工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ウェッジウッドの経営破綻に思う

この報道には興味深く受け取った人も少なくないことだろう。
世界的な陶磁器ブランドの名門、ウェッジウッドが経営破綻したとの報道(1月5日)のことだが、奇しくも今年は英国陶工の父といわれる創始者ジョサイア・ウェッジウッド(Josiah Wedgwood)が最初の工場を開設した1759年から数えて250年を迎える年なのだそうだ。
現在はアイルランドの「ウォーターフォード・ウェッジウッド」という親会社の傘下に入っているのだが、5日、この親会社が事実上の経営破綻をしてしまった。
(1986年、ロンドン・インターナショナル・グループによる敵対的買収があり、これに対抗するためにアイルランドのクリスタルガラスメーカーであるウォーターフォード・クリスタル社をホワイトナイトとし選択して合併していた)
世界同時不況による、ある種、象徴的な企業倒産として悲劇的な印象を持つ。
1929年の世界恐慌でも持ちこたえた名門ウェッジウッドでさえも経営破綻するほどに、今次の景気減速はすさまじい荒波だという印象を強くする。


ところでこの1759年という創業年から想起できるのは、やはり英国からはじまった世界的な産業構造の革新であった「産業革命」と軌を一にする発展であったということだろう。
250年を経た現在においてもなお世界の陶磁器生産のトップシェアを争う存在であることは驚異的ですらある。いや、経営破綻した今ではこのことはもはや過去形に語らねばならないのか。
余談だが、日本の伊万里の磁器は300年も昔から欧州に輸出され彼の地の人々に愛されていたことも触れておこう。
うちではこのブランドのものを日常に使うような暮らし向きではないので、さほど感傷に浸るというものでもないのだが、次のような理由からあえて記事にすることにした。
09年の新聞社主催のアート関連イベントをチェックしていて、当地のアートスポット、「静岡アートギャラリー」(静岡市が運営主体)に朝日新聞社の事業として《ウェッジウッド展》がやってくるという報(本日7日付け朝刊)があり、これと前後して経営破綻のニュースが入ってきたので、ちょっとその巡り合わせに関心を深めた、という次第。
この展覧会では本国、英国のウェッジウッド美術館、ノッティンガム城美術館、ポタリーズ美術館、駐日英国大使館、その他個人所蔵家などのコレクションからえりすぐった食器類、壺、カメオ、香水瓶など、日本初公開を含む250点(創業250年に掛けたのか?)が出展されるとのこと。
既にこのイベントは08年に国内各地(兵庫県陶芸美術館、岐阜県現代陶芸美術館など)で巡回しているものだが、今後のスケジュールは以下。
(経営破綻という新たな事態に、この巡回展が予定通り行われるのかどうかの懸念が出てきたが、関連する情報は今の段階では、何もない。
*巡回スケジュール
【横浜・そごう美術館】
・1月29日〜3月1日
Webサイト
【静岡アートギャラリー】
・4月11日〜6月21日
Webサイト

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  • ウエッジウッドつぶれてしまったのですか!!
    あのコーヒー茶碗などはどうなるのでしょう
    (持ってないけど)

  • ウェッジウッドは5日、法定管財人による管理を裁判所に申請したところのようですね。(これは事実上の経営破綻)
    良い買い手が見つかれば、ブランドを残しながら再建の道を歩むことになるかも知れず、そうであればkokoniさん好みの素敵なカップが入手できるでしょう。
    いやいや、今すぐデパート高級日用雑貨のコーナーにいけば、一掃セールで安く入手できるんじゃないか知らん?

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