogの更新やら、読書で過ごすことができた。
朝からバタバタしたのは、事務机周りの書籍、雑誌、資料の整理をはじめてしまったせい。
柄にもなく、というところだが、普段散らかしっぱなしの状態が慢性化しているので、重い腰を上げてこの機会に、というところだ。
整理作業の最大のポイントは、如何にスリムにするか、ということに尽きるように思う。
雑誌のバックナンバーは不要なものはまとめて資源ゴミに出し、アーカイブとして残す必要のあるものはまとめてダンボールに仕舞い込む。
書籍、資料も同様だが、整理していてあらためて思わされたのは、ここ10年ほどの購入書籍の傾向はコンピューター周りのものが多いと言うことだ。
人文書の方はこれに反して減少傾向が著しい。
これは業務上、あるいは私的活動上でのIT対応でもあるので仕方ない側面が強いとはいうものの、やはり知的活動の停滞を示すものとして反省多とせねばいけない。
これはこうした読書傾向に留まらず、2009年への課題を考えたとき、生活周りをできるだけシンプルに、スリムに、研ぎ澄ませていきたいということに敷衍させるべきものでもある。

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決して明けない夜はない、ことを信じたい

晦日の今日、業務は昨日の大掃除らしきものをもって終え(木工屋の大掃除については、“完遂”という概念などあり得るはずがないので“らしきもの”的妥協 笑)、今朝から全く手が着いていなかった賀状の作成。
家具の撮影画像を中心に、言祝ぐデザインに少し苦闘。
夕刻には宛名面を印刷し終え、何とか郵便局本局のシャッターが閉まる前に投函(19時頃)。
新年3日ぐらいには届くか知らん?
それより何より気がかりなのがパレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の空爆による400名近い犠牲者の報道(空爆下ガザ地区の人々の怒り[画像豊富]-AFP BB News)と、これに続く地上侵攻の懸念。
それらの犠牲者のほとんどは民間人という発表もなされてる。
今夕、都内で、世界のあちこちでガザ空爆による流血の惨事への抗議行動が行われている(下記参照)。
イスラエルによるガザ封鎖はパレスチナの人々の生存を許さない程までに追い込むものであったようだが、今回の空爆はその喫水線をついに突破し、戦争状態に入ったことを意味しているのだろう。
ローマ法王ベネディクト16世は25日未明のバチカンでの恒例の深夜クリスマスミサで「ベツレヘムでの憎悪と暴力が終わるように」と祈りを捧げたばかりだったが、この願いも空しく最悪の状況へと事態は転げ落ちつつあるかのよう。
この空爆は1967年の第三次中東戦争以来の空前の規模。
とても短期で終えるとも思えない異常な事態。
来月下旬に迫った米国の政権移譲の空隙をねらったとしか思えないもので、オバマ新政権の中東戦略を大きく揺さぶるものでもあるだろうし、ある種ブッシュ-オルメルトの謀略的ニュアンスを含むオバマへの置き土産なのかもしれない。
EU、国連などによる国際社会による紛争停止の動きも、鈍いながらも始まりつつあるのがわずかの救いだが、進展によっては長期化し中東大戦争へと拡大する懸念がある。
世界はリーマン・ブラザーズの破綻に発する金融収縮の未曾有の経済的危機から、政治社会的混乱へと質的転換を見せているという1つの表象なのかも知れない。
先のインド・ルンバイでのテロリズムも印パ間のきな臭い紛争へと進む兆候もあり、この度のパレスチナをめぐる新たな事態も合わせ考えれば、世界のパラダイム転換へのぎりぎりとした抗争のうちに08年から09年への扉が開かれようとしているようだ。
*参照
■ 世界各地で抗議広がる(AFP BB News)
イスラエル大使館前で抗議集会 東京
イスラエルのガザ空爆、世界各地で抗議広がる
「P- navi info」に現地の詳細な情報

ロッキングチェアの似合う空間

ロッキングチェア
軸組工法、無垢の国産材で内外装が施され、ここに薪ストーブが鎮座すれば、もう待ってましたとばかりにお買い上げ頂いたのが、このロッキングチェア。
制作後、約2年経過したもので拭漆もやや透けてきているが、これもむしろミズナラの木理をより引き立ててくれるということでは決して評価を下げるものではない。
このA邸では、ソファ、およびセンターテーブル、さらにはテーブルセット、等々、リビング、ダイニングにおける調度品の主要な部分を様々に制作させていただいた。
納品を終え、挨拶を済ませ帰ろうとすると、いつも自家製の野菜やら、フランスワインなどを持たせてくれる、とても心優しく気さくなお人柄のご夫人。
帰宅が遅くなりなかなかお会いできないご主人も、納品の翌日には気に入ったとの暖かいお電話をくださる人だ。
2008年をこうした深い理解者、顧客に助けられて無事に終えることができることに感謝するとともに、今後の精進もまた強く求められるということに自覚的でありたいと思う。

本年最後の納品は

座卓
昨日は本年最後の納品を無事終えることができた。
この“無事”というのは誇張でも何でもなくまさに実感だ、
納品した家具はロッキングチェア、座卓などだが、この座卓がちょっと特殊なものだった。
甲板のボリュームだけで優に100Kgを越えるほどのもの。
材種はクラロウォールナット。甲板サイズは2,000w 1,000d 75t(1枚板)
甲板だけでも2人でふらふらしながらやっと持ち堪える、という風。
脚部を送り寄せ蟻で接合すれば、150Kgほどか。
こんな仕事良くやったよね。我ながら感心するぜ。
このクラロウォールナットは原木丸太の中でも最も幅も広く、状態も良く、したがって厚めに製材し大事にお守りしてきたもの。
依頼主(寺院住職)にも満足いただき、2008年を締め括るにふさわしい仕事だった。
*参考記事
外作業は楽しからずや(鉋は使っていますか?)
銑は使っていますか
木取りと勝手の迷い