ウォールナットでコンテンポラリー ? 仏壇
この仏壇は先の個展に出品したローズウッドのキャビネットに魅入られた来場客からの依頼で制作したもの。
構成はもちろんだが、抽斗の天秤差しなどの仕口も、同じようにしてくれという条件であっため、少し煩雑な仕事にはなったが、まずまずの出来映えか。
簡単にディテールを示すと…、
駆体は無垢の1枚板をいずれも天秤差しで接合。天板見付はナチュラルエッジを残す。
扉釣り込みはいわゆるヒンジ。キャッチは自作の木製。
内部は上から棚を3段。お盆を挟み、抽斗が2杯。
画像ではお位牌はまだ置かれていないが、仏像の下の段に置かれる。
(画像、中、下はサムネール。クリックで拡大表示)
なお画像の色調であるが、かなりウォールナットにしては赤味が強いような感じを抱かれているのではと思う。
しかしこれはレタッチ操作によるものではなく、実態にかなり近い。
一切の着色は無しでナチュラル仕上げ。ウレタンミックスのオイルフィニッシュ。
そのような原木を用いた結果だ。
市場で流通している製品ではこのようなウォールナット本来の色調を有するものは入手が困難だろうと思う。ウォールナットという材種は実に色調が多様で、豊穣だ。
製品として流通しているものは色調ということに限って言えば“詐称”と言いたいほどのものだ。
なお内部の小抽斗の前板はCLAROウォールナットを用いているので、これまた色調、テクスチャーが異なり良い味を出している。
ベースキャビネットの抽斗4杯は通常のウォールナットの根本に近い部分からの木取りで、やや鯖杢(サバモク)に近いものになった。
こうしたキャビネットの抽斗に天秤差しを施すのは客の要望とはいえかなり抵抗があった。つまり扉の内部などには有効でも、外に出すのはデザイン的、視覚的に問題なしとしない(否定の否定はまずいな)。
背板は左右がウォールナットで中央には抽斗側板と同様にメイプルを用いたが、ここではカーリィメイプルのブックマッチでシンメトリーに接ぎ合わせ、仏像の背景として趣を出した。
ところで「仏壇」という品目であるが、聖なるものを収納する特別のキャビネットであるからには、そのデザイン、構成、機能、吟味された木取り、加工精度、仕上げ精度、などいくつもの高度なものが要求されるのは当然としても、今回はやや無難なものに落ち着いてしまった感が強い。
もっと“作品”としての品位を醸す何ものか、を追求されねばならないのが大きな課題だろう。
仕事納めまで残る数日、本来であれば大掃除でも済ませてさっぱりしたいところだが、最後の家具制作、座卓を制作している。
今日は納品で東京近郊に出る予定であったが、大雨で順延。何とかこれを良いことに座卓の完成へのメドを付けねばならない。Blogなどやってる場合か?
*参考記事
・ウォールナットについての蘊蓄
acanthogobius
2006-12-26(火) 21:05
artisanさんの作品の中では軽快な感じに仕上がっていると
思います。
てり、むくりが採用されていないためでしょうか。
拡大写真まで付けていただいて感謝です。裏板も框組にする
のはartisanさんのスタイルですか。
こんな色のウォールナットもあるんですね。少し時間が経つと抽出側板のメイプル共々さらに良い色になってくる予感がします。
国立国会図書館の検索をしてみました。私が生まれた昭和
30年代にも題目だけ見ても興味深そうな本がたくさん出されていたことに驚いています。国立国会図書館へ足を運ぶか
古書店を探してみようと思います。
artisan
2006-12-28(木) 08:15
>裏板も框組にするのはartisanさんのスタイルですか
これは西欧のものなどによく見られる構成です。
日本では本核(ホンザネ)で板を繋いでいくのが一般ですね。
ボクの高級なキャビネットではこれがキホンです。
国立国会図書館は閉架ですので、少し手続きがやっかいですが宝の山です。
都立中央図書館(広尾)は開架で、それなりのものを見ることが出来ます。(閉架のものも多い)
acanthogobius
2006-12-28(木) 09:05
本年は本当に貴重な情報をたくさんありがとうございました。
時には失礼なコメントもあったかと思います。お許しください。
これに懲りずに来年もまたよろしくお願いします。
artisan
2006-12-29(金) 07:43
acanthogobiusさん こちらこそたくさんのコメント感謝しています。
Blog運用についたは再考せねばならないこともあり悩ましいところです。
来る2007年もどうぞよろしく。
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2007-1-5(金) 11:01
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